最新言語聴覚学講座 言語聴覚障害学概論

  • ページ数 : 132頁
  • 書籍発行日 : 2023年10月
  • 電子版発売日 : 2023年9月21日
¥2,750(税込)
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商品情報

内容

言語聴覚士の専門科目をはじめて学ぶ人のために!
●言語聴覚士がどのような専門職なのか,何が求められるのかといった基本的理解と,言語聴覚士に求められる基礎知識をわかりやすく簡潔にまとめた.
●言語聴覚士が関わる障害の種類と特徴,ライフステージに応じた臨床のポイントを解説し,障害を系統的に理解し,患者像をイメージできるよう解説.
●言語聴覚士国家試験出題基準に準拠.

序文

序文

言語聴覚障害の有無や重症度は,外見ではおおよそ判断がつかず,目にみえない障害といわれます.実際には,乳幼児から高齢者まで,言語・認知,発声発語,聴覚,コミュニケーション,摂食嚥下などの,いわゆる言語聴覚障害のある人は相当数存在し,言語聴覚療法の(リ)ハビリテーションを受けていますが,周囲に気付かれにくいのです.そのためか,言語聴覚士の職業イメージもつかみづらいようで,「言語聴覚療法って何?」「どんなことをするの?」「ことばやきこえはリハビリすれば治るの?」などの質問を受けることがあります.

人は,生後たった数年の間に,言語を獲得してコミュニケーションを取り,社会と関わることで自分の世界を広げていきます.同時に人は言語を通して物を考え,認識・記憶し,学習の道具として使用することで,歴史や文化を継承・発展させていきました.さらに,感情が揺り動かされる,自分の行動を制御する,他者との関係性を推し量るなどの行為も,ことばによってなされます.このように,ことばは人間が社会で生きていく上で大切な機能を備えていますが,空気のように当たり前に使っているためか,普段はことばとは何か,どのような機能をもつか,それが失われるとどうなるか,などを真剣に考える機会は少ないのではないかと思われます.

言語聴覚障害のある人や家族に対して,専門的サービスを提供し支援する専門職が言語聴覚士で,AI時代にも生き残る職業の一つといわれています.理由は,「人間が人間の障害と向き合う仕事」であるため,人の心や感情の機微に気付き,柔軟に対応できる感性と高度なコミュニケーション力が必要とされるからです.障害は一過性の場合もあれば永続的なこともあり,同じ障害でも個々の特性やライフステージによって変化するため,対応が異なります.障害がある人に対する善意や優しさは支援者として重要な資質ですが,それだけでは不十分で,具体的な支援を提供するには専門的な知識・技能・態度・判断力の修得が必須です.

本書は,言語聴覚療法の基礎を概説した入門書であり,読者としては,言語聴覚士を志す学生および言語コミュニケーション障害に関心のある人を想定した内容になっています.言語聴覚障害学の理論も実践も日進月歩で,社会体制や保障制度が変われば障害者対策も異なりますので,最新の知見や情報を盛り込むようにしました.本書を通して,言語聴覚士,言語聴覚障害学,そして何よりも,ことば・きこえ・コミュニケーションに困難さを抱える人に対する理解が深まることを願っております.

なお,言語聴覚障害の領域は多岐にわたりますので,本書で基礎知識をしっかりと押さえ,障害領域別の成書でさらに学習を発展していただければ幸いです.

最後に,ご執筆いただいた言語聴覚士の皆さま,ならびに本書の刊行にご尽力いただいた医歯薬出版編集部の茂野靖子氏,関係者の皆さまに感謝申し上げます.


2023年9月

倉智雅子 植田恵 城間将江

目次

第1章 言語聴覚士とは

1.言語聴覚士の職務と活躍の場(倉智雅子)

1)言語聴覚士の職務

 (1)「話しことば」とその障害への対応

 (2)「言語」とその障害への対応

 (3)「きこえ」とその障害への対応

 (4)「摂食嚥下」とその障害への対応

2)言語聴覚士の活躍の場

 (1)医療の場での活躍

 (2)介護・福祉の場での活躍(成人対象)

 (3)福祉・保健の場での活躍(小児対象)

 (4)教育の場での活躍

 (5)その他の場での活躍

2.言語聴覚士の歴史と養成教育(倉智雅子)

1)言語聴覚士の歴史

2)言語聴覚士の養成教育

 (1)求められる資質と能力

 (2)養成形態

 (3)学問領域

 (4)諸外国との違い

 (5)卒後教育

3.臨床実践における基本理念(城間将江)

1)職業倫理

 (1)自己研鑽

 (2)対象者の尊重,有益性の優先

 (3)インフォームド・コンセント

 (4)守秘義務

 (5)臨床記録

 (6)根拠に基づく臨床

2)リスク管理

 (1)リスクマネジメント

 (2)緊急時の対応

 (3)感染症と感染症防止対策

3)多職種連携

4)地域言語聴覚療法

 (1)地域リハビリテーション

 (2)災害リハビリテーション

5)ICFの活用

 (1)ICFの構成要素

 (2)ICFの活用意義

確認Check!

第2章 ことばの機能

(大石斐子)

1.言語とコミュニケーション

1)ことばの機能

 (1)コミュニケーションの手段

 (2)思考の道具

 (3)行動の自己制御

 (4)その他の機能

2)コミュニケーション

 (1)コミュニケーションとは

 (2)コミュニケーションの手段

3)言語

 (1)言語とは

 (2)言語の性質

 (3)言語の構造

2.日本語の特徴

1)日本語の「音」

 (1)音素と音節

 (2)アクセント

2)日本語の「語」

 (1)形態素

 (2)語形成

3)日本語の「文」

 (1)内容語と機能語

 (2)基本語順

 (3)助動詞

4)日本語の「意味」

 (1)語と語の間の意味関係

 (2)文の意味

5)日本語の「語用」

 (1)直示

 (2)主題

 (3)旧情報と新情報

 (4)視点

 (5)敬語

6)日本語の「文字」

 (1)日本語の文字体系

3.言語・コミュニケーションの獲得

1)前言語期の発達

 (1)コミュニケーション行動の形成

 (2)発声行動の発達

 (3)音声知覚の発達

2)幼児期の言語発達

 (1)語彙の発達

 (2)文法の発達

 (3)談話および語用の発達

 (4)音韻意識の発達

3)学童期の言語発達

 (1)語彙・文法の発達

 (2)談話および語用の発達

 (3)読み書きの発達

確認Check!

第3章 ことばときこえのメカニズム

1.発声発語と摂食嚥下のメカニズム(秦 若菜)

1)発声発語の器官とメカニズム

 (1)呼吸

 (2)発声

 (3)構音・共鳴

 (4)国際音声記号(IPA)

2)摂食嚥下の器官とメカニズム

 (1)咽頭

 (2)外喉頭筋

 (3)摂食嚥下のメカニズム

 (4)嚥下モデル

2.ことばと脳(秦 若菜)

1)神経系

 (1)大脳

 (2)大脳基底核

 (3)間脳

 (4)脳幹

 (5)小脳

 (6)神経伝導路

 (7)脳神経

2)脳の構造と機能

 (1)側性化

 (2)機能局在

3)ことばを支える神経

 (1)言語機能(言語の理解・産生)

 (2)発話運動機能

3.きこえとバランス感覚のメカニズム(原 由紀)

1)音と人のきこえ

2)聴覚器官の構造と機能

 (1)外耳

 (2)中耳

 (3)内耳

 (4)後迷路

3)平衡器官の構造と機能

 (1)前庭

 (2)半規管(三半規管)

確認Check!

第4章 言語聴覚障害の評価・診断と介入

(植田 恵)

1.言語聴覚療法の臨床業務の流れ

1)臨床推論

2)測定,評価,診断

2.言語聴覚療法における評価・診断

1)評価・診断の目的

2)収集する情報の種類と収集方法

 (1)直接収集する情報 [検査結果の解釈について]

 (2)間接的に収集する情報

 (3)情報収集の手順

 (4)情報収集における留意点

3)情報の統合と解釈

3.言語聴覚療法における介入

1)介入の原則

 (1)根拠(エビデンス)に基づく介入

 (2)仮説検証型の介入

 (3)チームアプローチ

2)介入の方法論

 (1)機能回復訓練

 (2)実用的コミュニケーション訓練

 (3)拡大・代替コミュニケーション手段の獲得訓練

 (4)心理・社会的サポート

3)介入の実際

確認Check!

第5章 言語聴覚障害の種類

A.言語・認知系の障害

1.小児期にみられる言語・認知系の障害(後藤多可志)

1)種類と特徴

 (1)知的能力障害

 (2)自閉症スペクトラム障害

 (3)特異的言語発達障害

 (4)限局性学習障害

 (5)発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)

 (6)注意欠如・多動性障害

 (7)脳性麻痺

 (8)重症心身障害

2)ライフステージからみる臨床のポイント

2.成人期にみられる言語・認知系の障害(八鍬央子)

    [高次脳機能障害とは] [高次脳機能障害を引き起こす原因]

1)種類と特徴

 (1)背景症状

 (2)失語症

 (3)その他の高次脳機能障害

2)ライフステージからみる臨床のポイント

 (1)若年者への臨床のポイント

 (2)高齢者への臨床のポイント

B.発声発語系の障害

1.発声発語障害(城本 修)

  a.音声障害

1)種類と特徴

2)ライフステージからみる臨床のポイント

  b.発話障害

1)種類と特徴

    [発話運動の実行障害]

 (1)運動障害性構音障害

 (2)器質性構音障害

 (3)機能性構音障害

    [発話運動の準備障害]

 (1)発語失行

2)ライフステージからみる臨床のポイント

  c.流暢性障害

1)種類と特徴

 (1)発達性吃音

 (2)獲得性吃音

 (3)クラタリング(早口言語症)

2)ライフステージからみる臨床のポイント

2.摂食嚥下障害(永見慎輔)

1)種類と特徴

 (1)摂食嚥下障害の発症メカニズムと原因

 (2)摂食嚥下障害を生じる疾患

 (3)摂食嚥下障害に関連する合併症やリスク

2)ライフステージからみる臨床のポイント

 (1)乳幼児期における留意事項と臨床のポイント

 (2)学童期における留意事項と臨床のポイント

 (3)成人期における留意事項と臨床のポイント

 (4)高齢期における留意事項と臨床のポイント

C.聴覚系の障害(小渕千絵)

1.きこえの障害

1)種類と特徴

 (1)難聴側

 (2)難聴の種類

 (3)難聴の程度

 (4)難聴の発症時期

2)聴覚補償機器

 (1)補聴器

 (2)人工聴覚器

 (3)補聴援助システム

2.成人期のきこえの障害

1)成人難聴の特徴

2)発症時期に応じた成人難聴の臨床のポイント

 (1)言語獲得前の若年期に発症した難聴者

 (2)成人期に発症した難聴者

 (3)高齢期に発症した難聴者

3.小児期のきこえの障害

1)小児難聴の特徴

 (1)新生児聴覚スクリーニング検査による難聴の早期発見

 (2)先天性難聴の原因と難聴のリスク因子

 (3)小児期の聴覚補償

 (4)コミュニケーション手段

2)発達時期に応じた小児難聴の臨床のポイント

 (1)乳児期

 (2)幼児期

 (3)学童期

 (4)思春期以降

 4.ライフステージからみる臨床のポイント

確認Check!

Column「言語聴覚士の臨床場面」

1.病院での言語聴覚士の仕事(浅香明日美)

2.介護施設での言語聴覚士の仕事(秋山真樹子)

3.療育施設での言語聴覚士の仕事(西田久美子)

4.学校での言語聴覚士の仕事(木下亜紀)

Column「地域包括ケアシステム」(山本 徹)

付録:ライフステージからみる言語聴覚士としての臨床の視点


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書籍情報

  • ISBN:9784263270714
  • ページ数:132頁
  • 書籍発行日:2023年10月
  • 電子版発売日:2023年9月21日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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