子どもと家族を支える医療者のための 小児在宅人工呼吸療法マニュアル 第2版

  • ページ数 : 272頁
  • 書籍発行日 : 2022年8月
  • 電子版発売日 : 2022年9月2日
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商品情報

内容

機種別に特性・違い・注意すべき点がわかる

各種人工呼吸器のアップデートに加え、行政・災害・感染症など新たな社会情勢にも言及し、パワーアップして刊行する第2版。医療的ケア児と家族への支援施策が進む中、医師・看護師・CE・PTなど小児在宅人工呼吸療法に携わるすべての医療者必携の書。

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序文

序文
~第2版の発刊にあたって~


日本呼吸療法医学会では、2017年に本書の第1版を発刊しました。これに前後する形で、2016年には障害者総合支援法が改正され、2018年には成育基本法が成立し、2021年には「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(以下、医療的ケア児支援法)が成立しました。日本での障害者に関する法律は、1949年身体障害者福祉法、1950年精神衛生法、1952年戦傷病者戦没者遺族等援護法、1960年精神薄弱者福祉法(現在の知的障害者福祉法)、1970年心身障害者対策基本法などがあり、戦後に立法府・行政府での審議を経て成立してきました。これらにおいて障害の概念は長きにわたり、身体、知的、精神、発達の障害を意味していました。

しかし、時代とともに医療が急速に進歩し、従来は救命できなかった児の救命率が劇的に向上した結果、日常的な医療を要する障害とともに生きる子どもたちが急激に増加しました。多くの医療機関において、「おうちに帰って家族とともに過ごす」ということが目標とされるようになり、医療機器も「在宅用」とされる機器の販売が急激に拡大しています。とくに小児の在宅用人工呼吸器の進歩には目を見張るものがあり、高機能・多機能化とともに小型化・長時間作動・静音化・安全化などが実現されてきました。これは社会のニーズにあわせた企業のたゆみない努力の賜物であり、敬意を表するところです。

一方で、これらの機能を十分に使いこなすための知識や経験には、医師、看護師、臨床工学技士の間でもばらつきがあるのが現状です。また、在宅用人工呼吸器は多機能である反面、実際に患者への使用を勧めにくいモードなどがあり、回路の特性を熟知して選定しないと支援する家族にとって自宅での生活が辛いものになる、といった問題が生じていることも事実です。本会の小児在宅人工呼吸検討委員会では、多くの医療者に小児の在宅人工呼吸管理に携わってもらうため、第1版では実際的でわかりやすいマニュアルの作成を目指してきました。読者対象を、あえて人工呼吸器に精通した医師や臨床工学技士に限定していないことも、本書の大きな特徴です。ただ、第1版は学会からの直接販売しか行わなかったため部数にも限りがあり、本書を必要とするすべての医療者、支援者、家族にいきわたったとは言い難い状況でした。第1版の発刊から5年が経ち、新たな法律が施行されただけでなく、水害や災害での避難を経験した障害者や関係者の増加、感染症の流行による新たな課題の出現、新しい在宅用人工呼吸器の発売など、社会の状況も大きく変化しました。SNSやWEBカンファレンスの発達により、より良い在宅人工呼吸器などの情報に簡単にアクセスできるようになり、これまで二の次とされていた生活の質の向上について、多くの家族が横のつながりの中から模索を始め、主治医らと相談する場面が増えてきています。

こうした状況を考慮し、第2版は社会の変化に対応した内容となるよう留意しました。執筆陣にも新たなメンバーを加え、より現状に即したマニュアル作りを心がけました。店頭・オンライン上でどなたでも購入できるようにし、家族を含めより多くの方々に小児が使用する人工呼吸器の実際や特徴を周知できるようにしています。また、第1版の発刊時から継続して、本委員会では小児に限らず在宅人工呼吸療法全般に対して、臨床工学技士の訪問診療が認可され、診療報酬請求が可能になるよう関係団体に働きかけることを目標のひとつに掲げています。在宅人工呼吸療法が拡大するなか、看護師と理学療法士の訪問や、企業の在宅支援だけでは支援に限界があり、機器の安全管理は危機的状況に陥りつつあります。在宅人工呼吸を安全に遂行するには臨床工学技士の在宅への参加が不可欠であり、本会ではそのための活動も視野に入れているところです。その点も、皆様のご支援をお願いする次第です。

なお、本書の内容の一部に、機器使用における従来の認識とはいくぶん異なる見解が記載されています。これは、医療的ケア児支援法の基本理念に「医療的ケア児の日常生活・社会生活を社会全体で支援」「医療的ケア児が医療的ケア児でない児童と共に教育を受けられるように最大限に配慮しつつ適切に行われる教育に関する支援」「医療的ケア児と保護者の意志を最大限に尊重」などが謳われており、在宅人工呼吸器ユーザーである患児や家族が病院以外の環境でもより良い生活を送れるよう、現状の構造の課題にあえて言及することも必要との判断によるものです。その点をご理解いただき、これまでのやり方と比較・検討されたうえで、より良い生活支援について多くの方々に考えていただく機会になれば幸いです。さいごに、小児の在宅人工呼吸療法が皆様にとって少しでも身近なものになるよう、本書がその一助となればこれにまさる喜びはありません。末筆になりますが、本委員会の元委員長であり、第1版の作成にご尽力された故 渡部晋一先生に、あらためて深い感謝の意を表します。


2022年7月吉日

一般社団法人日本呼吸療法医学会 小児在宅人工呼吸検討委員会
委員長  寺澤 大祐
担当理事 尾﨑 孝平

目次

・序文~第2版の発刊にあたって~

・「小児在宅人工呼吸療法マニュアル」第1版公表にあたってのご挨拶

・第1版の発刊にあたって

・監修・執筆者一覧

・第1版作成時の委員・執筆者一覧

・略語一覧

【第1章】総論:小児在宅人工呼吸療法

1 小児在宅医療における最近の行政動向

2 適応疾患と成人との違い

【第2章】小児在宅人工呼吸器の種類と特徴

1 NPPV

2 TPPV

3 小児在宅人工呼吸器の特徴と実際

【第3章】小児在宅人工呼吸器の実際と特徴

1 BiPAP A40

2 NIPネーザルV-E / クリーンエアVELIA

3 クリーンエアprismaVENT

4 prismaVENT50-C

5 LTV2 2150 / 2200

6 HT70 Plus

7 Puppy-X

8 トリロジー100 plus / 200 plus

9 トリロジーEvo

10 Puritan Bennett 560

11 クリーンエアASTRAL

12 Vivo60

13 Vivo45 / Vivo45LS

14 MONNAL T50

15 VOCSN / VOCSN-VC

【第4章】小児在宅人工呼吸療法の注意点とトラブル対応

1 基本的注意事項とトラブル対応

2 人工呼吸器装着患者の移動および搬送

【第5章】医療材料・周辺機器

1 NPPVのインターフェイス

2 気管切開チューブ

3 加温加湿器・人工鼻

4 吸入療法のデバイスと使用の実際

【第6章】呼吸理学療法と排痰補助装置

1 呼吸理学療法の目的と対象

2 呼吸理学療法の評価

3 呼吸理学療法の方法・手順

4 排痰補助装置

5 呼吸理学療法の注意点とリスク管理

【第7章】停電・災害時対策

1 在宅医療における災害対策

2 停電対策

3 災害時の移動・避難

【第8章】診療報酬・行政・訪問看護

1 小児在宅医療に関連する報酬制度

2 行政からの医療費控除、助成金

3 訪問看護

4 旅行

5 今後の課題

・用語集

・索引

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書籍情報

  • ISBN:9784840478885
  • ページ数:272頁
  • 書籍発行日:2022年8月
  • 電子版発売日:2022年9月2日
  • 判:指定なし
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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