新版 薬の相互作用としくみ 第2版

  • ページ数 : 820頁
  • 書籍発行日 : 2022年9月
  • 電子版発売日 : 2022年12月28日
16,500
(税込)
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商品情報

内容

薬の相互作用は、“しくみ"から類推せよ!

どんな相互作用が起こり得るのか、どう対応すべきか、 基礎から実践まで、相互作用をまるごと学べる必読書


新薬の相互作用はもちろん、最新の添付文書改訂情報も反映。
大幅刷新した第2版を6年ぶりに発刊!!
薬物相互作用の発現機序(しくみ)を薬理学・分子生物学の最新知見に基づいて詳説するとともに、相互作用を引き起こす薬剤の組み合わせと起こり得る結果を一覧表にまとめました。
2022 年度の調剤報酬改定では、薬局が地域支援体制加算2 ~ 4を算定するための9 項目の実績要件の1つに「処方箋1 万枚当たり年40 回以上の重複投薬・相互作用等防止加算など」の実績が組み込まれました。患者の服薬情報(OTC薬や健康食品を含む)を一元的に把握し、これまで以上に相互作用に目を光らせ、処方医と連携しながら、安全で有効な薬物治療を支えていくことが求められています。
本書は、薬物相互作用を系統立てて学べる、他に類をみない実践テキストとして、薬剤師必携の一冊です。

【主な特長】
● 薬物相互作用の発現機序(しくみ)を徹底解説
● 新薬の相互作用をカバー
● 最新の添付文書改訂情報を反映
● 必見! 患者対応のコツをつかむ「症例」が満載
● 併用禁忌薬は、一覧表ですばやくチェック
● 飲食物と医薬品の相互作用も網羅

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序文


2016年6月に新版を発行してから6年以上が経過した。この間にも多くの新薬の販売や相互作用などの報告・追記などが行われ、本書も『新版 薬の相互作用としくみ 第2版』として補足・修正を行うことにした。

今回の主な追記は、以下に示す新薬(五十音別)に関する相互作用であり、必要に応じて体内動態、薬理作用、副作用、関連事項などの解説を行った。


アメナメビル(アメナリーフ;抗ヘルペスウイルス薬)、アルテメテル・ルメファントリン(リアメット配合錠;抗マラリア薬)、イダルシズマブ(プリズバインド;ダビガトラン特異的中和剤)、イバブラジン(コララン;HCNチャネル遮断薬)、イバンドロン酸(ボンビバ;ビスホスホネート系薬)、エサキセレノン(選択的ミネラルコルチコイドブロッカー;アルドステロン阻害作用)、エスフルルビプロフェン(ロコアテープ)、エリグルスタット(サデルガ;ゴーシェ病治療薬)、エルビテグラビル配合(スタリビルド配合錠、ゲンボイヤ配合錠;抗HIV薬)、抗HCV薬(グラゾプレビル[グラジナ]、エルバスビル[エレルサ]、グレカプレビル・ピブレンタスビル[マヴィレット配合錠])、サクビトリルバルサルタン(エンレスト;アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬[ ARNI];慢性心不全治療薬)、サフィナミド(エクフィナ;MAO- B阻害薬;抗パーキンソン薬)、シポニモド(メーゼント;多発性硬化症治療薬)、スピラマイシン (スピラマシン;16員環マクロライド)、腎性貧血治療薬(ロキサデュスタット[エベレンゾ]、バダデュスタット[バフセオ]、モリデュスタット[マスーレッド]、ダプロデュスタット[ダーブロック]、エナロデュスタット[エナロイ])、ダロルタミド(ニュベクオ;前立腺癌治療薬;AR競合阻害薬)、チカグレロル(ブリリンタ;抗血小板薬)、テトラベナジン(コレアジン;非律動性不随意運動治療薬)、セレキシパグ(ウプトラビ;PGI2誘導体;肺動脈性肺高血圧症治療薬)、ソホスブビル・ベルパタスビル(エプクルーサ配合錠;抗HI V薬)、チカグレロル(ブリリンタ;抗血小板薬)、デスモプレシン(ミニリンメルト;脳下垂体ホルモン薬)、デスロラタジン(デザレックス;抗アレルギー薬)、ドラビリン(ピフェルトロ;抗HIV薬)、ドルテグラビル・リルピビリン(ジャルカ配合錠;抗HIV薬)、ナルメフェン(セリンクロ;飲酒量低減薬)、バロキサビル(ゾフルーザ;抗インフルエンザ薬)、ビクテグラビル配合(ビクタルビ配合錠;抗HI V薬)、ヒドロキシクロロキン(プラケニル;免疫調整薬)、ヒドロモルフォン(ナルサス;オピオイド鎮痛薬)、ビベグロン(べオーバ;β3刺激薬;OAB治療薬)、ファビピラビル(アビガン;抗インフルエンザ治療薬)、ブレクスピプラゾール(レキサルティ;SDAM;非定型抗精神病薬)、プラジカンテル(ビルトリシド;抗吸虫薬)、ベンラファキシン(イフェクサー;SNRI)、ベキサロテン(タルグレチン;抗悪性腫瘍薬:ビタミンA類似薬[レチノイド製剤])、ペマフィブラート(パルモディア;フィブラート系薬)、ペランパネル(フィコンパ;抗てんかん薬)、ボルチオキセチン(トリンテリックス;5 -TH再取り込み阻害・5 -TH受容体調節薬)、ポサコナゾール(ノクサフィル;アゾール系抗真菌薬)、メラトニン(メラトベル顆粒小児用0.2%;メラトニン受容体作動性入眠改善薬)、ラコサミド(ビムパット;抗てんかん薬)、ラサギリン(アジレクト;選択的MAO-B阻害薬)、リナクロチド(リンゼス;便秘治療薬)、ルラシドン(ラツーダ;抗精神病薬/ 双極性障害のうつ症状治療薬)、リスデキサンフェタミンメシル酸塩(ビバンセ;中枢神経刺激薬;抗ADHD薬)、レテルモビル(プレバイミス;抗CMV薬)、ロミタピド(ジャクスタピッド;ホモ接合体家族性高コレステロール血症治療薬)、分子標的治療薬(50種類以上)など。


特に分子標的治療薬では50種類以上の新薬が続々と販売されており、かなり多くの薬物相互作用があるため、付録「付C」の表S- 8にもまとめて記載してみた(表S−7 )。

その他、「(表5 -14 )主なCYP450阻害薬( FDAによる阻害強度の分類)」、「(表5 -38) CYP450の臨床基質の例と治療域の狭い基質の例( FDAによる分類)」「(第7章第8節)SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation(勧告)」、「(コラム84 )漢方薬の成分による副作用」などは、最新の報告・情報に基づいてアップデートしている。

また、「(第1章第1節;注意)ビスホスホネート系による顎骨壊死」、「(コラム21)注意すべきトランスポーターの臨床阻害薬及び基質」、「(第4章第2節;注意)NPC1L1阻害(ビタミンK吸収阻害)が関与するエゼチミブとワルファリンの相互作用」、「(コラム20)ヌクレオシドトランスポーターとは」「(コラム47 )アルデヒドオキシダーゼ」「第8章第4節❼ショック、アナフィラキシー」などについても追記を行った。

上記以外にも、CYP450、抱合、薬物トランスポーターなどの薬物代謝酵素の基質の追記、販売中止の薬剤の商品名削除、また多少の追加や修正も行っているが、相互作用の発現機序の分類や考え方については、医歯薬出版から初版を発行して以来、25年以上一貫して同じであり、本書が基礎および臨床における最新の情報を兼ね備えた「相互作用を理解し把握するための理論書、実践書、必携書」として愛読されるよう最善の努力を行ったつもりである。本書について読者の方々からご意見・ご感想があれば、著者までご連絡いただきたい。

最後に、本書の発行に当たりご協力いただいた、日経BP社の河野紀子氏ならびに担当者諸氏にお礼を申し上げる。


2022年8月

杉山薬局 杉山 正康

目次

・本書の構成と使い方

・主な配合剤の一覧

・参考文献

・欧文略語一覧

・薬効分類と化学構造式一覧

・発現機序別の併用禁忌一覧表

1.薬物相互作用とは

2.相互作用に注意すべき薬剤

3.薬剤師としてどう対処すべきか

第1部 薬動態学的相互作用

第1章 消化管吸収

第1節 物理化学的変化

1.金属との錯体(キレートなど)形成

2.吸着

3.結合(イオン交換、酸塩基結合など)

第2節 抗菌薬による腸内細菌叢の変化

第3節 消化管運動の変化

1.難溶性薬剤の溶解

2.胃排出時間と初回通過効果

3.薬剤の分解

第4節 消化管内のpH変化

1.胃内での溶解性の変化

2.解離度の変化

3.酸による分解、析出、苦味発現

4.製剤特質の変化

第5節 消化管粘膜上皮細胞膜のトランスポーター ( 第 4章)

第6節 消化管吸収に関わるその他の相互作用

第2章 分布

第1節 血漿タンパク結合

第2節 血液組織関門

1.血液脳関門( BBB )

2.肝分布 ( 第 4章)

第3章 腎排泄

第1節 NSAIDsによる糸球体濾過量の減少

第 2節 トランスポーターの阻害・競合 ( 第 4章)

第3節 尿酸の再吸収・分泌の変化

第4節 近位尿細管でのリチウム(Li)、抗菌薬の再吸収

第5節 尿pHの変化

第6節 腎排泄に関わるその他の相互作用

第4章 薬物トランスポーター

第1節 トランスポーターの分類

1.ABCトランスポーター

2.有機イオントランスポーター

3.ペプチドトランスポーター

第2節 消化管吸収に関わるトランスポーター

1.P糖タンパク質( P-gp )

2.MRP2、P-gp誘導および阻害

3.BCRP

4.アミノ酸トランスポーター

5.PEPT1

6.OATPs

第3節 血液組織関門に関わるトランスポーター

1.血液脳関門( BBB )に関わるトランスポーター

2.血液胎盤関門に存在するトランスポーター

第4節 肝分布・胆汁中排泄に関わるトランスポーター

1.OATP2

2.OAT2

3.ABCトランスポーター

第5節 腎排泄に関わるトランスポーター

1.P糖タンパク質( P-gp )

2.OCTファミリー

3.OATファミリー

4.その他のトランスポーター

5.近位尿細管の尿酸トランスポーター

第5章 CYP450による代謝

第1節 CYP450と薬物相互作用

1.生体内におけるCYP450の役割と種類

2.CYP450が関与する相互作用の考え方

3.相互作用への対処法

4.CYP450の遺伝子多型と薬効

5.フラビン含有モノオキシゲナーゼ( FMO )

第2節 CYP450阻害に起因する相互作用

1.CYP450との結合・複合体形成による阻害

 A.イミダゾール系薬

 B.ヒドラジン系薬

 C.マクロライド系薬、ケトライド系薬

 D.エチニルエストラジオール

 E.クロラムフェニコール系薬

 F.チクロピジン塩酸塩

 G.クロピドグレル硫酸塩

 H.サルファ剤

2.同一CYP450分子種による代謝の競合阻害

3.阻害機序不明

 A.非特異的阻害

 B.特異的阻害

4.CYP450阻害の影響を受けやすい薬剤

5.CYP450阻害に起因するその他の相互作用

第3節 CYP450誘導に起因する相互作用

1.CYP450誘導薬剤と相互作用

2.薬物代謝酵素の誘導機序

3.アルコールによるCYP450誘導

4.アセトアミノフェンによる肝毒性の発現

5.抗てんかん薬によるビタミンDの不活性化と骨軟化症

6.ビタミンAの体内動態とCYP3A4誘導

第4節 二相効果

第6章 その他の薬物代謝酵素(系)

第1節 ウラシル脱水素酵素

第2節 キサンチンオキシダーゼ

第3節 アルコール代謝酵素系

第4節 抱合

 A.グルタチオン抱合

 B.グルクロン酸抱合

 C.硫酸抱合

 D.アセチル抱合

第5節 モノアミンオキシダーゼ(MAO)/カテコール-O- メチル基転移酵素(COMT)

第6節 コリンエステラーゼ

第7節 チオプリンメチルトランスフェラーゼ

第8節 エポキシド加水分解酵素

第9節 葉酸代謝

第10節 カルボキシエステラーゼ

第2部 薬力学的相互作用

第7章 薬の作用に起因する相互作用

第1節 中枢神経系抑制および興奮

1.拮抗作用

2.協力作用

3.中枢神経系に作用する薬剤の注意点

第2節 末梢神経系

1.交感神経系( SNS )

 A.協力作用

 B.拮抗作用

2.副交感神経系

 A.抗コリン薬、コリン作動薬

 B.運動神経遮断薬(筋弛緩作用)

 C.自律神経節遮断薬

第3節 MAO阻害

第4節 ヒスタミン

第5節 心機能促進および抑制、QT延長

第6節 血管拡張および収縮

第7節 血液凝固抑制および促進

第8節 血糖値低下および上昇

1.血糖値を変動させる薬剤と相互作用

2.糖尿病用薬の作用機序と注意点

3.メタボリックシンドローム

4.非定型抗精神病薬と糖尿病

5.糖尿病合併症の発症要因と治療法

6.糖代謝のメカニズム

第8章 薬の副作用に起因する相互作用

第1節 痙攣、パーキンソニズム

1.痙攣

2.薬剤性パーキンソニズム

第2節 低K血症、高K血症

第3節 血液障害

第4節 NSAIDsの副作用

1.消化性潰瘍

2.腎機能への影響

3.アスピリン喘息

4.スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症

5.ライ症候群

6.不妊症、心筋梗塞

7.ショック、アナフィラキシー

8.その他

第5節 その他の副作用

1.横紋筋融解症

2.肝機能障害

3.内耳神経障害および腎障害

4.光線過敏症

5.間質性肺炎

付録

付A 5-HT(セロトニン)

1.うつ病、統合失調症

2.末梢循環不全

3.催吐、下痢型IBS抑制作用

4.消化管運動賦活

5.片頭痛

付B PDE(ホスホジエステラーゼ)

1.血管系(血管平滑筋・内皮、血小板)

2.心筋

3.気管支平滑筋、炎症細胞

4.海綿体平滑筋、肺組織

付C 受容体

1.Gタンパク質共役型受容体

2.チロシンキナーゼ関連型受容体

3.核内受容体

4.受容体が関わる薬理作用とメカニズム

付D 動脈血栓症

1.ずり応力惹起血小板凝集

2.抗血小板療法

3.急性冠症候群

4.経皮的冠動脈インターベンション

付E 飲食物・嗜好品(21品目)と薬の相互作用

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書籍情報

  • ISBN:9784296112760
  • ページ数:820頁
  • 書籍発行日:2022年9月
  • 電子版発売日:2022年12月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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