老いを育む

  • ページ数 : 196頁
  • 書籍発行日 : 2021年12月
  • 電子版発売日 : 2021年12月17日
¥1,760(税込)
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商品情報

内容

老いを育む

一度「老い」について考えておきたい。親鳥がひなを羽で包んで育てるように「育む」という観点で。2,500人を看取ったホスピスケア医が到達した「老い」と「死」への眼差し。鎌田 實氏、釈 徹宗氏との対談も収載。

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序文

まえがき


厚生労働省は住民基本台帳を基に、国内に住む一〇〇歳以上の高齢者の人数をまとめました。それによりますと、二〇二一年九月十五日現在、一〇〇歳以上になる人は、全国で合わせて八万六五一〇人で、二〇二〇年から六〇六〇人増えました。一九七〇年の三一〇人から、五一年連続で最多を更新しています。

書店には「老い」が書名の一部になっている書物がたくさん並んでいます。私も書いています(『「老い」はちっともこわくない』日本経済新聞社、一九九八)。日本は高齢者大国になったなあと思います。書物の題名に惹かれて、作者に興味をもって、目次の内容を見て、かなりの数の「老い」に関する本を読みました。内容は実にさまざまです。自らの老いの日常を細かく描写したものから、日本という国の文化的特徴と、そこで迎える老いとの関係を書いたもの、経済学の専門家が老いを「経済」という切口で書いたもの、歴史と老いの捉え方の変化等、実に千差万別です。

長年、精神科とホスピスで臨床に携わってきましたが、その経験から、人間の存在の要素として、身体、こころ、社会、魂、の四つがあると思っています。英語で言うと、physical, mental,social, spiritualです。この四つは互いに関係し合います。身体の具合が悪いと、精神的に不安定になります。精神状態が不安定だと、社会生活に支障をきたします。そして、魂は人間存在の2中心にある最も重要な要素と考えられます。身体の痛みなどはすぐに理解できますが、魂の痛みは理解するのが難しいです。がん末期の患者さんが「これまでの自分の生き方は間違っていたのではなかろうか」と自分に問いかけるのは、魂の痛みですが、その痛みに聴き入るスピリチュアルケア師の介入が必要になります。

人が健康であるためには全人的に健康である必要があります。具体的にいうと、四つの側面で健康である必要があります。身体とこころと魂をもつ一人の人が、それぞれの側面で健康であり、他の人(社会)とのかかわり、すなわち社会的側面においても健康であるとき、初めて全人的に健康であるといえるのです。

本書では前記 四つの側面について書いたつもりですが、社会的側面と「たましい」の側面がやや弱い感じがいたしました。そこで、対談をさせていただいて、それを補うことを考えました。幸い鎌田 實先生と釈 徹宗先生が私との対談を引き受けてくださいました。

すでに老いを迎えておられる方々は、自らの老いを見つめ直すために、これから老いに向かわれる方々はよき老いの準備のために、読んでいただけると嬉しいです。


二〇二一年一一月

柏木哲夫

目次

まえがき

老いを生きる


その一 医学的にみた老い

身体機能の変化

その二 「鍛える」と「育む」

老化は尾部頭部法則 / 赤ちゃんは杖をつけない / 老化の自覚 / 脚を育む / 脚を育む具体的な方法

その三 よき老いを生きる

物事のプラス面をみる / 物事の捉え方が経過に影響する / 挑戦と育み / 挑戦の老い / 育むことと受け入れること / あきらめる、受け入れる、育む

その四 老いのこころ

高齢者の知的能力 / 高齢者の脳に起こる変化 / 老いの自覚と高齢者のこころ / 能力の衰えによる心理的影響 / 社会、環境因子による心理的影響 / 人生の過程そのものがもたらす心理的影響 / 老いへの適応のパターン / 人は人生を背負って老いる

その五 うつ病と認知症

うつ病と認知症 / うつを波と捉える / 治りやすいうつ病、治りにくいうつ病 / 増える認知症 / 加齢による物忘れと認知症の違い / 認知症の予防

その六 老いとユーモア

ホノルル川柳 / 大好きなお金 / 順調に弱る / 川柳様々

その七 老いの生き方

その八 自分の老いを生きる Ⅰ

私の半生 / 執筆

その九 自分の老いを生きる Ⅱ

講演 / 言語化するということ / 私たちは死を背負って生きているのです / 人は生きてきたように死んでいく / 散らす人生を生きる / 最後の跳躍

その一〇 魂の痛み

トータルペイン─全人的痛み / 人間の存在様式 / 老いと四つの痛み / スピリチュアルペインの例 / 老いとスピリチュアルペイン

その十一 老いと死

老いと死 / 老人とは / 死を背負って生きる / よき死とは / 安全、安心、平安

その十二 死を想う

日本人の死亡場所 / どこで死にたいか / 孤独死の問題 / 誕生日に死を想う


「老い」をいかに受容するか 対談 鎌田 實

豊かな老いを生きる─ユーモアと宗教の視点で 対談 釈 徹宗

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書籍情報

  • ISBN:9784895907446
  • ページ数:196頁
  • 書籍発行日:2021年12月
  • 電子版発売日:2021年12月17日
  • 判:四六判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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