ニーマンピック病C型(NPC)診療ガイドライン2023

  • ページ数 : 86頁
  • 書籍発行日 : 2023年1月
  • 電子版発売日 : 2023年2月1日
¥3,520(税込)
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商品情報

内容

厚労省研究班と日本先天代謝異常学会の協働によるエビデンスに基づくガイドライン.NPCの治療が可能となった今日において,症状から本症を疑い,病状が進行する前に診断し,早期に治療を開始することが課題となっている.本ガイドラインは先天代謝異常症を専門としていない医師を読者対象とし,全国にいるNPC患者さんが標準的な治療を受けられるよう企画された.

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序文

診療ガイドラインの刊行にあたって


ニーマンピック病C型(Niemann-Pick disease type C:NPC)は,ライソゾーム膜蛋白NPC1あるいはライソゾーム分泌蛋白NPC2の機能欠損により発症する常染色体潜性(劣性)遺伝形式の先天代謝異常症です.本疾患は新生児から成人まで幅広い発症年齢を有し,多彩な神経症状を示します.また,神経症状の初発年齢によって臨床経過と予後が違い,障害の程度も異なります.わが国では2012年よりNPCに対する基質合成抑制療法(substrate reductiontherapy:SRT)が保険収載され,治療薬として適用となりました.NPCが治療可能な疾患となった今日において,症状からNPCを疑い,早期に診断することの重要性はさらに増しています.

そのような背景から,日本先天代謝異常学会では,すでに厚生労働省難治性疾患等政策研究事業の研究の一環として作成したNPCの診療ガイドラインを一部改訂し,日本先天代謝異常学会版『ニーマンピック病C型(NPC)診療ガイドライン2023』を作成しました.

本ガイドラインの刊行は,科学的根拠に基づき,系統的な手法により作成された推奨をもとに患者と医療者を支援し,臨床現場における意思決定の判断材料の1つとして利用されることを目的としています.Mindsに示された手法の具体的な内容として,①可能なかぎり科学的根拠を明示すること,②医療における実践面を重視し,科学的根拠のみでは判断困難な状況もあることを十分に考慮すること,③患者と医療者の双方への情報提供によって合意形成を支援すること,④診療ガイドラインの作成等を担当する専門家を情報面で支援すること,などがあります.本疾患の性質上,これらの手法に則ったガイドラインを作成することは,文献数,症例数の少なさから評価,選定が難しいところもありましたが,可能なかぎりMindsの精神に沿うように努めました.

本ガイドラインが,難病診療に携わる難病指定医,さらには一般診療医の先生方,医療従事者の方々のお役に立つことを祈念いたします.


2022年12月吉日

一般社団法人 日本先天代謝異常学会 理事長/厚生労働省難治性疾患等政策研究事業
「ライソゾーム病,ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィーを含む)における良質かつ適切な医療の実現に向けた体制の構築とその実装に関する研究」 研究代表者
奥山虎之(埼玉医科大学)



診療ガイドラインの編集にあたって


ニーマンピック病C型(Niemann-Pick disease type C:NPC)は,ライソゾームにおけるコレステロール輸送に関与する蛋白の機能欠損により発症する先天代謝異常症です.NPCでは,その発症年齢によって経過や予後が大きく異なるため,臨床病型として5つの分類があります.そのため,NPCの診療では臨床症状から本症を疑う過程が重要となります.また,診断においても原因蛋白の機能異常を直接測定する検査法がないため,脂質蓄積など二次的な病態を捉えるバイオマーカー検査でスクリーニングして遺伝子検査で診断する特殊性があります.これらのことから,本ガイドラインでは,臨床症状や診断に多くの内容を盛り込みました.NPCの治療に関しては,根本的治療がなく,対症療法が基本になりますが,2012年より基質合成抑制療法(substrate reduction therapy:SRT)の治療薬ミグルスタットが承認されて標準治療となっています.

そこで本ガイドラインは,主治医の先生方ならびに患者さん,ご家族を対象として,わが国における適切な診断手段の推奨と治療・管理の提示を目的として作成しました.システマティックレビューやランダム化比較試験などのエビデンスの高い論文は極めて限られているため,非ランダム化比較試験や観察研究・症例報告を検索に含め,3つのクリニカルクエスチョン(CQ11~13)についてはシステマティックレビューを行い,エビデンスに基づいた推奨を作成し,その他のバックグランドクエスチョン(CQ1~10)や,今後登場する可能性のある新しい治療に関するトピックス(CQ14~16)については,各分野の専門家の先生方の総力を結集してエキスパートオピニオンとして解説しました.患者さんや主治医が遭遇する多様な医療課題に集学的に対処するための参考となり,QOLの維持向上につながることを祈念いたします.

なお,本ガイドラインの作成は,前研究班の2019年度のプロジェクトとして開始されました.企画立案など各場面においてご指導いただいた衞藤義勝先生に深謝いたします.それに続いて,当研究班において『Minds診療ガイドライン作成の手引き2017』の手法に基づいた『ニーマンピック病C型(NPC)診療ガイドライン2021』を作成し,全国の小児科教授等に配布いたしました.そして今回,さらなる普及を目的として,日本先天代謝異常学会と協働し,その承認を得て『ニーマンピック病C型(NPC)診療ガイドライン2023』として上梓しました.より多くの医療従事者の皆様に周知されることを期待しています.

最後に,本ガイドラインは別添「作成組織」記載の先生方の多大なるご尽力により完成しました.作成委員会の先生方,論文収集を担当してくださった阿部信一先生,作成方法についてご指導いただいた森實敏夫先生、乾 あやの先生,学会審査・承認にあたってご尽力いただいた日本先天代謝異常学会の奥山虎之先生,村山 圭先生,小須賀基通先生に深謝申し上げます.


2022年12月吉日

厚生労働省難治性疾患等政策研究事業
「ライソゾーム病,ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィーを含む)における良質かつ適切な医療の実現に向けた体制の構築とその実装に関する研究」
ニーマンピック病C型(NPC)診療ガイドライン作成委員会 委員長
高橋 勉(秋田大学)

目次

診療ガイドラインの刊行にあたって

診療ガイドラインの編集にあたって

作成組織

診療ガイドラインの作成方法に関して

使用上の注意

対象となる患者

利益相反

CQ・推奨文(要約)・推奨度・エビデンスレベル一覧

第1章 ニーマンピック病C型(NPC)診療ガイドライン2023

I NPCの概要

疾患概要

病態

臨床症状および臨床病型

臨床検査および診断

治療

フォローアップ

II NPCの診断と臨床検査

CQ 1 NPCは発症年齢によって臨床症状が異なるか?

CQ 2 NPCでは肝脾腫を必ず認めるか?

CQ 3 NPCに特徴的な神経症状はあるか?

CQ 4 NPCの診断において中枢神経画像検査は有用か?

CQ 5 NPCの診断においてフィリピン染色は有用か?

CQ 6 NPCの診断において遺伝子検査は必須か?

CQ 7 NPCの診断においてバイオマーカーは有用か?

CQ 8 NPCの診断はどのような流れで行うか?

III NPCの治療

CQ 9 カタプレキシーに対して有効な治療はあるか?

CQ 10 ミグルスタットは周産期型や乳幼児早期型の胆汁鬱滞や肺障害を改善するか?

CQ 11 ミグルスタットは生命予後,QOLを改善するか?

CQ 12 ミグルスタットは神経症状を改善するか?

CQ 13 ミグルスタットは精神症状を改善するか?

IV NPCの新しい治療

CQ 14 NPCにおけるシクロデキストリン治療とは?

CQ 15 NPCにおける肝移植,造血幹細胞移植とは?

CQ 16 NPCにおける遺伝子治療とは?

第2章 システマティックレビュー(SR)ダイジェスト

資料  CQ 11-01 文献検索式

資料  CQ 11-02 定性的SRとSRレポート

資料  CQ 12-01 文献検索式

資料  CQ 12-02 定性的SRとSRレポート

資料  CQ 13-01 文献検索式

資料  CQ 13-02 定性的SRとSRレポート

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書籍情報

  • ISBN:9784787880543
  • ページ数:86頁
  • 書籍発行日:2023年1月
  • 電子版発売日:2023年2月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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