introduction

Modic変性とは椎間板高が減少し，その変化が椎体終板に発生する現象である。これらの腰椎の椎体終板変性はModicにより報告されたために一般的にはModic変性とよばれている。椎体終板はMRIのT1強調画像で低輝度，T2強調画像で高輝度を呈するModictype 1，T1強調画像，T2強調画像でともに高輝度を呈するtype 2，さらにT1，T2強調画像で低輝度を呈するtype 3に分類された。最近のレビューによると，腰椎にその変性を認める割合は14％であり，変性の程度は年齢に比例し，10年間で6％の増加を認めることが報告されている。Modic変性の分類では，type 2が多く，次にtype 1であり，type 3が最も少ない。

Modic type 1はなんらかの微小炎症の存在，Modic type 2は脂肪髄化，Modic type 3は骨硬化像が示唆されてきた。そのため，腰痛に関してはModic type 1が最も注目されている。最近の82の研究のレビューによると，腰痛とModic type 1と非特異的腰痛との相関は見出されている。

Modic変性は若年者でも問題である。平均年齢16.5歳，207名の解析では，14.0％にModic変性を認め腰痛の症状は有意に長く，椎間板変性の進行，Schmorl結節の存在，すべり症への移行がそれぞれ4～6倍高いことが報告された。ただし，依然として解明されていない病理学所見，臨床症状，治療方法が多く存在する。

本稿ではまずは，「Modic変性の特徴と病理組織学的変化」を井上雅寛先生にご解説いただいた。そして，Modic変性と臨床症状に関して，小林賢司先生に「腰椎椎間関節変性とModic変化および椎間板変性との関連－南会津スタディ－」を，添田沙織先生に「アスリートのtype 1 Modic変化－競技中動作を踏まえた診断から治療まで－」を，山田清貴先生に「高齢者腰椎変性側弯症における椎体終板骨髄浮腫と腰痛」をテーマとしてご解説いただいた。保存療法として，杉浦史郎先生に「Modic変性を伴う腰痛患者に対するリハビリテーション」を，葉　清規先生に「Modic変性を伴う腰痛患者に対するリハビリテーション2－ピラティスメソッドに基づいたmotor controlの運動療法－」をご説明いただいた。侵襲的な加療として，川端走野先生に「Modic change type 1を有する腰痛患者に対するPRP椎間板内投与」，佐藤　雅先生に「術前のModic changeの有無と術後の変化に着目した腰椎椎間板ヘルニア術後成績の検討」を，小島　敦先生に「Modic type 2 changeを有する慢性腰痛の現役力士に対する全内視鏡下椎間板内洗浄術の経験」を，穂積崇史先生に「Modic変性が腰椎固定術の術後成績に与える影響：OLIFでの検討」をご解説いただいた。どの内容も最新の知見であり，皆様に裨益するところが大きいと思うので，是非ご参考にしていただければ幸いである。

千葉大学大学院医学研究院
整形外科学
大鳥精司