脱・思い込みめまい診療

  • 書籍発行日 : 2015年11月
  • 電子版発売日 : 2020年4月24日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容

中高年者のめまいの原因を安易に内耳と思い込んでいませんか?  高齢者や、中高年の糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙などの危険因子をもつ患者さんは、良性発作性頭位めまいと鑑別困難な眼振症状を示す中枢性発作性頭位めまいを起こしやすくなっています。めまい鑑別のコツを著者の経験と豊富な症例でわかりやすく伝授いたします。  内科では、生活習慣病などでめまい後も経過観察を継続することになります。動脈硬化のある患者さんが後日、一過性虚血性発作や脳梗塞、狭心症、心筋梗塞を起こすこともあります。  本書は、たくさんの症例をもとに教科書では学べない臨床のエッセンスをSpot Informationとして随所にちりばめ、若手からベテランまで、めまい診療を楽しく学べるように配慮しました。めまいの診療をきっかけとして、患者さんの生活習慣の改善をめざしていただきたく、ぜひご一読をお勧めいたします。

序文

はじめに

著者は,1971 年群馬大学耳鼻咽喉科からスタートし,めまいについては,横須賀共済病院内科において単独で立ち上げた「めまい外来」を実践してきた.この結果,めまいを耳鼻咽喉科と内科の両面,それぞれの立場からより広い視点で診ることができた.特に画像は,横須賀共済病院で1988 年から頭部MRI を,1996 年からは頭部MRA と頸部MRA を病名の如何にかかわらずほぼ全症例についてチェックしてきた.特に頸部MRA で注意すべき部位は,前下小脳動脈,後下小脳動脈以外に,椎骨動脈起始部と脳底動脈合流直前の箇所である.この部位はアテローム硬化を生じやすいことですでに知られている.

近年,「良性発作性頭位めまい」(以下BPPV)の病名が広く知られることとなり,全めまい症例の50~60%近くがこの疾患という意見が出るほどである.一部の内科医の間ではめまいの80~90%はこの疾患が占めるという極端な考えすらある.2015 年には団塊の世代がすべて65 歳以上になり,その数は3395 万人に達するといわれている.高齢人口が世界最速で進む社会環境のなか,最近の糖尿病とその予備軍の人たちの右肩上がりの増加を含め,高血圧,脂質異常症,肥満,喫煙などの危険因子を持つ中高年の人たちは,BPPVと鑑別困難な眼振所見を示す「中枢性発作性頭位めまい」を起こしやすい.ヒトの身体は神経,血管などでつながっているので,この本を通して内耳のみに限定せず視野を広くして,俯瞰的に診ていっていただければ幸いである.

高齢者や危険因子を抱える中年の人たちは,一見BPPV のようにみえても,動脈硬化を背景にして,後日一過性脳虚血発作や脳梗塞,狭心症,心筋梗塞を起こすことが時にある.著者が耳鼻咽喉科医としてめまいを診ていた頃は,もしめまい後に脳卒中や心疾患を発症すれば,神経内科,脳神経外科,循環器内科に収容されたはずで,その情報を知ることはできなかった.

しかし内科では,生活習慣病などでめまい後の経過観察を継続していくことになる.臨床医にとって経過をみていくことは大切なことである.

さらに,この本ではSpot Information のような囲み欄を配置し教科書を読むだけでは得がたい日常臨床に直結する情報を記載した.

本書が今日からのめまい診療に役立つことを切望している.


2015 年9 月吉日

中山杜人

目次

CHAPTER 1 めまい診療 概論 

Ⅰ めまい,眼振はどのようにして起きる? 

Ⅱ めまいにはどんな病気がある? 

末梢(内耳)性めまい

1) 良性発作性頭位めまい(BPPV)

2) 内耳性(あるいは末梢前庭性)めまい

3) メニエール病

4) 突発性難聴に伴うめまい

5) 前庭神経炎

6) 耳性帯状疱疹に伴うめまい

7) 流行性耳下腺炎に伴う耳鳴,難聴,めまい

8) 頭部外傷に伴うめまい

9) SM,KM,エンビオマイシン(EVM)によるめまい

10) 真珠腫性中耳炎から波及した内耳炎

11) 内耳梅毒

12) 顎関節症に伴うめまい(コステン症候群)

13) 遅発性内リンパ水腫

中枢性めまい

1) 椎骨脳底動脈循環不全

2) 中枢性発作性頭位めまい

3) 悪性発作性頭位めまい

4) 小脳出血および梗塞

5) 脳幹病変(腫瘍,動静脈奇形,梗塞,出血,炎症)

6) 急性散在性脳脊髄炎

7) 聴神経腫瘍

8) 脊髄小脳変性症によるめまい

9) 正常圧水頭症

10) 慢性硬膜下血腫

その他のめまい

1) 循環器疾患を背景としためまい

2) 甲状腺機能亢進症,甲状腺機能低下症に伴うめまい

3) 慢性呼吸不全に伴って起こるめまい

4) 脳血管障害性パーキンソニズム

5) 片頭痛関連めまい

6) 妊娠中に起こるめまい

7) 眼科的なめまい

8) 薬剤によるめまい

9) 電解質異常,貧血,低血糖,高血糖,熱中症(Ⅰ度,Ⅱ度)などによるめまい

10) 持続的な平衡覚障害

まれなめまいのケース

1) 大動脈炎症候群に伴うめまい

2) 鎖骨下動脈盗血症候群

3) 大脳性のめまい

4) 神経血管圧迫症候群

5) てんかん性めまい

6) 血液疾患に伴うめまい

Ⅲ 中高年の中枢性発作性頭位めまい―症例による検討― 

頸椎異常に起因する症例

1) 首がこきっと音がした直後にめまいを起こし,中枢性発作性頭位めまいと診断した症例

2) 首の付け根を圧するとめまいがするというストレートネックの症例

3) 後彎が原因でも良性発作性頭位めまいと同じ眼振を認める

4) 後彎で良性発作性頭位めまい(後半規管型)と同じ眼振を呈した症例

5) 良性発作性頭位めまいとして運動療法(Brandt法)を施行されたが,めまいがかえって悪化した前縦靱帯骨化症のケース

6) 寝ている状態から起き上がった時の回転性めまいで受診した後縦靱帯骨化症のケース

血管病変が発見された症例

1) 良性発作性頭位めまいのようにみえても,presyncopeを伴ったケース

2) 一見良性発作性頭位めまい,でも左鎖骨下動脈と左椎骨動脈の高度狭窄が判明したケース

発症後に脳血管障害を起こした症例

1) 発症後6年で脳出血で死亡

2) 発症後2年にして脳梗塞を起こした

3) 発症後9年して脳血管障害性パーキンソニズムを起こした

4) 頸部MRAにて左椎骨動脈の描出なく,脳底動脈の蛇行も認められた

5) 発症後3ヵ月して,意識障害で救急車で運ばれてきた

‌脳の循環不全,血管病変や橋,小脳に小梗塞,大脳に陳旧性の脳出血が発見された症例

1) 低酸素状態がきっかけで発症

2) 頭部MRAにて右前大脳動脈閉塞が認められた

3) 頭部MRIにて大脳だけでなく,橋,小脳にも小梗塞

4) 頸動脈カラードップラー法で右総頸動脈から内頸動脈にかけて狭窄率62%のプラークがみられた

5) 糖尿病→動脈硬化→椎骨脳底動脈循環不全を背景とした症例

6) 左椎骨動脈結紮からの椎骨脳底動脈循環不全が関与していた

7) 3年後,右小脳半球に梗塞がみつかった

8) 発症後5年経過して頭痛と半身のしびれにて未破裂脳動脈瘤が発見された

9) 頭部MRAにて右内頸動脈瘤が発見された

Coffee Break 1  普通の治療でよくならないケースにはどう対処する?

文献

ポイントレッスン

CHAPTER 2 めまい診療 実践 

Ⅰ 医療面接(問診)のコツ 

1) めまいの性状と随伴症状

2) 何時に,何をしている時に起こったのか?

3) 持続時間はどれくらいか?

4) 中年以降のめまいで注意すべき症状

5) 既往歴の聴取

Ⅱ 平衡機能検査を行う順序 

Ⅲ 診断のコツ 

1) 詳しい病歴をとる

2) 末梢性と中枢性の区別

3) 高齢者のメニエール病

4) 中高年のめまい

5) 高齢者の非回転性めまい,ふらつき

Ⅳ 最前線の臨床医のための重要事項 

Coffee Break 2 著者のめまい,耳鳴,耳閉感の経験―年齢が進むと首との関連が目立ってくる―

Ⅴ 第一線の臨床医のためのめまい診療の進め方

内科でよく遭遇するめまい 

1) 椎骨脳底動脈循環不全

2) 中枢性発作性頭位めまい

3) 循環器疾患を背景としためまい

4) 末梢性あるいは内耳性のめまい

内科で遭遇するその他のめまい

1) 甲状腺疾患に伴うめまい

2) 慢性呼吸不全に伴って起こるめまい

3) 脳血管障害性パーキンソニズム

4) 大脳性のめまい

5) 妊娠中に起こるめまい

6) 眼科的なめまい

めまいで最終的にしておくことは

Ⅵ 状況別めまい診療 

救急外来でめまい患者を診たら

1) 救急車でストレッチャーで搬入された場合

新患外来でめまいを診たら,あるいは再診で診察している人がめまいを訴えたら

1) めまいの診断はほぼ医療面接(問診)で決まる

2) 3分で椎骨脳底動脈循環不全を見分ける問診法

3) 診察時のオーダー,投薬,注意事項

Ⅶ 今日から役立つ! めまい診療の実践テクニック 

眼振以外のめまい診断へのアプローチ

臨床医のためのめまい処方

めまい患者のめまい以外の症状について

1) 嘔気,嘔吐

2) しびれ

3) 頭痛,首筋の痛み,頭重感

4) 首・肩こり

5) 頭鳴

外来でよく遭遇するQ & A

Ⅷ 最終的に頭に入れておくこと

1) 中高年者のめまいで多いのは

2) 中枢性発作性頭位めまい

3) 見逃してはならぬもの

Ⅸ これからのめまい診療の注意点117

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