やさしい自律神経生理学 命を支える仕組み

  • ページ数 : 248頁
  • 書籍発行日 : 2015年7月
  • 電子版発売日 : 2016年9月23日
¥8,360(税込)
ポイント : 152 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

自律神経が好きになるビジュアルテキスト

自律神経生理学の基本的知識を網羅。初学者でも興味を持って学べるよう、分かりやすい表現でまとめ、医療従事者のみならず、心理学や発達学、動物学、生理学など、身体の働きを学びたい人全てにお薦めの一冊。
付け焼刃ではない、本当の知識が身につく決定版です。

序文

『Clinical Neuroscience』誌に「やさしい神経生理学.自律神経系」(佐藤昭夫, 著)が連載されて約20年になる.この連載は,自律神経系全般にわたる最新の知見をわかりやすい図と共に解説し,大変好評を得ていた.本書は,その内容にUp to dateな情報を大幅に加え,新たに書籍として刊行したものである.


本書は自律神経に関わり,自律神経を学ぶすべての人を対象とする.医学や看護などの医療関連分野,心理学,動物学,生物学など,少しでも身体の働きを学びたい学生にも理解ができるように,わかりやすい表現を心がけたつもりである.本書はテキストでありながら,二つのユニークな特徴を持っている.一つは新しい知識のみに偏らず,知識が導き出された歴史を少なからず取り入れている点である.自律神経生理学は,多くの人々が長い年月をかけて築きあげてきた学問である.今日に至るまでの道のりは尊いはずのものであり,若い人々にはそこから多くのことを学び取ってほしい.もう一つの特徴は,体性‐自律神経反射に関する記述を随所に織り込んでいる点である.この分野は前世紀後半より目覚ましく発展し,主要な研究に多くの日本人が貢献してきた.現在では,マッサージ・温冷湿布・鍼灸・按摩など,物理療法の重要な作用メカニズムの一つであることが証明されている.少子高齢化を迎える現代にあっては,保育や小児の発達,介護や認知症の予防といった方面においても,この反射がきわめて重要な関わりを持っていることが明らかになりつつある.体性‐自律神経反射は父・佐藤昭夫がその生涯を賭した研究分野でもあった.これらの研究は麻酔動物で得られた成果が多いために,まだまだ臨床に応用できる段階には至っていない.ただ,本書を読むことで,いささかなりとも医療あるいは社会の発展につながれば,甚だ幸いである.


執筆にあたり,多大なご協力とご支援をいただいた昭和大学医学部生理学講座教授・久光 正氏に感謝の念を表する.本書の内容校正にご協力いただいた鈴木敦子氏(健康科学大学教授),「やさしい神経生理学」で多くの図を作成された鈴木はる江氏(人間総合科学大学教授)に謝意を表する.執筆を通じて,長年自律神経生理学の発展と共に歩んできた佐藤優子(母)にその極意を学び,共に語り合えたのは大変嬉しい一時であった.振り返れば十数年前,自律神経系の講義を任されて戸惑っていた私に,「やさしい神経生理学.自律神経系」の解説記事を1枚1枚丁寧に綴じたファイルを手渡し,読むようアドバイスをくれたのが恩師・有田秀穂氏(東邦大学医学部名誉教授)であり,それが本書の執筆につながる出発点だったように思う.本書は中外医学社の格別なるご厚意なしには出版に至らなかった.刊行に際し終始ご尽力いただき,親身な励ましと適切なアドバイス,素晴らしいデザインと惜しみないご協力を一貫していただいた中外医学社取締役の小川孝志氏,企画部の鈴木真美子氏,編集部の中畑 謙氏,『Clinical Neuroscience』誌担当の西沢千鶴氏をはじめとする中外医学社の皆様に,心より深く敬意と感謝の念を表する.


平成27年夏
編者 鈴木郁子



目次

第1章 自律神経系の概要

1 研究の歴史

自律神経系とは

研究の歴史

2 自律神経系の基本的構成

自律神経系と体性神経系の比較

自律神経遠心路による内臓機能の支配様式

3 自律神経節と自律神経遠心路の詳細

自律神経節の構造と働き

交感神経節と交感神経の遠心路

副交感神経節と副交感神経の遠心路

自律神経節におけるシナプス電位

4 自律神経遠心路による効果器伝達

―運動神経との比較

5 自律神経遠心路のトーヌス

交感神経のトーヌス

副交感神経のトーヌス

トーヌスの記録

6 自律神経遠心路による拮抗支配

効果器レベルでの拮抗支配

節後ニューロンレベルでの拮抗作用

節後ニューロンレベルでの拮抗作用の実例:心臓支配神経について

7 神経伝達物質の生合成と不活性化

ノルアドレナリン

アセチルコリン

8 ノルアドレナリンとアセチルコリンの受容体

受容体と自律神経作動薬・遮断薬

アドレナリン受容体

アセチルコリン受容体

自律神経の作用

9 受容体と細胞内情報伝達系

ニコチン受容体

ムスカリン受容体,αおよびβアドレナリン受容体

10 新しいタイプの神経伝達物質

11 プリン作動性神経伝達

ATP

壁内神経叢

交感神経系

副交感神経系

自律神経系におけるその他の作用

12 ペプチド作動性神経伝達

交感神経系

副交感神経系

13 NO作動性神経伝達

血管の内皮細胞由来弛緩因子

自律神経系伝達物質としてのNO

14 内臓求心性線維

自律神経系の求心路の存在

内臓求心性線維の特徴

脳幹に入力する内臓求心性線維

脊髄に入力する内臓求心性線維

15 自律神経機能の中枢

脊髄

脳幹

視床下部

大脳辺縁系

大脳皮質

小脳

16 自律神経機能の反射性調節

第2章 各種機能の自律神経による調節

1 眼の機能の調節

眼の平滑筋の特徴

自律神経の分布と働き

瞳孔の調節

水晶体の調節

反射性調節

2 涙腺の機能の調節

自律神経の分布と働き

涙液分泌の調節

3 気道の調節

副交感神経

交感神経

求心性線維

4 呼吸調節

呼吸のしくみ

内臓求心性線維を介する呼吸の調節: 化学受容器

内臓求心性線維を介する呼吸の調節: 肺伸展受容器

呼吸中枢

呼吸による循環への影響

呼吸と情動

異常呼吸

5 循環機能の調節: 心臓

心筋の特徴

自律神経の分布と働き

心臓の求心性線維

6 循環機能の調節: 血管

循環調節の特徴

血管と血管運動神経

血管の求心性線維

7 循環機能の調節: 中枢と反射性調節

循環中枢

圧受容器と圧受容器反射

心肺部圧受容器(低圧受容器)と心肺部圧受容器反射

バソプレシンニューロンの中枢内経路

化学受容器反射

8 循環機能の調節: 高齢者の循環調節

安静時の循環機能

変動時の循環調節

血管の調節因子の加齢変化

9 局所循環の調節: 脳循環

脳血管の特徴

副交感神経

交感神経

求心性神経

頭蓋内神経

10 局所循環の調節: 鼻粘膜

副交感神経

交感神経

求心性神経

11 局所循環の調節: 冠循環

冠循環の特徴

冠循環の調節機序

虚血性心疾患

12 局所循環の調節: 皮膚循環

皮膚血管の特徴

交感神経性血管収縮神経

交感神経性血管拡張神経

副交感神経性血管拡張神経と求心性神経

13 局所循環の調節: 骨格筋循環

安静時の骨格筋循環

運動時の骨格筋循環

14 局所循環の調節: 末梢神経循環

末梢神経血管の特徴

交感神経性血管収縮神経

血管拡張神経

求心性神経のペプチド性血管拡張作用

血管内皮細胞の神経血流調節機構

15 局所循環の調節: 生殖器

男性生殖器

女性生殖器

16 消化機能の調節: 消化管

消化機能の調節

壁内神経叢

自律神経

消化管ホルモン

17 消化機能の調節: 唾液腺

唾液腺,涙腺,膵臓の特徴

副交感神経

交感神経

唾液分泌の中枢性調節

唾液分泌の反射性調節

18 消化機能の調節: 胃

胃の運動の調節

胃液の分泌の調節

19 消化機能の調節: 小腸

小腸の運動

壁内神経叢による蠕動運動の調節

20 消化機能の調節: 膵臓

副交感神経

交感神経

膵液分泌の反射性調節

21 消化機能の調節: 肝・胆道系

肝臓の自律神経調節

胆道系の自律神経調節

22 消化機能の調節: 大腸

大腸運動

大腸運動の調節

排便反射

23 排尿調節

副交感神経

交感神経

体性神経

求心性神経

排尿中枢

蓄尿および排尿の神経性調節と排尿反射

排尿の障害

24 汗腺の調節

交感神経の分布

発汗の神経性調節 

25 内分泌腺の調節: 血糖調節

血糖値を調節するホルモン

Langerhans島と副腎髄質の自律神経調節

自律神経を介する血糖調節

その他のインスリン分泌調節

26 免疫機能の調節

免疫組織の自律神経支配とその作用

神経―内分泌―免疫系の相関

脾臓の自律神経調節

27 体性感覚刺激による自律神経機能の調節

循環の調節

胃の運動の調節

排尿の調節

体性―自律神経反射のしくみ

自律神経機能検査と体性―自律神経反射

28 体性感覚刺激による内分泌機能の調節

射乳反射

体性―副腎髄質反射

29 神経除去性過敏

神経除去性過敏の特徴

神経除去性過敏の機序

30 軸索反射

皮膚の感覚神経の軸索反射

自律神経系の軸索反射

31 自律神経と痛み

関連痛

交感神経系と痛み

筋性防御

32 自律神経機能の反射性調節のまとめ

第3章 生きることと自律神経系

1 サーカディアンリズム

サーカディアンリズムとは

体内時計

日内リズムと自律機能

生体機能のリズムの神経制御

メラトニン

2 睡眠と覚醒

睡眠の研究

睡眠中枢と覚醒中枢

睡眠・覚醒と自律神経系

3 摂食と摂食の抑制

摂食中枢と満腹(摂食抑制)中枢

血糖調節中枢

摂食の神経制御

満腹(摂食抑制)の神経制御

4 渇きと体液の調節

バソプレシンによる水分排出の調節

渇きの感覚による水分摂取の調節

渇きの感覚の脳内経路

塩分の調節

5 体温調節

体温

温度受容器

体温調節中枢

暑熱時の体温調節反応

寒冷時の体温調節反応

6 ストレス

ストレスとは

視床下部―下垂体―副腎皮質系

交感神経―副腎髄質系

交感神経―副腎皮質系

ストレス耐性と母性

7 情動―喜怒哀楽と行動

情動行動

視床下部と防衛反応

大脳辺縁系と情動

快の情動

感情

8 性差と性行動

性の分化

脳の性差

性中枢と性行動

9 母性行動

母性行動の誘因

母性行動の神経回路

オキシトシンの関与

loving touchと子供の発達

母性とは


文献


索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:299.7MB以上(インストール時:651.6MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:1.2GB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:43.3MB以上(インストール時:108.2MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:173.2MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784498228443
  • ページ数:248頁
  • 書籍発行日:2015年7月
  • 電子版発売日:2016年9月23日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcher(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。