M3 医学書大賞とは

設立の背景

日進月歩で進歩する医療・医学。最新の知識や技能を修得するために学習を続けられる先生方の助けとなるのが、医学書です。
しかし、日々多数出版される医学書の中から、読みたいものを探すのは難しいというお声も耳にします。先生たちが、優れた医学書と出会う手助けをしたい。そんな思いによって設立したのが「M3 医学書大賞」です。

賞の概要

「M3 医学書大賞」は、医学書編集者の投票により、企画・編集・時流の3つのカテゴリーで、医師に、今手にとっていただきたい医学書を決定します。前年(2023年)に出版された書籍のうち、改訂版、翻訳書を除く全医学書が対象です。
  • 企画部門企画(新しさ、インパクトの強さ)が優れている書籍
  • 編集部門構成・デザインなど、内容の見やすさ、分かりやすさが優れている書籍
  • 時流部門今、医師が欲しい情報を提供している書籍

M3 医学書大賞
2024 受賞作

大賞

医療者のためのChatGPT
面倒な事務作業、自己学習、研究・論文作成にも!

選考理由
  • 医師はあたらしいtoolを積極的に導入する方が多いので、やられたと思いました!
  • 各社スピード勝負のテーマだったと思うが、表紙のインパクト含め感服
  • AIの活用として賛否分かれる研究・臨床ではなく、一番やってほしい事務系にスポットを当てたのは賢いと思った
  • 初見ではネタに走りすぎではないかと思いましたが、内容はしっかりしており、テーマと表紙のデザインがマッチしていると思います
  • 生成AIによる猫の表紙もインパクト大。入門編として仕組みをつかむのに最適
  • 第2位
    子どもの偏食外来 いつもの小児科外来や健診で役立つヒント
    選考理由
    • 医師だけでなく、保健医療従事者、保育士、栄養士、親御さんもみんな喜ぶだろうなと思う必要性が高い一冊。必要な知識をすべてわかりやすく解説しながら、するべき対応としては非常に実践的に現実的に家庭でできそうなことが書かれており、とても親切で役立つ内容。すべての小児科に1冊置いておいて、親御さんに待合室で読んでもらったらみんな不安な心が軽くなるのではないかと思う
    • 子どもの診療もここまで細やかにフォローする時代となったのだと実感
  • 第3位
    ようこそ緩和ケアの森 死亡直前期の患者を診る
    選考理由
    • 「ようこそ緩和ケアの森」シリーズ。やさしいカバーが印象的です。図表なども多く、読みやすくわかりやすい構成と思います。内容面も、医療者、とりわけ「看取る」ことに慣れていない比較的若い世代の医療者へも寄り添っていて、優しさを感じました
  • 第3位
    医療者のスライドデザイン - プレゼンテーションを進化させる、デザインの教科書
    選考理由
    • スピーカーの得手不得手に頼らず、聴衆が見やすくて理解しやすいスライド作りのための頼れるマニュアル書。書籍制作者としても参考になりました
  • 第5位
    うつ病ダイバーシティ
    選考理由
    • 2023年に読んだすべての本の中で一番面白かった。他では出せない本だと思う。精神科医だけでなく、心理学や医療人類学領域の人にも興味深い内容である。著者の良さと知見・思考の広がりを最大限発揮した1冊。間違いなく1番
    • 内容と装幀のマリアージュが素晴らしい
  • 第6位
    動画×書籍で学ぶ解剖学・生理学 7日間で総復習できる本
    選考理由
    • 学生が泣いて喜ぶ1冊。タイパ重視の現代にまさにぴったり。解剖学・生理学を真っ向から学ぼうとしたらいくら時間があっても足りないが、なんと国試に必要な知識を7日間でマスターできるという驚異的な内容。文章を読むよりも動画の方が好きな今の若い人たちに最適な、動画を繰り返してみると学べるようになっている
    • 動画との連動で学習の計画が立てやすい
  • 第7位
    選考理由
    • 欲張ってMRIまで扱わずにCTのみに割り切ってる点がよいと思いました
    • Q&A形式で各項目が見開きで示されている点が、初学者が臨床で使う際に有用だと思いました
  • 第8位
    小説みたいに楽しく読める解剖学講義
    選考理由
    • 「解剖学」について、参考書ではなく「読み物」という形で楽しく学べる一冊。キャリアなどを問わず楽しめそう
    • 活字離れを考えたうえで、歴史やたとえ話を引用して読みやすいように工夫されている
  • 第9位
    子どものカゼのトリセツ
    選考理由
    • 難しいテーマに正面から取り組まれた1冊。
  • 第10位
    図解 経絡と解剖学
    選考理由
    • 著者自身が描いたイラストとわかりやすい解説、見やすい紙面。中医学に興味がある医療者の方ならどなたにとっても役立つ本だと思います

企画部門ランキング 企画(新しさ、インパクトの強さ)が
優れている書籍

  • 大賞
    子どもの偏食外来 いつもの小児科外来や健診で役立つヒント
    選考理由
    • 潜在的なニーズを掘り起こしたと思われるため
    • 偏食をワンテーマで取り上げた点。大山先生の長年の実践が詰まっている。
  • 大賞
    選考理由
    • 読影の疑問や腫瘍性病変に関する管理など充実した内容。ありそうでなかった書籍
    • 苦手にしている医師が多いであろう画像診断の基礎知識を、Q&Aでわかりやすくまとめている
  • 第3位
    時系列で紐解く 有益な輸液の話
    選考理由
    • エビデンスが乏しくグレーゾーンの部分も多いとされる輸液療法について、近年ビジネスの世界でよく使われる「マネジメントスタイルの三角形」のロジックを用いて読みやすい言葉で書かれており、読者にとってわかりやすい
    • 川上先生単著の魅力が大きい。方向性が明確で、内容もわかりやすく、今後の定番書となりそう
  • 第4位
    シリーズ ケアをひらく 超人ナイチンゲール
    選考理由
    • タイトルのインパクトはさることながら、鬼才のアナーキズム研究者が語りだすかつてないナイチンゲールの姿に驚嘆。看護向けの書籍だが、ケアに携わるすべての方々に読んでいただきたい
    • 唯一無二の素晴らしいシリーズ
  • 第4位
    ようこそ緩和ケアの森 死亡直前期の患者を診る
    選考理由
    • 治療だけでなく、治療以外のアプローチを提案している
  • 第4位
    医療者のためのChatGPT 面倒な事務作業、自己学習、研究・論文作成にも!
    選考理由
    • 今流行りの内容について、医療者にターゲットを絞りいち早く発行した
    • まさに旬の企画
  • 第4位
    誰も考えようとしなかった 癌の医療経済
    選考理由
    • 高齢者のために超高額医療を保険収載するのか、そうではなくて小児や若い世代のための医療を手厚くできるようにするのか、すぐには答えの出せない部分ですが超高齢化の進む日本で避けては通れない話題と思います
    • 高額な保険医療を行っているはずなのにその仕組みはどうなっているのか。敬遠されがちな医療費負担の問題がアイロニックに書かれている
  • 第4位
    病態生理と神経解剖からアプローチする レジデントのための神経診療
    選考理由
    • 手書きのノートを思わせる色使いとレイアウト、重厚さと軽快さのバランスのよい造本。ページを開き、この世界観にフィットすれば、長きにわたるおつきあいになりそうです
    • 杉田先生の手書きのイラストは味がありとてもいい。脳神経内科の本は難しいものが多いと思うが、この本は「私でもこれならついていけるし読んでいて楽しい」と思った。研修医も含め、脳神経の専門ではない医師が読むのによいと思う。わかりやすいだけではなく、ベーシックな診断基準や標準的な治療が書かれた後に「とはいっても実際には…」と「個人的見解」も書かれてあり、「実際にはどうするの?」という教科書的なマニュアルを読んでいつも思う悩みがカバーされている
  • 第4位
    ようこそ緩和ケアの森 患者・家族とのコミュニケーション
    選考理由
    • 実用的な内容ながら、あえて若手医師が書くことで幅広い年代の医師が読める書として企画されている。ですます調で書かれている、あえて分冊化し手にとりやすいサイズ感にしているなど、著者の心配りを感じる
    • 医師と患者の究極の対話を提案しているため。医師も苦手とするところがよい

編集部門ランキング 構成・デザインなど、内容の見やすさ、
分かりやすさが優れている書籍

  • 大賞
    うつ病ダイバーシティ
    選考理由
    • とにかく表紙が美しい。ページレイアウトもシンプルだが凝っている。
    • ここまで造本を追求されたのが素晴らしいし励みになりました。HPにある書評も味わいがあります。
  • 第2位
    医療者のスライドデザイン - プレゼンテーションを進化させる、デザインの教科書
    選考理由
    • デザインの本とはいえ、医学書を普段作る編集者がここまで画像主体のデザインの本らしいレイアウトを組んだのは尊敬できる。医療者向けのプレゼン本の歩みを感じる
    • 書籍自体が美しい
  • 第3位
    ようこそ緩和ケアの森 死亡直前期の患者を診る
    選考理由
    • Webと連動した特典もつき、楽しめる仕掛けもある
  • 第4位
    図解 経絡と解剖学
    選考理由
    • 個性のあるイラスト。用語も類書に比べてもわかりやすく統一されている。セラピストだけでなく、医師も臨床で活用してみたいと思わせる内容だと思います
    • イラストへの細かな気配り・読者サービスを感じる
  • 第5位
    講義+試験対策模擬問題100問 心電図マイスターを目指す基礎力grade up講座
    選考理由
    • 心電図マイスターに明確に的を絞っている潔さ。山下先生の推薦文にもある通り「若者による,若者のための心電図テキスト」と思う。心電図の本は類書が群雄割拠している。心電図の基本的な読み方をわかりやすく、ということはまるっと捨てて、心電図検定1級合格を目指すために難しいものをいかに早く読めるかに注力した点がこの本の強みだろう
    • 心電図検定1級合格を意識し、上級の模擬問題を精選している

時流部門ランキング 今、医師が欲しい情報を提供している書籍

  • 大賞
    医療者のためのChatGPT 面倒な事務作業、自己学習、研究・論文作成にも!
    選考理由
    • まさに旬。時流に沿った企画
    • やろうかどうしようか…と思っていた人は多いと思う中で、このスピード感で刊行たことに感服した
  • 第2位
    医療者のスライドデザイン - プレゼンテーションを進化させる、デザインの教科書
    選考理由
    • 医師である以上切り離せないスライド作成について、医師側の目線で事例にそって解説をしているところ。装丁も著者がやっているところも面白かった
    • 具体的かつ実用的
  • 第3位
    病院・診療所・介護施設向けChatGPT実践ガイド―現場で使える命令文30選
    選考理由
    • テレビのニュース等で文章生成AIが話題になった数か月後にはもう発刊。多くの医学書出版社が慎重になるなか、迅速かつ適切に執筆者選定や書籍内容の調整を行って出版されたように思いました
    • 流行を先取りしている

投票参加出版社(順不同)

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