スポーツ復帰を目指す膝前十字靭帯損傷のリハビリテーション―臨床の実際から学ぶ理学療法

  • ページ数 : 292頁
  • 書籍発行日 : 2023年5月
  • 電子版発売日 : 2023年4月24日
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商品情報

内容

ACLリハを極める! 競技別の練習プログラムがわかる!

膝前十字靭帯断裂における再建術後のスポーツ復帰を目指すリハビリテーションについて,日本有数の経験と実績を有する船橋整形外科グループ理学診療部がもつスキルとノウハウを凝縮して1冊にまとめる書.各ステージにおけるリハビリテーション・プログラムや競技別の練習プロトコルなど,現場で実際に同病院が行っているプログラムを解説する実践的な書.

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序文

序文

「前十字靭帯損傷」理学療法士養成学校に通う頃から膝関節に興味をもつキッカケとなった疾患であり,学生ながらに自分で文献を集め読んでいたのが20年以上前になります.整形外科をやるなら多くの経験をできるところでと教員にすすめられ船橋整形外科に就職しました.当時の部長である故 脇元幸一先生から「手術が進歩し,せっかくDrが良い手術をしているのに理学療法士が余計なことをして患者を悪くしていることがザラにある」と言われたことに衝撃を受け,今でも臨床で患者さんを目の前にするとよく思い出します.

本書は膝関節の中でも「前十字靭帯損傷のリハビリテーション」に特化した本であり,そのタイトルを「スポーツ復帰を目指す膝前十字靭帯損傷のリハビリテーション─臨床の実際から学ぶ理学療法─」としました.執筆者は船橋整形外科の理学療法士とトレーナーを中心に,そこに解剖のエッセンスを那須久代先生に加えていただき,「前十字靭帯損傷」に関わる解剖から評価・アプローチ,さらに合併症や競技別練習プロトコルまでをまとめました.「前十字靭帯損傷」に関する書籍が数多くある中で,我々の強みは何なのかと考えた時に,エビデンスを集めて述べるのではなく,臨床の中で我々が悩み苦しみながら実践してきたことをそのままお伝えすることだと思いました.そのため,本書はエビデンスが無いことも多く載せ,それを特徴としています.ですがそこにこそ,この本を手にとって見ていただいている皆様の臨床現場での悩みを解決する糸口があるのではないかと考えています.

さらに誤解を恐れずにいうと,私が20年以上続けている変わらないコンセプトは「目の前の患者さんを良くするためのヒント・答えは目の前の患者さんしか持っておらず、臨床が一番勉強できる場」であることと,「読んだもの・見たもの・聞いたもの・教わったもの・そして自分の知識と技術を信じるな」です.今の自分より,もっと患者を早く・より良くする方法が必ずあります.そのため本書に書いてあることをただ臨床の場で真似をしてもよくなる症例は一握りでしょう.ぜひ臨床の現場で目の前の患者さんのことをよく観察し,評価して悩んでください.「なぜこうすると良くなるのか?なぜこうすると悪くなるのか?」の「なぜ?」を臨床の現場でひとつでも多くみつけてください.そしてその悩みを解決するためのヒントや方法をつかむために本書を使ってみてください.我々が臨床の現場で悩みながら実践してきた前十字靭帯損傷に対する“臨床の実際”が皆さんの臨床現場を好転させるキッカケのひとつになれば幸いです.

最後に,本書を制作・編集するにあたり尽力いただいた梅原弘基先生と小林雄也先生,ならびに分担執筆していただいた船橋整形外科スタッフ一同に感謝するとともに,解剖を担当していただいた那須久代先生に感謝いたします.また,編集に携わっていただいた中外医学社の皆様に厚く御礼申し上げます.


2023年春

黒川 純

目次

第1章 膝関節疾患とスポーツ復帰

[1]膝関節疾患の理学療法総論:解剖と荷重関節としての膝関節の考え方〈田浦貴行 黒川 純〉

 ▪A.膝関節の解剖

  ・1.大腿脛骨関節・膝蓋大腿関節

  ・2.主要な靭帯と筋

  ・3.半月板

  ・4.膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad: IFP)

  ・5.関節包

 ▪B.膝関節の運動学

  ・1.大腿脛骨関節の運動学

  ・2.膝蓋大腿関節の運動学

 ▪C.荷重関節としての膝関節を捉える上での基礎知識

  ・1.重心

  ・2.外力(重力と床反力)

  ・3.関節モーメント

  ・4.姿勢制御と関節モーメントの推定

[2]リハビリテーションのための膝関節臨床解剖〈那須久代〉

 ▪A.膝関節前方の構造

  ・膝蓋下脂肪体

 ▪B.膝関節内側の構造

  ・1.下腿内側に分布する皮神経

  ・2.鵞足とMPFL

  ・3.Ramp lesionと半膜様筋の停止

 ▪C.膝関節前外側の構造

  ・1.膝関節外側において観察される構造

  ・2.下腿の内旋・外旋の際のシート状の線維性組織の見え方の違い

  ・3.膝関節前外側に広がるシート状の線維性組織の機能

  ・4.シート状の線維性組織のGerdy’s結節の後方における付着の特徴

  ・5.関節包の付着幅の違いが意味すること

[3]スポーツ復帰に向けたリハビリテーションプログラムマネージメント〈梅原弘基 板野圭佑〉

 ▪1.患者が目指すスポーツ復帰

 ▪2.標準化プログラムと個別プログラム

 ▪3.基礎運動と運動の面

 ▪4.基礎運動に関連する分離機能

 ▪5.スポーツ復帰を目標としたプログレッション

 ▪6.代償

 ▪7.再受傷予防とパフォーマンス向上

[4]リハビリテーション標準化への取り組み〈黒川 純〉

 ▪1.リハビリテーションプログラムの統一

 ▪2.医師との知識・症例情報共有

 ▪3.部内教育

第2章 膝前十字靭帯損傷とリハビリテーション

[1]疫学・受傷機転・スポーツ種目〈阿部 愛〉

 ▪1.ACL損傷の発生率

 ▪2.受傷機転

[2]手術方法・術後成績〈阿部 愛〉

 ▪1.術式

 ▪2.術後成績

[3]再断裂・反対側断裂(成績および影響因子)〈加藤雄太〉

 ▪1.再受傷の現状

 ▪2.再受傷の危険因子

[4]リハビリテーション

 ▪1.膝関節機能の評価とアプローチ〈梅原弘基〉

  ・1.術後に生じる膝関節の機能障害と評価方法

  ・2.アプローチの実際

 ▪2.患部外機能の評価とアプローチ〈黒川 純〉

  ・1.体幹機能

  ・2.股関節機能

  ・3.足部機能

 ▪3.荷重関節における多関節運動の統合〈黒川 純〉

  ・1.フロントランジ(踏み込み動作)

  ・2.スクワット動作

  ・3.ドロップスクワット

  ・4.ジャンプ動作

 ▪4.術前リハビリテーションと患者教育〈梅原弘基〉

  ・1.術前リハビリテーションの実際

  ・2.患者教育の実際

 ▪5.プロトコル・術前後評価〈梅原弘基〉

  ・1.当院のプロトコル

  ・2.当院における評価の実際

 ▪6.術直後リハビリテーション(入院)〈萬谷尚大〉

  ・1.ACL再建術直後の疼痛・腫脹管理

  ・2.松葉杖歩行のポイント

  ・3.獲得すべき機能とアプローチ

 ▪7.各ステージリハビリテーションプログラム〈黒川 純〉

  ・1.プロトコル

  ・2.各ステージリハビリテーションプログラム

 ▪8.合併損傷に対するリハビリテーション

  ・1.半月板〈井所和康〉

  ・2.内側側副靭帯〈溝口 想〉

  ・3.前外側靭帯〈黒川 純 小出沙樹〉

  ・4.軟骨損傷〈野崎孝宏 黒川 純〉

[Topic]スポーツ復帰に向けたトレーニングの基礎とテーピング〈板野圭佑〉

第3章 膝前十字靭帯再建術後の競技別リハビリテーション

[1]バスケットボール〈佐久間孝志〉

 ▪1.競技特性とACL損傷

 ▪2.競技特性を考慮した術後リハビリテーションのポイント

 ▪3.競技別練習プロトコル

[2]サッカー〈圓城寺雄介〉

 ▪1.競技特性とACL損傷

 ▪2.競技特性を考慮した術後リハビリテーションのポイント

 ▪3.競技別練習プロトコル

[3]バレーボール〈野田将史〉

 ▪1.競技特性とACL損傷

 ▪2.競技特性を考慮した術後リハビリテーション

 ▪3.競技別練習プロトコル

[4]スキー〈濱崎圭祐〉

 ▪1.競技特性とACL損傷

 ▪2.競技特性を考慮した術後リハビリテーション

 ▪3.競技別練習プロトコル

[5]野球〈小林雄也〉

 ▪1.競技特性とACL損傷

 ▪2.競技特性を考慮した術後リハビリテーションのポイント

 ▪3.競技別練習プロトコル

[6]体操〈関口貴博〉

 ▪1.競技特性とACL損傷

 ▪2.競技特性を考慮した術後リハビリテーションのポイント

 ▪3.競技別練習プロトコル

[7]クラシックバレエ〈平尾利行〉

 ▪1.競技別特性とACL損傷

 ▪2.競技特性を考慮した術後リハビリテーションのポイント

 ▪3.競技別練習プロトコル

[Topic]ACL再建術後のゴルフ復帰〈江連智史〉

[付録]運動器疾患に対するリハビリテーションの考え方〈黒川 純〉

 ▪付録1 運動器疾患におけるリスク管理

 ▪付録2 リハビリテーションにおけるプロトコルの捉え方

 ▪付録3 Knee-inの功罪

 ▪付録4 可動域を改善するために

 ▪付録5 1次損傷予防と術後再受傷予防

  跋文

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書籍情報

  • ISBN:9784498073227
  • ページ数:292頁
  • 書籍発行日:2023年5月
  • 電子版発売日:2023年4月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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