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- ペインリハビリテーション入門
商品情報
内容
はじめに「痛み」を理解するための必須知識である痛みの多面性と発生メカニズムを豊富なイラストでわかりやすく解説。末梢から神経系まで、最新の知見をふまえた「痛み」の基本が習得できます。次のステップでは、臨床現場でよく使用する評価票を取り上げながら、痛みのリハビリテーション評価で押さえておくべきポイントが効率よく学べ、痛みの評価の全体像が把握できます。痛みのマネジメントでは“急性痛”と“慢性疼痛”に分けて解説し、痛みから波及するさまざまな問題について、物理療法、運動療法や認知行動療法、薬物療法をふまえたアプローチ方法が身につきます。
巻末には、痛みのリハビリテーション評価でよく使用する評価票や専門用語の解説を収載し、付録も充実しています。
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序文
序
2010年9月に厚生労働省から『今後の慢性の痛み対策について(提言)』が発表され,その中の大きな柱の一つに医療者育成のための教育の必要性,重要性が示された.そして,このことを受け2011年に新設された厚生労働科学研究費補助金(慢性の痛み対策研究事業)研究の一つに,「痛み」に関する教育と情報提供システムの構築に関する研究(研究班長:柴田政彦先生,現:奈良学園大学教授)が採択された.幸いなことに,本研究には筆者も研究分担者として参画させていただき,特に理学療法士・作業療法士の学生用に「リハビリテーション医学」の講義スライドと解説集からなる教育コンテンツを本書の共著者である松原貴子氏(神戸学院大学)に協力をいただきながら作成し,公開した(https://sv123.wadax.ne.jp/~pain-medres-info/itamikyouiku/).加えて,2013年5月24日~26日に名古屋市で開催された第48回日本理学療法学術大会(大会長:鈴木重行先生,現:名古屋大学名誉教授)では,大会長企画シンポジウム「疼痛理学療法のグローバル・スタンダード」に松原貴子氏,森岡 周氏(畿央大学)とともにシンポジストに選出され,筆者は「疼痛理学療法の教育トピックス」と題して上記の教育コンテンツの内容も含めて話題提供させていただいた.そして,この発表をお聞きになっていた三輪書店の青山 智代表取締役から教育コンテンツを題材とした初学者向けのペインリハビリテーションの書籍を作ってはどうかとご提案いただき,それから6年近くの歳月が流れたが,この度ようやく『ペインリハビリテーション入門』と題した初学者向けの書籍を上梓することとなった.
企画のお話から6年近くの歳月を費やし,青山代表取締役をはじめ三輪書店の皆様には大変なご心配とご苦労をおかけした.しかし,この間に慢性疼痛に対するリハビリテーションはエビデンスも含めて大きく様変わりし,この点を考慮すると,この時期の上梓は的を射ていたのかもしれない.たとえば,米国内科学会の非特異的慢性腰痛に対するガイドラインをみると,2007年版は運動療法の効果は高いとされていたが,その10年後の2017年の改定版では運動療法単独の効果は低く,認知行動療法や患者教育指導といった行動医学的アプローチを併用したリハビリテーション戦略が必要であることが示された.
そして,2018年3月には厚生労働省「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」研究班とわが国の7つの疼痛関連学会とが連携し,All Japan体制で作成した『慢性疼痛治療ガイドライン』が発刊され,わが国における慢性疼痛治療の指針が示された.また,2016年には『理学療法士作業療法士国家試験出題基準』が改正され,「慢性疼痛」が解剖学や生理学と同じ大項目に追加された.加えて,『理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則(以下,指定規則)』が約20年ぶりに改正され,2019年4月から施行となるが,この指定規則改正を受け,(公社)日本理学療法士協会では『理学療法学教育モデル・コア・カリキュラム』を策定した.筆者もその検討委員会のメンバーの一人として策定作業に参画させていただき,その過程では理学療法士養成課程における疼痛医学教育の必要性を説明させていただいた.この点については検討委員会のメンバーからも賛同が得られ,疼痛の臨床医学のみならず,他の疾患別理学療法学と同程度に疼痛理学療法学の学修内容を盛り込ませていただいた.つまり,このような背景も踏まえ,この時期に本書を上梓した次第である.
本書は,「Chapter 1痛みの理解」,「Chapter 2痛みの評価」,「Chapter 3痛みのマネジメント」といった3章からなる構成とし,養成校の学生も含めた初学者が自己学習しやすいように,また,講義する教員もスライドで提示する図表等とその教授内容が一目でわかるように,1枚の図表と2ページ以内の解説文からなる「スライド配布資料風」のレイアウトとした.これは,共著者の松原貴子氏のアイディアによるものである.松原氏は理学療法士養成課程で長年にわたって疼痛医学を教授してきた経験があり,学生からの授業アンケートや意見を反映し,また教員からの“講義教材に困る”との声を受け,いかに学生が勉強しやすいか,また,いかにわかりやすい講義を展開するかを追求してきたからこそ生まれたアイディアである.加えて,巻末には「Chapter 2痛みの評価」で解説している各種の評価票をできる限り掲載した.これは,各種の評価票の具体的な内容を理解していただきたいだけでなく,臨床の場ですぐに活用していただきたい思いからでもある.
当然,版権の都合で掲載できなかった評価票もあり,この点は了承願いたい.そして,本書がこれからのペインリハビリテーションを担うセラピストの糧になれば,望外の幸せである.
最後に,本書の出版に際し多大なご尽力とご心配をおかけした青山 智代表取締役には,改めて御礼申し上げる次第である.また,われわれの度重なる無茶なリクエストにも真摯にご対応いただき,出版に導いていただいた編集部の久瀬幸代様には深く感謝申し上げたい.
2019年2月吉日
著者を代表して
沖田 実
目次
Chapter 1 痛みの理解・・・沖田 実
1 痛みの定義・概念
痛みの定義
痛みの多面性
急性痛と慢性疼痛
痛みの分類
痛みの概念と痛み行動
痛みの悪循環~痛みの恐怖-回避モデル
2 痛みの神経生理学
痛みの伝達経路の概要
一次侵害受容ニューロン
侵害受容器
脊髄後角
二次侵害受容ニューロン
痛みの中枢伝達経路
痛みに関連する脳領域(ペインマトリクス)
痛みを抑制するシステム
3 痛みの発生メカニズム
侵害受容性(炎症性)疼痛の発生メカニズム
神経性炎症
炎症に伴う痛みの感作
神経障害性疼痛の発生メカニズム
不活動性疼痛とは
不活動性疼痛の実証研究の一例
不活動性疼痛の発生メカニズム
①末梢組織の変化
②神経系の変化
Chapter 2 痛みの評価・・・松原貴子
1 痛みのリハビリテーション評価の考え方
痛みの多面的評価の必要性
“本当に困っていること”を見極める
痛みのリハビリテーション評価の要点
痛みのリハビリテーション評価の具体的項目
2 感覚評価
主観的評価
①痛みの強度
②痛みの性質
③痛みの部位
定量評価
①痛覚感受性
②中枢性疼痛修飾機能
3 身体機能・活動評価
疼痛関連身体機能・活動
部位・疾患(症状)特異的身体機能・活動
一般的身体機能・活動性, 身体パフォーマンス
身体活動量の評価
①活動量計
②IPAQ, 行動日誌
4 情動・認知評価
疼痛情動に関する評価
①HADS
②STAI, POMS
疼痛認知に関する評価
①PCS
②TSK, PSEQ
5 社会的・QOL評価
社会的・QOL評価
①SF-36
②EQ-5D
Chapter 3 痛みのマネジメント
1 急性痛に対するリハビリテーション・・・沖田 実
急性痛から波及するさまざまな問題
急性痛に対するリハビリテーションの要点
急性痛に対するリハビリテーション
①物理療法
②運動療法
2 慢性疼痛に対するリハビリテーション・・・松原貴子
慢性疼痛に伴うさまざまな問題
慢性疼痛の治療アルゴリズム
慢性疼痛に対するリハビリテーションの潮流
①慢性腰痛のガイドラインとエビデンス
②慢性膝関節痛のガイドラインとエビデンス
慢性疼痛に対する運動療法
①運動による疼痛抑制(EIH)
②EIHの神経メカニズム
③EIHに関与する神経伝達物質
④運動処方箋
⑤運動アドヒアランスとペーシング
慢性疼痛に対する認知行動療法
①CBTの基礎と発展
②慢性疼痛に対するCBTとは
③CBT理論に基づくリハビリテーションの考え方
④CBTリハビリテーションで実際に“やること”
⑤CBTリハビリテーションの流れ
3 その他のマネジメント・・・沖田 実
薬物療法の概要
NSAIDsならびにステロイド剤の作用機序
痛みに対するインターベンショナル治療の概要
神経ブロック治療
外科治療
ニューロモデュレーション
付録 痛みのリハビリテーションでよく使用する評価票
感覚(痛みの性質)評価
MPQ / SF-MPQ / SF-MPQ-2
身体機能・活動評価
PDAS / BPI / JOACMEQ / NDI(痛みとしびれ版) / NDI(痛み版) / JOABPEQ / RDQ / ODI / WOMAC Osteoarthritis Index / JHEQ / JKOM/FIQ / HAQ / IPAQ
情動・認知評価
HADS / BS-POP / PCS / FABQ / TSK / PSEQ
社会的・QOL評価
EQ-5D / EQ-5D-5L / SIP
用語解説
索引
COLUMN
・痛みの疫学
・さまざまな慢性疼痛(ICD-11より)
・侵害受容に関与するさまざまな受容体
・ゲートコントロール理論
・wind-up現象とLTP現象
・中枢神経のグリア(神経膠)細胞
・関連痛
・RDQの標準値
・JOABPEQの結果表記
・国際疼痛学会(IASP)による最新のリハビリテーション評価ポイント
・各種物理療法の生理学的作用とその効果
・アドヒアランスの障壁要因
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書籍情報
- ISBN:9784895906340
- ページ数:168頁
- 書籍発行日:2019年2月
- 電子版発売日:2022年2月16日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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