日常生活から高次脳機能障害を理解する 認知関連行動アセスメント&アプローチ 第2版

  • ページ数 : 184頁
  • 書籍発行日 : 2023年6月
  • 電子版発売日 : 2023年7月28日
¥3,960(税込)
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商品情報

内容

実際に見たとおりの対象者の様子から認知を捉える、高次脳機能障害における画期的な評価ツール!

認知関連行動アセスメント(Cognitive-related Behavioral Assessment:CBA)とは、「意識」「感情」「注意」「記憶」「判断」「病識」の6項目を、「良好」「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の重症度5段階で評価することができる、本邦初の高次脳機能障害の評価法です。

●評価場面を設定しなくても、食事や整容、更衣など日常生活のどの場面でも評価が可能!
●これまで問題となることの多かった職種の壁を超えた共通言語での評価や援助が可能!
●合計点から高次脳機能障害(認知機能障害)の重症度がわかる!
●数値化することで障害を可視化し、継時的な評価や援助が可能!

リハビリテーション領域は、一つの専門職のみの介入で完結することはほとんどなく、患者さん利用者さんの置かれた立場から考えても、多職種による検討を繰り返し、連続的に進めていくことが求められる分野です。なかでも、高次脳機能障害を理解することはとても難しく、様々な専門職が評価を共有し対応していくことで、より理解が深まり、適切な援助へとつながっていきます。

CBAは、実際に見たとおりの対象者の様子を評価に落とし込むため、対象者の生き生きとした「その人らしさ」が窺い知れる情報共有が可能になります。また、他の検査法を妨げることなく並行して導入することができます。

患者さん利用者さんの認知について、「認知能力」という考え方のもと、その人を全人的に捉えることができるという点は臨床場面において画期的でしょう。高次脳機能障害(認知機能障害)を理解するための必携の一冊です。

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序文

はじめに


生活に影響を与える認知能力の評価は意外に難しく,専門家が行った専門的評価の結果に必ずしも納得できないと感じている人は,少なくありません.専門知識のない人であっても,直感的に捉えられる認知能力を,観察から得られた知見を用いて評価できる認知関連行動アセスメント(Cognitive-related BehavioralAssessment:CBA)は,このように感じていた方々に,広く受け入れられました.高齢社会が進行し,認知能力に何らかの問題をもつ人は,今後いっそう増えていくと予想されます.このような社会において,認知能力を一部の専門家にしか語れないものから,一般の人々が周囲の人を援助するために理解を深めていくことは,時代の要請でもあると感じられます.

難しい言葉を用いず,見たままの情報から患者さん利用者さんについて語り合うことを可能にするCBAは,多職種連携につながりやすいことがわかりました.「カンファレンスでの検査結果を中心とした療法士の評価に納得できず,モヤモヤしていた」という看護師が,行動場面でみられる課題から評価を行った結果,多職種で合意することができ,「スッキリした!」と感想を伝えてくれました.職種を越えて議論し合うことは簡単ではありませんが,「CBAを用いると,他職種とも抵抗なくいろいろ話がしやすい」という声も聞こえてきました.CBAが多職種連携のツールとして,強みを発揮していくことができる可能性が感じられました.

データ収集を続けるなかで,CBAとADLの関係の強さがいっそう明らかになっていきました.ADLとの関係性を実感することで,CBAを使いこなせるようになる人が多く,CBAが単なる認知能力の評価にとどまらず,患者さん利用者さん理解のためのツールであることがわかってきました.「患者さんに厳しい対応をしがちで拒否されることが多かった理学療法士が,認知能力の重症度によって自立を目指して気づきを高めるべき患者さんと,自立を目指さず援助を行うことで精神面の安定を図るべき患者さんがいることを理解し,目標に応じた対応ができるようになったため,拒否されることがなくなった」という感想も聞かれました.認知能力の重症度から,その人の支援の仕方が異なることで,評価・分析ツールを超え,支援・援助ツールとして使っていくことができる可能性が感じられるようになりました.

このような状況下,このたびCBAの解説書である『日常生活から高次脳機能障害を理解する 認知関連行動アセスメント』(初刊2016年)を,「アセスメント&アプローチ」と一部タイトルを変更して改訂して出版することができましたことを,たいへんうれしく感じています.初刊は,私が所属する鵜飼リハビリテーション病院のスタッフのみで作成しましたが,今回,CBAを活用してくれている全国の仲間とともに執筆できましたことは,さらに大きな喜びを感じます.何度もオンライン会議での議論を繰り返し,完成に尽力してくださった共同執筆者の皆様に,心から感謝いたします.

初刊から変更し,本書ではできる限り「高次脳機能障害」という語を用いず,「認知能力」という語に統一しました.「障害」という語を用いることは,「障害の有無」にとらわれてしまうことにつながり,障害によってできないことに目を向ける傾向を強めます.私たちが努めなければならないのは,一人ひとりに残された「能力」をしっかりとみつけ,生活の場で少しでも発揮するためにどう支援するのか,ということにほかならないことを明確にしました.CBAが援助ツールであるために,CBAの評価対象は認知能力であるべきだと考えます.

認知能力に課題をもつ人を支援していくために,その人自身にとっても,また,その人に関わる周囲の人々にとっても,認知能力をわかりやすく捉え,理解しておくことの重要性は,ますます大きくなっていきます.CBAが,一人でも多くの人の幸せな人生の支援につながるよう,さらに多くの皆さんとの議論を重ねていきたいと思います.


2023年4月

森田秋子

目次


・はじめに

・執筆者一覧

1章 認知関連行動アセスメントとは

1-1 認知能力の理解

1-2 認知能力と認知機能

1-3 脳の成り立ち

1-4 全般症状のモデル①

1-5 全般症状のモデル②

1-6 個別症状の理解

1-7 認知関連行動アセスメント(CBA)

1-8 CBAの評価方法

1-9 検査とCBA

1-10 臨床とCBA

2章 CBAの評価項目とフローチャート

2-1 意識

2-2 感情

2-3 注意

2-4 記憶

2-5 判断

2-6 病識

3章 CBAと重症度

3-1 ADL

3-2 認知能力とADLの関係

3-3 重症度の基準

3-4 重症度群の特徴と目標

3-5 運動能力による違い

3-6 予後予測

4章 認知関連行動アセスメント&アプローチ

CBA重症度別対応

4-1 最重度群の特徴と援助方法

4-2 重度群の特徴と援助方法

4-3 中等度群の特徴と援助方法

4-4 軽度群の特徴と援助方法

4-5 良好群の特徴と援助方法

4-6 認知能力の回復過程における推移

5章 各職種とCBA

病院におけるCBA

5-1 各職種の理解と連携の在り方

5-2 多職種連携とCBA

5-3 病院でのCBAの使い方

看護師とCBA

5-4 看護師の役割と視点

5-5 看護師と会話

5-6 ADLとCBA

理学療法士とCBA

5-7 理学療法士の役割と視点

5-8 認知能力の捉え方と理学療法

5-9 認知能力に合わせたコミュニケーション

作業療法士とCBA

5-10 作業療法士の役割と視点

5-11 認知能力の捉え方と作業の決定

5-12 認知能力の重症度と作業療法場面

5-13 作業療法の流れとCBA

言語聴覚士とCBA

5-14 言語聴覚士の役割と視点

5-15 食事とCBA

5-16 コミュニケーションとCBA

5-17 失語症者のCBA評価

在宅におけるCBA

5-18 在宅での関わり方

5−19 在宅でのCBAの使い方

5-20 目標設定とCBA

5-21 意思決定支援とCBA

5-22 在宅での重症度別介入

6章 事例で学ぶCBA

6-1 事例の概説

6-2 事例1:病識低下に対して認知能力に応じた関わりで退院後の参加拡大につながった事例

6-3 事例2:日常生活の観察から他者交流を促す糸口をみつけ,生活拡大が図れた事例

6-4 事例3:重度失語を認めたが,独居に向けて退院支援を行った事例

6-5 事例4:全失語でリハ拒否があったが,CBA 評価にて介入の糸口がみえた事例

6-6 事例5:重度運動障害によって ADL 自立は困難だが,社会的な参加拡大を目指した事例

6-7 事例6:CBA を導入したことで,認知能力の状況に合わせた退院支援が行えた事例

6-8 事例7:CBAを軸にした認知能力の共通理解によって多職種連携が深まった事例

付録

表 PT・STによる観察評価の視点

表 OTによる観察評価の視点

表 在宅における観察評価の視点

・おわりに

・索引

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書籍情報

  • ISBN:9784895907880
  • ページ数:184頁
  • 書籍発行日:2023年6月
  • 電子版発売日:2023年7月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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