小児救急治療ガイドライン 改訂第4版

  • ページ数 : 564頁
  • 書籍発行日 : 2019年7月
  • 電子版発売日 : 2024年2月27日
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商品情報

内容

小児救急現場のバイブルが各領域の精鋭執筆陣による最新の知見を得てアップデート

総論と主要徴候,おもな救急疾患に分けて執筆された各項目では,必要なページにすぐアプローチでき、具体的な診療の手順、治療法、使用する薬剤、保護者への説明のポイントまで、診療の場で有益な情報がわかりやすく伝えられる.小児救急に携わるなら必ず手許に置きたい1冊.

序文

改訂第4版の序

市川光太郎先生のご逝去から約半年がたとうとしています.最近になってふとした瞬間,市川先生のご不在を改めて実感するようになりました.新しい病院で新しい研修医を迎えたこの春,喪失感から立ち直り市川先生が命を削りながら作って来られた小児救急の理想を形にして第一歩を踏み出さなくてはいけないと気持ちを新たにしています.

市川先生は常々,小児の救急受診は軽症で当たり前,重症化する手前ですくい上げ適切な治療を提供しお返しする,地域格差なくどこに住んでいても適切な医療が受けられる,明け方,夜間にしか受診できない家庭が存在する今の子供を取り巻く環境を理解する,それが本来の小児救急のあるべき姿であると言われてきました.

また昨今は心身障害を有した複合疾患の増加に心を痛め,次への取り組みを開始されていました.虐待を主とした不適切な養育環境で育てられ誰にも気づかれない,救われない要保護児童,医療難民となりがちな思春期の子供達の自殺企図や不登校など,今までともすれば一般小児科医が避けようとしてきた,遠い位置にあると思われてきた現実を,小児救急の現場で確かに自覚すること,救急現場はそういった生命の危機をかかえる子供達の最初の受け入れ先になってきていることを強調されてきました.虐待を気づく観察力,洞察力,知識を身につけ,小児救急における1 つの学問として発展させ,声なき子供達の叫びを絶対に見逃すなと何度も言われてきました.小児救急に係わる行政には地域毎の温度差は間違いなく存在し,また熱い思いはあっても医師数の地域格差により小児救急を小児科医のみが担うことが不可能な地域など自治体が抱える様々な問題も山積みです.常に謙虚に!

これからの日本を,世界を,引き継いでいく次の世代を守り慈しみ,そして今後の小児救急医療を担っていく小児科医が,今おかれているそれぞれの場所で市川マインドを心の片隅にとどめて頂けることを切に望んでいます.そして市川光太郎先生が病の床から最後まで情熱を注ぎ監修をされ続けたこの書が末永く子供の医療に携わるすべての医療従事者の一助として側に置いて頂けることを心から願っております.


令和元年5月

北九州市立八幡病院副院長
北九州市立八幡病院小児救急・小児総合医療センター
天本正乃

目次

Ⅰ 総 論

A 小児救急医療の特徴 市川光太郎

B 小児救急外来トリアージ 市川光太郎

C 小児呼吸管理の基本 西村奈穂

D 小児心肺脳蘇生の基本 新田雅彦

Ⅱ 主要徴候

A ショック 志馬伸朗

B 多臓器不全 齊藤 修

C 重篤感染症・SIRS/sepsis 柳井真知

D 意識障害 河野 剛

E けいれん重積 石井雅宏,下野昌幸

F 不整脈 久保 実

G 呼吸困難 田村卓也

H 胸 痛 中村太地,太田邦雄

I 高熱・不明熱 明神翔太,笠井正志

J 脱 水 岡本吉生

K 腹痛・下血 靍 知光

L 嘔吐・吐血 山内勝治,米倉竹夫

M 紫斑・出血傾向 安井昌博

N 発 疹 富田一郎,天本正乃

Ⅲ おもな救急疾患

A 中枢神経系疾患

1.急性脳炎・急性脳症 大前禎毅

2.化膿性髄膜炎 長村敏生

3.熱性けいれん 石橋紳作

4.無熱性けいれん 天本正乃

B 呼吸器疾患

1.下気道感染症 尾内一信

2.百日咳 岡田賢司

3.気管支喘息・喘息性気管支炎 種市尋宙

4.気 胸 吉元和彦

5.急性細気管支炎 加納恭子,平井克樹

6.クループ症候群・急性喉頭蓋炎 黒崎知道

7.急性呼吸窮迫症候群 北村真友

8.頸部感染症 市川光太郎

9.生後3か月未満児の発熱 大田千晴

C 循環器疾患

1.先天性心疾患の救急医療 松裏裕行

2.心筋炎・心筋症 山本英一

3.感染性心内膜炎 寺井 勝

4.川崎病 浜田洋通

D 消化器疾患

1.イレウス 吉村翔平,松藤 凡

2.急性虫垂炎 渡井 有

3.感染性胃腸炎 松永健司,竹迫倫太郎

4.腸重積症 久保 実

5.急性腹症 浮山越史

E アレルギー疾患

1.アナフィラキシー・食物アレルギー 津田文史朗

2.IgA血管炎(アレルギー性紫斑病) 泉 裕之

F 代謝・内分泌疾患

1.低血糖・代謝性アシドーシス 李 知子,竹島泰弘

2.糖尿病 泉 維昌

3.甲状腺疾患 林 眞夫

G 血液疾患

1.貧 血 興梠雅彦

2.出血性疾患 稲垣二郎

3.腫瘍性疾患 神薗淳司

4.ウイルス関連血球貪食症候群 永井功造,石井榮一

H 泌尿器・生殖器疾患

1.急性腎不全・急性腎障害 島袋 渡,郭 義胤

2.急性腎炎 大部敬三

3.ネフローゼ症候群 西尾利之

4.尿路感染症 高野健一

5.外科的泌尿器・生殖器疾患 山口孝則

6.子どもの産婦人科救急疾患 増﨑英明

I 境界・事故関連の傷病

1.誤飲・誤嚥 西山和孝

2.頭部外傷 荒木 尚

3.腹部外傷 杉山正彦

4.四肢外傷~特にその応急処置~ 井上信明

5.溺 水 有吉孝一

6.熱 傷 西山和孝

7.中 毒 林 卓郎

8.熱中症 平本龍吾

9.児童虐待 市川光太郎

10.急性中耳炎・急性鼻副鼻腔炎 河野正充,保富宗城

11.ヘルニア嵌頓 伊崎智子,田口智章

12.歯の損傷 平野慶子,仲野道代

13.精神症状および心理社会的問題 奥山眞紀子

14.思春期危急疾患 市川光太郎

15.突然死への対応 村田祐二

16.予防接種 岡田賢司

付録 小児救急現場における使用薬剤一覧

1.心肺蘇生薬と集中治療薬 阿部世紀

2.抗けいれん薬 伊藤陽里

3.喘息治療薬 林 拓也

4.ステロイド薬 中林洋介

5.鎮静・麻酔薬 植松悟子


索引

Column

Column 1  腹痛・嘔吐時にはすぐに末梢循環状態,脈拍,血圧,SpO2のチェックを!

Column 2  溶連菌性膿痂疹はKaposi水痘様発疹と酷似!

Column 3  炎症反応軽微な細菌性髄膜炎は皮膚洞を探せ!

Column 4  胸部X線の読影は慎重にかつCTRも常に計測するくせをつけるべき!

Column 5  血痰に,ヘモジデリン貪食細胞陽性!

Column 6  「喉が切れた」と片づけられた肺ヘモジデローシスの血痰!

Column 7  先天性喘鳴のはずが,pulmonary slingだった?

Column 8  斜頸はよく遭遇するが,時に珍しい疾患が!

Column 9  発赤・腫脹しているし,頸部化膿性リンパ節炎のはずが…!

Column 10 3か月未満児の発熱はどこまで検査するの?

Column 11 再び寄生虫疾患が増えている!?

Column 12 年長児の腸重積症は必ず器質的疾患はあるものと考えるべし!

Column 13 腸重積ではイチゴジャム,Meckel憩室ではブルーベリージャムの血便が!

Column 14 重症食物アレルギー児のアナフィラキシー発作の原因はダニだった!

Column 15 貧血,血小板増多,高蛋白血症で見つかったCastleman病

Column 16 病巣不明熱の精査では腹部造影検査も不可欠かも!?

Column 17 母親指導はもしものことも一言加えていたほうがよい!

Column 18 母親は育児で孤軍奮闘している! 育児ストレスへの配慮が不可欠!

Column 19 誰も知らない,子どもの骨折! 誰かがしたはずなのに!

Column 20 虐待を疑う熱傷とは?

Column 21 銀杏中毒では催吐は禁忌!

Column 22 耳鼻科で押さえつけられたから頭が腫れた!?

Column 23 なぜ,そこまでするの? 自傷

Column 24 ガス壊疽感染症!? 母親を心配させるための自傷行為だった!

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書籍情報

  • ISBN:9784787881410
  • ページ数:564頁
  • 書籍発行日:2019年7月
  • 電子版発売日:2024年2月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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