• m3.com 電子書籍
  • 事例で学ぶ 医療者のためのWeb会議システム活用メソッド

事例で学ぶ 医療者のためのWeb会議システム活用メソッド

  • ページ数 : 303頁
  • 書籍発行日 : 2021年2月
  • 電子版発売日 : 2021年2月8日
4,180
(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 76pt ( 2 %)
m3ポイント:1%相当 point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

「Webセミナー」や「学生実習」、「Web手術カンファ」もこれで完璧!

「先生のWebレクチャー,わかりやすいですね!」と言われるようになりたいならこの1冊! Withコロナ時代のスタンダードとなったWebセミナーや学生実習,Web手術カンファも完璧にマスター.腹腔鏡実技トレーニングやオンライン外科教育,学会向け動画編集スキルなど,医療従事者が使うシチュエーションに特化した解説ですぐに使える! ずっと役立つ!これからの医療界で絶対に欠かせない内容をわかりやすくまとめた,初心者にも嬉しい内容.

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版

序文

は じ め に
― この本ができたきっかけ ―


すべては,私のFacebook上の一枚のポスターのアップロードから始まった.


2020年3月,新型コロナウイルス感染症の拡大により,これまで当たり前のように行ってきた対面式の講義,実習をはじめとする教育活動に加えて,学会や研究会などの学術活動,症例検討会など,今まで何気なく対面で行ってきたほとんどの活動ができなくなった.新型コロナウイルス感染予防のため,3密が避けられる中,ありとあらゆるものがオンライン化され,オンライン上で情報をやり取りし,コミュニケーションをとるためのInformation and Communication Technology(ICT)の知識や技術を早急に身につけることが求められた.また,私のような外科系医師は,手術数も制限され,何をしたらよいかわからない日々が続いた.そのような状況の中,社会のために自分は何ができるのかと模索していた.

私自身は,特にICTに詳しいわけでなかったが,Webexを用いたオンラインの医学教育学プログラムを受けたり,DMM 英会話を受講していたため,どのようなオンライン講義が面白く,講義を行うためにどのようなコツや注意点があるか把握していた.また医学教育学を学んでいるために,どのように人にわかりやすく教えるか,伝えるかの知見があった.オンライン化の流れとして私の所属する新潟大学では同期型オンライン会議システムのZoom を用いてオンライン講義を行うことが決まっていた.Zoomは,その使用方法の簡便さから,多くの施設で導入が進んでいる印象であった.しかし,その詳細な利用法について理解している医師は,少なくとも2020年4月における筆者の周囲にはあまりいなかった.そこで教育勉強会として,Zoomの使い方講習会を所属する新潟大学産婦人科の医局員に対して施行する計画を立てた.タイトルは「Zoomを用いたオンライン講義のコツと落とし穴」とした.医局員皆で実際にZoomを操作しながらZoom の使い方を学べるような講習会を計画した.そして,企画内容をポスター[図1]にして医局に貼り出し,このような試みを計画していることを自身のFacebookに2020年4月13日に投稿したところ,驚くべき反応があった.


[図1] 医局に張り出したチラシ
すべてはここから始まった.
Facebookにアップロードしたところ,驚くべき反応があった.


「自分も講習会に参加したい」「参加させてほしい」という反応が投稿後2時間で20人からあった.ただただ驚いた.この反応を見て,新潟大学産婦人科医局員のみを対象とするのではなく,全国の希望者に対象を広げる必要があると判断した.Zoomの使い方講習会は4月17日,20日,23日,28日,30日の合計5回行い,のべ188名に実施した.医師(産婦人科,外科,小児科,内科,泌尿器科,麻酔科など)以外にも獣医師,コメディカル,他学部の教員などの参加もあった.開始時間は臨床医の診療業務に配慮して21時とした.事後アンケートではほとんどの参加者が「今回の講習会でZoomを使い方がわかった」「今後Zoomを使ってみたい」と回答した.開催時刻に関しては,当直中や育児中でも参加できる,などのコメントが自由記載から得られ,オンラインであるためにむしろ講習会参加が容易であった参加者もいる可能性が示唆されたため,開催時間は21時で継続することとした.また,同じアンケートで次回の企画で取り上げて欲しいテーマに関する調査を行なったところ,人数が一番多かったテーマは「Zoom事例検討会」であった.つまり,Zoom等の同期型オンライン会議システムの使い方がわかっても,実際にどのように利用するのかについてのイメージがわかない,という問題点を実際の実践経験者から学ぶ必要があることがわかった.

ただちにニーズにこたえることとした.Zoomを用いた教育実践経験を共有する「Zoomによる教育事例検討会」をZoomで行うことを企画した.事例検討会では,教育実践を共有するだけでなく,議論することで学びを深めることができるし,また事例提示者はそれをもとに実践を改善することができる.また,参加者は事例提示者をロールモデルとする形でZoom を使った教育実践の方法について学ぶことができる.第1回の事例検討会を5月1日に施行し,その後5月2日,15日,16日,23日,29日,6月5日,6日と,合計8回事例検討会を行った[図2] .事例の内容は当初の想定を超え,Zoom以外のツールも含めたICT を用いた学生・研修医教育のみならず,具体的な内容として手術教育,具体的な対象として患者への教育,さらには学術研究会での実施の報告など多岐にわたった.参加者は同様に医師のみならず,獣医師や看護師,薬剤師などの他の医療職,さらには工学や看護学分野の大学教員にまで及んだ.参加者数は各回,50名から80名であり,これまでのべ18名が演者として発表し,うち16名は先だって実施したZoomの使い方講習会の参加者であった.使い方を学び,早速,主催者として実践に移した演者であった.6月上旬現在,この事例検討会は継続している.


この本は,これらのZoomを用いたZoomの使いかた講習からZoomによる教育事例検討会に至るまでの2カ月弱で行った計18回の勉強会を書籍化したものである.決してICTの専門科が書いた本ではない.このような新型コロナウイルスパンデミックの困難の中で,現場の試行錯誤の中で生まれた現場の声を書籍化した.


[図2] 事例検討会のチラシ
 Zoomの使い方から,どのように使うかへの変化.6月上旬時点で計8回行った.
まだまだ事例報告をしたい医療関係者は多い.学会がないことも影響しているのかもしれない.


この書籍が出版されたとき新型コロナウイルスのパンデミックは終わっているのだろうか? 新型コロナウイルスのパンデミックがいつ終わるのかわからないし,終わったとしても,その後の世界がどのようになっているのかわからない.このICT化の流れは永久のものなのであろうか? そして,将来において,今回の新型コロナウイルスパンデミックのような急激な社会の変化が起こるのか,誰にもわからない.この4月から5月の1カ月間の変化は,数,質,さらに実践を改変するスピードのすべてがこれまで経験したことのないものであった.新型コロナウイルスのパンデミック未曽有の危機の中,現場の医師が行った試行錯誤の取り組みを書籍化した.参考にしていただければ幸いである.

また,これらの取り組みについて,医学教育サイバーシンポジウム(医学教育学会主催,2020年7月,https://cybersymposium.jp/),およびアジア・オセアニア産婦人科学会のWeb カンファレンス(AOFOG 主催,2020年7月)で講演し,コロナ禍の中,日本,世界でWeb会議システムを用いて共有した1~3)


1)Isobe M. ICT case study meeting for MIS education. AOFOG COVID‒19 and Gynecological cancer management: Web 開催,2020.

2)磯部真倫,榎本隆之,錦織宏.ZOOM による教育事例検討会: オンラインFaculty Development: 医学教育サイバーシンポジウム「COVID‒19 時代」の医学教育,第4 回: with Corona 時代の医学教育: Web 開催.2020.

3)磯部真倫,榎本隆之,錦織宏.ZOOM による教育事例検討会: オンラインFaculty Development. 医学教育.2020,51: 338‒40.


2020年7月

新潟大学 産科婦人科学
磯部真倫

目次

Chapter 1 Zoomを使うためのTIPS

1.Zoomを用いたオンライン講義のコツと落とし穴〈磯部真倫〉

 1 はじめに

 2 Zoomの使い方(基礎編)

 3 e-learningとオンライン講義について

 4 Zoomを用いたオンライン講義のコツと落とし穴

2.もう一歩進んだZoomを便利に扱うためのTIPS〈今村清隆〉

 1 Zoom会議を始める前に

 2 本番を迎えるにあたり

 3 その他

 〔コラム〕リモートワーク

3.ハード面から考えるZoomの環境整備〈今井 賢〉

 1 インターネット/Zoomのしくみと通信速度

 2 通信速度を上げるための環境整備

 3 有線vs無線(Wi-Fi)

 4 動画カクカク問題に挑む!

 5 視聴環境の整備

 〔コラム〕備えあれば憂い無し

4.Zoom × ARS:Mentimeterを使用して〈田中淳一〉

 1 ARSとは

 2 Mentimeterの使用法

 3 実際の使用例(オンライン臨床実習において)

 4 注意点

 〔コラム〕オンライン医学教育とゲーミフィケーション

Chapter 2 クラウドサービスで医療情報を扱う際の注意点〈嶋田 元〉

 1 個人情報と要配慮個人情報と医療情報

 2 所属施設における個人情報保護と管理

 3 外部保存を受託する機関の選定基準

 4 医療情報をオンラインミーティング,Web会議等で利用する場合

 5 個人情報の匿名化

 6 どのクラウドサービスを選択するべきか

 7 漏えい,滅失または毀損した際の対策

 8 医療者がクラウドサービスを用いたオンライン講義をする際に気をつけること

Chapter 3 事例報告会

1.院内カンファレンスが禁止されたら?―Web会議システム導入の経験―〈鈴木研裕〉

 1 Microsoft Teamsの導入と課題

 2 Web会議への移行

 3 Web会議を円滑に行うための工夫

 4 レジデント教育への対応

 5 リクルート活動への応用

 〔コラム〕

2.産婦人科クリニックでのZoom活用事例報告〈三宅貴仁〉

 1 実践報告

 2 オンライン化のメリット

 3 オンライン化のデメリット

 4 ファシリテーターの重要性

 5 現在の導入状況

3.オンラインファミリークラスの実現―コロナ時代を生き抜け‼ 開業助産師の手探りの記録―〈安田可奈子〉

 1 オンラインクラス挑戦の契機

 2 スタートに向けての準備:不安払拭

 3 筆者が体験したオンラインでの失敗と対処法

 4 オンラインクラスのPR

 5 申し込みから参加までの流れ

 6 当日の参加しやすい雰囲気づくり:参加者のハードルを低くし,プライバシーを守る

 7 オンラインクラスにおけるニーズの把握

 8 配信内容と構成の工夫:伝えたいことの70%を目標に

 9 オンラインクラスの評価と今後の課題

 〔コラム〕

4.手作りのオンライン研究会〈松本 貴〉

 1 実践報告

 2 実践の結果,得た成果・課題

 3 オンラインで行う長所と短所

 4 今後の展開

 〔コラム〕オンライン研究会後の余白時間の有用性

5.Online Surgical Video Discussion(OSVD)〈堀澤 信・山本さやか〉

 1 OSVDとはどんなものか?

 2 OSVD誕生の背景

 3 OSVDの実際

 〔コラム〕チャットでの議論と,音声での議論,どちらがいい?

 4 アンケートからみたOSVD

 5 OSVDの展望と課題

 〔コラム〕配信者の苦労と継続できている理由

 〔付録〕YouTubeライブによる動画配信の方法

6.オンライン読書会―学習コミュニティを作るために―〈井上和興〉

 1 実践までの流れ

 2 実践の実際

 3 対話して生まれたもの

 4 オンラインのメリット・デメリット

 〔コラム〕みる

 5 実践ポイント

 〔コラム〕言霊と笑い

7.オンライン傾聴サービスの立ち上げ経験―「感染症と闘う医療介護従事者の話を聴く会」―〈井口真紀子〉

 1 実践の概要

 2 導入によるメリット・デメリット

 3 導入後に得た気付き

 4 今後の取組み

 〔コラム〕「文系」のススメ

8.Social Network Service(SNS)を活用した医学生に対する外科教育〈山根裕介〉

 1 本項のねらい

 2 導入の経緯

 3 実践の実際

 〔コラム〕YouTubeと手術学習配信の親和性

 4 導入時のポイント

 5 導入によるメリット・デメリット

9.Zoomを用いた遠隔腹腔鏡実技トレーニング〈堀澤 信〉

 1 開けなくなった腹腔鏡セミナー

 2 キャプチャーボードでオンライン指導が可能になる

 3 オンライン腹腔鏡実技セミナーの実際

 〔コラム〕キャプチャーボードの選び方〈今井 賢〉

10.Googleアプリを利用したPaper/Tutor Less PBLの開発と導入〈黄 世捷〉

 1 PBLの課題とePBLの目的

 2 ePBL導入のためのICT技術と方法

 3 ePBL実施における課題

11.Googleアプリ活用した“身につく”指導医講習会〈黄 世捷〉

 1 指導医講習会の変遷.紙からPowerPoint,そしてGoogle Slidesへ

 2 Google Sitesを用いた一覧性の高いポータルサイト

 〔コラム〕Bring Your Own Device:BYOD

12.臨床推論スキルを鍛えるには?―学習者共同学習を活用した持続可能なオンライン臨床実習―〈鋪野紀好〉

 1 COVID—19のパンデミックによる臨床実習の変遷

 2 オンライン臨床実習の導入へ

 3 オンライン臨床実習の「型」

 4 オンライン臨床実習の実践例

 5 オンライン臨床実習のメリットとデメリット

 〔コラム〕医療者教育学修士の経験@米マサチューセッツ総合病院

13.オンライン外科勉強会のすすめ〈今村清隆〉

 1 Web based learningとは?

 2 当院での導入に至った動機

 3 オンライン勉強会の実際

 4 オンライン勉強会の結果

 5 今後の計画

14.魅力的な動画を編集するための基礎―学会発表からYouTubeアップロードまで―〈羽田智則〉

 1 動画作成法

 〔コラム〕私がYouTubeに動画をアップした理由

 〔コラム〕スマートパッケージ

 2 学会発表動画とYouTube動画の違い

 3 YouTubeアップロードの方法と諸注意

 〔コラム〕財産を守る

 〔コラム〕YouTube,10年の進化

 〔コラム〕手術動画保存のTips

番外編 オンラインの飲み会のTIPS〈磯部真倫〉

索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:13.6MB以上(インストール時:33.0MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:54.5MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:13.6MB以上(インストール時:33.0MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:54.5MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784498048881
  • ページ数:303頁
  • 書籍発行日:2021年2月
  • 電子版発売日:2021年2月8日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。