ERの小児 時間外の小児救急どう乗り切りますか?

  • ページ数 : 230頁
  • 書籍発行日 : 2010年10月
  • 電子版発売日 : 2012年10月27日
3,300
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商品情報

内容

慣れない救急で疲労困憊しないための "小児診療のKnackとPitfall"
ベテラン救急医が答える「小児と大人はここが違う」

精度の高いカラー写真と思わず見入ってしまうイラストでコンパクトでわかりやすく解説。

関連書
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序文

小児救急医療が社会問題として取り上げられて久しい.わが国の幼児(1~4 歳)救急患者の死亡率は先進諸国のなかでも高いことがメディアによって報道されると,厚労省によってその対策会議が開催され,2009 年夏には重篤小児における救急医療体制(特に小児集中治療)についての提言がなされている.小児救急におけるここ数年のトピックスとしては,トリアージ,搬送医学,小児集中治療が挙げられるが,厚労省の後押しもあり,最近はとりわけ pediatric intensive care unit(PICU)の充実が叫ばれている.

一方,まったく軽症といえる 初期患者が救急部門に殺到しているのも事実であり,小児科医のみでは対応は困難な状況が続いている.その背景にあるのは保護者の「わが子の傷病は軽症ですませたい」という一心に基づく受療行動であるが,これを咎めることはできない.この行動自体が保護者の心情を医療者に察して欲しいという訴えともいえる.子どもの病気を的確に診断治療し,なおかつ,自分の不安を解消してくれること,保護者はこの 2 点を期待しているのである.また子どもの疾病が Bio-morbidity から Co-morbidities, New-morbidity へ変わったこともあり,混乱している保護者の中には,専門医志向がさらに高まっているとも考えられる.また,きわめて稀な重篤な疾患での死亡例がセンセーショナルに報道されることで,ますます保護者の不安感が増している.子どもの数は減ってきたけれど,小児科医の役割,責任はますます増えているといえよう.

救急外来は単なる時間外診療,コンビニ診療,不要不急の受診の場になってしまっており,それを是正するための「保護者の教育が必要だ」と保護者を責める医療者が多くみられるように,両者の救急医療に関する意識は大きく乖離しているのが現状である.よりよい小児救急体制を構築していくためには,両者の歩み寄り,すなわち,医療者側の保護者の不安に対する同調・傾聴する姿勢と,保護者には小児救急医療を提供する医師(小児科医に限らず非小児科医にも)への思いやりが不可欠であろう.お互いの意志を尊重しあい,協力し合うことが,その間に存在する子ども達に対する健全育成への協働となるであろう.この点を忘れてはならない.

とはいえ,もちろん小児救急医療の現場に立つ医療人としては,小児専門医ではなくとも確かな診療スキルを持って,小児救急患者に対応することが必要である.本書は救急現場で,いかに正確な傷病判断を行い,かついかに保護者の不安を解消・満足させるかという観点に基づいて,経験豊かなベテラン救急医が書き下ろしている.診療における knack と pitfall を本書で学ぶことで,非小児科医が慣れない小児救急医療のなかで疲労困憊に陥らないことを願うとともに,一人でも多くの子ども達の笑顔に接していただき,明日からのわが国を支えてくれる子ども達の健康を守っていただくことを願って止まない.


平成22年 12月吉日
北九州市立八幡病院院長
市川光太郎

目次

1.小児救急外来トリアージで医者も安心,患児・保護者も満足!

2.子どものバイタルサインって何が正常なの?

3.小児の蘇生っていざとなるとあわててしまうのですが

4.小児の意識障害・けいれん重積ではこちらのほうが意識が遠のいてしまいそう

5.小児の点滴って本当に難しくないですか?

6.風邪といいつつ抗菌薬を処方してしまうんだけどどこまで許されるの?

7.発熱以外の症状がないんだけど,はてさてどうしたらいいの?

8.3カ月児の熱発って本当に重症なの?

9.初期症状が熱発のみで怖い疾患って何に気をつけたらいいの?

10.インフルエンザと感冒の違いって何なの?

11.咽喉の白苔がないのに溶連菌感染症ってことはあるの?

12.扁桃に白苔がついているんだけど,溶連菌なの?

13.つばも飲めないくらいのどが痛いっていってるけど

14.副鼻腔炎を疑ったら抗生剤を出していいの?

15.中耳炎なら抗生剤を出していいの?

16.発熱+発疹って鬼門なんですけど

17.ウイルス性の発疹っていつまでたっても苦手なので

18.喘息と思いきやクループ?

19.発熱患児の採血はいつしたらいいの?

20.熱性けいれん予防に効く薬は? 抗けいれん剤? 解熱剤?

21.首が固くなければ髄膜炎は否定していいの?

22.腰椎穿刺ってとっつきにくいのですが

23.小児の輸液のスピードって分かりにくいのですが?

24.恐い下痢ってどんな時疑うの?

25.脱水の経口補液ってどう処方したらいいの?

26.胃腸炎なら乳酸菌製剤って?

27.小児の尿路感染はいつ疑うの?どうやって診断するの?

28.やっぱりアッペは嫌なもの,でも所見をとるのが難しくって

29.小児の腹痛って難しいので困ってしまう

30.喘息の治療は飲み薬ではダメですか?

31.朝礼で失神する子供って検査必要なんですか?

32.小児の経口抗菌薬はどうして量が比較的多いの?

33.頭をぶつけた子供の対応って難しい?

34.小児の頸椎損傷ってまれじゃないですか?

35.小児の腹部外傷ってどんな手順で戦えばいいの?

36.小児の見逃しやすい骨折は?

37.虐待はどう見つけたらいいの?

38.虐待を見つけたときの通報の仕方はどうしたらいいの?

39.小児の泌尿器科疾患って苦手なんだよなあ

40.小児って異物をどうして入れたがるんでしょう?

41.小児科ってむしろ患者は保護者?

42.出血傾向の子供が来院したら

43.学校感染症の対応を教えてぇー

44.揺さぶられ症候群って,どんな疾患ですか?

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書籍情報

  • ISBN:9784902470666
  • ページ数:230頁
  • 書籍発行日:2010年10月
  • 電子版発売日:2012年10月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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