栄養科学イラストレイテッド 微生物学 改訂第2版

  • ページ数 : 256頁
  • 書籍発行日 : 2023年11月
  • 電子版発売日 : 2023年12月8日
¥3,190(税込)
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商品情報

内容

食中毒や発酵食品に関わる微生物の知識が身につく!
“管理栄養士に必要な”微生物の知識を網羅したテキストが,図・画像を多数追加して改訂!生物学の基礎をはじめ,食中毒や発酵食品に関わる微生物を手厚く解説.免疫やアレルギーの内容も盛り込んだ充実の内容です.

序文

第5版の発行にあたって


本書の初版の序文を執筆していた2020年1月上旬,その直後から「新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)」が猛威を振るいはじめました.その報道の第1報を見たときから,「こいつは,やばい!」と直感しました.これまでのウイルス感染症にはない,恐ろしい性質をもっていたからです.1つは,当時の従来株の潜伏期がきわめて長く,毒性も強いという性質,もう1つは,感染後,発症する前からウイルスが体内から出てしまうという性質です.そして,その対策として生まれたのが「クラスター」という概念と「3密(密閉・密集・密接)」を避ける政策です.それから,猛スピードで,mRNAワクチンが開発・実用化されました.このmRNAワクチンの開発に携わったカリコ氏らは,2023年のノーベル生理学・医学賞を受賞されました.このことは本書中にも記載しました.

現在,COVID-19は,オミクロン株が変異をくり返し,その亜系統がいまだに蔓延っています.ただ,人類社会はコロナ禍前の日常に戻りつつあり,もう少しの辛抱であろうと思っています.ところが,このコロナ禍による副産物も生まれました.それは,コロナ禍で消毒などが徹底されたため,子どもの頃に感染して免疫力をつけておくべき感染症に子どもたちがかかっていないのです.そのため,子どもたちの間で,RSウイルス感染症,手足口病,季節はずれのインフルエンザ,咽頭結膜熱(プール熱)などが大流行し,小児科医の先生方の苦労が絶えません.

一方で,食物アレルギーも複雑化しはじめました.これまで食物アレルギーは,Ⅰ型の即時型であると学んできましたが,そうでもないことがわかってきました.改訂版には,「遅延型食物アレルギー」や「遅発型アナフィラキシー」などを紹介しています.このように学ぶべき微生物学・免疫学は常に変化しています.

本書では,前版に引き続き感染症や食中毒,発酵食品に関与する微生物を解説するとともに,これらの新たな知見や図表も増やし,管理栄養士・栄養教諭をめざす学生さんたちが,さらに勉強しやすい書籍となるよう努めました.特に多くの写真を掲載していますので,微生物の特徴を知り関心をもつきっかけとなれば嬉しい限りです.また,食品衛生監視員,養護教諭,保健師,介護士,理学療法士などをめざす学生さんやそれらの専門職に携わる現職の方々にも活用していただけたら幸いです.

なお,改訂版を発行するにあたっては,初版で執筆いただきましたそれぞれの専門分野の先生方にご協力をいただきました.この場を借りて心より深謝申し上げます.

最後に,本書「改訂版」の企画・編集・出版にあたり,多大なご協力をいただいた羊土社編集部の寺山七夢氏と田頭みなみ氏をはじめ,関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます.


2023年10月

執筆者代表
大橋 典男

目次


改訂第2版の序[大橋典男]

第1章 微生物学の概論[増澤俊幸]

1.微生物とは

A 生物の分類

B 真核生物と原核生物

C 微生物の生物界における位置づけ

2.微生物学の歴史

A 微生物学のはじまり

B 現代微生物学までの道

3.微生物の特徴

A 細菌

B ウイルス[鈴木 隆,紅林佑希]

C 原虫

D 蠕虫

E 真菌

F プリオン

4.微生物と感染症

A 感染成立の過程

B 感染の種類

C 敗血症,菌血症,ウイルス血症

D 感染源の種類

E 感染経路の種類

F 感染症の微生物学的検査法

5.感染症に関する法律と対策

A 日本における感染症の現状とその対策

B 感染症を制御するための法律

C 感染症の予防法

6.遺伝子の突然変異と水平伝達

A 形質転換

B 形質導入

C 接合伝達

D 遺伝子組換え実験と遺伝子組換え生物

E 突然変異を利用した変異原物質のスクリーニング法

微生物と健康 「ビール酵母を肥料に」

第2章 微生物の制御

1.微生物の制御とは[藤澤 誠]

A 基本的な考え方

B 微生物の増殖・死滅・制御

C 制御方法の種類

2.微生物の増殖条件[藤澤 誠]

A 栄養素

B 水分・塩濃度・糖濃度・浸透圧

C pH

D 温度

E 酸素要求性

3.食品の腐敗と発酵

A 食品の腐敗と変敗[市川陽子]

B 発酵[大橋典男]

4.滅菌・消毒[市川陽子]

A 殺菌,静菌,除菌の違い

B 滅菌

C 消毒

D 手洗い・手指の消毒

5.食品の保存

A 加熱保存法[市川陽子]

B 低温保存法[市川陽子]

C 食品添加物[島村裕子]

D その他[島村裕子]

E HACCP[市川陽子]

微生物と健康 「ノロウイルスの感染から身を守る方法-汚物の適切な処理-」[市川陽子]

第3章 微生物の活用

1.アルコール飲料[新井映子]

A アルコール発酵とアルコール飲料

B 清酒

C ワイン

D ビール

E ウイスキー

F 焼酎

2.発酵調味料[新井映子]

A みそ

B しょうゆ

C 食酢

D みりん

E うま味調味料

F 魚醤

3.微生物利用食品[新井映子]

A 漬物

B パン

C ヨーグルト

D チーズ

E その他

4.微生物によるその他の物質生産と利用[大橋典男]

A アミノ酸・核酸関連物質・有機酸

B 高度不飽和脂肪酸

C 微生物生産酵素

D 抗寄生虫抗生物質

E 乳酸産生菌を利用した化粧品

微生物と健康 「ヨーグルトに含まれるビフィズス菌と乳酸菌の役割とは?」[新井映子]

第4章 病原微生物と感染症

§1 細菌と感染症

1.グラム陽性菌[島村裕子]

A グラム陽性球菌

B グラム陽性芽胞形成桿菌

C グラム陽性芽胞非形成桿菌

2.グラム陰性菌[三宅正紀]

A グラム陰性球菌

B グラム陰性通性嫌気性桿菌:腸内細菌科

C グラム陰性通性嫌気性桿菌:ビブリオ科

D グラム陰性通性嫌気性桿菌:その他

E グラム陰性好気性桿菌

F グラム陰性偏性嫌気性桿菌

G グラム陰性らせん菌

H スピロヘータ

3.マイコプラズマ・リケッチア・クラミジア[大橋典男]

A マイコプラズマ(肺炎マイコプラズマ)

B リケッチア

C クラミジア

4.口腔内細菌[島村裕子]

A う蝕原因細菌

B 歯周病関連細菌

5.衛生指標菌[島村裕子]

A 一般細菌数

B 大腸菌群

C 腸内細菌科菌群

D 腸球菌

§2 ウイルスと感染症

[鈴木 隆,紅林佑希]

1.RNAウイルス

A カリシウイルス科

B アストロウイルス科

C ピコルナウイルス科

D トガウイルス科

E フラビウイルス科

F コロナウイルス科

G レトロウイルス科

H レオウイルス科

I オルソミクソウイルス科

J パラミクソウイルス科

K ラブドウイルス科

L フィロウイルス科

M ブニヤウイルス科

N アレナウイルス科

2.DNAウイルス

A ポックスウイルス科

B ヘルペスウイルス科

C アデノウイルス科

D パピローマウイルス科

E パルボウイルス科

F ヘパドナウイルス科

3.肝炎ウイルス

A A型肝炎ウイルス

B B型肝炎ウイルス

C C型肝炎ウイルス

D D型肝炎ウイルス

E E型肝炎ウイルス

4.プリオン

A 感染性プリオン病(獲得性プリオン病)

B 孤発性プリオン病

C 遺伝性プリオン病(家族性プリオン病)

§3 原虫・蠕虫・真菌と感染症

[大橋典男]

1.原虫と感染症

A 胞子虫類

B 鞭毛虫類

C 根足虫類

2.蠕虫と感染症

A 線虫類

B 吸虫類

C 条虫類

3.真菌と感染症

A カンジダ属

B アスペルギルス属

C クリプトコッカス属

D ニューモシスチス属

E スポロトリックス属

F 輸入感染症を起こす真菌

G 皮膚真菌症を起こす真菌

§4 感染症の一覧・治療

1.感染症の種類[増澤俊幸]

A 微生物性食中毒

B その他の消化器感染症

C 呼吸器系感染症

D 中枢神経系感染症

E 泌尿器系・生殖器系感染症

F 皮膚・軟部組織感染症

G 新興・再興感染症

H 人獣共通感染症(動物由来感染症)

2.食品衛生学上重要な感染症と原因微生物[大橋典男]

3.感染症の化学療法

A 抗菌薬の種類と治療法[増澤俊幸]

B 抗ウイルス薬の種類と治療法[鈴木 隆]

微生物と健康 「HACCP(ハサップ)」[三宅正紀]

第5章 免疫とアレルギー

1.免疫とは[曽根保子]

A バリアー機構

B 自然免疫

C 獲得免疫

D 免疫応答に関与する細胞群

2.体液性免疫と細胞性免疫[曽根保子]

A 抗原

B 抗体

C 補体

D 生体における免疫応答の例

3.生体防御を担う免疫系のネットワーク[大橋典男]

A 抗原提示

B リンパ球の活性化

C サイトカイン

D 細胞傷害機構

E 免疫のフィードバック制御

4.アレルギー(過敏症)[大橋典男]

A Ⅰ型アレルギー

B Ⅱ型アレルギー(細胞溶解反応)

C Ⅲ型アレルギー(免疫複合体型反応)

D Ⅳ型アレルギー(遅延型アレルギー)

E Ⅴ型アレルギー(受容体傷害反応)

5.食物アレルギーの表示について[大橋典男]

A 特定原材料等

B 特定原材料やそれに準ずるものの範囲

C アレルゲンの種類

D 仮性アレルゲン

E 複雑化する食物アレルギー

6.血液型と適合性[大橋典男]

A ABO式血液型

B Rh式血液型

7.自己免疫疾患と免疫不全[大橋典男]

A 自己免疫疾患

B 免疫不全症候群

8.予防接種[大橋典男]

A 生ワクチンと不活化ワクチン

B 定期接種と任意接種

C 血清療法

9.栄養と免疫[三浦進司]

A 免疫担当細胞における栄養素代謝

B 栄養素摂取の異常と免疫機能

C 免疫機能に影響する栄養素,食品成分

D 免疫栄養剤

10.運動と免疫[三浦進司]

A 運動と免疫機能

B 運動に対する急性免疫応答と運動終了後の変化

C 日常的な運動トレーニングと免疫機能

D 運動による免疫機能低下を抑制する栄養介入

E 運動誘発性アレルギー反応

免疫学からのメッセージ 「食物アレルギー疾病予防」[大橋典男]

第6章 腸内細菌叢とプロバイオティクス

1.腸内細菌叢[大橋典男]

A 腸内細菌叢

B 善玉菌と悪玉菌

C クロストリジウム・クラスター

D 腸内細菌叢のバランス

2.プロバイオティクス[小林麻貴]

A プロバイオティクスの定義と特性

B 期待される保健効果

3.プレバイオティクス・シンバイオティクス[小林麻貴]

A プレバイオティクス

B シンバイオティクス

4.その他の微生物が生み出す有用物質[小林麻貴]

A バイオジェニックス

B ポストバイオティクス

5.関連する機能性食品[小林麻貴]

A 機能性ヨーグルト

B サプリメント

C その他の機能性食品

微生物と健康 「透析患者とヨーグルト」[大橋典男]

付表 微生物の学名変更表

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書籍情報

  • ISBN:9784758113731
  • ページ数:256頁
  • 書籍発行日:2023年11月
  • 電子版発売日:2023年12月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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