肺癌の画像診断と病理[改訂2版]

  • ページ数 : 208頁
  • 書籍発行日 : 2012年4月
  • 電子版発売日 : 2013年1月26日
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商品情報

内容

肺癌診療に携わる医師が身につけておきたい知識を網羅した決定版!

肺癌の画像診断を病理所見と対比させつつ仔細に解説した書の改訂第2版. 良悪性の鑑別,前癌病変・小型肺癌,肺癌のステージング,治療後の肺癌,典型的な肺癌と非典型的な肺癌,さまざまな基礎疾患から生じる肺癌,転移性肺癌などにわたって画像読影のポイントと病理を実践的に解説した.あわせて検診の考え方,CTガイド下,針生検などIVRについても記した.

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序文

2版の序

私が放射線科医になって約30年,胸部画像診断のsubspecialistとして約20年経過している.とは言え,胸部CT診断が主であり,胸部X線写真はCT検査の補助としての診断と勉強が主であり,他科や他病院での読影も多くを手掛けてきたが,心の底では一部自信のないところもあった.やはり私にとっても大きなturning pointはここ11年続けている単純写真を含めた放射線科全画像の30分以内の読影(即時読影)である.ポータブル写真を含めた胸部X線写真の日々多数の読影とCTとの詳細な比較で,さらにstep upされ,視野が大きく広がった.一見胸部病変とは無関係な整形外科の頸椎写真からPancoast腫瘍が指摘できたり,骨の写真から肺癌骨転移が見つかった事も数件ではない.各種モダリティーが大きく進歩しても,やはり基本は単純写真なのであろう.

肺癌の画像診断においても各種モダリティーの進歩(advance)は著しく,特にCT診断の発展(development)はすばらしく,CT肺癌検診も普及しつつある(in progress).

しかし,肺癌死の改善には至らず,ステージの進んだ肺癌患者も多いのが事実である.何が原因なのであろうか?

やはり,1つはCTで指摘された結節や腫瘤の取り扱い方法であろう.肺癌の可能性がどの程度あるのか,どの間隔で経過観察すべきか,どの時点でPET/CTや生検をすべきかを,我々放射線科医が充分に理解し,臨床医に上手く伝え切れないと画像診断も意味がない.2つ目はやはり前述したように,単純写真の読影力不足であろう.胸部X線写真のみで,CTにまで至らない症例もたくさんある.せっかく,1つの大きな機会である胸部X線が撮られても,指摘できない結節や腫瘤も多々ある.我々の力不足を充分に知り,さらに鍛え上げないといけない.また骨転移で痛みを訴えていても,骨の単純写真が読影できず,見落とされる症例もある.画像診断医は全ての画像を読影できないといけないと痛感する.放射線科医は謙虚に自分の能力を磨き続けないと,臨床医はついてこない.

画像診断はどうしても病理組織学の多大な影響を受ける.病理学,画像診断学とも細分類化するsplitterと分類をまとめるlumperとにより少しずつ変化し,真実に近づいていくのであろう.今回は,画像診断への影響が考えられる「WHOによる肺癌組織分類第3版(1999)」と「IASLC/ATS/ERSのClassification of Lung Adenocarcinoma(2011)」を中心に,各章を最新の知見を元に加筆訂正した.ぜひ皆さんの役に立ち,advanceし続ける本として認めて頂ければ,嬉しい限りである.


2012年3月

櫛橋民生


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はじめに

日々,画像機器が進歩し,すばらしい画像が次々と読影室に送られてきます.経験豊富で,研鑽を積んだ専門医が読影し,レポートを作りますが,胸部領域においては,「炎症性変化が疑われますが,腫瘍性病変も否定できず,1カ月後位の経過観察CTをお願いします」,「6mm大の結節が右中葉のS4にみられます.腫瘍の可能性もあり,3カ月後位に経過観察CTをお願いします」といった類の読影レポートをみかけます.おいおい,そんな曖昧なレポートで良いのですか? と言ってCTをみると,確かにそうだなとなる症例が多々あります.

また,胸部においては,病変を表現する言葉が非常に多くあります.粒状影(2mm以下),結節(3~29mm),腫瘤(30mm以上),索状影,斑状影,consolidation,浸潤影その他で,各診断医で言葉の解釈も若干異なるようです.この病変を示す言葉が非常に多いという事は,病変の形態の多彩性を示しています.また時にはどの言葉も不適当で,「結節様の所見」などとも使われます.誰が診断しても肺癌という症例も多々あります.しかし,非典型的であったり,種々の基礎疾患から発生したり,炎症に隠されていたりする難しい肺癌を,早い時期にその可能性を示唆し,見逃さないようにしていくことが大切です.8~10mm以下の小結節をうまくコントロールしながら生検や切除が必要な結節を見い出し,浸潤,転移を生じる前に切除する方向に持っていくのも腕の見せ所でしょう.胸部単純X線写真(直接X線像)やCTによる肺癌検診も普及し,ドックとしてのPET/CTも増え,簡単に血液腫瘍マーカーがチェックできる現在でも,肺癌は増え続け,何でここまで進行してしまったのという症例が減らないのも,画像診断の難しさがその一因とも思われます.

今回は肺癌診断に不可欠な画像診断の種々の特徴を各項目に分けて解説しました.さらに,画像診断上必須の病理組織学的知識も野口雅之先生に御執筆頂きました.各画像診断の項においても,全国のプロ中のプロの先生方に,そのポイントを絞ったテーマでの解説をお願いしました.各項目の病理組織学的考え方においても野口先生の御意見を加味いたしました.始めから熟読しても良し,画像と病理だけをパラパラみても良し,という本を目指しました.今後の肺癌診断の一助になることを切に願っています.


2008年1月

櫛橋民生

目次

第1章 肺腫瘍の病理学 〈野口雅之〉

 A.肺の解剖

 B.肺癌の分類

 C.肺癌の前浸潤性病変

 D.微小浸潤性腺癌(minimally invasive adenocarcinoma: MIA)について

 E.肺腫瘍の形態診断学のポイント

 F.生検診断の問題点

 G.細胞診断の問題点

 

第2章 結節あるいは腫瘤の良性,悪性の鑑別 〈酒井文和 堀尾裕俊 比島恒和〉

 A.小結節(10mm以下)の良悪性診断

 B.腫瘍か炎症かの鑑別

 C.腫瘍が良性か癌かの鑑別

 D.経過観察

 E.肺癌の生態,生長,大きさ,組織: 予後との関連

 

第3章 前癌病変,小型肺癌 〈藤澤英文 櫛橋民生〉

 A.異形腺腫様過形成(AAH)

 B.その他の前癌病変

 C.小型肺癌

 

第4章 肺癌のステージング 〈藤澤英文 櫛橋民生〉

 A.TNM分類と病期分類

 B.TNM分類と画像診断

 C.外科治療からみた画像診断のポイント

 D.放射線治療からみた画像診断のポイント

 

第5章 肺癌治療後の画像診断: 特に臨床的観点から 〈桐生拓司〉

 A.肺癌術後の画像診断

 B.化学療法・放射線治療後の画像診断

 C.その他

 

第6章 典型的な肺癌 〈門倉光隆〉100

 A.腺 癌

 B.扁平上皮癌(類表皮癌)

 C.小細胞癌

 D.大細胞癌

 

第7章 非典型的な"肺癌" 〈薄井庸孝 藤澤英文 櫛橋民生〉

 A.内部構造が非典型的な肺癌

 B.存在部位が非典型的な肺癌

 C.形態が非典型的な肺癌

 D.経過が非典型的な肺癌

 

第8章 種々の基礎疾患から発生する肺癌 〈櫛橋民生〉

 A.肺線維症

 B.肺結核

 C.慢性結核性膿胸

 D.ブラ,気腫性ブラ

 E.珪肺症

 F.石 綿

 G.その他の吸引物質

 H.肺過誤腫

 

第9章 肺癌に伴う種々の二次変化の画像所見 〈高橋雅士〉

 A.気道閉塞,狭窄によるもの

 B.血管浸潤に伴うもの

 C.リンパ管浸潤に伴うもの

 

第10章 転移性肺癌 〈鈴木美奈子 櫛橋民生〉

 A.肺転移

 B.リンパ節転移

 C.癌性リンパ管症

 D.癌性胸膜炎

 E.肺動脈内腫瘍塞栓症

 

第11章 CT肺癌検診 〈田中絵里子 薄井庸孝 藤澤英文 櫛橋民生〉

 A.肺癌検診の有効性評価

 B.胸部単純写真と喀痰細胞診

 C.現在までの低線量CT肺癌検診

 D.低線量CT肺癌検診における肺結節の評価

 E.確定診断と経過観察

 F.CT肺癌検診の課題

 G.肺癌検診の実際

 

第12章 CTガイド下肺生検とその他のIVR 〈松岡 伸 中島康雄〉

 A.CTガイド下肺生検

 B.CTガイド下肺生検の手技

 C.CTガイド下肺生検のために工夫された種々の器具・手技

 D.合併症とその取り扱い

 E.CTガイド下肺生検組織と病理診断

 F.negative例の取り扱い

 G.生検のマネジメント

 H.CTガイド下マーキング

 

第13章 肺悪性腫瘍のラジオ波治療 〈金澤 右 平木隆夫〉

 A.ラジオ波治療の原理

 B.ラジオ波療法の適応と実際

 C.ラジオ波療法の経過観察と成績

 D.ラジオ波療法の合併症など

索 引

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書籍情報

  • ISBN:9784498031777
  • ページ数:208頁
  • 書籍発行日:2012年4月
  • 電子版発売日:2013年1月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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