本質の感染症

  • ページ数 : 195頁
  • 書籍発行日 : 2021年5月
  • 電子版発売日 : 2021年5月20日
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商品情報

内容

岩田先生が伝えたかった感染症の「本質」。

岩田健太郎先生による感染症の「本質」をめぐる知的冒険の記録.医学のみならず歴史・哲学・社会問題・サブカルチャーなどあらゆる話題を横断しながら感染症について語り尽くした「J-IDEO」の連載をまとめ,さらに書き下ろしや國松淳和先生との特別対談「『本質』とはなにか」も新たに収録しました.

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序文

はじめに


【本質】

[名]

①その物のもっている本来の,独自の性質.本性.

②哲学で,一時的偶然的に事物に付着するような偶性に対して,当の事物そのものの基本的性質.そのものが何であるかという問いに対する定義によって表わされる内容.論理学では,定義を構成する類,種などの普遍を一般的にさす.

『精選版 日本国語大辞典』(小学館)より


「そこは問題の本質ではないでしょ」という場面に遭遇することがあまりに多い.とてもムカつく.


「クリプトコッカス髄膜炎の治療法は……」

「クリプトコッカスじゃなくて,クリプトコックスでしょ」

「軟部組織感染治療の第一選択薬はセファレキシンで……」

「そんなに薬価の低い薬で治療したら薬局がかわいそうだ……」

「クルーズ船のゾーニングは完全に失敗で,患者のすぐ横を検疫所の職員が背広で歩いている」

「患者ではなく,感染者です……」


全部,実話だ.

日本では本質的な議論がなされないことが多い.若者や女性は「わきまえなければ」ならない.誰かのメンツや意向を忖度しなければならない.オリンピックは何が何でも開催せねばならない(時事ネタはダメだって……).要するに場の雰囲気や場の空気を乱さないように,「丸く収める」ことのみが目的化し,事の本質はほったらかしのまんま,ということがあまりに多いのだ.だから,あれやこれやの問題も「本質」はアンタッチャブルなままで放置される.問題が問題と認識されているのに,いつまでたっても改善されないことがあまりに多いのも,そのためだ.

それでは,だめなのだ.と申し上げたい.

パンデミックを例にあげるまでもなく,日本は世界とつながっている.日本が日本のやり方ですべてを押し通せる時代ではない.「ここは日本だ,これが日本のやり方だ」で「そうですか」と納得していただける時代でもなく,納得されなくてもいいわい,と強がる時代でもない.

もちろん,日本独自のやり方を取るのは構わない.が,そこには外的説明責任,アカウンタビリティが必要になる.うちは独自のやり方でやってまっせ.それはこういう理由のためです.と外に説明して,それが理解されるものでなければならない.「日本では,家に入るときに靴を脱ぎます,なぜならば……」という説明は「日本独自のやり方」として納得理解してもらえるだろう.「日本では医学部に入学するのは男子が優先で,女子は不合格にさせがちです,なぜならば」は到底,納得も理解もしてもらえまい.


そのとおり だからよけいに 腹が立ち


という川柳がある.忖度抜きの本質の議論で,ムカつく人が一定数いるのは覚悟している.どうぞムカついてください.が,願わくば「それは論理的に間違っている」,「それは理屈にかなっていない」と本質的な反論をしていただけるほうがありがたい.間違っていれば,直す.悪かったら,謝る.当然だ.ムカついたから,追い出す,よりもよほどマシだ.


というわけで,本文です.硬い文章ばかりだと疲れるので,しよーもない漫画をはさみました.素人がくだらないこと描いてるだけなので,ただただ脱力だけしてくださいませ.


2021年4月

岩田 健太郎

目次

第1回 現象化

第2回 記号化

第3回 一般化

第4回 欧米化

第5回 形式化

第6回 適当化

第7回 形骸化

第8回 酸化

第9回 個別化

第10回 見える化

第11回 女性化

第12回 風化

第13回 知性の劣化

第14回 非劣性化

第15回 いじめ体質化

第16回 未来化

第17回 賃金低下,いや低化

第18回 環境化

第19回 デジタル化

第20回 原理原則化

BONUS TRACK コロナ禍(コロナ化)COVID—19の「本質」を考える

対談 『本質』とはなにか(岩田健太郎×國松淳和)

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書籍情報

  • ISBN:9784498021389
  • ページ数:195頁
  • 書籍発行日:2021年5月
  • 電子版発売日:2021年5月20日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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