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  • 一歩進んだ麻酔管理 ― ~常識は常に真実か?~

一歩進んだ麻酔管理 ― ~常識は常に真実か?~

  • ISBN : 9784771905160
  • ページ数 : 310頁
  • 書籍発行日 : 2019年5月
  • 電子版発売日 : 2020年3月6日
  • 判 : A5判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
販売価格 (ダウンロード販売)
¥7,150 (税込)
ポイント : 130 pt (2%)

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商品情報

2018年登場!?、マルチモーダル全身麻酔とは??帝王切開で子宮移動は不要?先行鎮痛で、痛み増の謎!?神経ブロックいつやるの?静脈麻酔で地球汚染?エキスパートが書き綴った楽しみの一冊。

■ 序文

限られたモニターしか利用できず、"何事もなく、無事に、手術室から退室させる"ことが重要な目標であった数十年前とは違い、手術終了直後に、手術室で覚醒させるのは、とても容易になりました。そのため私たち麻酔科医の目標は、患者の術後状態をよりよくすること(術後の痛みが少ない、吐き気が少ない、合併症が少ない、早期に飲食を開始できる、在院日数が少ないなど)に移行していることは明らかであります。実際の麻酔管理はレミフェンタニルやスガマデクスの登場により、誰でも簡単にバランス麻酔を施行することが可能となり、鎮痛薬・鎮静薬・筋弛緩薬投与量のどれもが過量投与でも過少投与でも覚醒時間への影響はほとんどなくなりました。"バランス麻酔を施行することが一歩進んだ麻酔管理"でしたが、次は"患者の回復強化につながるバランス麻酔を施行することが、さらに一歩進んだ麻酔管理"になると考えられます。そこで、今回は、患者予後に影響を及ぼす可能性のある項目を取り上げ、次世代の麻酔管理の方向性を提案させていただける書籍を企画いたしました。

本書では、これまでの周術期管理を見直し、臨床現場で即効性、または、将来性のある実践書を目指しています。内容としては、①多くの医師が当然と思っていることなのに逆のエビデンスもある内容、②以前から皆に認識されている内容に対して、新知見を示した内容、③知見は古いが知らない若い医師が多い内容、のいずれかを取り上げ、項立てさせていただきました。タイトルは抽象的にせず、何が留意点、または問題なのかを具体的に文章化させていただきました。項目内の構成は、可能なかぎり相反する結論の論文(論文化されていない場合は、逆の考え方)も併記し、読者の皆様に考え方を知っていただく(問題を提起する)内容を目指しました。紙面は参考論文のエッセンスとキーとなる結果の図表1─2枚のみを記載し、1項目を可能なかぎり簡潔にまとめ、最新の知見を素早く習得できるように執筆していただきました。そのため、細かい内容は割愛されていますので、深く掘り下げたい場合は、参考文献に当たっていただけると嬉しく存じます。

術中麻薬の使用量を例に挙げると、

《20年前に習った内容》

❶フェンタニルを投与すると覚醒遅延が生じるので、短い手術は1アンプルまで、抜管するためには、大きな手術でも2─3アンプルまで

《15年前の認識(薬物動態シミュレーション施行開始時)》

❷フェンタニルは分布容積が大きいため、執刀前に5アンプル投与しても短時間手術でも覚醒に影響はなく、執刀時に痛みを感じさせないので先行鎮痛として有効で、かつ、V2・V3コンパートメントに蓄積するので、効果部位濃度の低下が緩徐になり、疼痛が軽減する

《最近の見解》

❸─(1)フロントローディングは急性耐性などの影響で、術後痛を増強する可能性があり、麻薬単独の過度な先行鎮痛は避けたほうが無難

❸─(2)麻薬の耐性は、鎮痛に対するものよりも呼吸抑制に対するもののほうが生じやすいため、術中麻薬の使用量が多いと、術後死亡率を増やす可能性が指摘され始めている

と、上記のように、常識は非常識に変わり、新たな常識も、さらに非常識へ変わろうとしています。既成概念にとらわれず、常に臨床判断の基準を検討し、新しい知識とエビデンスの知見を得、また、その質と効果を検証される方が増えることを願っております。

本書の上梓にあたっては、当教室員のみならず、各領域の多くのエキスパートにもご快諾いただき、直接、執筆の労をとっていただけました。豪華執筆陣による玉稿もお楽しみいただけますと幸いでございます。また、本書籍項立ての一部は、公募させていただきました。採用の有無にかかわらず、この場をお借りして、アイディアを提供していただきました皆様には、深く感謝の意を表します。"もっと、こんなアイディアがあるよ"という方がいらっしゃいましたら、第2版の参考にさせていただきますので、ドシドシ、お知らせいただけますと幸いです。

最後に、本書が、皆様の臨床現場における実務の再考、かつ周術期管理方法の変更のきっかけとなれば幸甚に存じますし、ひいては、患者さんのアウトカムに良い影響を及ぼすことを祈念しつつ、出版に関わられた多くの皆様に感謝を申し上げ、編者の序を締めさせていただきます。


2019年4月7日

旭川医科大学麻酔・蘇生学講座 国沢 卓之

■ 目次

A 術中管理:術後状態を意識した麻酔管理

§1 術中管理目標

1 術中低血圧の累積時間が術後死亡率を上昇させる

2 血圧管理の目標は?

3 術中深鎮静の累積時間が術後死亡率を上昇させる

4 POCD予防に鎮静は比較的深いほうがよい?

§2 麻酔薬・鎮静薬・拮抗薬

5 フルマゼニルの効果

6 DEXと呼吸抑制

7 全身麻酔薬と麻薬の相乗作用

8 術中麻薬が多いと術後痛い

9 麻薬の耐性のでき方は効果によって違う

§3 鎮痛薬

10 レミフェンタニルは常に低血圧の犯人か?

§4 筋弛緩

11 頭部挙上5秒で抜管!!

12 麻酔科医の経験は絶対か?

13 まだ先があるとは

§5 脳波モニタリング

14 BISモニターは術中覚醒を予防しない?

15 術後回診でなんともなければOK?

B 術前管理

§1 診察・評価

16 術前に必須な検査とは

17 術前評価や介入

18 プレハビリテーション?

§2 内服薬・前投薬・飲水/55

19 β遮断薬

20 ベンゾジアゼピンのルーチン投与

21 ERAS(R)≠術前経口補水

22 術前炭水化物負荷に死角あり?

23 ERAS(R)も見直し!!

C 術中管理:基本的な管理法・手技

§1 輸液管理

24 GDTに意味はないのか?

25 すべてのHES製剤は出血量を増加させ、腎臓に悪影響を及ぼすのか?

26 HES製剤vs.アルブミン

§2 気道・換気

27 マスク換気ができることが筋弛緩薬投与開始の必須条件?

28 肺保護換気

29 抜管時の吸引

§3 手技中の感染予防

30 中心静脈穿刺の感染対策

§4 神経ブロック

31 区域麻酔施行時にマスクは必須か?

32 坐骨神経麻痺

33 超音波は有用!!

§5 硬膜外麻酔

34 出血・感染がなければ、良いはず?

§6 脊髄くも膜下麻酔

35 投与量・投与速度・身長?

D 術中管理:麻酔法の選択

§1 麻酔薬の選択

36 プロポフォールは環境に優しいか?

37 亜酸化窒素は常に悪か?

38 吸入麻酔薬は全部同じか?

39 肥満患者に対して

40 喉頭上デバイス

E 術中管理:各論

§1 脳神経手術

41 セボフルランとデスフルラン

42 MEP施行時は、吸入麻酔薬は使用不可か

43 開頭手術は過換気で

§2 心・血管手術

44 CVP は、輸液の指標にならない?

45 脊髄虚血にナロキソンが万能か?

46 溶血にハプトグロビン

47 アプロチニンはどこへ

48 ステロイドの功罪

49 BIS = 0 と100

§3 胸部外科手術/164

50 分離肺換気中のPEEP

51 HPVを考慮してプロポフォールがスタンダード

§4 産科手術

52 輸液選択

53 ネオシネジンやノルアドレナリンは使用可能!?

54 スリーピングベイビー

55 子宮移動に意味がない?

§5 小児手術

56 成人とは異なり、声門下が一番狭い?

57 麻酔と成長障害

58 患児に優しいマスク導入

59 小児はカフなし気管チューブを使う?

§6 がん手術

60 吸入麻酔vs.静脈麻酔

61 局所麻酔の影響は?

F 周術期管理

§1 鎮痛

62 先行鎮痛から予防鎮痛へ

63 先行鎮痛は過去の概念?

64 神経ブロックはいつやるの?

65 リバウンドペイン

66 アセトアミノフェンやNSAIDs

67 デキサメタゾンがここで登場!!

68 ケタミン、プレガバリン、ガバペンチン

69 マルチモーダル全身麻酔

§2 PONV 予防

70 プロポフォールが好ましい?

71 嘔気にはメトクロプラミド?

§3 呼 吸

72 酸素マスク3 l/min 3 時間

73 吸入酸素濃度の理想は?

74 嚥下機能回復

§4 代謝・輸液・輸血

75 術中、ストレスホルモン放出抑制は、意味がないのか?

76 輸液量の変遷

77 血糖管理の変遷

78 周術期体温保持

79 古い輸血は危ない?

§5 循環

80 心臓に良いのは?

81 AKI 予防は尿量確保!!

82 ランジオロールは良さも短時間?

§6 血栓・抗凝固

83 ヘパリンブリッジは有効か?

84 アスピリン継続は安心・安全

85 NOAC・DOAC、さあ大変

■ 特記事項

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