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  • 誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-

誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-

  • ページ数 : 168頁
  • 書籍発行日 : 2016年10月
  • 電子版発売日 : 2017年7月21日
¥2,750(税込)
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商品情報

内容

ガイドラインと主要文献を渉猟し、エビデンスに基づくベストな使い方を解説!

臨床の現場ですぐに役立つ くすりの始め方・やめ方を様々な角度から検証。健康部門No.1ブロガーの著者の豊富な臨床経験に基づく実践的な解説書!

序文

はじめに

内科医にとって,薬をどのように使うのかということは,もっとも基本であり,そして生命線でもあります.

血圧の薬や糖尿病の薬など,誰にでも出せると考えている人は,一般の方のみならず,看護師や介護士などの医療者にも多く存在しています.薬剤師は薬のプロとしての自覚をもち,情報収集にも非常に熱心な方が多く,そうした人は医者の不勉強を密かに(時には公然と)馬鹿にしているのが現実です.そして時には他科の医者も,「薬しか出さない」内科医を馬鹿にしています.

患者との関係もこんな時代ですから,なかなか難しい面があります.

私が臨床の手ほどきを受けた1990年代の始め頃には,まだ医者の処方には大きな裁量が認められていて,必ずしも添付文書通りの処方でなくても,それが問題となることはありませんでした.一般の方が入手できる医療情報も,非常に限定されていましたから,治療指針や添付文書通りの処方でなくても,それで非難されるというようなこともありませんでした.

しかし,時代は変わりました.

巷には医療情報が溢れ,論文や学会報告に一般の方がアクセスすることも簡単にできるようになりました.医療のレベルを上げ,あやふやな知識に基づく治療を減らすという意味で,こうした情報の共有は意義のあるものでしたが,その一方で,専門家ではない故に,特定の情報に惑わされて,極端な意見を信奉するような一般の方が非常に多くなる,という問題も生じました.

このため一般の内科医は,これまでは個々の自分の患者さんだけを相手にすれば良かったのですが,今ではテレビやネットの影響を,同時に相手にしなければならなくなりました.

たとえば,テレビで認知症の特集が放映され,そこである血圧の薬に認知症の進行を予防する効果がある,という研究結果が紹介されたとします.その翌日の内科の外来は,その薬を出してほしい,とか,今飲んでいる薬をその薬に代えてほしい,という患者の攻勢にさらされることになるのです.

こうした時代に,カリスマでもセレブでもない医者が,時間の限られた外来のなかで,適切な医療を行うためには,どのように患者に向き合い,どのような指針をもって処方を行うべきでしょうか?

そんなことは簡単だ,最新のガイドラインをもとにして治療を行えば良いのだ,と言われる方がいるかもしれません.

しかし,ガイドラインというのは要するに,これまでの臨床試験の結果を,その信頼性や日本人への適応性などを勘案して,階層化し,1つの案として提示したものにすぎません.治療の基準は確かに示されていますが,その根拠は意外に大雑把で,個々の事例にそのまま適用されるようには思えません.これをそのまま機械的に適用するような医者がいれば,すぐに実地ではトラブルを抱えてしまいそうな気がします.

つまり,ガイドラインを読み込むことは基本ではありますが,それだけでは実地臨床の役には立ちません.問題はむしろ一般論を個別の事例に翻訳する作業にあります.そこが一般の臨床医の腕の見せどころかもしれません.

慢性疾患への投薬治療で重要なことは,薬を始めるタイミングとその始め方,そして,薬をやめるタイミングとそのやめ方とにあります.

しかし,目の前の患者の薬をいつ始め,いつやめるか,そのシンプルな方法が,ガイドラインにはほとんど書かれていません.

多くの一般の内科医は,そこに自分なりのこだわりをもち,一種の職人芸のようにそれを日々磨いています.こうしたこだわりは最近ではあまり尊重されませんが,私はそうしたところに臨床医の心意気のようなものがあると思いますし,そうした心意気を何らかの形で残すことが,臨床の進歩のうえで重要ではないかと思います.

私は16年間診療所の所長として,週6日の外来の日々を送り,その臨床経験の集大成として,この薬の本を書きました.ある部分は国内外のこれまでのガイドラインや,著名な研究成果を下敷きとし,また他の部分では経験や先人の知恵をもとにして,さらに一部は私の独自の方法論を紹介しています.

もちろん,この方法が正しいと言い切るつもりはありません.しかし,その根拠はすべて示していますので,読まれる皆さんは,それを適宜選択して,皆さん自身の処方を磨く一助にしていただければと思います.


石原 藤樹

目次

第1章 安定剤と睡眠剤の始め方・やめ方

始め方

・パニック障害に対するベンゾジアゼピンの使用法

・不眠症に対するベンゾジアゼピンの使用法

・不定愁訴や不定の身体症状へのベンゾジアゼピンの使用法について

やめ方

・ベンゾジアゼピンの離脱の必要性とその裏づけ

・ベンゾジアゼピンの離脱とその選択

・漸減法による離脱の詳細

・プラセボを用いたベンゾジアゼピン離脱療法の効果

第2章 降圧剤の始め方・やめ方

始め方

・二次性高血圧の実際的スクリーニング法

・血圧の測定法とその評価

・血圧治療の目的とその根拠

やめ方

・降圧剤のやめ方と中止の影響についての知見

・降圧剤中止の自験データ

・著者流降圧剤中止ガイドライン

第3章 コレステロール降下剤の始め方・やめ方

始め方

・どのような場合に薬でコレステロールを下げるべきか?

・コレステロール降下剤の選択とその開始

やめ方

・どのような場合にスタチンを中止するべきか?

・スタチンの中止法

第4章 ワルファリンの始め方・やめ方

始め方

・ワルファリンによる血栓塞栓症とそのメカニズム

・ワルファリンの開始法について

やめ方

・深部静脈血栓症におけるワルファリンのやめ方

・心房細動で使用時のワルファリンのやめ方

第5章 糖尿病治療薬の始め方・やめ方

始め方

・血糖の強化コントロールの効果

・心血管疾患の予防のための薬物治療

・日本と欧米の治療ガイドラインの差

・高齢者における糖尿病治療の考え方

・糖尿病治療薬の始め方についての私見

やめ方

・高齢者の糖尿病治療薬の減量と中止法

第6章 抗甲状腺剤の始め方・やめ方

始め方

・バセドウ病治療開始の基準

・チアマゾールとT4製剤の併用療法の有用性について

やめ方

・ガイドラインに示された薬剤中止のタイミングとその根拠

・チアマゾールとT4製剤の併用療法における治療終了の基準

・診療所におけるチアマゾールとT4製剤の併用療法の再発率


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書籍情報

  • ISBN:9784883786466
  • ページ数:168頁
  • 書籍発行日:2016年10月
  • 電子版発売日:2017年7月21日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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