薬剤師のための 動ける!救急・災害ガイドブック

  • ページ数 : 175頁
  • 書籍発行日 : 2016年3月
  • 電子版発売日 : 2017年4月14日
¥2,970(税込)
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商品情報

内容

もしも薬局内で人が倒れたら…ケガ人が来たら…適切に対処できますか?

本書では、バイタルサインの確認から心肺蘇生、応急処置、災害時の役割まで、薬剤師でもマスターしておきたい実践的な救急スキルを解説します。

序文

巻頭言

本書は"救急・災害に強い薬剤師養成コース"という実践的なトレーニングコースの内容をベースにして,救急・災害に強くなりたいと願うすべての薬剤師に向けて企画されたテキストである."動ける"ガイドブックというタイトルに加えて,"在宅から災害まで"と,ずいぶん欲張りな書籍名称になった.それには理由がある.

このコースは,当初は"チーム医療推進のための大学病院職員の人材養成システムの確立"という文部科学省プロジェクトとして平成23年(2011年)に採択された"救急災害医療のためのチーム医療推進"(近畿大学)の一環として開発されたものである.本書は,この救急・災害に強い薬剤師養成コースの概要や基本的考え方を提示するためのテキストとしてまとめられた.

コース開発の最初の段階では人材養成の対象として,救命救急センターや救急医療機関で働く薬剤師にターゲットを当てて議論された.が,コースの立ち上げを担うメンバーのなかから,特に,日本臨床救急医学会の救急認定薬剤師認定委員会の委員の先生方から本来は,もっと一般の薬剤師に広く救急医療に関して理解や素養を開発していくのが本筋ではないかという提案がなされた.すなわち,現在の状況からみて,全国30万人にもおよぶ薬剤師が,もっともっと救急,災害医療を身近なものとして,その基本的な考え方を習得して他の医療従事者と共有できるようにすべきであるという意見である.この考え方は,今でも,コースを流れる基本理念となっており,本書の基本的理念でもある.

"救急・災害に強い薬剤師養成コース"では,薬剤師が実際に救急対応できるように,実践的なトレーニングをシミュレーションを通じて行っている.現実に臨床的な手技や行動ができるためには,単に,薬剤師が従来から身に着けてきた専門的な知識や技能だけでは不十分である.さらに,診療の技能だけを,状況から切り離して修得していても,急を要する状況で力を発揮することは難しい.すなわち,現実に力を発揮するためには,臨床にうまく貢献する"すべ"が必要なのである.

このガイドブックでは,この"すべ"を重視して組み立てている.このような"すべ"は,いわゆるノンテクニカルスキルである.すなわち医療職としての専門的知識や技能であるテクニカルスキルとは異なる能力であり,ある意味でテクニカルスキルを越えた普遍的な能力である.換言すれば"知恵"という言葉で表現できるかもしれない.

例えば救急外来における研修医の診療を支援するとき,医学的知識があっても,診療技能を身に付けていても救急診療を遂行するには,いかに不十分であるかを痛感する.その1つは,コミュニケーション能力であり,特にチーム医療におけるコミュニケーションである.筆者らは研修医に,1つの"すべ"としてSBARの使用を奨励している(本文参照).SBARは,軍隊のなかでのある"報告"がきっかけとなって開発されたコミュニケーション法である1).米国の潜水艦の中で若き少尉が,船長に特別な懸念を進言するときに芽生えたコミュニケーションの方法が今や,1つのツールとして医療安全とチーム医療の推進のために,世界中で普及しつつある.これから臨床でますます貢献度を増していく薬剤師にとって優れたツールであることは論をまたない.

薬剤師は,従来より薬物の調剤や医薬品の供給における重要な役割を担ってきたが,現在では,さまざまな臨床場面で薬物療法を安全に実践する役割が期待されるようになった.しかし,救急や災害の場面で,薬剤師のテクニカルスキルを発揮するためには,しっかりしたノンテクニカルスキルが必須である.現実のコースでは,薬剤師のテクニカルスキルを生かす具体例をもとにシナリオコースが構築されている.同時に,蘇生やファーストエイドは,医療人に求められるテクニカルスキルともいえる知識と技能に支えられており,近年,国際的にエビデンスが急速に整備されてきた領域である.

このテキストは,こうした実践に求められる普遍的な能力を重視している.これが"動ける"といった表現や,"在宅から災害まで"といった欲張りなタイトルになった理由である.


2016年2月

編集コアメンバー
田口博一
窪田愛恵
平出 敦

目次

イントロダクション

1. 「動ける!救急・災害ガイドブック」にようこそ!

2. 急変対応の手順をフローチャートで理解しよう

[体験談]CPRが繋いだ命

[体験談]マラソン大会で心肺停止に遭遇!!

[体験談]お風呂で心肺停止に遭遇

[体験談]災害〜花火大会事故の経験から

第1章 緊急時のバイタルサイン評価をマスターしよう!

1. バイタルサインとは?

2. 第一印象:ABCDアプローチ

3. 血圧

[活かせ!薬のプロ知識]1. アナフィラキシーショック

4. 脈拍

[活かせ!薬のプロ知識]2. 低血糖について

5. 呼吸

[活かせ!薬のプロ知識]3. 過量服薬(overdose)について

[こぼれ話]パルスオキシメータのpit fall

6. 意識レベル

[活かせ!薬のプロ知識]4. 意識レベル低下の原因について

第2章 CPRとAEDをマスターしよう!

1. 薬剤師に求められるCPR,AEDの重要性は?

2. CPRをマスターしよう

[こぼれ話]口対口 人工呼吸は必要か?

3. AEDを慌てず使えるようになろう

[こぼれ話]目の前で人が倒れたら,すべての人にCPR,AEDは問題ない?

4. 回復体位

第3章 情報伝達能力を身につけよう!

1. 情報伝達の手法を学ぶことの重要性

2. SBAR

[こぼれ話]チーム医療と情報伝達~医療安全の視点から

[こぼれ話]お薬手帳,処方箋からわかること

3. 情報伝達トレーニングケーススタディ

第4章 もしも災害に遭遇したら?

1. 災害医療の基本

2. 災害に対応できる平時からの体制作り(preparedness)

3. 災害現場で役割をはたす

[こぼれ話]トリアージの問題点

[こぼれ話]震災のときの薬剤師の活躍の場はどこに?~東日本大震災からの教訓

4. 被災者の心的ケア

[こぼれ話]災害時以外における救助者の心的ケア

[こぼれ話]救助者が法的責任を問われる可能性はある?

第5章 今日から役立つ!ファーストエイド

1. 止血法,創傷処置

[こぼれ話]消毒薬はNG?

2. 包帯法

[こぼれ話]タオルと包帯の違いは?

3. 骨折への対応

4. 捻挫・打撲への対応(RICE)

5. 熱傷への対応

[こぼれ話]熱傷(やけど)の民間療法,その真意は?

6. 気道異物除去

[こぼれ話]掃除機は本当に使える?

7. 痛みの理解と対応

第6章 いきなり本番を避けるために~トレーニングコースのススメ

1. 「救急・災害に強い 薬剤師養成コース ステップ1」について

[こぼれ話]コース参加のきっかけ

2. 自分の地域でもトレーニングコースを開催したくなったら

3. コース開催等に役立つ資料集

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書籍情報

  • ISBN:9784758109321
  • ページ数:175頁
  • 書籍発行日:2016年3月
  • 電子版発売日:2017年4月14日
  • 判:B6変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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