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- 図解 誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケア―食事のはじめからおわりまで 第2版
商品情報
内容
医療現場、介護現場で適切な食事ケアができる見てわかる誤嚥を防ぐポジショニング
少子高齢化が進行し、誤嚥性肺炎や窒息、低栄養、フレイルなど“食”に関する健康問題が山積するなか、健康寿命をいかに延ばすのかが大命題になっている。
本書では健康回復やQOLの向上に寄与する適切なポジショニング、口腔ケア、呼吸ケア、食事介助、リスク管理など、“ケアされる人”の食べるよろこびにつながる食事ケアの深化した技術を、理論的根拠や事例とともにわかりやすく紹介。病院や施設の看護師をはじめとする医療スタッフ、在宅での介護者などすべての“ケアする人”に向けて改訂された第2版。
序文
序
2013年5月の初版から10年余の時を経て第2版を刊行することができました.今や人生100年時代となり,健康寿命をいかに延ばすのかが大命題になっています.一方,少子高齢化は進行し続け,誤嚥性肺炎や窒息,低栄養,フレイルなど“食”に関連する健康問題が山積しています.2020年からの新型コロナウイルス感染症では,食事環境が一変しました.その厳しい環境のなかでも懸命に食事ケアを通して,看護や介護の質を守り続けた人たちがいます.食事ケアの基本である適切なポジショニングは,生活モデルの実践として健康回復やQOLの向上に寄与することが,この10年間に,ケアする人たちによって証明されてきました.
食事ケアの基本技術は,ポジショニング,口腔ケア,呼吸ケア,食事介助,リスク管理などです.本書の初版を用いた体験型ポジショニング研修では,参加者から「目からウロコ」「患者さんに,つらい思いをさせていたと反省」「バスタオル1枚で楽になり驚いた」などの感想を毎回いただきました.身体の快・不快感覚は,ケア行動を変化させるきっかけになります.研修会後に,笑顔で食べる対象者さんの便りが届くとうれしいものです.本書では,食事ケアの発展という執筆者たちの願いを込め,ポジショニングを中心に実践や研究を通して深化した技術について,理論的根拠を示しつつ,わかりやすい著述につとめました.
本書の特徴および活用法は,①10年間に深化した「誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケア」を余すことなく紹介,②ポジショニングの過程を論理的に記述し,アセスメントから計画,実施,評価までを体系化することで,回復過程に沿って変化に対応できる,③基本スキルは施設や在宅など,すべての食事援助とともに口腔ケアや嚥下評価,摂食嚥下リハビリテーションなどの基本姿勢として活用できる,④食事援助のポイントでは,リスク管理として誤嚥・窒息ケアをより実践的に紹介,⑤ポジショニング効果としての事例や活動では,ポジショニングで何が起こるのか,対象の“幸せや感動”“ケアする人の努力やよろこび”が表現され心が動かされる,⑥食に関連する最先端の研究者や実践者が,コラムとして専門的な知見を紹介され,新たな知識や専門性を拡げることに役立つ,⑦ポジショニングは環境の良否が影響するため,効果的な便利グッズを写真入りで紹介などです.
適切なポジショニングは,“ケアする人”と“ケアされる人”の相互成長を促し,食べるよろこびを支え合うことができます.基本スキルを押さえると対象の表情も変化し,安全で安楽な気持ちよいケアとなります.ポジショニング技術の習得は,チームで繰り返し体験的に学習することが最良です.本書が多くの臨床や教育現場で役立つ実践書になることを願っています.
最後になりましたが,執筆者や写真のモデルの方々,改訂版刊行にご尽力いただいた株式会社三輪書店,ニイ編集室の新居功三氏をはじめ,多くの方々のご支援とご協力をいただきました.謹んで感謝申し上げます.
2025年1月
迫田 綾子
目次
誤嚥を防ぎ,安全に食べるためのポジショニング 7つのポイント・・・迫田綾子
「誤嚥を防ぎ,安全に食べるためのポジショニング」の実際・・・迫田綾子
ポジショニングで知っておきたいメカニズム
摂食嚥下運動の5期モデル
誤嚥の種類(Logemann, J.A.による分類)
頸部前屈位
頭部と頸部の屈曲と伸展
舌の位置と姿勢
口腔,咽頭・喉頭・食道
嚥下筋群(舌骨筋群)
舌骨上筋と舌骨下筋
第1章 おさえようポジショニングの基本
① 食事におけるポジショニング・・・迫田綾子
1 食事におけるポジショニングの意義
2 ポジショニングとは何か
3 ポジショニングの方法と効果
4 ポジショニング実施時のポイント
② 摂食嚥下のメカニズム・・・佐藤幸浩
1 摂食嚥下にかかわる解剖
2 摂食嚥下のメカニズム
③ 誤嚥・・・佐藤幸浩
1 誤嚥とは
2 誤嚥リスクのある疾患
3 誤嚥の種類
④ ポジショニングにおける倫理的配慮・・・迫田綾子
1 倫理的配慮とは
2 倫理的行動のための基本原則
3 倫理的行動のための課題解決のプロセス
4 事例紹介
5 看護師としての倫理
第2章 食事姿勢のアセスメントと計画
① 食事のアセスメント・・・迫田綾子
1 食事のアセスメントの意義
2 食事姿勢のアセスメント[観る]
3 食事姿勢選択のためのアセスメント[考える]
4 ポジショニングの目標と計画[決める]
5 実施[動く]
6 評価[わかる]
第3章 ポジショニングの実際
① ベッド上での姿勢を整える・・・北出貴則
1 姿勢調整のポイント
2 ベッド上の寝位置確認と修正
3 ベッド上座位姿勢での頭頸部ポジションの調整
4 圧抜き(背,足,腰[殿部],頭)
5 ベッドポジショニングにおけるリスク管理および考慮点
② ベッド上での食事のポジショニングと介助・・・竹市美加
1 食事開始前の準備
2 食事前のポジショニング
3 食事中のポジショニング
4 食事後のポジショニング
5 リクライニング角度の選定
6 リスク管理
③ 完全側臥位法による食事ケア・・・福村弘子
1 完全側臥位法
2 完全側臥位法の実際
3 完全側臥位頸部回旋
④ 車いすでの姿勢を整える(車いすのポジショニング)・・・北出貴則
1 姿勢調整のポイント
2 標準型(普通型)車いすのポジショニング
3 調整型(モジュラー型)車いすのポジショニング
4 姿勢変換型車いすのポジショニング
5 車いす上での座位姿勢修正と圧抜き
6 車いすにおけるリスク管理と考慮点
⑤ 在宅における食事のポジショニング・・・沖田啓子
1 在宅における摂食嚥下障害者の目標
2 在宅における摂食嚥下障害の問題点
3 在宅での食事評価とポジショニング
4 在宅における食事への不安
5 患者・家族指導
第4章 食事援助のポイント
① 自力摂取をめざした安全な食事援助・・川端直子
1 食べる意欲を引き出す援助
2 食事介助のポイント
3 食事の自立に向けたリハビリテーション
② 誤嚥時のリスクとケア・・・定松ルリ子
1 誤嚥を疑う症状とアセスメント
2 誤嚥リスクのある食べかたと予防ケア
3 誤嚥しやすい食品
4 誤嚥発見時のケア
③ 窒息時のケア・・・迫田綾子
1 窒息とは
2 窒息のリスク
3 窒息リスクのアセスメント
4 窒息の症状
5 窒息を予防するケア
6 窒息しやすい食品
7 窒息時のケア
④ 患者と家族への指導・・・川端直子
1 指導内容をわかりやすく
2 退院指導のポイント
⑤ 嚥下調整食・・・沖田啓子
1 嚥下調整食とは
2 嚥下調整食の分類
3 嚥下調整食の選択と使用方法
4 とろみの分類
5 とろみ段階の選択ポイント
6 とろみ調整食品の選択と使用方法
第5章 食べるための口腔ケア
① 口腔ケア・・・迫田綾子
1 口腔ケアとは
2 口腔環境と口腔問題
3 病期別の口腔ケア
② 口腔ケアの方法・・・迫田綾子
1 口腔ケアの進めかた
2 自立度別の口腔ケアとポジショニング
3 口腔ケアにおけるリスク管理
③ 口腔ケアの実際・・・有友たかね
1 口腔ケアはいつするか
2 口腔ケアを効果的に行うポイント
第6章 嚥下障害がある対象の服薬
① 服薬とリスク管理・・・髙橋清美
1 医原性の嚥下障害とは
2 薬理作用と有害反応
3 摂食嚥下機能に影響を与える薬剤
4 抗精神病薬服用者が安全に服薬するための留意点
5 抗精神病薬の錐体外路症状と摂食嚥下障害
6 精神症状を有する人が安全かつ確実に内服するには
7 多剤併用と摂食嚥下障害への影響
② 安全な服薬法・・・髙橋清美
1 摂食嚥下障害のある人の服薬
2 ゼリーを用いた錠剤の内服
3 そのほかの内服法
4 錠剤粉砕から簡易懸濁法へ
5 口腔内崩壊錠の注意点
③ 与薬時のポジショニング・・・中村清子,栗原正亮
1 安全な服薬のために
2 飲みやすい薬剤の選択
3 服薬方法の工夫
4 服薬時の注意点
5 服薬時の姿勢
6 服薬後の観察と注意点
第7章 ポジショニングの効果
① あきらめない看護:経口摂取獲得で食べる喜びから生きる喜びへ・・・芳村直美
② 医療的ケア児へのポジショニングと食べることへのケア・・・金 志純
③ 在宅での食事援助とポジショニング・・・竹市美加
④ 認知症対応型共同生活介護での食事支援とポジショニング:老人看護専門看護師の立場から・・・柳澤美直代
⑤ 誤嚥を繰り返す人のポジショニングと効果・・・近藤泰子
⑥ 回復期のポジショニングから食事の自立をめざすチームケア・・・山本梨花子
⑦ 特別養護老人ホームでの看取り期における食事のポジショニングと食事支援・・・嘉屋幸代
⑧ 精神科での安楽なポジショニングと食事・・・多田茂伸
⑨ 療養型病棟での適切なポジショニングと口腔ケアへ・・・小西美智子,先家道子
付録
① 食事の自立のための便利用品・・・川端直子
② ベッド・車いすのポジショニングに使用する便利用品・・・北出貴則
③ ポジショニングに使用する便利用品・・・迫田綾子
④ トレーニング用ポジショニング技術・・・迫田綾子
Column
サルコペニアと嚥下障害・・・若林秀隆
KTバランスチャート(KTBC)による包括的食支援・・・小山珠美
リハビリテーション栄養を看護へ・・・内橋 恵
現状確認ツールIMADOKO・・・大井裕子
デンチャースペース義歯と姿勢・・・加藤武彦
食べられる口づくり・・・黒岩恭子
認知症の人の食事とケア・・・原 等子
地域の多法人・多職種で食支援・・・谷合久憲
看護の技を地域へ・・・田畑千穂子
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書籍情報
- ISBN:9784895908375
- ページ数:224頁
- 書籍発行日:2025年2月
- 電子版発売日:2025年2月7日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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