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誤嚥性肺炎の包括的アプローチ 診断・治療から,栄養管理・呼吸リハ・嚥下リハ・口腔ケアまで

  • ページ数 : 240頁
  • 書籍発行日 : 2021年8月
  • 電子版発売日 : 2021年9月3日
¥5,280(税込)
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商品情報

内容

●多職種で攻略!誤嚥性肺炎の治療・マネジメント
●高齢者に発症する誤嚥性肺炎は抗菌薬のみで治療することは困難で,リハビリテーションや栄養管理,嚥下訓練,口腔ケアなどを適切に組み合わせ,多くの職種がかかわって包括的に治療に取り組む必要があるが,各職種間の相互理解も不十分なのが実状である.
●本書では,誤嚥性肺炎のきっかけとなる嚥下障害の治療と,リハビリテーションや栄養療法について,理学療法,作業療法,看護ケアなどそれぞれのエキスパートがやさしく解説している.
●職種の相互理解を深め,より効果的な誤嚥性肺炎の治療・マネジメントの可能性を追求する一冊である.

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序文

発刊に寄せて

肺炎・誤嚥性肺炎は,2つを合わせると悪性新生物,心疾患に次ぐ日本人の死因第3位であり,他疾患で入院治療中の合併症としても代表的なものである.誤嚥性肺炎は,特に高齢者において死亡率が高く,入院期間の延長や医療費増大の大きな要因となっており,超高齢社会において大きな問題となっている.しかしながら,全死因の年齢階級別死亡率が示すように,高齢になるほど死亡率が高いのは自然の摂理であり,高齢者が誤嚥生肺炎で亡くなるのは,この自然の摂理にかなうものなのかもしれない.よって,誤嚥性肺炎の一番の問題は,高齢者死亡の原因となること以上に,誤嚥性肺炎=絶食とされてしまい,食べさせられないままに,寝かせきりにさせられ,残り少ない人生を過ごす高齢者が大勢いるということのように思われる.

誤嚥性肺炎は,呼吸器内科・感染症内科の専門家だけでなく,医療・介護のさまざまな場面で,さまざまな職種が遭遇する機会のある疾患である.抗菌薬のみで治療することは困難であり,リハビリテーションや栄養管理,嚥下訓練,口腔ケアなどを適切に組み合わせ,多くの職種がかかわって,包括的な治療を行わなければならない.しかしながら,誤嚥性肺炎に対する包括的治療に関する書籍は少なく,各職種間の相互理解も不十分なままに行われているのが実状である.

本書は,肺炎治療の全体像を把握し,具体的治療に結びつけることのできるバイブルを目指すものである.本書を通じ,医師・歯科医師・リハビリテーションセラピスト・管理栄養士・歯科衛生士などさまざまな職種の相互理解がさらに深まることにより,誤嚥性肺炎の治療がさらに進歩することを期待している.


長崎大学病院リハビリテーション科
高畠英昭


推薦の辞

今から100年以上前にオスラーは「肺炎は老人の友である」という言葉を残しているが,現代においても肺炎は高齢者の死亡原因として頻度が高い疾患であり,超高齢社会にある日本においては社会的にも極めて重要な問題となっている.高齢者の疾患は非高齢者と比較して,宿主因子を含め考慮すべき背景が多く,特に肺炎は世代での違いが鮮明な疾患の一つである.高齢者肺炎は誤嚥が関与する割合が高くなるが,誤嚥性肺炎では老化に伴う生理的機能低下の表れの一つとしての嚥下機能低下が根本的な問題であり,これは抗菌薬をどう使用するかという単純な問題ではない.また,高齢者肺炎では抗菌薬を使ううえで問題となる耐性菌が関与する肺炎や腎機能の低下を認める症例が多くなるなど,治療に関しても高齢者特有の問題が多い.

実際に肺炎は2011年からは日本人の疾患別死亡率順位の第3位となっており,現在は肺炎による死亡は5位となっているが,これは統計上誤嚥性肺炎を別に扱うようになったためであり,現在でも誤嚥性肺炎と肺炎を合わせると日本人の死亡原因の3位とこの傾向には変化はない.特に90歳以上の男性では肺炎と誤嚥性肺炎を合わせた死亡率が全疾患のなかで第1位となっている.また,肺炎死亡者に占める65歳以上の割合は実に約98%にも達している.米国では2019年の順位で肺炎は第10位と日本よりもずっと死因としては低位であり,日米における社会構造や医療制度の違いを端的に表していると考えられる.このように日本人の死因で肺炎が多い理由の一つは高齢者での誤嚥性肺炎の増加である.最新の肺炎診療ガイドラインである「成人肺炎診療ガイドライン2017」では,このような背景から特に高齢者肺炎に対する診療方針において倫理的側面などを加え,従来のガイドラインから大きくアップデートさせた.今後の肺炎に関する診療や研究において,特に高齢者にターゲットを絞った検討が日本では必要であろう.高齢者肺炎・誤嚥性肺炎の病態をさらに明らかとする必要があり,また低下した生理機能を回復させるなどの特殊な治療の開発が欠かせない.加えて,インフルエンザウイルスや肺炎球菌に対するワクチンの普及も重要な問題である.また,歯科医や看護師と協力した適切な口腔ケアも有効とされる.加えて,嚥下機能を含めた生理的な機能の改善には,個々の症例での正確な嚥下機能の評価を行い,リハビリテーションの専門家とも密接に協力する必要がある.このように高齢者肺炎・誤嚥性肺炎に対する診療は他職種の協力が欠かせず,チーム診療が理想である.

本書は現在の誤嚥性肺炎診療において日本を代表するさまざまな分野の先生方が執筆しており,現時点での最新の知識を得ることができる.ぜひ,多くの方にこの書を読んで頂き,日本での誤嚥性肺炎の診療のレベルアップを期待する.


 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器内科学(第二内科)
迎 寛

目次

第1章 肺炎の診断と治療

1 肺炎オーバービュー

 1.最近の肺炎の状況

 2.肺炎診療ガイドラインの動向

 3.高齢者肺炎に対する倫理的配慮

2 肺炎の診断(CAP,HAP,NHCAP)

 1.肺炎の診断

 2.肺炎の分類

 3.市中肺炎(CAP)

 4.院内肺炎(HAP)・医療・介護関連(NHCAP)

 5.人工呼吸器関連肺炎(VAP)

 6.HAP・NHCAPにおける個人の意思やQOLを考慮した治療・ケア

3 人工呼吸器関連肺炎

 1.病態生理

 2.疫学

 3.予後と影響

 4.診断

 5.原因微生物

 6.治療

 7.予防

4 抗菌薬による肺炎治療

 1.肺炎治療の実際

 2.市中肺炎(CAP)

 3.医療・介護関連肺炎(NHCAP),院内肺炎(HAP),誤嚥性肺炎

 4.治療期間

5 重症肺炎に対する人工呼吸管理・ICU管理

 1.人工呼吸管理

 2.人工呼吸管理中の薬物療法

 3.腹臥位療法

 4.人工呼吸管理中の全身管理

 5.体外式膜型人工肺(ECMO)

 6.人工呼吸器の離脱

6 ワクチンによる肺炎予防

 1.インフルエンザ

 2.肺炎球菌ワクチンの特徴

 3.肺炎球菌ワクチン接種の対象と高齢者肺炎に対する効果

 4.高齢者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方

 5.肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの併用接種による肺炎の予防効果

第2章 誤嚥性肺炎の診断と治療

1 誤嚥性肺炎の特徴と診断

 1.誤嚥性肺炎の概念

 2.誤嚥の危険因子と誤嚥性肺炎の危険因子

 3.誤嚥性肺炎の臨床的特徴

 4.誤嚥性肺炎の診断

 5.誤嚥性肺炎の診断が意味するもの

2 誤嚥に関連するその他の肺疾患について

 1.誤嚥性肺臓炎

 2.びまん性嚥下性細気管支炎

3 誤嚥性肺炎とサルコペニア

 1.サルコペニア

 2.サルコペニアの診断

 3.サルコペニアの原因

 4.医原性サルコペニア

 5.サルコペニアの摂食嚥下障害

 6.呼吸筋サルコペニア

 7.呼吸筋サルコペニアの診断

 8.サルコペニア性呼吸障害の診断

4 誤嚥性肺炎の予防のための薬物療法

 1.誤嚥性肺炎の予防のための薬物療法とは

 2.嚥下障害の原因となり得る薬剤

 3.嚥下機能を改善する可能性のある薬剤について

第3章 誤嚥性肺炎の栄養療法

1 誤嚥性肺炎に対する栄養管理の意義と理想的な経口摂取の開始時期

 1.誤嚥性肺炎患者の低栄養と低栄養診断

 2.誤嚥性肺炎と禁食

 3.禁食中の栄養投与量の実態

 4.経口摂取を併用した栄養療法と経口摂取の開始時期

 5.経口摂取時の注意事項

2 栄養投与経路の選択と栄養療法の実際

 1.投与経路の選択について

 2.それぞれの投与経路の特性

 3.栄養療法の実際

3 誤嚥性肺炎に対する胃ろうの適応について

 1.胃ろうとは

 2.胃ろう造設術の実際

 3.胃ろう管理の実際

 4.胃ろうの合併症・偶発症

 5.胃ろうの適応

コラム:NGチューブは経口摂取の妨げになるか?

第4章 嚥下障害の診断と治療・リハビリテーション

1 誤嚥の種類―マクロアスピレーションとマイクロアスピレーション

 1.誤嚥の分類

 2.食物の誤嚥と誤嚥性肺炎

 3.嚥下性肺疾患の分類

 4.嚥下スクリーニングテストと簡易嚥下誘発試験

 5.嚥下性肺疾患に対する予防策

2 嚥下障害の評価(スクリーニングテスト)

 1.嚥下スクリーニングテストとは

 2.嚥下スクリーニングテストの実際

3 嚥下内視鏡検査・嚥下造影検査の実際

 1.嚥下内視鏡検査(VE)

 2.嚥下造影検査(VE)

 3.嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査の比較

 4.嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査のまとめ

4 嚥下障害のリハビリテーション

 1.基礎(間接)訓練

 2.摂食(直接)訓練

 3.基本的ケアと嚥下リハビリテーション

5 重度嚥下障害に対する手術療法

 1.発声機能を保存する治療(嚥下改善手術)

 2.咽頭機能を犠牲にする治療(誤嚥防止術)

コラム:プロトンポンプ阻害薬(PPI)やヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)の投与と肺炎発症リスク

第5章 誤嚥性肺炎に対するリハビリテーション

1 呼吸リハビリテーション

 1.呼吸リハビリテーションとは

 2.呼吸リハビリテーションの現状と課題

 3.誤嚥性肺炎患者への呼吸リハビリテーションの応用

2 誤嚥性肺炎に対するリハビリテーション(文献レビュー)

 1.文献検索

 2.身体的リハビリテーション

 3.摂食嚥下リハビリテーション

 4.誤嚥性肺炎に対するリハビリテーションの現状

3 誤嚥性肺炎に対するリハビリテーションの実際(理学療法)

 1.誤嚥性肺炎における呼吸機能障害に対する理学療法の考え方と実際

 2.誤嚥性肺炎における運動機能障害に対する理学療法の考え方と実際

4 誤嚥性肺炎に対する作業療法

 1.摂食嚥下障害に対する作業療法評価

 2.摂食嚥下障害に対する作業療法アプローチ

第6章 口腔ケア・看護ケア

1 誤嚥性肺炎予防における口腔ケアの意義

 1.誤嚥性肺炎を引き起こす大きな要因

 2.口腔ケアについて

 3.口腔ケアの分類と内容

2 入院患者の口腔ケアの実際

 1.器質的口腔ケアと機能的口腔ケア

 2.口腔の評価

 3.口腔ケアの手順

 4.挿管患者の口腔ケア

 5.誤嚥性肺炎治療における医科歯科連携の重要性と今後の課題

3 誤嚥性肺炎患者の看護ケア

 1.看護師が行う誤嚥性肺炎に対する役割

 2.食事介助の注意点

 3.食材の選択・介助方法

 4.口腔ケアの注意点

 5.経鼻経管栄養,胃ろう・腸ろう栄養注入時の注意点

 6.繰り返す誤嚥性肺炎患者の意思決定支援(終末期肺炎に治療しない選択肢)

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書籍情報

  • ISBN:9784263266410
  • ページ数:240頁
  • 書籍発行日:2021年8月
  • 電子版発売日:2021年9月3日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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