監修の序
メジカルビュー社既刊の『フルカラーCGで学ぶ X線撮影のポジショニングとテクニック』,『フルカラーCG で学ぶ MR 撮像のポジショニングとテクニック』に続き,今回,『フルカラーCG で学ぶ核医学検査のテクニック』と題したテキストを刊行した。
『フルカラーCGで学ぶ』シリーズは,北海道大学保健科学研究院の杉森博行准教授に作成していただいた3D人体画像モデルでのポジショニングや実際の写真と,それにリンクする形での各検査の具体的な解説が併記されている。正しいポジショニングや撮像方法を視覚的に理解できるように複数方向のCGが作成されており,読者が立体的な位置関係を把握し,適切にポジショニングし撮像できるように示している。また,撮像を容易にするためのコツやピットフォールを検査する側の視点に立って記載されている。核医学検査のテキストは既に数多く出版されているが,撮影方法が直感的に解るものはあまりなかった。核医学検査法の基礎の確認,および新人技師に対する指導時の参考資料として大変有効と考える。核医学検査は,CTやMRIなどの検査と異なり,投与薬剤の種類が多く,それぞれの検査ごとに適切な前処置,負荷薬剤の有無,薬剤投与のタイミング,撮像時間や撮像方法が異なり,すべてを把握するには時間と労力を要するが,本書がその一助となれば幸いである。
各検査の解説は,北海道大学病院医療技術部の孫田惠一副診療放射線技師長を中心として,北海道大学病院医療技術部の宗像大和主任技師,北海道循環器病院診療放射線科の前田佑介技師,札幌麻生脳神経外科病院放射線科の小倉利幸主任技師,札幌医科大学附属病院放射線部の浅沼 治主任技師,旭川医科大学病院診療技術部放射線技術部門の佐藤順一放射線技師長,宇野貴寛技師,鈴木達也技師,北海道大野記念病院画像診断部の安藤 彰係長に執筆をお願いした。臨床現場の第一線でご活躍されている方々による説明が最も価値のあるものと信じる。
私も微力ながら,核医学検査の基礎と題して,北海道大学医学部保健学科放射線技術科学専攻での講義内容をもとに執筆させていただいた。一般的な核医学検査の成書とは趣の異なる内容にした。従来のテキストにはあまり記載されていないような,断層画像の算出法の数式だけに頼るのではない具体的な解説を載せた。コンパートメントモデル解析の説明も,数式だけでは実際どうやって計算するのか解らないテキストが多い中,具体的に計算する手順を省略せずに記載してみたが,正確な説明には,どうしてもプログラミング言語による記述に頼らざるを得なかった。臨床テキストとしては,若干アンバランスな内容であるが,この本を読んで初めて断層画像再構成法やコンパートメントモデル解析の内容を理解できた読者がいれば,望外の喜びである。
最後に本書の刊行にあたり,『フルカラーCG で学ぶ 核医学検査のテクニック』企画時から適切なアドバイスをいただき,編集に当たりご尽力いただいたメジカルビュー社 伊藤 彩氏に心より感謝申し上げます。
2020年2月
北海道大学 大学院保健科学研究院 医用生体理工学分野
加藤千恵次