Prof.山本の マイクロアレイ染色体検査入門

  • ページ数 : 136頁
  • 書籍発行日 : 2021年11月
  • 電子版発売日 : 2021年12月3日
¥4,400(税込)
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商品情報

内容

2021年10月より保険収載されたマイクロアレイ染色体検査.マイクロアレイ染色体検査の適用は?どのようなときに行うべきか?患者さんへの説明はどうしたらよいか?結果をどう解釈したらよいか?など,さまざまな疑問や注意すべきピットフォールについて,著者がわかりやく解説した入門書.イラストも多数掲載.

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序文

顕微鏡による染色体の分析方法が確立し,ヒトの染色体が46本からなることが明らかになったのは,今から60年以上前のことです.それからすぐにDown症候群の原因が21番染色体のトリソミーによることが明らかになりました.以来,様々な染色体異常がヒトの疾患にかかわっていることが明らかになってきましたし,染色体異常とその症状との関連から,染色体上での遺伝子の位置が推定されるようになり,遺伝学の大きな進歩がありました.そして2003年,ヒトの染色体を構成しているDNAの配列がヒトゲノムプロジェクトによって解読されました.ヒトゲノム配列が明らかになり,ヒトゲノムプロジェクトが終了しましたが,本当のヒトゲノムの時代はそこから始まることになります.

現在,ヒトの網羅的ゲノム解析の手段として用いられている次世代シーケンス技術は,断片化したヒトゲノムDNAの配列をランダムに解読し,ヒトの標準配列を参照して比較することによって行われています.つまり,ヒトの標準配列が定まっていないと解析できないのです.マイクロアレイ染色体検査もしかりです.マイクロアレイ染色体検査に用いられるプローブは,ヒトDNAの断片的な配列からなります.したがって,そもそもヒトの標準配列の情報がなければ全染色体を万遍なく調べるマイクロアレイを作成することはできなかったのです.2010年には,先天性疾患の診断において,G分染法に代わり,マイクロアレイ染色体検査をファーストチョイスとすることが欧米で提唱され,今や世界中でマイクロアレイ染色体検査が染色体検査の標準となっています.日本においては,国民皆保険という独自ルールのためなかなか一般診療に用いられてきませんでしたが,欧米から遅れること10年,ようやく保険収載されることとなりました.

保険収載を機に,マイクロアレイ染色体検査をさっそくやってみたいと思う先生方がたくさんいらっしゃることと思います.しかし,これまでに経験のない先生方にとっては,どのような場合に行うべきか,結果はどう解釈したらよいか,戸惑うことばかりかと思います.そのような先生方に,ベッドサイドでのマニュアル本をご提供致したく,ここに著した次第です.可能な限り簡単かつわかりやすく解説することを目指しました.どのような検査法や治療法にも,注意すべき点,やってはいけない点などがあります.そのようなピットフォールを,要点を押さえて解説することを目指しました.

本書は総論と各論に分かれています.総論部分ではどのような患者さんでマイクロアレイ染色体検査が適用になるのか?どのように説明したらよいか,などについて概説しました.不明なことがあれば必要な部分を参照ください.各論部分では,実際に戻ってきた結果をどのように解釈したらよいかを項目にわけて説明しています.実際に戻ってきた結果を患者さんご家族に説明する場合に参照いただけたらと思います.説明用資料もまとめてみましたので,ベッドサイドでご使用くださいますとありがたいです.

マイクロアレイ染色体検査についてさらに詳しいことがお知りになりたい先生方には,先行して販売されている拙著『臨床遺伝に関わる人のためのマイクロアレイ染色体検査』(診断と治療社)をぜひご参照ください.


2021年9月

山本俊至
東京女子医科大学ゲノム診療科教授

目次

巻頭資料

序文

マイクロアレイ染色体検査の保険適用にかかる内容

第1章 総論 マイクロアレイ染色体検査の基本

A マイクロアレイ染色体検査とは?

(1) Gバンド分染法との違い

(2) マイクロアレイ染色体検査のうちCGH法の基礎

(3) SNP法とCGH法の違い

(4) 検査結果の見方:染色体異常という場合とCNVという場合で何が違いますか?

(5) 染色体微細欠失を診断するFISH法との違い

(6) M-FISH(SKY)法について

(7) 高精度分染法について

B マイクロアレイ染色体検査の適用は?

(1) 患者さんへのマイクロアレイ染色体検査の適用

(2) マイクロアレイ染色体検査が適用とならない場合

(3) 劣性遺伝性疾患の場合

(4) マイクロアレイ染色体検査では検出できない疾患

C マイクロアレイ染色体検査特有の注意点

(1) CNVの臨床意義

(2) 二次的所見について

(3) モザイク

(4) マイクロアレイ染色体検査の限界

D マイクロアレイ染色体検査を実施するにあたりどのように説明したらよいか?

(1) 患者さんへの説明の前に

(2) 患者さんや家族への説明時に心がけること

(3) 説明の要点

資料 マイクロアレイ染色体検査の事前説明

第2章 各論I どのような所見がみつかる?

A 染色体微細欠失/重複

(1) 古典的染色体微細欠失症候群

(2) 古典的染色体微細欠失症候群領域の重複

(3) Prader-Willi症候群/Angelman症候群

(4) 15q重複

(5) LCRによる新規染色体微細欠失/重複症候群

(6) LCRによらない新規染色体微細欠失/重複症候群

(7) 染色体微細重複

B サブテロメア異常

(1) サブテロメア欠失症候群

(2) 不均衡転座

(3) 染色体均衡転座保因者診断

(4) de novo均衡転座

(5) INV-DUP-DEL

(6) 22番に関連した派生染色体

(7) 12pテトラソミー

C 複雑な構造異常

(1) 2か所以上のCNV

(2) 3重複

第3章 各論II マイクロアレイ染色体検査の結果が帰ってきたら

A CNV所見の解釈

(1) 確認すべき情報

(2) データベース検索

(3) 診断は間違いないか?

(4) 文献検索

(5) 典型的なbenign CNV

B LOH所見の解釈

(1) 欠失と一致するLOH

(2) 欠失と一致しないLOH

(3) 広範囲のLOH

C 両親解析が必要な場合

(1) 中間部欠失/重複をみつけたら

(2) サブテロメア欠失も均衡転座由来の可能性を考える

(3) サブテロメア重複

(4) 不均衡転座をみつけたら

(5) X染色体における欠失/重複

(6) X染色体がかかわる転座

(7) 親世代のモザイク保因者の可能性

(8) LOHは両親解析を行うとハプロタイプから由来も同定可能

D さらに踏み込んで

(1) 劣性遺伝性疾患の可能性は?

(2) 何も所見がなかったら?

(3) DECIPHER登録

(4) 複雑な構造異常

(5) Gバンド分染法との結果の齟齬


おわりに

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書籍情報

  • ISBN:9784787880062
  • ページ数:136頁
  • 書籍発行日:2021年11月
  • 電子版発売日:2021年12月3日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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