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- 医学のあゆみ277巻11号 NMDA受容体と精神疾患
商品情報
内容
・グルタミン酸受容体のひとつであるNMDA受容体は精神疾患の病態に深く関わっていることが知られている.NMDA受容体遮断作用を有するケタミンをヒトに投与すると,統合失調症と酷似した臨床症状を惹起する.
・このことから,統合失調症のNMDA受容体機能低下仮説が提唱され,多くの研究者に支持されている.また,NMDA受容体抗体による精神症状発症もこの仮説を支持している.
・本特集では,わが国において第一線で精神疾患とNMDA受容体について研究をされている基礎から臨床の先生方に執筆いただく.専門外の方にも精神疾患におけるNMDA受容体の最新情報を理解できると信じている.
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序文
はじめに
Introduction
橋本謙二
Kenji HASHIMOTO
千葉大学社会精神保健教育研究センター病態解析研究部門
われわれは興奮性神経伝達と抑制性神経伝達のバランスで脳機能を司っており,このバランスが崩れると,精神疾患などさまざまな脳疾患の発症につながると考えられている.興奮性神経伝達をつかさどる神経伝達物質はグルタミン酸であり,抑制性神経伝達をつかさどる主な神経伝達物質はγアミノ酪酸(γ-aminobutylic acid:GABA)である.グルタミン酸はニューロンでグルタミンから生成され,グルタミン酸受容体に作用した後,グリア細胞にあるグルタミン酸トランスポーターを介してグリア細胞に取り込まれる.一方,GABA はグルタミン酸から生成されることから,グルタミン-グルタミン酸-GABA サイクルは脳機能において重要な役割を担っている.
グルタミン酸受容体のひとつであるNMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体は精神疾患の病態に深く関わっていることが知られている.最も重要な所見は,NMDA 受容体遮断作用を有するケタミン(解離性麻酔薬)をヒトに投与すると,統合失調症と酷似した臨床症状(陽性症状,陰性症状,認知機能障害)を惹起することから,統合失調症のNMDA 受容体機能低下仮説が提唱され,多くの研究者に支持されている.また,NMDA 受容体抗体による精神症状発症もこの仮説を支持している.
一方,気分障害の分野において,ケタミンは難治性うつ病患者に1 回投与するだけで,即効性(数時間後に効果)かつ持続性(1 週間以上)の抗うつ効果を示す臨床エビデンスが蓄積されている.一方,ケタミン以外のNMDA 受容体拮抗薬は,うつ病患者においてケタミン様の強力な抗うつ効果を発揮しなかったことから,ケタミンの抗うつ効果におけるNMDA 受容体の役割については,さらなる研究が必要であろう.
本特集では,わが国において第一線で精神疾患とNMDA 受容体について研究をされている基礎から臨床(精神科医)の先生方に執筆していただいた.本特集を一読すれば,専門外の方にも精神疾患におけるNMDA 受容体の最新情報を理解できると信じている.
目次
特集 NMDA受容体と精神疾患
はじめに/橋本謙二
NMDA受容体サブユニットの構造と機能─ 生理機能と精神疾患への関与/森 寿
統合失調症におけるNMDA受容体とガンマオシレーション異常/平野羊嗣
NMDA受容体とミスマッチ陰性電位/臼井 香・他
精神疾患の病因における抗NMDA受容体抗体/髙木 学・他
統合失調症の病態におけるNMDA受容体の役割と新規治療薬の展望/肥田裕丈・野田幸裕
気分障害の病態におけるNMDA受容体の役割と新規治療薬の展望/茶木茂之
心的外傷後ストレス障害の病態におけるNMDA受容体の役割と新規治療薬の展望/佐々木 剛
連載
この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症❾ 蟯虫症(コンバントリンを投与しても陰性化しません.どうすればよいでしょうか?)/大西健児
いま知っておきたい最新の臨床検査 ─ 身近な疾患を先端技術で診断❽ 質量分析装置による薬毒物検査/荻野聡之・山口芳裕
TOPICS
循環器内科学 心血管系システムとβ3受容体/岡田 基
神経内科学 脳神経内科におけるオンライン診療─現状と可能性/野﨑園子
神経精神医学 暴力への対応─司法精神医療の実践から/五十嵐禎人
FORUM
日本におけるワクチン不信を巡る謎❶ 19世紀後半から1920年代までのワクチンの位置づけ/アンドリュー ゴードン・マイケル ライシュ
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書籍情報
- ISBN:9784006027711
- ページ数:66頁
- 書籍発行日:2021年6月
- 電子版発売日:2021年6月9日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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