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驚異のエピジェネティクス

中尾 光善 (著)

羊土社

  • ISBN : 9784758120487
  • ページ数 : 215頁
  • 書籍発行日 : 2014年6月
  • 電子版発売日 : 2015年5月8日
  • 判 : 四六判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
販売価格 (ダウンロード販売)
¥2,640 (税込)
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商品情報

食事で、環境で、ストレスで…あなたの運命<プログラム>は換わる!

「生命のプログラム」とは何であろうか。本書はこの究極の謎に迫ろうとするものである。
その不思議なしくみを解き明かす“エピジェネティクス”研究の世界を、予備知識がなくても堪能できる一冊。

■ 序文

まえがき


旧交のある小児科医が集まったときに,ひとりがこう切り出した.「最近,若い人のスタイルが変化してきた?」 幾人かがうなずいた.おそらく,そう感じている方も少なくないのであろう.まもなく戦後70 年,徐々に身体的な変化が目に見えるようになってきた気もする.ものの見方というか,考え方もそうかもしれない.実際に,日本人は変わってきたのだろうか.

子どもや若者の中に,顔立ちは端正,背が高く足長で,スタイル抜群の人がいる.そういう人が増えてきたという感覚である.テレビや映画の中の特別な存在ではなく,ふつうに街を歩く人,ふつうの学生,言わば,私たち自身においてである.

人類の歴史の中で,こんなに短い間に,目に見えるように,ヒトは変わるのだろうか.もしもそうだとすると,現代人は,ヒトとして大きな変化の時代に生きているということである.こう考えている時に,文部科学省による平成24 年度「学校保健統計調査」の中に,興味深いデータを見つけた.次のページのグラフを見てほしい.8歳,11歳,14歳,17歳の時の体格(上から身長,体重,座高)について,祖父母世代(55年前),父母世代(30年前),子世代(現在)を比較したものである.この全国的な調査によると,男女ともに,体格の平均値は,祖父母,親,子の順に高くなっている.確かに体格はよくなってきている.

やや意外であったのが,この体格の伸び幅は,祖父母世代から父母世代の間で大きく,父母世代から子世代の間では,少し伸びた程度であることだ.しかも,成長がほぼ完了する17歳の時では,父母世代と子世代の間の差はほとんどなくなっている.スタイルのよさは,子世代の若者に目立つと思っていたが,実は,その父母世代が獲得した特徴というわけである.祖父母から父母の世代間で起こった変化が,父母世代から子世代に伝えられている.掘り下げてみると,これは科学的にどうしてなのだろう.

もう少し私たち自身のことを考えてみよう.食べる,動く,眠るというのは,いつもの活動であるが,私たちの身体の中では,目には見えないところで,数多くの細胞や遺伝子が必死に働き合っている.1つ1つの細胞が小さな生命をもっていて,この細胞がすべて合わさったものが私たちひとり分の生命になっているのだ.何とも不思議な現実である.「ヒトは,単細胞だった?」その通り,元をたどれば,誰でも1個の細胞であった.1つの受精卵として誕生し,それが60 兆個もの細胞に増えて,ヒトひとりの身体がつくられている.そして,成長の中では,大体に同じ時期に,立って,歩いて,言葉を聞いて,話すようになる.学習しながら,知識や社会性を段々に身につけていく.

それでは,人生の終わりについては,どうであろうか.いわゆる平均寿命が示すように,多くの人がその生涯を終える大体の時期がある.その終わり方も,病気を患うとするならば,がん,心疾患,肺炎,脳血管疾患が主な要因になっている.要するに,人生の中身は違っても,ヒトとしての生涯の枠組みは,誰でもおおむね同じと考えられるのである.

このように,ひとりひとりに,生まれてから生涯を閉じるまでのラフな予定が準備されている.これを「生命のプログラム(プログラム・オブ・ライフ)」とよぶことにしよう.細胞の集合体としての私たちを運命づけるものである.生命あるものは,一生の間に基本的なイベントがいつ頃起こるのか,大まかに決まっているようだ.このプログラムというものは,いわば,自分の過去であり,現在であり,これからの未来のようでもある.

私たちの「生命のプログラム」は,生まれつきにすべて決まっているのか?  実はそうではないらしい.食事,運動,嗜好などの生活環境によって,この内なるプログラムは徐々に書き換えられることがわかってきたのである.その際に,プログラムが誤って書き換えられると,メタボや糖尿病のような生活習慣病,がん,脳の病気の発症につながるという考え方が有力になってきたのだ.つまり,このプログラムがどのように働くかで,私たちの在り方が決まってくるというのである.こう考えると,先に述べた日本人の体格の変化について,祖父母から父母の世代間で起こったプログラムの変化が,父母世代から子世代に伝えられたのではないかと想像することもできる.

では,生来もっている「生命のプログラム」とは何であろうか.本書は,この究極の謎に迫ろうとするものである.人類が,その進化の中で,長い時間をかけて獲得してきたDNAを「ゲノム」とよんでいる.ヒトがヒトであるために,私たちは,共通のゲノムをもっている.これが,ゲノムは設計図であるといわれるゆえんである.ヒトのゲノム上には,約2万5,000個の遺伝子があることがわかった.「ゲノム」を辞書に例えるならば,「遺伝子」はそこに書かれた単語のようなものである.ところが,単語を無闇やたらに並べても意味をなさないであろう.辞書の中から単語を選んで,文法に従って,意味のある文章をつくることが肝要なのである.

そう考えると,ゲノム上にある遺伝子を選んで使うという,「遺伝子の使い方」が重要なのではないか.どんなタイミングや状況で使うか.どういう組合せで使うのか.そして,この遺伝子の使い方が変更されることがあるのだろうか.これこそが,「エピジェネティクス」とよばれる新しい考え方の核心である.

これから,私たちがもっている「生命のプログラム」について,一緒に考えてみたい.まだわかっていないことが多いので,1つの結論にまとまるものではない.しかし,世界中で最先端の研究が大容量で進んでいるので,驚くべき結果がいつも発表されている.そのため,私たちの生命観に触れる情報やアイデアが満ち溢れている.本書が,生命の不思議な真実について分かち合う一助になれば,この上ない喜びである.


2014年4月

中尾光善

■ 目次

第1章 遺伝子がすべてか

Column サイエンスと日本語

第2章 遺伝子とゲノムの印づけ

Column はがれ易い接着剤,という大発明

第3章 生まれつきの病気はどう起こるか

Column 老化のプログラム

第4章 万能細胞と臓器をつくる

Column 変化するということ

第5章 がんというプログラムの異常

Column 嵐の中に咲く花もある

第6章 食事はメモリーされる

Column 温故知新,時代はめぐる

第7章 ストレスと脳の働き方

Column 氏より育ち

第8章 診断と治療につなぐ

Column 次世代の研究を拓く

■ 特記事項

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