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- あなたもはまるDIC―まったく新しいDIC学への誘い
商品情報
内容
DICに苦手意識がある人も、関心高い人も、間違いなくハマる1冊!
わかったようでよくわからない播種性血管内凝固症候群、DICをまさに快刀乱麻を断つごとく、明解・簡潔に解説したのが本書、「あなたもはまるDIC」です。DIC学という学問体系を熱く語り、毎日の臨床に直結するDICの最新の知識を満載しました。時空を超えて地球誕生の45億年前から現在、未来へ、DNAから細胞、組織、丸ごとの人体まで、そして基礎から臨床へ、DICのすべてがこの一冊に凝集されています。
豊富かつ色彩豊かな図表が本文の理解を助け、三百を超えるPoint解説が理解を深めます。学習に疲れたときは読んで楽しいコラムで息抜きをしてください。本書を手にした医学生、研修医、専攻医、専門医、すべての皆さんがDICの面白さに気づいていただけると確信しています。
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序文
はじめに
ファイブリノジェン! 米国留学から戻ったS先生の威勢のよい言葉が大阪府立病院救急医療専門診療科の医局に響きわたります.なるほど,フィブリノーゲンは彼の地ではファイブリノジェンというのか.遡ること数十年,播種性血管内凝固症候群(DIC)との出会いです.救診科では来る日も来る日も外傷,熱傷,セプシス,心停止など,超のつく重症患者診療に明け暮れましたが,その中でセプシスがこんなに多いものかと驚嘆し,重症患者診療でDICの重要性を学びました.DICの確立した診断基準と治療法のない時代です.死に直結する病,DICとは何かもよくわからず,分厚いDICの教科書を当直室で読んだ記憶が懐かしく思い出されます.大阪府立病院救診科は,現在まで続くことになる筆者の救急医療と救急医学の歩み,そしてDIC研究の原点です.
本書をひもとく読者諸氏はDICという病をどのように考えているのでしょうか.半世紀以上も前に概念が形成され,数十年前には独立した病態としてDICの存在は確固たるものとなりました.DICの病態生理は時代とともに変遷し,大きな進歩・発展を遂げてきましたが,昔も今も,DICは常に時代の最先端をいく病態です.本書の内容をご覧になれば一目瞭然ですが,DICはDIC学という独立した学問体系を構築している病態です.そして,臨床のみならず基礎研究においても,いまだに解明されていない多くの興味深い課題が残っている,最新の学問体系であることをご理解いただきたいと思います.
本書は巷間あふれるマニュアル本ではありません.おっと,書架に本書を戻さないでください.本書は,最新DIC学を初心者にもわかりやすく解説しましたからご安心ください.半世紀以上にわたるDICの歴史を俯瞰し,そのうえでDICの病態生理,診断,鑑別診断,治療を記述しました.医学生,研修医,専攻医,そして専門医が読んでも十分に満足できる内容と自負しています.DICを解体して,遺伝子DNAレベルから丸ごとの人体まで,まさに「快刀乱麻を断つ」ごとく解説したのが本書です.
本書の読み方はいろいろあります.最初から最後まで通読するのもよいでしょう.気力と体力が必要ですが,あなたは本書一冊で世界の名だたるDIC研究者に名前を連ねることになるでしょう.興味のある章,必要な章をひもとくのが多くの読者諸氏と思われますが,どこを開いても世界の最先端をいくDICの最新情報が満載なことに気づいていただけると思います.コラムも是非ご一読ください.気力・体力の落ちたときの息抜きですが,最初から最後までコラムだけを読み通す読者もきっといるに違いありません.面白いこと請け合います.300個を超えるPointもつけましたが,本文の補足情報ですから適宜参考にしてください.
本書のもう一つの特徴は,豊富かつ色彩豊かな図表と500編を超える文献です.図表は文章の理解に必須であり,文章の理解なくして図表の作成はできません.ほとんどの図表は筆者自ら作成しましたが,読者諸氏が膨大なDICを基礎から臨床まで,容易に理解するのに大いに寄与すると確信しています.1950年代から現在までDIC学を学ぶために必須の文献を網羅しました.容易に文献を取得できる時代ですが,玉石混交の大量の情報があふれる現在,何がDIC研究に必要かを専門家の視点で厳選しました.読者諸氏のDIC研究に大いに役立てていただきたいと考えます.
最後となりますが,本書を手にとっていただきありがとうございます.本書を通じてDIC学を学び,そして興味を持ち,多くのDIC研究が日本から世界に発信されることを夢見ています.
2022年夏
丸藤 哲
目次
第1章 DICとは何か
はじめに
1.止血血栓と免疫血栓
2.血管内と血管外
3.DICとは何か
第2章 概念の確立と病態への関与
1.概念の確立
2.病態への関与
1)敗血症(sepsis)とDIC
(1) Sepsis-1
(2) Sepsis-2からSepsis-3へ
(3) DIC苦難の時代
(4) 一大方向転換とDIC
(5) 二つの潮流
2)外傷とDIC23
(1)病態の確立
(2)希釈性凝固障害神話
(3)DIC迫害の時代
(4)外傷性凝固障害(traumainducedcoagulopathy:TIC)とDIC
3)心停止・蘇生とDIC
(1)No-reflow
(2)トロンビン産生と血栓形成
(3)Post-CardiacArrestSyndrome
第3章 生体侵襲と生体反応
はじめに
1.生体侵襲
1)侵襲刺激
2)侵襲の感知
(1)TLRs(toll-likereceptor)
(2)NLRs(NOD-likereceptor)
(3)RLRs(RIG-I-likereceptor)
(4)CLRs(C-typelectinreceptor)
(5)ALRs(AIM2-likereceptor)
3)情報伝達
(1)TLRs(toll-likereceptor)
(2)NLRs(NOD-likereceptor)
(3)RLRs(RIG-I-likereceptor)
(4)CLRs(C-typelectinreceptor)
(5)ALRs(AIM2-likereceptor)
2.生体反応
1)制御された細胞死
(1)アポトーシスとネクロトーシス
(2)パイロトーシス
(3)ネトーシス
(4)産物とその意義
2)炎症反応
(1)血管拡張と血管透過性亢進
(2)白血球・血管内皮細胞活性化
(3)組織侵入と殺菌
3)凝固線溶反応
(1)血小板・凝固反応
(2)凝固制御反応
(3)線溶反応
4)炎症と凝固反応の連関
5)キニン・カリクレイン系と補体経路
(1)キニン・カリクレイン経路
(2)補体経路
6)神経内分泌・自律神経反応
(1)神経中枢
(2)刺激の伝達
(3)炎症反射(inflammatoryreflex)
(4)生体反応
第4章 生体侵襲とDIC はじめに
1.トロンビン
2.PAMPsとDAMPs
1)PAMPsとDAMPs
2)PAMPs〜LPS
3.制御された細胞死
1)DAMPs
2)パイロトーシスとインフラマソーム
3)アポトーシスとネクロトーシス
4)ネトーシス
(1)NETsと免疫血栓(immunothrombosis)
(2)血小板と白血球
(3)線溶反応の抑制
4.ヒストンとDNA
1)DNA
2)ヒストン
(1)炎症反応
(2)血小板活性化と凝固亢進
(3)抗凝固機能の抑制と血管内皮細胞傷害
(4)線溶反応の抑制 5サイトカインとPARs
1)炎症性サイトカイン
2)PARs(protease-activatedreceptors)
6.補体経路反応
1)凝固線溶系
2)炎症反応
7.神経内分泌・自律神経反応
1)交感神経
2)迷走神経
第5章 DICの病態生理
はじめに
1.血小板・凝固線溶反応
1)血小板
2)凝固線溶系
2.血管内皮細胞と抗凝固因子
1)グリコカリックスと血管内皮細胞
2)抗凝固因子
3.消費性凝固障害と出血
4.MODS(多臓器機能障害)
1)微小血管内血栓形成とMODS
(1)微小血管内血栓形成
(2)微小血管内血栓形成とMODS
2)炎症・凝固反応連関とMODS
(1)炎症性サイトカインと組織因子
(2)PARs(protease-activatedreceptors)
3)血管内皮細胞傷害とMODS
(1)好中球と血管内皮細 胞傷害
(2)血管内皮細胞間隙の開大
(3)アンギオポエチンとTie2
(4)VEGF(血管内皮細胞増殖因子vascularendothelialgrowthfactor)
(5)炎症・低酸素連関(Inflammatoryhypoxia)とHIF-1α
4)補体経路反応とMODS
5)DAMPs,ヒストンとMODS
第6章 DICの定義,基礎病態と診断
定義
基礎病態
1)基礎病態
2)急性期医療領域のDIC
(1)感染症と組織損傷
(2)毒蛇咬傷
3)産科領域のDIC162
(1)全身性炎症反応と凝固線溶系
(2)分娩後出血(postpartumhemorrhage:PPH)
(3)常位胎盤早期剝離
(4)妊娠高血圧腎症(子癇前症)と子癇
(5)羊水塞栓症
(6)HELLP症候群
4)悪性腫瘍とDIC
(1)癌細胞による凝固亢進
(2)病的炎症・凝固線溶反応
(3)炎症・低酸素連関
(4)線溶反応の亢進
3.診断
1)診断基準とは何か
2)DIC診断基準に求められるもの
3)ISTHDIC診断基準
4)急性期DIC診断基準
(1)理念
(2)作成と検証
(3)特徴
(4)ISTHDIC診断基準との比較
5)そのほかのDIC診断基準
第7章 DICの病型
1.制御型(controlledDIC)と不全型(uncontrolledDIC)
2.線溶抑制型(thromboticphenotype)と線溶亢進型(fibrinolyticphenotype)
1)考え方
2)線溶亢進型DICの基礎病態
3)凝固線溶反応の推移
第8章 DICの臨床
1.症状と検査所見
1)症状
2)検査所見
2.鑑別すべき病態
1)血栓性微小血管症(TMA)
2)ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-inducedthrombocytopenia:HIT)
3)血球貪食症候群(hemophagocyticsyndrome:HPS)
4)抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipidsyndrome:APS)
5)後天性フォン・ウィルブランド症候群(acquiredvonWillebrandsyndrome:AvWS)
6)後天性凝固因子インヒビター
7)腫瘍崩壊症候群(tumorlysissyndrome:TLS)
3.予後
1)死亡率の変遷
2)MODSと死亡の予測
第9章 DICの治療
1.なぜ治療するのか
2.抗凝固療法の至適対象
1)DICの診断
2)重症度の確認
3)免疫血栓(immunothrombosis)
4)臨床応用
3.診療ガイドライン
4.DICの治療
1)基礎病態の治療
2)補充療法
3)抗凝固療法
4)抗線溶療法
5.DICの治療薬
1)生理的抗凝固薬
(1)アンチトロンビン製剤
(2)遺伝子組換え型ヒトトロンボモジュリン(recombinanthumansolublethrombomodulin:rhTM)
2)ヘパリン類似物質(ヘパリノイド)
(1)未分画ヘパリンと低分子ヘパリン
(2)ヘパリン類似物質(ヘパリノイド)
3)合成蛋白分解酵素阻害薬
4)抗線溶薬
第10章 症例から学ぶDIC
1.心停止蘇生後症例
1)心原性心停止症例
(1)灌流量と灌流圧
(2)凝固線溶系の変化
(3)転帰
2)低酸素性心停止症例
(1)窒息
(2)溺水
3)心停止生後症例の予後
2.外傷症例
1)多発外傷
2)単独頭部外傷
3)生理的止血・創傷治癒の凝固線溶系
4)外傷症例の予後
3.敗血症症例
1)敗血症
2)敗血症性ショック
4.分娩後出血症例
5.鑑別診断
1)定期手術後に進行する血小板数減少
2)急に進行する出血傾向
6.治療
1)基礎疾患の治療,補充療法と抗凝固療法
2)出血性副作用
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書籍情報
- ISBN:9784895907675
- ページ数:324頁
- 書籍発行日:2023年2月
- 電子版発売日:2023年2月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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