麻酔への知的アプローチ<第11版>

  • ページ数 : 800頁
  • 書籍発行日 : 2020年11月
  • 電子版発売日 : 2020年11月9日
¥6,930(税込)
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商品情報

内容

初版から30年、ロングセラーの全面改訂版!
「熱さ」も「厚さ」も増量! 重要な知見がすべて詰まっています。
新型コロナウイルスに関する記述も追加!


●実践的であること、安全を最優先したものであること、できるだけevidenceに基づくこと、そして情熱をもって麻酔を考えること─。初版刊行以来、この著者の姿勢にブレはありません。
●新型コロナウイルスに関する記述も追加し、各科に関わる麻酔の知識をぬかりなくアップデートしています。全身管理のプロならではの示唆に富む記述が満載。
●麻酔科をローテートされる研修医の方々はもちろん、手術室看護師、MEの方々にもおすすめです。

あわせて読む → 「麻酔への知的アプローチ」シリーズ

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序文

第11版 序文


初版から30年、第10版を上梓してから2年半という時が過ぎた。その間に、年号は平成から令和へと変わり、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで私たちの生活様式も大きく変化した。その間も、麻酔科学やその関連領域では、多くの新しい知見が積みあがってきた。今版でも、新しい術式に対応する麻酔管理方法や、新しい薬物の使用法、術前・術後管理における変化などを含む大幅な改訂を全章にわたって行った。多くの図表の追加も行った。重要な知見が報告された場合には、ようやく書き終えた章も、書き直しをするという作業を行ってきた。本文中には過去10年の間に出された重要な論文を記載するようにした。未解決の問題も多く、いまだ活発に議論が交わされている領域も多い。ただ、患者の安全を守るために私たちが従う根本思想に変わりはない。

第7章「周術期における感染対策」において、患者や自分自身を守るために麻酔科医が実施すべき感染対策に、新型コロナウイルス感染症も含めた。術前外来の実施が広がるにつれ、麻酔の術前回診の在り方や患者との関わりも変化してきている。第8章「術前診察と術前投与薬、術前経口摂取」では、前投薬の部分はすべて削除した。第9章「麻酔導入」ではレミマゾラムについて追加したが、今後さらに知見が増えていくことが期待される。第12章「筋弛緩薬とその拮抗」では、筋弛緩薬効果残存のリスクと、その客観的評価法について強調した。

薬物全般についてその作用機序をより詳細に記載し、使用上の注意点などが理解できるようにした。

周術期管理に関しては、multimodalな全身麻酔法や鎮痛法、抗凝固療法、術中の肺保護換気や人工呼吸器関連肺損傷についての記載を充実させた。輸液管理ではグリコカリックスの役割や、zero balanceなど新しいアプローチ、輸液反応性の評価についての記載を充実させた。術後早期合併症では非心臓手術後心筋傷害(MINS)のほか、2020年に出された術後せん妄予防や、術後悪心・嘔吐の予防と治療ガイドラインに沿った記載を追加した。

各科麻酔の章では、ロボット支援下手術、薬物の胎盤移行性、硬膜穿刺後頭痛、緊急帝王切開の麻酔、麻酔薬の幼若脳に対する毒性などのトピックスに関する記載を充実させた。

書き終えてみると、まだまだ書き足りなかったと思う部分もあるが、この2年あまりに蓄積された重要な知見の多くは含められたのではないかと考えている。今回は本書と並行して、問題集も作成した。本書と合わせて活用して頂ければ幸いである。

本書を一つのきっかけとして、さらに質の高い周術期管理を目指して頂きたいと願っている。


2020(令和2)年9月8日

稲田英一

目次

[1]麻酔科学の発展性

1 麻酔科学のカバーする範囲

[2]麻酔は知的ゲーム

1 麻酔は知的ゲーム

2 麻酔の大原則

3 麻酔戦略

[3]麻酔計画法

1 目標追求的麻酔管理法

2 麻酔計画法

3 麻酔の基本的要素

4 麻酔管理は全身管理

5 攻めの麻酔と守りの麻酔

[4]麻酔科医に必要な資質

1 知識、知恵

2 判断力

3 技 術

4 気 力

5 体 力

[5]麻酔科領域特有の疾患対処法

1 糖尿病

2 高血圧

3 まとめ

[6]麻酔の安全対策

1 麻酔の危険性

2 麻酔事故の原因

3 より安全な麻酔を行うために

[7]周術期における感染対策

1 針刺し事故

2 飛沫感染と飛沫核感染

3 予防的抗菌薬投与

4 侵襲的手技における感染予防

5 感染予防のための一般的注意

6 注意すべき医療関連感染症

7 新型コロナウイルス感染対策

8 最後に

[8]術前診察と術前投与薬、術前経口摂取

1 術前外来の普及

2 麻酔法の選択

3 術前回診の基本方針

4 インタビューの心がけ

5 一般的事柄のチェック

6 現病歴

7 既往歴

8 服薬歴

9 家族歴

10 身体所見

11 一般検査

12 特殊検査

13 患者リスクの層別化

14 鎮静目的の前投薬

[9]麻酔導入

1 麻酔導入法

2 静脈麻酔薬による急速導入

[10]気道確保の基本的ストラテジー

1 気道確保の意義と重要性

2 麻酔導入の第一歩は気道確保

3 人工気道による気道確保

4 気管挿管法

[11]気道のトラブル

1 気道確保法の正しい選択

[12]筋弛緩薬とその拮抗

1 筋弛緩薬投与の目的

2 筋弛緩薬投与の危険性

3 術野の不動を保つために

4 揮発性麻酔薬

5 区域麻酔

6 筋弛緩薬の作用

7 脱分極性筋弛緩薬

8 非脱分極性筋弛緩薬

9 筋弛緩作用のモニタリング

10 筋弛緩作用からの回復と筋弛緩薬の拮抗

11 非脱分極性筋弛緩薬の投与時に注意すべき疾患や病態

12 最後に

[13]全身麻酔の維持と覚醒

1 麻酔維持とは

2 麻酔維持において考えるべきポイント

3 全身麻酔の三要素とバランス麻酔

4 揮発性麻酔薬による麻酔

5 全静脈麻酔(TIVA)の考え方

6 multimodal general anesthesiaという考え方

7 全身麻酔と硬膜外麻酔の併用

8 術後鎮痛に向けての術中管理

9 非脱分極性筋弛緩薬の拮抗

10 抜 管

[14]気管挿管と陽圧呼吸の持つ本質的問題

1 上部気道の機能

2 気管チューブの役割

3 気管挿管の合併症

4 陽圧呼吸の循環系への影響

5 人工呼吸器関連肺損傷(VILI)

6 人工呼吸器関連肺炎(VAP)

7 人工呼吸器誘発性横隔膜機能不全(VIDD)

8 肺保護換気

[15]循環モニタリング

1 モニタリングの目的

2 循環モニタリング

3 循環モニタリングの実際

4 低血圧と循環モニタリング

5 一般的循環モニタリング

6 組織酸素化の指標としての循環モニタリング

7 最後に

[16]輸液と電解質管理

1 輸液の目的

2 輸液を始める前に

3 維持輸液

4 「サードスペース」は細胞間質ゲル構造の変化

5 輸液剤の分布

6 輸液におけるcontextsensitivity

7 アミノ酸輸液と体温上昇

8 糖尿病患者の周術期輸液と血糖値管理

9 血糖値に関する問題

10 術後回復能力強化プログラム(ERAS®)

[17]輸血療法と凝固管理

1 酸素運搬

2 輸血の基本

3 赤血球製剤と赤血球輸血

4 血小板輸血

5 凝固因子の補充

6 輸血の禁忌

7 危機的出血への対応ガイドライン

8 大量輸血に伴う問題

9 自己血輸血のススメと将来

10 抗凝固薬や抗血小板薬の管理

11 抗線溶薬

[18]脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔・神経ブロック

1 生理学・薬理学

2 交感神経系ブロック

3 脊髄くも膜下麻酔の適応

4 脊髄くも膜下麻酔の禁忌

5 脊髄くも膜下麻酔の合併症

6 硬膜外麻酔

7 硬膜外腔へのオピオイド投与

8 脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔

9 脊髄幹麻酔の効用

10 脊髄幹麻酔における感染性合併症の予防

11 超音波ガイド下神経ブロック

12 小児における神経ブロックの合併症

[19]術後鎮痛と鎮静

1 鎮痛療法のもたらすもの

2 術後鎮痛の現状

3 より良い術後鎮痛のために

4 鎮痛療法の基本的考え方

5 硬膜外鎮痛療法

6 患者管理鎮痛法(PCA)

7 安全で効率的な痛みの管理

8 周術期鎮痛のあり方

9 術後遷延性疼痛(CPSP)

10 術後鎮静

11 最後に

[20]体温管理と悪性高熱症

1 体温調節機構と体温調節反応

2 麻酔中の体温低下の機序

3 麻酔中の体温上昇の機序

4 術中の体温管理

5 低体温の害

6 低体温の効用

7 悪性高熱症

[21]術後早期合併症と麻酔後回復室

1 循環系合併症

2 呼吸器系合併症

3 消化器系合併症

4 ふるえ(シバリング)

5 術後せん妄と術後認知機能障害

6 病棟帰室の条件

7 まとめ

[22]脳神経外科手術の麻酔

1 頭蓋内圧の生理学

2 脳血流量(CBF)

3 頭蓋内圧のコントロールと脳保護

4 頭蓋内圧、脳血流の薬理学

5 脳動脈瘤

6 頭部外傷(TBI)

7 脳腫瘍摘出術

8 経蝶形骨洞腫瘍摘出術

9 脳動静脈奇形(AVM)

10 覚醒下開頭手術

[23]心臓麻酔と循環管理

1 心臓麻酔のおもしろさ

2 術前評価

3 各疾患の重症度の評価

4 前投薬

5 モニタリング

6 麻酔導入と気管挿管

7 人工心肺前の管理

8 人工心肺中の管理

9 人工心肺からの離脱

10 人工心肺後の管理

11 心臓手術と脳合併症

12 心臓血管手術と腎合併症

13 心拍動下冠動脈バイパス術

14 低侵襲性直接冠動脈バイパス術(MIDCAB)

15 経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)

16 経皮的僧帽弁クリップ術

17 まとめ

[24]胸部外科手術の麻酔

1 換気血流比

2 低酸素性肺血管収縮(HPV)

3 肺手術

4 気管支鏡検査

[25]産婦人科麻酔

1 妊娠中の生理的変化

2 子宮胎盤循環

3 薬物の胎盤移行性

4 病的な変化

5 帝王切開の麻酔

6 妊娠高血圧症候群(HDP)とHELLP症候群

7 緊急帝王切開

8 分娩時の大出血

9 無痛分娩

10 妊娠中の非産科的手術

11 腹腔鏡下手術

[26]小児麻酔

1 呼吸器系の特徴

2 循環系の特徴

3 体液分布の特徴

4 体温調節と体温管理

5 薬理学的特徴

6 術前回診

7 術前指示

8 前投薬

9 麻酔導入

10 気道確保

11 麻酔維持

12 抜 管

13 区域麻酔

14 術後鎮痛療法

15 麻酔薬の幼若脳における神経毒性

[27]整形外科手術の麻酔

1 整形外科手術の特徴

2 股関節全置換術

3 膝関節全置換術

4 脊椎手術

5 肩の手術

6 肺血栓塞栓症(PTE)の予防

[28]泌尿器科手術の麻酔

1 前立腺肥大症(BPH)に対する外科的治療

2 前立腺癌に対する外科的治療

3 膀胱腫瘍に対する外科的治療

4 腎摘除術および腎切除術

5 副腎摘除術

[29]耳鼻咽喉科・眼科手術の麻酔

1 鼓室形成術

2 扁桃摘出術およびアデノイド切除術(T&A)

3 ラリンゴマイクロ手術

4 甲状腺切除術

5 気管切開患者の麻酔

6 眼科手術の特徴

[30]緊急手術の麻酔

1 緊急手術の特徴

2 術前評価と管理

3 麻酔法の選択

4 患者の搬送

5 主な緊急手術における麻酔のポイント

6 患者を救うのはチームワーク

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書籍情報

  • ISBN:9784784962136
  • ページ数:800頁
  • 書籍発行日:2020年11月
  • 電子版発売日:2020年11月9日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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