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基礎医学と臨床医学、AIと数理科学+勘と経験を駆使し、俯瞰的アプローチで攻略する 地域外来医・専門医のための心不全診療実践マニュアル

  • ページ数 : 396頁
  • 書籍発行日 : 2021年2月
  • 電子版発売日 : 2021年8月4日
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商品情報

内容

全集中で心不全を攻略する実践の書!

心不全診療に特効薬はない。心エコー学、放射線学、薬理学、症候学、大規模臨床研究、ガイドライン・政策、分子生物学、数理科学・AIを駆使した全方向からのアプローチが必要だ。心不全診療に精通し、首尾一貫した戦略をとる著者による、診療歴40年の経験と知恵が詰まった1冊。

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序文

緒言

心不全は、Godzillaのような巨大モンスターである。巨大モンスターには通常、目に見える弱点がない。弱点がないからモンスターになりうるのである。2020年初頭から猛威を振るっている新型コロナウイルスで、世界中の方々が戦々恐々としている。新型コロナウイルスの感染の機会を最小限にするために、不要不急の外出を制限しているが、新型コロナウイルスのワクチンが出現して、治療薬ができれば新型コロナウイルスはさほど恐ろしいものではないと考えられる。これに対して心不全は、心臓収縮性が低下していても維持されていても、起こりうる。確かに神経体液因子であるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系や交感神経系が関与するのだが、それだからと言ってACE阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬、アルドステロン拮抗薬やβ遮断薬が心不全の特効薬にはなりえていない。心不全のガイドラインに有効であると言われているすべての心不全薬を投与しても、心不全は完全に良くならない、それどころかこれらの薬剤を投与しても全く効果のない症例も出てくる。心不全治療薬のうち、利尿薬を用いると症状は軽減するが予後は良くしない、強心薬を用いると心不全症状は軽減されるが生命予後は悪くなる、心臓移植はすべての方が恩恵を被れない。では、一体どうすればいいのか?

実は、この実態が、心不全の巨大モンスターたるゆえんである。モンスターは日本で言えば“ヤマタノオロチ(八岐大蛇)”である。八岐大蛇は「1つの胴体に8つの頭、8つの尾を持ち、目はホオズキのように真っ赤であり、体にはコケやヒノキ、スギが生え、8つの谷と8つの丘にまたがるほど巨大で、その腹はいつも血でただれている」とされている。いかにも恐ろしい。八岐大蛇にお酒を飲ませて眠らせて、その頭をはねたのが、八岐大蛇退治で有名なスサノオノミコト(素戔嗚尊)であった。

でも、心不全に対しては、“八岐大蛇に対するお酒“のような特効薬がない。その“心不全オロチ”を退治するためには、“心不全オロチ”の一つひとつの頭を、根気よく順次はね落としていくしかない。心不全のおのおのの頭が何であるか知るためには、心不全における心エコー学、放射線学、薬理学、症候学、大規模臨床研究、ガイドライン・政策、分子生物学、数理科学・AIの8つの頭に対して精通しなくてはいけない。ところがこれまで、そのようなコンセプトで書かれた心不全の専門書はなかった。それを憂えた私は、私と私を支えてくださった医療関係者の英知をここに集結しようと思い立った。でも、スサノオノミコトのように、一人の循環器専門医が“心不全”のありようをお伝えするほうが首尾一貫した戦略が伝わると考え、一人でまとめてみた。単著のため不備な点が多々あるかと思う。ぜひ、ご一読いただいて諸家のご批判を仰ぎたい。そして、皆さんと一緒に“心不全オロチ”を克服したい。それが、心不全パンデミックと言われる現状を打破する唯一の方法論だと思われる。それは患者さんのためであるし、日本のため、世界のためであろうと考える。皆さんが、スサノオノミコトになるために本書が存在する。


2021年(令和3年) 春

北風政史

目次

【Ⅰ章 心不全とは】

1. はじめに

2. 心不全の定義と疫学

3. 心不全の分類

4. 心不全は心血行動態の障害から始まる

5. 心不全は心ポンプ機能低下の問題でない?

臨床に役立てる俯瞰の目

<Column> β遮断薬の検討

【Ⅱ章 患者から見た心不全診療】

1. 大動脈弁狭窄症

2. 急性左心不全

3. 高血圧性心不全

4. 拘束型心筋症

5. 急性心筋炎

6. 頻脈誘発性心筋症(tachycardia-induced cardiomyopathy)

7. 高血圧性心筋症または肥大型心筋症拡張相

8. 珍しい三尖弁閉鎖不全症

<Column> 大切なメッセージ

9. 高齢者の心不全診療

〔急性心不全〕

〔慢性心不全〕

10. 心不全の緩和医療

<Column> kick the bucket

臨床に役立てる俯瞰の目

【Ⅲ章 個別の心血管疾患から見た心不全診療】

1. 大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)

2. 大動脈弁逆流症(aortic regurgitation:AR)

3. 僧帽弁狭窄症(mitral stenosis:MS)

4. 僧帽弁逆流症(mitral regurgitation:MR)

5. 三尖弁逆流症(tricuspid regurgitation:TR)

6. 拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy:DCM)

<Column> APOLLO試験

7. 肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)

8. 二次性心筋症

<Column> ミトコンドリア心筋症

9. 高血圧性心不全(hypertensive heart disease:HHD)

10. 虚血性心疾患

臨床に役立てる俯瞰の目

【Ⅳ章 実臨床から見た心不全診療】

1. 臨床的観点から見た心不全とは

2. 急性心不全とは

3. 急性心不全の成因・誘因

4. 急性心不全の病態

5. 急性心不全の治療

6. 慢性心不全とは

<Column> 心不全患者さんの水分摂取

7. 慢性心不全の治療

臨床に役立てる俯瞰の目

【Ⅴ章 他臓器疾患から見た心不全診療】

1. 腎機能障害

2. 糖尿病

3. 高血圧

4. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

5. 貧血

6. がん

7. フレイル・サルコペニア

臨床に役立てる俯瞰の目

【Ⅵ章 薬理学から見た心不全診療】

1. 急性心不全の治療薬

2. 急性心不全の治療薬をいかに組み合わせて治療するか?

3. 慢性心不全の内服薬治療

臨床に役立てる俯瞰の目

【Ⅶ章 心不全の歴史から見た心不全診療―温故知新】

1. 心不全学の歴史

2. 20世紀前半までの心不全の考え方

3. 20世紀後半の心不全の考え方

<Column> ラプラスの法則を心臓に応用する?

4. 心不全治療の考えに心臓力学を取り入れたことの功罪

5. ジギタリスの位置づけ

6. 心不全への新しい考え方―神経体液因子の概念の導入

<Column> ネガティブデータも論文に

7. 心不全治療への新しい考え方―心臓移植と補助循環そして心筋細胞・遺伝子療法

【Ⅷ章 心臓生理学から見た心不全診療】

1. 心臓の働き

2. 筋細胞における心筋収縮のメカニズム

3. 心筋収縮とCa★2+★-生化学的観点

<Column> 新たな知的創造に不可欠なCa★2+★シグナル

4. 心筋収縮・弛緩の生理学

5. 心室収縮の生理学

6. 心室弛緩の生理学

7. 心臓生理学から見た心不全

臨床に役立てる俯瞰の目

【Ⅸ章 システム生理学から見た心不全診療】

1. 心臓を中心としたシステム生理学

2. システム生理学から見たHFrEFとHFpEF

<Column> 心臓から拍出された血液が心臓に影響を及ぼす理由

3. システム生理学から見た低拍出性心不全と高拍出性心不全

4. 神経調節から見たシステム生理学

臨床に役立てる俯瞰の目

【Ⅹ章 大規模臨床研究から見た心不全診療】

1. 臨床研究とは何か?

2. 臨床研究で何を知りたいか?

3. 心不全治療におけるACE阻害薬

4. 心不全治療におけるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin Ⅱreceptor blocker:ARB)

5. ACE阻害薬とARBの違い

6. 心不全治療におけるMRA(mineralocorticoid receptor antagonist)

7. 心不全治療におけるβ遮断薬

8. 心不全治療におけるカルペリチドとネシリチド

<Column> カルペリチドの添付文書

9. 心不全治療におけるサクビトリルバルサルタンナトリウム水和物

10. 心不全治療におけるSGLT2阻害薬

11. 心不全治療におけるスタチン

12. 心不全治療におけるトルバプタンの有用性

13. 心不全治療におけるその他の薬物治療の有用性

14. 心不全治療における心臓再同期療法

15. 心不全治療における心臓移植と補助循環

16. 心不全治療における観察研究からの成果

臨床に役立てる俯瞰の目

【Ⅺ章 ガイドラインから見た心不全診療】

1. 急性心不全と慢性心不全を一本化

2. エビデンスのレベル

3. 心不全診断のフローチャート

4. 心不全治療のフローチャート

臨床に役立てる俯瞰の目

【Ⅻ章 循環器5カ年計画から見た心不全診療】

1. 心不全の疫学とそのトレンド

2. 心不全病態把握の問題点

3. 心不全治療の問題点

4. 心不全予防の問題点

5. 急性心不全における救急医療体制にかかわる問題点

6. 慢性心不全にかかわる医療体制の問題点

7. 心不全にかかわる研究の問題点

8. 心不全克服5カ年計画の理念と目標

<Column> 心不全にかかわる事業とその裏方たち

【ⅩⅢ章 分子生物学・ゲノム医学から見た心不全診療】

1. 最低限知っておきたい心筋細胞内シグナル伝達機能

2. 不全心における分子生物学的調節

3. 心筋疾患に見られる遺伝子異常

4. 心筋疾患に見られる遺伝子発現異常

臨床に役立てる俯瞰の目

【ⅩⅣ章 数理科学から見た心不全診療】

1. 心不全症例の予後のスコア化

2. 心不全症例の予後の数式化

3. 心不全症例の予後数式化の実際

<Column> データの集め方

4. 心不全症例予後の数式化から見えてくる心不全医療のピットホール

5. 血漿中BNPレベルから見た心不全症例予後の数式化

臨床に役立てる俯瞰の目

【ⅩⅤ章 ビッグデータ・AIから見た心不全診療】

1. データ中心科学へ至る道

2. データマイニングの考え方

3. 心不全におけるデータマイニング

臨床に役立てる俯瞰の目

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書籍情報

  • ISBN:9784840475105
  • ページ数:396頁
  • 書籍発行日:2021年2月
  • 電子版発売日:2021年8月4日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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