臨床的骨盤筋膜解剖から考える よくわかるTLH[Web動画付]

  • ページ数 : 140頁
  • 書籍発行日 : 2023年3月
  • 電子版発売日 : 2023年2月15日
¥8,800(税込)
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商品情報

内容

膜を制するものはTLHを制す

腹腔鏡下単純子宮全摘術(TLH)を実施するために必要な通常の解剖理解に加えて,著者独自の腹腔鏡手術における“膜間解剖の理解”をコアとして,TLHおよび子宮内膜症の手術を解説。最後の腟断端の縫合手技まで詳細に解説し,初学者に必要な知識が満載!
動画はTLH,子宮内膜症手術ともに,一つの手技をノーカット配信。

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序文

序文

私は1995 年ころより愛媛県立中央病院にて本格的に腹腔鏡下手術をはじめました。そして,2006年より大阪中央病院で婦人科の腹腔鏡下手術を中心とする診療に従事させていただいており,現在,TLH の執刀・指導例は4 , 000例を超えました。

多くの先生方を指導する機会に恵まれましたが,一番気になったことは手術中に私のやっていることが多くの先生に真似をされてしまうことです。良いところだけでなく,自分ではあまり良いとは思わないところまで真似されてしまう。「そうじゃないんだけれどな」と思うこともありました。そこで,私が心がけたのは,わかりやすい手術をすることでした。

では,わかりやすい手術とはどのような手術でしょうか。私が考えたのは以下の3点です。

①明るい視野で細かいところがわかりやすい手術(Visualization)

②解剖学的構造がわかりやすい手術(Microsurgical anatomy)

③術者の意図がわかりやすい手術(Imagination)

今回は私の意図まで理解していただくため,術中に私の頭に浮かぶイメージを自分で考えたシェーマを多く使って表現してみました。さらに,私の意図を理解していただきやすいように,それぞれの術中写真の動画を供覧できるようにしています。一部の動画には私の術中の音声も収録しましたので,術野の展開の仕方やその場の空気などもお伝えできると思います。

巷では「不器用なヤツがやっても失敗しないのがよい術式」といわれているそうです。本書では私の手術をわかりやすく表現したつもりですが,簡単にできるものではないと思います。皆さんには,基本的な手術操作,そして術野を「みる」ということができるよう修練を続けてほしいです。特に膀胱脚の処理については,正確な操作ができるようになるまでは無理をせずに行ってください。

なお,本書ではできるだけ難しい解剖学用語は使わないように心がけましたが,私がTLHの序盤で重視している子宮円索から子宮頸部側方(子宮動静脈)に連続する筋膜については「子宮円索筋膜」とよばせていただくこととしました。最近(2022 ~ 2023 年現在)TLHが行われる際に呼称されているLatzko・岡林の腔についてはそのまま使用しましたが,直腸の側方まで展開されているわけではないので,将来的には違う呼称になっているかもしれないことを留意しておいてください。また,臨床に携わる医師が語る解剖ですので,本書の内容は解剖学的には必ずしも合致しないという批判も受けるかもしれません。ただ,「解剖学的構造はこのようになっているのだというイメージで手術をしていくと,その手術は確実にうまくいく」ということだけはお伝えしたいと思っています。

本書は多くの方に助けていただき完成させることができました。2003年にミルウォーキーで腹腔鏡で行うmicrosurgeryを見学させていただいたCharles H. Koh先生からは技術的に大きな影響を受けました。私は彼の手法の伝承者でありたいと思い,現在まで精進してきました。そして,愛媛で未熟な私を温かい目で見守っていただいた森巍先生,手術の上手い婦人科医になりたいと思わせていただいた藤田卓男先生,愛媛県立中央病院・大阪中央病院でともに汗をかいた先生方・スタッフの皆様,今回,執筆の機会をいただいたメジカルビュー社の浅見直博様に,ここで重ねてお礼を申し上げます。


2023年2 月

松本 貴

目次

第1章 TLHを行うための解剖知識

骨盤内臓器の解剖学的構造

骨盤解剖をどのように捉えるか?

 1 骨盤内には泌尿器・生殖器・消化器がある

 2 それぞれの臓器に動静脈・リンパ管・神経が入っていく

 3 どこまでがそれぞれの臓器なのか?

骨盤内の管腔臓器の構造

 1 骨盤内の管腔臓器は,それぞれ間膜構造をとっている

 2 膀胱の間膜構造と膀胱下腹筋膜

 3 子宮の間膜構造

 4 直腸の間膜構造

 5 尿管の間膜構造

 6 TLHを行うための解剖知識

 7 TLHを行う際に知っておくべき動脈と静脈

臓器の境界をみる

 1 生理的な癒着・癒合と後天的癒着

 2 切開・剥離の方法

 3 発生学(胎生解剖学)から考える子宮周囲の構造

 4 由来の異なる臓器を正確に分離する(切開と剥離)

第2章 TLH/手術全体を解剖的視点で振り返りながら考える

子宮マニピュレーターの装着と操作

 1 子宮頸部カップを装着する場合

 2 子宮頸部カップを装着できない場合

 3 マニピュレーターを装着できない場合

 4 トラカールの挿入とポート配置

 5 腹腔内の観察と腸管の挙上・S状結腸の剥離

 6 円靱帯の凝固切開と広間膜・膀胱子宮窩腹膜の切開

膀胱と子宮の剥離

 1 膀胱の剥離

 2 膀胱脚の処理

子宮動脈・尿管へのアプローチ

 1 側方アプローチ

 2 前方アプローチ

子宮上部靱帯の処理

 1 子宮上部靱帯の解剖学的構造

 2 子宮上部靱帯の処理の進め方

広間膜後葉の剥離

 1 子宮頸部寄りで腔を展開する方法

 2 尿管を広間膜後葉から剥離していく方法

子宮動静脈の処理と腟管の切断

 1 腟壁とその周囲の構造

 2 前腟壁の切開

 3 子宮動静脈の凝固切断

 4 腟の凝固切開

 5 後腟壁の切開

 6 腟が狭くて、腟部カップが装着できない場合

腟断端縫合  

 1 腟断端両端のZ縫合

 2 腟断端の2層縫合

 3 Two stage passの勧め 

 4 もし,1層で縫合するのであれば……

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書籍情報

  • ISBN:9784758321358
  • ページ数:140頁
  • 書籍発行日:2023年3月
  • 電子版発売日:2023年2月15日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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