透析療法グリーンノート

  • ページ数 : 184頁
  • 書籍発行日 : 2021年6月
  • 電子版発売日 : 2021年6月11日
3,300
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商品情報

内容

透析量の評価、合併症対策、新規薬剤の使用など、必須知識を解説

医療の谷間に灯をともす! 生命予後改善に寄与する透析療法の必須マニュアル.血液・腹膜透析療法の基本から合併症対策や,腎性貧血など新規薬剤の使用まで最新のガイドラインに準拠して解説.透析患者高齢化に対応すべくサルコペニアや腎リハビリ関連も網羅.透析療法に関わるスタッフすべてに役立つポケットの相棒.

あわせて読む → 「グリーンノート」シリーズ

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序文

本書を刊行するにあたり

透析療法は臓器不全に対する人類の挑戦の記録でもあるが,その歴史は意外に浅い.1926年Haasらにより開発されたダイアライザーを用いて初めて人体に使用されたことに端を発する透析療法は,当時,急性腎不全に対する治療方法として数名程度に試みられた.しかし,1名の生存者をもえることができず,急性腎不全の患者を救命できるようになるのは1945年Kolffらが開発したドラム型透析装置の登場を待たねばならなかった.以降,1960年代に入り,キールタイプのダイアライザー開発により,急性腎不全だけではなく,慢性腎不全に対しても透析治療が適応となった.1980年代には中空糸タイプのダイアライザーが開発され,現在行われている透析療法の原型が形成されてきた.今日,重症腎不全の治療法として当然のように行われている透析療法も歴史的にみれば慢性腎不全患者を救命できるようになってから,まだ60年程度しか経過していない.しかしながら,この歴史は臓器不全という致命的な状態に陥りながら長期間生存を可能としてきた戦いの歴史ともいえる.心不全,肝不全や呼吸不全など,それぞれの臓器が持つ能力が尽きたとき,未だに人は長期的に生存することが困難で,社会復帰をすることは再生医学の進歩を待たねばならぬ状況である.そのような時代の中で,我々透析医療を専門とする医療従事者は,不全臓器を抱えた患者を医療工学と医学の進歩を両輪として,長期予後改善や患者の社会復帰を可能とし,臓器不全医療に大きな功績を挙げてきた.しかしながら,腎臓はその臓器発生の特異性,複雑性により再生医療の恩恵を受けるまでには,かなりの困難が予想されている.また,本邦における透析患者数は,増加傾向が鈍化してきているとはいえ,2019年12月末の時点で34万人以上に達している.そのような状況の中,現在の透析医療を顧みると高齢化や糖尿病性腎症による腎不全患者の増加により,透析導入後の5年生存率は2000年以降,大きな改善が得られていないのも事実である.

このような状況を鑑み,本書では,生命予後改善に寄与できる透析療法を目指すべく,腎不全診療最前線で日々従事されている経験豊かな専門医に執筆を賜った.本書は,1979年,自治医大初代透析センター長,後に腎臓内科学講座初代教授に就任された浅野泰名誉教授の頃より培い,2代目草野英二名誉教授から現在に至るまで脈々と引き継がれてきた,自治医科大学腎臓センターの治療経験を礎とし,最新の診療ガイドラインや新規開発治療法に関する知見を盛り込み構成されている.専門医師のみならず透析療法初学者やメディカル・スタッフにも,できるだけ理解しやすい記載,構成を心がけ,より多くの透析療法従事者の役に立つよう,自治医科大学開学よりのモットーである「医療の谷間に灯をともす」書として上梓した.また,本書が,来る2022年,自治医科大学開学50周年を目前としたこの時期に発刊されることは我々にとって感慨一入である.

最後に,COVID-19感染症が猛威を振るう中,本書の執筆を御快諾頂いた先生方各位に心より感謝の言葉を贈るとともに,このような環境の中で,熱心に編集作業を行って頂きました,編集部の笹形佑子様,上岡里織様,歌川まどか様や,このような好機を与えて頂きました中外医学社に深謝申し上げます.


2021年6月

齋藤 修

目次

1.腎代替療法

  1.導入の基準〈齋藤 修〉

  2.種類とその基本〈秋元 哲〉

  3.療法選択の際のshared decision making(SDM)の重要性〈秋元 哲〉

2.急性血液浄化療法

  1.血液浄化療法の種類と基本〈山本尚史〉

  2.急性腎障害に対する適応〈山本尚史〉

3.慢性透析患者の管理(血液透析編)

  1.本邦における維持透析の現在の状況〈吉澤寛道〉

  2.透析導入法の実際〈今井利美〉

  3.HD,HDF(オンラインを含む),CHDF(各透析療法の詳細)〈井上 真〉

  4.必要な透析量の評価〈今井利美〉

  5.糖尿病の透析患者で注意すべき点は?〈増田貴博〉

  6.合併症対策

   A 腎性貧血〈鈴木倫子〉

   B CKD-MBD〈齋藤 修〉

   C 心不全,虚血性心疾患〈村上琢哉〉

   D PAD〈根本 遵〉

   E 透析アミロイドーシス〈秋元 哲〉

4.慢性透析患者の管理(腹膜透析編)

  1.導入法の実際(カテーテル挿入法)〈清水俊洋〉

  2.透析液の種類〈森下義幸〉

  3.CAPD,APD,PD+HDハイブリッドの実際〈吉澤寛道〉

  4.PD関連合併症〈菱田英里華〉

5.特殊血液浄化療法

  1.血漿交換〈中川早紀〉

  2.エンドトキシン吸着療法〈今井利美〉

  3.白血球除去療法〈鈴木倫子〉

6.腎移植

  1.生体腎移植〈鈴木倫子〉

  2.献腎移植〈鈴木倫子〉

  3.Preemptive kidney transplantation(PEKT)〈新里高広〉

7.非薬物療法・補助的治療

  1.生活指導〈大河原 晋〉

  2.栄養指導〈大河原 晋〉

  3.透析患者の運動療法と運動処方〈安藤康宏〉

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書籍情報

  • ISBN:9784498224704
  • ページ数:184頁
  • 書籍発行日:2021年6月
  • 電子版発売日:2021年6月11日
  • 判:B6変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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