症例からわかる、動ける!ICU実践コアレクチャー

  • ページ数 : 376頁
  • 書籍発行日 : 2025年2月
  • 電子版発売日 : 2025年3月11日
¥5,940(税込)
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商品情報

内容

現場と知識がつながる!実際の回診と講義から生まれた実践書
臨床と知識をつなげる実践書.実際のICUのベッドサイド回診と講義をベースに,症例+コアレクチャーで解説.By systemに沿った項目立てで,PADISやARDS,困難気道,PCAS,ACLF,輸液管理,敗血症など,研修医が知っておくべき知識とそれをどのように実践するかを現場目線で教えます!墨東病院ICUを立ち上げた医師らによる渾身の1冊

序文

集中治療室(ICU)におけるBy system によるプレゼンテーションは,今でこそ国内で当たり前のように用いられていますが,筆者が研修医だった20年前はほとんど知られていませんでした.また,過去のICU回診は患者アセスメントよりも同僚への申し送りやベッドサイド処置に主眼がおかれていました.筆者は,縁があって米国で臨床留学を行う機会に恵まれ,なかでも集中治療の研修はこれまでの既成概念を打ち破る貴重な経験でした.ベッドサイド回診で上級医と下級医が,ときには多職種の医療スタッフも加わり患者の病態や診療方針を真剣にディスカッションする風景は圧巻でした.私自身は,その環境に身をおくだけで日々医学知識へのモチベーションが高まり,同時に集中治療医としてのプロフェッショナリズムも大いに培われました.この貴重な体験は日本に戻ってから日本の医療者へぜひとも伝えたい,そのような思いから帰国後はICU で臨床診療へ従事しています.今回,自施設ICU のベッドサイド回診の教育風景を多くの読者へ伝えたいという思いを羊土社編集部の方々へお伝えしたことから本書の企画がスタートしました.

筆者が米国の集中治療研修で学んだことは単に医学的知識に留まらずプレゼンテーションや双方向性のディスカッション,プロフェッショナリズムなど多岐にわたります.今回,本書でご紹介するのは,米国で学んだことをベースに自施設のICU ベッドサイド回診やコアレクチャーで実践している内容です.本書では、ICU で多く遭遇する18の疾患・病態をBy system に沿って取り上げ,それぞれ症例提示とコアレクチャーの2部構成としています.症例提示では,実際にベッドサイド回診で行われているディスカッション,ティーチングポイントを「集中治療医の視点」や「ミニレク」等のコーナーを設けて解説しています.また,コアレクチャーでは各症例で知っておくべき病態や疾患について文献的な内容も交えて取り上げています.このコアレクチャーは,ICU回診だけでは解説しきれない疾患や病態の知識を,しっかり系統的に身につけられることを目的としたもので,自施設で集中治療科スタッフが毎週1回昼の時間帯に30 ~ 45分で講義をしている内容をベースに作成したものです.今回本書で取り上げた内容は,2021年の集中治療科立ち上げからICU回診で繰り返しディスカッションされてきたトピックを当院集中治療科の医師が総力をあげて作り上げた渾身の1冊です.読者の方々には,双方向性で行われているベッドサイド教育回診の雰囲気を少しでも感じていただければ,またその内容をもとに明日からの診療へ活かしていただければ幸いです.


2025年1月

東京都立墨東病院 集中治療科
牧野 淳

目次

第1章 神経

1.PADIS管理【牧野 淳】

 [症例]70代女性.激しい腹痛で救急搬送された

 [コアレクチャー]PADIS,鎮痛,鎮静,せん妄,不動,睡眠障害

2.二次性脳損傷の予防【岡田和也】

 [症例]50代女性.突然の右半身麻痺で救急搬送された

 [コアレクチャー]頭蓋内圧,脳灌流圧,鎮静管理,高浸透圧療法,開頭減圧術,二次性脳損傷予防バンドル

第2章 呼吸

1.急性呼吸不全【加茂徹郎】

 [症例]40代男性.呼吸困難と意識低下で救急搬送された

 [コアレクチャー]換気血流(V・/Q・)ミスマッチ,肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDO2),肺胞低換気,NIV,NIPPV,HFNC

2.ARDS【後藤崇夫】

 [症例]70代男性.発熱・呼吸苦・体動困難で救急搬送された

 [コアレクチャー]Global定義,VILI,P-SILI,肺保護戦略,腹臥位療法

3.困難気道【石田恵章】

 [症例]30代女性.呼吸困難で搬送され,人工呼吸管理が必要となったが,困難気道が予測された

 [コアレクチャー]換気困難,気管挿管困難,カプノグラム,困難気道管理アルゴリズム,意識下気管挿管,侵襲性気道確保

第3章 循環

1.心停止後症候群(PCAS)【吉村絃希】

 [症例]80代女性.院内心停止蘇生後でICU入室となった

 [コアレクチャー]救命の連鎖,ABCの安定化,緊急冠動脈造影,体温管理療法,神経学的予後評価

2.心原性ショック【飯塚祐基】

 [症例]50代男性.突然の胸痛とショックで救急搬送された

 [コアレクチャー]SCAIショックステージ分類,IABP,V-A ECMO,Impella

Advanced編 ショックの生理学と心力学【原田佳奈】

 [keyword]酸素供給量,酸素消費量,RUSH protocol,stressed volume,unstressed volume,PV loop

第4章 消化器

1.肝不全(ACLF)【加茂徹郎】

 [症例]50代女性.大酒家.皮膚黄染と尿量低下を主訴に救急受診した

 [コアレクチャー]ACLF,EASL診断基準,特発性細菌性腹膜炎,食道・胃静脈瘤出血,肝性脳症,肝腎症候群,肝移植

2.重症患者における栄養管理【上石 稜】

 [症例]70代女性.消化管穿孔術後の縫合不全における栄養療法

 [コアレクチャー]栄養障害のリスク評価(NRS,NUTRIC,GLIM) ,Refeeding症候群,五大栄養素(糖質,脂質,タンパク質,ビタミン,ミネラル),経腸栄養(消化態,半消化態,成分栄養),経静脈栄養

3.重症急性膵炎【上石 稜】

 [症例]50代男性.急性発症した上腹部痛とくり返す非血性嘔吐で救急搬送された

 [コアレクチャー]胆石性,アルコール性,間質性浮腫性膵炎,壊死性膵炎,輸液療法,鎮痛薬,早期栄養療法,腹部コンパートメント症候群,感染性膵壊死

第5章 腎・電解質

1.急性腎障害【岡田和也】

 [症例]70代女性.急性腎盂腎炎の治療経過中に急性腎障害をきたした

 [コアレクチャー]KDIGO基準,腎灌流圧,体液・血圧管理,利尿薬,腎代替療法(RRT)

2.輸液・水分バランス管理【岡田和也】

 [症例]70代男性.重症大動脈弁狭窄症の術後にショックが遷延し,輸液管理に難渋した

 [コアレクチャー]ROSE,晶質液,バランス輸液,輸液制限,利尿薬

第6章 感染症

1.敗血症【飯塚祐基,原田佳奈】

 [症例]80代男性.発熱と体動困難で救急搬送された

 [コアレクチャー]抗菌薬,感染巣の除去,血行動態モニタリング,輸液管理,血管作動薬

2.院内感染【牧野 淳】

 [症例]70代男性.膵臓がん術後に病棟で発熱,ショック,意識低下で発見されICU入室となった

 [コアレクチャー]薬剤耐性(AMR)対策,PK/PD,院内感染,標準予防策,感染経路別予防策,感染予防バンドル

第7章 血液

1.血小板減少症【畑中康人】

 [症例]50代女性.肉眼的血尿と皮膚黄染を主訴に救急外来を受診した

 [コアレクチャー]偽性血小板減少症,凝固異常,骨髄機能,血小板破壊亢進,原因疾患に対する治療

第8章 内分泌・代謝

1.糖尿病性ケトアシドーシス【牧野 淳】

 [症例]60代男性.頻回の嘔吐をくり返し救急搬送された

 [コアレクチャー]糖尿病性ケトアシドーシス(DKA),高血糖性高浸透圧性症候群(HHS),βヒドロキシ酪酸,細胞外液,インスリン

第9章 その他

1.急性疾患に対する終末期医療【三井 恵】

 [症例]60代女性.急性疾患による終末期で人工呼吸器からの離脱が困難となった

 [コアレクチャー]トラジェクトリー・カーブ,共同意思決定(SDM),time limited trial(TLT),医学的無益,Jonsenの臨床倫理4分割表


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書籍情報

  • ISBN:9784758124263
  • ページ数:376頁
  • 書籍発行日:2025年2月
  • 電子版発売日:2025年3月11日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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