序文
本書の読者対象は,研修医,一般開業医,他科の医師,消化器内科医,消化器外科医です.
まず,消化器以外を専門とする他科の医師や研修医 ・開業医などは,どのような診療ガイドライン(国内,海外,WHO など)が存在するのかも,なかなか把握しきれていないのが現状かと思われます.また多忙のため,調べるのも大変なことが多いと思います.そこで,そのような医師の方々を読者対象とした,「ガイドラインのためのガイド(Guideline’s guide)」というべき本があれば,診療に非常に役に立つのではないかと考えたのが,この「最新ガイドラインに基づく診療指針シリーズ」の主旨です.
また,消化器専門医でも,肝臓,消化管,膵臓胆嚢領域と,広範な領域をカバーできてないこともあるかと思いますので,消化器専門医にとっても,消化器領域で自分の専門外の領域の状況をチェックする意味でも,非常に重要と思います.
旧版が刊行され2 年余りが過ぎました.多くの先生方にご好評をいただきましたが,この間各種ガイドラインで改定等が多く行われましたので,今回大幅な改定を行い『最新ガイドラインに基づく消化器疾患診療指針 2023-‘24』として出版することになりました.
本書では,以下に記載する最近発刊されたガイドラインの改定内容が,各専門家の先生により加筆されており,この結果,最新の状況を一目でわかるようになっております(「ガイドラインの現況」の変更点を で明示).
・日本消化器病学会 編:胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3 版) 2021 年
・日本食道学会 編:食道癌診療ガイドライン2022 年版 第5 版 2022 年
・日本胃癌学会 編:胃癌治療ガイドライン医師用2021 年7 月改訂第6 版 2021 年
・米国結腸直腸外科学会:急性結腸拡張症診療ガイドライン 2021 年
・日本医学放射線学会,日本放射線専門医会 編:画像診断ガイドライン2021 年版 2021 年
・大腸癌研究会 編:大腸癌治療ガイドライン医師用2022 年版 2022 年
・日本癌治療学会 編:GIST 診療ガイドライン2022 年4 月改訂(第4 版) 2022 年
・日本肝臓学会 編:B 型肝炎治療ガイドライン(第4 版) 2022 年
・日本肝臓学会 編:C 型肝炎治療ガイドライン(第8.1 版) 2022 年
・日本肝臓学会 編:C 型肝炎治療ガイドライン(第8.2 版) 2023 年
・厚生労働省:自己免疫性肝炎(AIH)の診療ガイドライン(2021 年) 2022 年
・日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022 年版 2022 年
・日本肝臓学会 編:肝癌診療ガイドライン2021 年版 2021 年
・日本肝胆膵外科学会 編:転移性肝がん診療ガイドライン 2021 年
・日本消化器病学会 編:胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3 版) 2021 年
・ 急性胆管炎 ・胆嚢炎診療ガイドライン改訂出版委員会:急性胆管炎 ・胆嚢炎診療ガイドライン2021(第3 版) 2021 年
・ 急性膵炎診療ガイドライン2021 改訂出版委員会 編:急性膵炎診療ガイドライン2021 第5 版 2021 年
・日本消化器病学会 編:慢性膵炎診療ガイドライン2021(改訂第3 版) 2021 年
・ 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会 編:膵癌診療ガイドライン2022 年版 第6 版 2022 年
・ 十二指腸癌診療ガイドライン作成委員会 編:十二指腸癌診療ガイドライン2021 年版 2021 年
・ 日本消化器内視鏡学会 編:大腸cold polypectomy ガイドライン(大腸ESD/EMR ガイドライン追補) 2021 年
・ 日本消化器内視鏡学会 編:クローン病小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術ガイドライン(小腸内視鏡診療ガイドライン追補) 2021 年
本書は,内外のさまざまなガイドラインの中から重要な情報を抽出し,非専門家でも理解できるように平易に記載いただき,その診療エッセンスをまとめていただくことが,コンセプトとなっております.多くのガイドラインをお手元に置くことなく,本書を紐解けば最新のエッセンスを即座にチェックすることができます.多忙な臨床現場で治療方針を決める際に,ぜひとも活用していただければ幸いです.
2023 年3 月
横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学教室 主任教授
中 島 淳