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実験医学増刊 Vol.40 No.12 セントラルドグマの新常識~転写・翻訳の驚きの新機構と再定義されるDNA・RNA・タンパク質の世界

  • ページ数 : 264頁
  • 書籍発行日 : 2022年7月
  • 電子版発売日 : 2022年7月27日
¥5,940(税込)
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商品情報

内容

セントラルドグマは,生命科学を勉強した人であれば誰もが知っている常識です.本書では,そんな常識を刷新する細胞生物学の予想外の発見を32編の総説に凝縮しました.全ての生命科学者に読んでほしい1冊です!

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序文


生命のセントラルドグマはあらゆる生命現象を貫く基本概念である.生命科学の基礎を学んだすべての人が知っている概念であり,何をいまさらと思われるかもしれない.しかし,近年の研究の進展により,セントラルドグマ周辺領域にまつわる常識が大きくアップデートされつつある.新たにわかってきた驚きの新常識の数々を生命科学の研究者のみならず,学生,生物学を教える教員,他分野の研究者なども含めた幅広い読者にお届けしたい,という思いで編集したのが本増刊号である.

セントラルドグマは遺伝情報の流れをあらわす分子生物学の概念で,通常は,(DNAの複製に加えて)DNA →(転写)→ RNA →(翻訳)→タンパク質というスキームで表現される.もとをたどると,フランシス・クリックが1958年に提唱した「仮説」1)が発端であるが,じつは,クリックが最初に提案した仮説は現在のセントラルドグマの「常識」と多少違う.クリックの当初の考えでは,DNA → DNA(複製),DNA → RNA(転写),RNA →タンパク質(翻訳)だけでなく,当時知られていなかったRNA → DNA(逆転写)や,現在もその現象は確認されていないDNA →タンパク質という過程まで含めて可能性が検討された(図2).そのうえで,タンパク質からの情報の流れ(タンパク質→ RNA,タンパク質→ DNA,タンパク質→タンパク質)はすべて不可能である,と宣言したのが当初の「セントラルドグマ」である.実際,1970年に逆転写現象が発見された際の「セントラルドグマはひっくり返った」という論調に,クリックは「セントラルドグマが誤解されたのはこれがはじめてではない」とまで言っている(現在のセントラルドグマの考え方が広まったのはワトソンが著した教科書によるらしい).

セントラルドグマが(クリックが提唱した仮説から一人歩きしているにせよ)現在の生命観を語る際になくてはならない絶対的な基本原理となっているのは疑いようがない.基本原理が揺るぎなく存在することにより,その例外や周辺から重要な生命現象が技術の進展などとともに見つかってきたともいえる.本増刊号は,2019年11月号の実験医学誌の特集「再定義されるタンパク質の常識」の拡張版でもあるが,セントラルドグマ周辺にまつわる新たな常識をインプットすることで,各読者がもつ生命観を再定義することに役立てば幸いである.


文献

1)Crick F : Nature, 227 : 561-563, 1958


2022年6月

田口英樹

目次

序[田口英樹]

概論 セントラルドグマにまつわる32の新常識から知る生命科学のトレンド[田口英樹,小林武彦,稲田利文]

第1章 DNAの新常識

1.de novo遺伝子誕生学―「遺伝子とは何か?」を改めて問う鍵として[山内 駿,岩崎 渉]

2.SMCタンパク質複合体による染色体高次構造制御―DNAの折りたたまれ方の新常識[坂田凌大,西山朋子]

3.物性から迫るクロマチンの実像―相分離するクロマチンは液体か?固体か?[島添將誠,井手 聖,前島一博]

4.ゲノム三次元構造の制御―その構築原理と発生制御と意義[平谷伊智朗]

5.生体内におけるヌクレオチド除去修復のDNA損傷監視機構[日下部将之,菅澤 薫]

6.ゲノム複製におけるDNAポリメラーゼの動態―原理から紐解くフレキシブルなしくみ[大学保一]

7.ゲノムに潜む未解明のシグナル,グアニン4重鎖[正井久雄]

8.長鎖DNA合成技術と合成細胞―人工デザインされたゲノムの合成と評価にむけて[末次正幸]

第2章 転写の新常識

1.クロマチンにおける転写機構の新たな知見[鯨井智也,胡桃坂仁志]

2.Pol Ⅱ動態の新常識―ポージングによる新たな転写制御機構[高橋秀尚]

3.転写バーストの制御メカニズム[深谷雄志]

4.lncRNA・eRNAによる転写制御[斉藤典子,立和名博昭,松戸亮太]

5.非コード領域による転写制御―遺伝子発現のタイミングをつくり出す新たなメカニズム[堀江良子,一寸木明日香,堀江健生]

6.非コードの転写活性と細胞老化―RNAワールドはいまだに健在?[小林武彦]

第3章 RNAの新常識

1.RNA修飾によるエピトランスクリプトミクス制御と生命現象―可逆的なリン酸化修飾がRNAを安定化する[大平高之,蓑輪恵一,鈴木 勉]

2.RNA編集―生理的な働きと遺伝子改変技術への応用[河原行郎]

3.遺伝子発現におけるRNA結合タンパク質の多彩な機能―遺伝子発現をグローバルに調節するRNA制御と,その異常により発症する疾患および創薬戦略[武内章英]

4.RNA合成生物学の現在地と未来[小野紘貴,齊藤博英]

5.RNA結合タンパク質の免疫制御における役割と疾患治療への応用[赤木宏太朗,竹内 理]

6.細胞内構造体の骨格として働くRNA[廣瀬哲郎,山崎智弘,山本哲也]

第4章 翻訳の新常識

1.RAN翻訳:乱れる翻訳開始部位―ATGに依らない反復配列翻訳のメカニズムと病気とのかかわり[浅野 桂]

2.新生ポリペプチド鎖が制御する翻訳動態[千葉志信,藤原圭吾]

3.未注釈ORFの同定とその生理機能[市原知哉,岩崎信太郎,松本有樹修]

4.翻訳品質管理機構―異常を識別排除するセントラルドグマの最終管理者[稲田利文]

5.立体構造からみた統合的ストレス応答の制御[柏木一宏,伊藤拓宏]

第5章 タンパク質の新常識

1.タンパク質フォールディングの新常識―Anfinsenのドグマから拡がるタンパク質の世界[田口英樹]

2.クライオ電子顕微鏡がもたらす新しいタンパク質構造の知見[稲葉謙次,張 玉霞]

3.タンパク質立体構造予測の新常識―AlphaFoldとその展開[木原大亮]

4.de novoデザインタンパク質―生物がもたないタンパク質を設計できる時代[古賀理恵,小杉貴洋,古賀信康]

5.タンパク質の液-液相分離―オートファジーを例に[野田展生]

6.捉えきれない天然変性タンパク質[太田元規,安保勲人,福地佐斗志]

7.小胞体プロテオスタシスの新常識―酸化反応の場としての小胞体から還元反応の場へ[上垣日育,永田和宏,潮田 亮]

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書籍情報

  • ISBN:9784758104043
  • ページ数:264頁
  • 書籍発行日:2022年7月
  • 電子版発売日:2022年7月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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