薬剤師のための医薬品情報のトリセツ

  • ページ数 : 334頁
  • 書籍発行日 : 2023年3月
  • 電子版発売日 : 2023年4月26日
¥4,400(税込)
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商品情報

内容

結局どの情報をどう集めて患者さんに何を還元すればいいの?

薬局薬剤師の周りには医薬品情報があふれています。ただ、どの情報をどう集めるか、何に目を通すのか、どのように活用すればよいのか、すべて理解している薬剤師は少ないのではないでしょうか。日々の業務に忙殺されている中で、いかに効率的に医薬品情報を扱うかが勝負の分かれ目ともいえます。患者さんのためになる薬剤師を一緒に目指してみませんか。

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序文

序文

私が薬剤師になる前は、「薬剤師になったら薬のことが何でもわかるようになるのだろう」と思っていました。しかし、実際には薬剤師になってもわからないことばかりです。たっぷり勉強して薬科大を卒業したはずなのに、なぜ薬剤師になってからも“毎日が勉強……”という日々から卒業できないのでしょうか。その理由を考えてみましょう。

一つ目は「医療情報は膨大である」です。大学で様々なことを学習しますが、大学で教わっていないことを“現場”で学ぶことも多く、幅広い知識が必要とされます。

二つ目は「医療情報は日々アップデートされる」です。前例のない作用機序の新薬が登場することもありますし、過去の常識を覆すような研究結果が発表されることもあります。医療情報は目まぐるしくアップデートされるので、古い知識だけでは太刀打ちできません。

三つ目は「忘れる」です。学習したはずのことが忘却の彼方へ……。決してふざけているわけではなく、月日が経てば記憶が薄れていくのはやむを得ないことです。一度勉強したことでも、しばらく関与していない領域は忘れてしまうこともあるので、「復習」も大事ですね。

そんなわけで、薬剤師にとって「勉強」は欠かせないものですが、「勉強する」と言っても、学生時代のように分厚い教科書を開いて、領域・科目別にじっくりと勉強する時間的余裕は少ないです。日々の業務で遭遇した事例に関する疑問点に焦点を絞って、慌ただしく情報収集する場面も多いのではないでしょうか。

そこで、本書では日々の業務の中で「わからないこと」に直面したときに、どの情報源を参照し、収集した情報をどのように評価して患者さんに還元するのかをまとめました。医療現場で直面する「わからないこと」に立ち向かうために、本書が少しでもお役に立てれば幸いです。


目次

第1章 医療情報の位置づけ

医療情報の位置づけを整理しよう!

一次情報/二次情報/日々、参照する情報源は二次情報が多い?


第2章 二次情報の活用

添付文書(電子化された添付文書:電子添文)

添付文書記載要領の変更/各項目の記載内容/コラム「添加物に薬理作用あり!?」/コラム「添付文書の臨床成績の評価に要注意!」

インタビューフォーム

インタビューフォームの記載内容/インタビューフォームの活用における注意点

検索のコツ 文書内の記載箇所の検索

先発医薬品とジェネリック医薬品の製品情報の違い

どちらの添付文書・インタビューフォームを参照するか?

PMDA(医薬品医療機器総合機構)

医療用医薬品情報検索/一般用医薬品・要指導医薬品情報検索/重篤副作用疾患別対応マニュアル/PMDAメディナビの登録

承認審査情報「審査報告書」

「審査報告書」から得られる情報/ペマフィブラートの禁忌事項の例

RMP(医薬品リスク管理計画)

「患者向医薬品ガイド」と「くすりのしおり®」

入手方法/それぞれの特徴と活用法

製薬会社の情報(ウェブサイト、コールセンター/MR)

製薬会社のウェブサイトの活用/製薬会社への問い合わせ/「問い合わせ」という情報収集方法だけでは不十分なのはなぜ?/コラム「製薬会社の情報を鵜呑みにしてはいけないの!?」/コラム「食品や栄養に関する情報源は?」

診療ガイドライン

診療ガイドラインの入手方法/診療ガイドラインの構成と内容/“オススメ事項”に関する2つのランクづけ/診療ガイドラインの限界と注意点

海外の添付文書

海外の添付文書の入手方法/海外の添付文書を参照するうえでの注意点/海外の添付文書から学べることは?

検索のコツ Googleで医療情報をゲット!

コラム「病気を治すための薬でドーピング違反!?」

その他のインターネット情報

医療情報サイト/医療機関のウェブサイト/コラム「〇〇病ってどんな疾患!?」/ブログ/SNS/企業の製品情報

二次情報の妥当性の評価

情報の発信源の確認/情報発信の目的は?/情報を「事実」と「意見」に分類/裏づけとなるデータは? 出典を確認しよう/出典の有無だけを確認すればよいのか?/一次情報へのいざない/コラム「出典を確認せずに、二次情報を利用してはいけないのか?」


第3章 一次情報の活用

なぜ論文を参照するの?

お役立ちポイント/ハードルに感じるポイント/コラム「PDFファイルの翻訳方法」/ハードルを飛び越えて、一次情報を活用しよう!

「エビデンス」とは何を指すのか?

エビデンスとは/EBMにおける「根拠」とは論文情報だけ?/根拠のない医療とは/なぜ論文情報を確認することが重要なのか/患者さんに目を向けることも大事!/NBM vs EBM !?

臨床研究の種類

プロローグ 架空の健康食品『スレンダーゼ』の例/基礎研究・非臨床試験とは/症例報告とは/前後比較試験とは/コホート研究とは/症例対照研究とは/ランダム化比較試験とは/クロスオーバー試験とは/システマティックレビュー&メタアナリシスとは/コラム「プレプリント論文とは?」/臨床研究のエビデンスレベルは?

論文情報のまとめ方 「PECO」と「ビジアブ」

PECO/ビジアブ/コラム「勉強用のビジアブと、“お披露目”用のビジアブ」

外的妥当性の検討 「論文のPECO」と「目の前の患者さんのPECO」

患者背景の比較/介入内容の比較/治療期間の検討

論文の構成

Abstract/Introduction/Methods/コラム「試験対象薬以外の治療内容は?」/コラム「評価尺度や症状スコアの調べ方」/Results/コラム「ITT解析でも全例解析とは限らない?」/Discussion/コラム「ディスカッションで答え合わせ!?」/Supplementary Material

実際に論文を読んでみよう! 「葛根湯vs総合かぜ薬」

研究の背景は?/研究フロー/患者背景/介入内容/ランダム化の方法/盲検化の有無/プライマリアウトカム/試験結果の確認/論文の結論/研究結果を考察しよう!

検索のコツ PubMedを使ってみよう!

検索のコツ 「木を見て森を見ず!?」に要注意


第4章 データの読み方

グラフの読み方

グラフの縦軸の起点は?/グラフの横軸の間隔は一定か?/複数のグラフ表示の縦軸は統一されているか?/総括 具体的な数値を読み取ろう!

平均値と中央値の違い

外れ値の影響/データ全体の反映/平均値と中央値の特徴と使い分け

「割合」「率」「比」の違い

割合/率/比

リスク比、オッズ比、ハザード比の違い

「リスク」と「オッズ」/「リスク比」と「オッズ比」/オッズ比がリスク比に近似するのはどのようなとき?/「リスク比」と「ハザード比」

相対リスクと絶対リスクの違い

相対リスクと絶対リスクを計算してみよう/治療の有益性はベースラインリスクによって異なる/コラム「NNTとNNH」/有効性と安全性の評価においては絶対リスクも考慮しよう!/コラム「リスク比、オッズ比、相対リスク減少率RRR、絶対リスク減少率ARR、治療必要数NNTのまとめ」

p値と95%信頼区間

p値とは何か/「差の大きさ」の他にp値に影響する因子は?/p値は治療効果の大きさの指標ではない/95%信頼区間と症例数の関係は?/もう一つの誤解 「有意差なし=効果がない」!?

アウトカムを事前に設定する意義

複合アウトカムの評価

複合アウトカムの内訳は?/非盲検試験に要注意/アウトカム発生後の経過/複合アウトカムを評価するときの注意点

別々の試験結果の比較における注意点

薬が効きやすい症例と効きにくい症例/臨床試験の患者背景を比較

シンプソンのパラドックス① 「交絡バイアス」

グループ分けして比較すると結果が逆転/なぜパラドックスが起きたのか?/背景因子の異なるグループの比較においては交絡の影響を考慮

シンプソンのパラドックス② 「試験データの合算」

2つの試験の結果を別々に見てみよう

検査の感度/特異度

感度と特異度/陽性的中率と陰性的中率/検査の的中率は検査対象集団によって変動する/感度・特異度と陽性的中率・陰性的中率の関係/検査前確率の見積もりが重要

検診による生存率の延長 リードタイムバイアスに要注意

リードタイムバイアス/もう一つのバイアス レングスバイアス/検診の有効性を評価する方法


第5章 調べ方

保険給付の対象かどうか

薬価基準に収載されているかどうかチェック/保険給付の対象となる使用法かどうかをチェック/院外処方が可能な薬かどうかをチェック/診療報酬の改定にも注意!

適応外使用の保険適用の可否

保険適用される公知申請品目/審査情報提供事例/適応外使用/公知申請と審査情報提供事例の違い

特別な医薬品管理が必要な薬かどうかの調べ方(規制区分の確認/調剤前の確認事項)

一般名処方マスタ その貼付剤は温感? 非温感?

医薬品の保管方法と保管期間

各種製品情報で保管方法を確認/冷所保存の薬を持ち歩いてもよいか

薬の味の調べ方

有効成分の味と製剤の味/味に関する、その他の情報源

一包化の可否

吸湿性などの製剤の特性を確認/一包化に適さない薬は絶対に一包化したらダメ?/製剤の安定性を慎重に評価したうえでの判断を

飲み忘れに気づいたときの対処法

「患者向け医薬品ガイド」「くすりのしおり®」/海外の添付文書/薬理作用や薬物動態の確認と、個々の状況に応じた評価

薬の消失経路

主な消失経路は3つ/肝臓で代謝されない薬/肝臓で代謝を受ける薬/添付文書のパラメータの読み方/実践! 添付文書のパラメータから主な消失経路を見極めてみよう/消失経路の判別のまとめ/コラム「Giusti-Hayton法 腎機能低下時の用量設計の方法」

腎機能評価と用量調節

様々な腎機能の指標/腎機能評価のピットフォール/腎機能評価には限界がある!/患者さんのアウトカムを見据えた用量調節を/コラム「小児の腎機能の推算方法は?」

小児の投与量

小児用量の推算式/小児用量の情報源/症例:カンデサルタンの小児用量は?/コラム「NDBオープンデータ」

妊婦・授乳婦の薬物療法

妊婦/授乳婦/妊婦・授乳婦の薬物療法の情報源

薬物相互作用

薬物相互作用の発生機序/薬物相互作用の情報源/相互作用の影響を定量的に予測する方法

副作用の評価

副作用と有害事象の違い/副作用の情報源/コラム「3の法則Rule of Three」/副作用疑いの症例検討/副作用かどうかの評価が難しい場合は?


第6章 仮想症例

症例1:気管支喘息の薬で子どもの尿酸値が上昇?

患者さんのお母さまの相談をきっかけに、調査開始/患者さんの情報源を確認/テオフィリンでどのくらい尿酸値が上昇するのか 論文の検索/該当論文のチェック/尿酸値が上昇する他の要因は?/薬剤以外の尿酸値上昇の要因探索を踏まえた患者対応

症例2:緑内障の点眼薬による充血の持続時間は?

患者さんからの点眼薬についての質問/薬剤情報の収集 製薬会社の適正使用ガイド/別のデータがあるかどうか論文情報を収集/研究データを踏まえた服薬指導


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書籍情報

  • ISBN:9784765319461
  • ページ数:334頁
  • 書籍発行日:2023年3月
  • 電子版発売日:2023年4月26日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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