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- 学習する組織としての 看護実践のリフレクション
商品情報
内容
●本書では、リフレクションを継続するための支援、また支援者、看護師、看護部がどのように変化したのかを明らかにします。
●「リフレクションの支援能力と自己評価票(試案)」や「リフレクション支援者養成プログラム」の提案も掲載しています。
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序文
はじめに
2020年は,看護理論の始まりとなったナイチンゲール(Nightingale F,1820~1910)の 生誕200年でした.国際看護師協会(International Council of Nurses:以下,ICNと略す)が中心となり,「Nursing Now」を標語に,看護職がもつ可能性を最大限に発揮し,看護職が健康課題への取り組みの中心に立ち,人々の健康向上に貢献するために行動する世界的なキャンペーンが行われました.
「Nursing Now」の掲げる目標は,①看護職の教育・専門職開発・雇用条件等への財源確保,②効果的・革新的な看護実践の普及,③保健医療政策への看護職の影響拡大,④リーダーの職位につく看護職の増加,および⑤政策実現に向け政策・意思決定者へのエビデンス提供の拡大です(日本看護協会,2020).この目標に基づき,多様な活動を開始しようとした時,看護の力を世界に示すように,COVID-19によるパンデミックとなり,第2波,第3波,…と続き,日本,世界中の看護職が今もウイルスと人類との戦いを継続しています.
いつ収束するか,先の見えない不透明で,感染対策のために生じる複雑な影響が社会全体に広がっています.その中で,不安を抱える患者のそばで看護職は,看護をしています.
読者の皆様も,COVID-19の対応でご苦労され,これまでに経験のしたことがない様々な心労があり,その収束の時期,今後の影響も未知数という複雑で不透明な状況にあることと思います.このような状況下で,看護職として,どのようにキャリアを積んでいくのか,看護管理者として,どのように看護実践の質を維持・向上させるのか,不安も多いのではないでしょうか.
私は,看護実践のリフレクションについて,施設の教育師長の頃から関心をもち,修士,博士の研究と継続して,探求してきました.看護実践のリフレクションに関わる中で,看護職が語る実践の奥深さ,多様性に感心させられ,看護職の学び,成長する姿を見ました.さらに,リフレクションを継続するために,どのような支援が必要なのか,支援の方法だけでなく,そのシステムが不可欠でした.先行研究では,リフレクションをする看護職の学び,成長には多くの報告があります.しかし,研究の視点をリフレクションの継続性,質の向上に移すと,看護職のリフレクションの支援をするという立場をより重視することによって,1人ひとりの看護師の看護実践のリフレクションが深化し,その結果,臨床全体の質向上につながるという,道筋が見えてきました.
看護実践の質を維持・向上させることは,対象者である患者に,看護職に,看護管理者にとっても根幹となる重要なことですが,複雑な要因が関連しているため,多くの困難を伴います.
そこで,本書では,看護実践のリフレクションを看護職の成長支援だけではなく,広く看護管理の視点も踏まえて,リフレクションの支援について述べていきます.
特に読んでもらいたいのは,看護管理職,師長と部署での中心的な役割を果たしている中堅看護師の方々を想定しています.もちろん,リフレクションに関心のある看護職,看護教育者の方も歓迎です.
本書の特徴として,各章の最初に,「本章のねらい」があり,概要を把握できるようにしました.内容を解説した後に,その学習した内容を自分の施設での試行錯誤を促す『Trial & Error』という演習のページを作りました.これは,キャロル・S・ドゥエック(Carol S. Dweck,2016)のマインドセット,「人間の能力は努力すれば変化すること,しなやかなマインドセットをもつことが成長につながる」という考えが基盤になっています.ぜひ,可能な範囲で実践してみてください.看護実践のリフレクションは1回でできるものではなく,継続することで効果が現れるものだからです.
本書は,第 1章から第7章までで構成されています.
「第1章 VUCAの時代に求められる看護管理と看護実践能力」では,VUCAの時代について説明し,この時代に必要とされる看護師の看護実践能力について提案します.次に,「第2章 看護と看護実践のリフレクションの位置づけ」では,看護実践とは何か,看護現象のメタパラダイムとして,人間,環境,健康,看護という4つの基本概念について振り返り,リフレクションと看護実践の位置づけを確認します.「第3章 看護とリフレクションの先行研究,リフレクションの支援に関連する理論」では,看護実践とリフレクションに関連した理論,ポジティブ心理学,学習する組織について,基本的な内容を踏まえて解説します.「第4章 看護実践のリフレクションを深める支援」では,リフレクションの支援とは,どのようなことを示すのか,支援者はどのように支援をしていたのか,学び,困難などを研究結果から解説します.次に,「第5章 リフレクションの支援と看護師の変化」では,支援を受けた看護師の側から見たリフレクションの支援と,その看護師の変化について,研究結果から解説します.「第6章 看護実践のリフレクションを導入した看護部の組織変革」は,看護実践のリフレクションをシステムとして導入し,組織変革を実施した看護部からの報告です.なぜ,看護実践のリフレクションを重視するのか,看護管理との関係についても触れます.看護部長らがどのように取り組み,困難を克服したのか,研究結果を踏まえて解説します.最後に,「第7章 リフレクションの支援者育成プログラムの提案と今後の課題」では,組織変革としての看護実践のリフレクションの有用性,評価,さらに,看護実践のリフレクションは学習する組織になることを目指すことが可能なのか,今後の課題について検討します.
早速,看護実践のリフレクションを探求する旅に出発しましょう.
2022年11月
埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科 教授
鈴木 康美
目次
第1章 VUCAの時代に求められる看護管理と看護実践能力
1 VUCAの時代とCOVID-19
VUCAの時代とは
VUCAの時代の看護実践の質と看護実践能力の力量形成
2 研究目的・方法
研究目的
用語の定義
研究方法
第1回 『Trial & Error』
第2章 看護と看護実践のリフレクションの位置づけ
1 人間,環境,健康,看護の概念
2 看護実践とは
3 看護継続教育とOJT
4 成人学習理論と看護継続教育
5 ショーンの省察的実践家
第2回 『Trial & Error』
第3章 看護とリフレクションの先行研究,リフレクションの支援に関連する理論
1 看護とリフレクションに関する先行研究
2 看護実践のリフレクションの支援
3 リフレクションの支援とポジティブ心理学の関係
4 リフレクションと学習する組織との関連
第3回 『Trial & Error』
第4章 看護実践のリフレクションを深める支援
1 本章の目的
2 研究方法
研究協力者・研究方法
倫理的配慮
分析方法
3 結果
研究協力者の内訳
分析結果
全体像としてのストーリーライン
プロセスを構成する要素
4 考察
【看護師が安心して看護を語れる場を創る支援】
【看護師と共に看護を探求する】
第4回 『Trial & Error』
第5章 リフレクションの支援と看護師の変化
1 本章の目的
2 研究方法
研究協力者・研究方法
倫理的配慮
分析方法
3 結果
研究協力者の内訳
分析結果
全体像としてのストーリーライン
プロセスを構成する要素
4 考察
【曖昧な動機でリフレクションに参加】と「成長を促す経験」
【看護師の意思や感情を重視する支援がもたらした
看護を探求する喜びと自信】
【リフレクションを意図的に看護実践・教育に活用】
第5回 『Trial & Error』
第6章 看護実践のリフレクションを導入した看護部の組織変革
1 本章の目的
院内における看護部の組織
看護部と看護実践のリフレクションとの関連
2 研究方法
研究協力者・研究方法
倫理的配慮
分析方法
3 結果
研究協力者の内訳
分析結果
全体像としてのストーリーライン
プロセスを構成する要素
4 考察
組織変革のプロセスとリフレクション
看護実践のリフレクションによる組織変革が看護管理にもたらした成果
センゲの「学習する組織」の視点での考察
第6回 『Trial & Error』
第7章 リフレクションの支援者育成プログラムの提案と今後の課題
1 本論文から得られた知見
リフレクションを深める支援
看護師が受けたリフレクションの支援
看護実践のリフレクションを導入した看護部の組織変革
2 看護実践のリフレクションの支援者育成プログラムの提案
実践への示唆
看護実践のリフレクションの支援者育成プログラムの提案
3 本研究の課題と今後の研究への展望
第7回 『Trial & Error』
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書籍情報
- ISBN:9784883789306
- ページ数:172頁
- 書籍発行日:2022年11月
- 電子版発売日:2022年11月25日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:2
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