看護学生のための神経内科学

  • ページ数 : 362頁
  • 書籍発行日 : 2016年2月
  • 電子版発売日 : 2016年10月28日
¥5,280(税込)
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商品情報

内容

神経内科学の基礎がよくわかる!

神経内科を学ぶことの意義は、これからの超少子高齢化社会において非常に多くなる神経疾患の診断・治療・看護を学べるということがあります。
本書は、神経内科領域の各疾患に関する基礎知識と看護の基本、読者の今後の看護人生にとって有益となるであろう情報をまとめた学生向けテキストとなっています。

序文

皆さんがこれから看護しようとしている患者さんも,いや,あなた自身さえもあなたの脳が神経系を介し指令が手足をはじめとした運動器に伝え,体が動くことは知っていると思います.また,あなたが痛いとか痒いとかいう感覚もすべて神経系を伝わって脳に信号が送られます.神経系は人間の体にはなくてはならない重要なネットワークですが,神経内科はその神経系の異常,すなわち神経の病気を診る科ということになります.

そもそも,神経内科は内科,場合により精神科のから発展,分化してきたもの,脳神経外科は外科を基盤に分化してきたものです.

特にこれからの専門医制度のありかたにおける指針では神経内科は内科の修練を得たうえで,神経内科の専門医となります.一方,脳神経外科は,初期臨床研修のあとすぐさま脳に関する外科処置の専門家となります.

巷では神経内科とは,神経科と間違えられやすいのですがまったく違います.繰り返しますが,脳・脊髄・末梢神経などに起こる病気,たとえばパーキンソン病やアルツハイマー病といった疾患を治療するための診療科です.脳や神経への治療になるため,非常に高度な診断・治療が行われることが多く,脳卒中やてんかんなど緊急入院も珍しくありません.

脳外科との大まかな区分けとしては,頭部外傷,頭部・頸椎の手術を伴う疾患は脳神経外科で,神経変性疾患,脱髄性疾患,脳神経系すべての感染症や筋肉,末梢神経に関わる疾患は神経内科です.すなわちパーキンソン病,運動ニューロン疾患,脊髄小脳変性症,筋ジストロフィー,髄膜炎は神経内科で診療しています.またいわゆるcommon disease(非常に多い病気)のアルツハイマー病などの認知症,てんかん,片頭痛などはどちらかといえば神経内科の守備範囲です.ただパーキンソン病やてんかんの場合,機能外科という立場から外科的手術が行われることもあります.同じcommon disease でも脳外科・神経内科のどちらでも診療対象としているのは,脳梗塞・脳出血などの脳卒中です.

神経内科に勤める看護師の仕事内容は,患者さんの検査の準備,治療法を含めた家族への説明,診察の介助のほか,患者さんの介助・介護が主です.神経内科で診る患者さんは,往々にして体の自由を奪われています.そのため治療を行った段階でもまだ体の自由がきかず,介助を受けながらリハビリテーションを行い,徐々に通常の生活に戻していくこともしばしばあります.寝たきりだったり,意志疎通ができない患者さんも多く,看護師がその意思を汲み取って動くことも求められます.患者さんが何を望んでいるのかを判断するのは難しいのですが,慣れてくればある程度わかるようになりますし,たとえば言葉のない状態で意思の疎通ができると,一気に患者さんとの距離が縮まり,看護師としてのやりがいが形成される場合も多いようです.

一方で,寝たきりの患者さんの介助も必要でもあり,神経内科の看護師はある程度腕力も必要です.また,看護の本質に則った,食事や排せつなども看護師がサポートすることが多くなり看護師自身が疲れてしまうこともあるようです.

せん妄や認知症の患者さんを看護する場合,離棟に対する注意を払ったり,場合によっては家族へのインフォームドコンセントの後,身体拘束を余儀なくさせられることもあります.

さらには運動ニューロン疾患,脊髄小脳変性症,筋ジストロフィーなどの難病では医師と同席のうえ,たとえば治癒の可能性のない人へ人口呼吸器を装着するか否かなどの,いわゆる究極のインフォームドコンセントになくてはならない存在になるケースもしばしばあります.

神経内科を学ぶことの意義は,これからの超少子高齢化において非常に多くなる(場合によっては50% を超える試算もあります)神経疾患の診断・治療・看護を学べることにあります.実習では神経疾患患者に対する高い看護スキルを身につけることができるということです.前述したとおり脳や神経を扱う神経疾患は今後どんどん増え続けるばかりでなく,医療の最先端ともいうべきところで,常に最新の技術が導入されています.当然看護師もこのような技術や医療に関する勉強会が行われるなど、新しいスキルを身につけることが求められるのです.大変ですが,将来最先端医療に関わることができ,やりがいを感じやすいといえます.

基本的な知識を得たうえで,臨地実習が始まってから経験することですが,患者さんの回復を実感しやすいのも神経内科の特徴です.たとえば,脳卒中で緊急入院,t-PA という血栓を溶解するお薬を緊急投与した患者さんで,最初は体もほとんど動かせず,喋るのもままならない状態だったのが,治療やリハビリテーションを進めていくにつれて喋れるようになり,歩けるようになって徐々に元気になって退院していくのを見たとき,看護師になるモチベーションが最も高まるという人もいます.

神経内科で働く看護師になった際には,体力的にハードだったり,患者の病状の急変が起こりやすかったり,さらには,どうしても残業が多くなってしまうなどの問題が生じます.しかし,これこそが,あなた方の未来の糧となることは確実であると信じます.

本文でも述べていますが,超少子高齢化を迎えるこれからの日本で,最も重要な疾患のひとつであり,かつ最新技術がどんどん開発される神経内科疾患を学んでおくことは,日本全体の医療を見渡すだけでなく,あなた方の家族がこの病気に恐らく直面することから,絶対に重要ですので,ぜひこの教科書で学んでください.


2016年 1月

獨協医科大学神経内科 平田 幸一

目次

I.総論

1.神経解剖の基本

神経組織の構成細胞とシナプス

神経組織の区分

髄膜

脳脊髄液と脳室系

中枢神経の構造

重要な神経路(伝導路)

末梢神経系

2.神経生理学の基本

神経生理学とは

神経生理検査の実際

3.神経薬理学の基本

中枢神経系疾患に対する薬物

4.神経遺伝学の基本

遺伝病とは

遺伝性神経筋疾患

5.神経免疫学の基本

神経免疫学とは

免疫系の成立

胸腺内選択と自己免疫

6.神経系の発達と加齢(老化)

神経細胞の分化

シナプスの形成

髄鞘化

情動の発達

認知の発達

前頭葉機能の発達

発達障害

生理的老化

神経系の病的変化

7.神経筋疾患とリハビリテーション

神経筋疾患とリハビリテーション

神経筋疾患の障害の特徴

神経筋疾患のリハビリとは

神経筋疾患のリハビリの考えかた

神経筋疾患のリハビリの実際

回復期リハビリ病棟と神経筋疾患

II.各論

症状

1.意識障害・失神

2.頭痛

3.めまい,難聴,耳鳴り

4.認知症

5.高次脳機能障害

6.精神発達遅滞

7.運動機能障害

A.運動麻痺

B.筋萎縮

C.けいれん

D.不随意運動

E.運動失調

F.歩行障害

G.構音障害

H.嚥下障害

8.感覚異常

9.視力・視野障害

10.髄膜刺激症状

11.頭蓋内圧亢進症状と脳ヘルニア

12.自律神経障害

13.睡眠障害

検査

1.病歴聴取と診察の方法

2.検査の方法

診察

1.主な治療薬

2.脳血管障害

3.変性疾患

4.感染症・炎症性疾患

A.総論

B.各論:感染症,炎症性疾患の診療

5.機能性疾患

6.腫瘍性疾患

7.末梢神経の疾患

8.神経筋接合部の疾患

9.筋肉の疾患

10.神経系の代謝・中毒性疾患

11.頭部外傷

12.脳脊髄液の圧・還流障害

13.一般内科疾患に伴う脳・神経障害

14.神経系の先天奇形・形成障害

III.脳・神経疾患患者の看護

1.看護の基本

身体への援助

意識障害への援助

認知の水準別の看護方法

2.主な症状に対する看護

3.主な検査・治療に伴う看護

主な検査

治療

4.脳・神経疾患をもつ患者の看護

看護の概要

個々の神経疾患に対する看護


索引


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書籍情報

  • ISBN:9784498075962
  • ページ数:362頁
  • 書籍発行日:2016年2月
  • 電子版発売日:2016年10月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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