ブランチ先生の診察術  35のエピソードが伝えるアプローチ

  • ページ数 : 244頁
  • 書籍発行日 : 2023年10月
  • 電子版発売日 : 2023年9月28日
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商品情報

内容

この本が,研修医として大海原に出ていくときのオールになる.

医学部では教えないけど医師になったら必須の知識,教えます! ベッドサイドの診察でのピットフォールとコツ,つらい経験の乗り越え方,病棟回診,病歴聴取,回診時の症例提示のやり方など研修医が知りたいことをブランチ先生が伝授! 研修医や医師を目指す皆さんが,本当に知っておくべきである実臨床現場で起こる重要なことだけをまとめました.

序文

はじめに

日本で15年以上指導医として教えてきた間,初期研修での2年間のスーパーローテーション,後期研修,そして各自の希望する専門分野に数多くの研修医を送りだしてきました.私自身は1990年代初頭に英国で10年間の研修医期間でトレーニングを受けました.

“Before the Beginning”で後述するように,亀田総合病院の常勤臨床医であるジェラルド・スタイン先生から学ぶために,医学生として初来日しました.スタイン先生から学んだ,初期研修医を励まし褒めるアメリカ方式の教育は,英国式の研修とは全く別物でした.私は英国に戻り卒後医師として働き始めた6ヶ月のうちに,早くもスタイン先生のもとで目にした状況と英国の研修医の置かれた状況がかけ離れていることに気づきました.研修医というよりはむしろ,求められる責任と担当業務という意味で,若手医師相当といえます.

この本を書こうと思ったきっかけは,英国のシステムでは初期研修・専門研修中に患者と関わる中で実際にどんなことを経験するのか,また研修医が指導医からいかに素晴らしいことを学び,一方でひどい扱いを受けているのか具体的な例を見せたいということでした.この本は4つの主要なセクションで書かれています.第1章では,内科と外科での研修1年目の経験,そして専攻医に至るまでのいくつかの印象的な経験を紹介しています.各項目ではラーニングポイントとして,そうした経験が医師としてそして人として私に教えてくれたことを詳しく述べました.同じ経験をしなくても,皆さんに学んでほしいことがここにまとめてあります.

第2章では,指導医との回診のための準備方法,当直で燃え尽きないための方法,病歴の記載やプレゼンテーションの仕方など,医師の本質として身につけなくてはならないことを解説しています.

第3章は,救急医療で役立つポイント暗記の語呂合わせです.予期せぬことが起こる緊急時に判断の指針となる重要所見を簡単に覚えることができます.

第4章は,海外での経験があるだけでなく,イギリス人である私だからこそ伝えられる,日本人初期研修医のための海外研修についての私の現在の見解と,海外研修の前によく考えてほしい理由を述べました.

なお,本書で紹介している研修中の私の経験は,すべての患者,医師,および個人・固有施設を特定できるような情報をすべて匿名化して記載していますが,全体的な経験と学ぶべきポイントは変わりません.

私の経験を読めば,研修医がいざ医師として臨床現場で働き始める時に直面する様々なことに対して,いかに無知で準備できていないかおわかりいただけるでしょう.最初の2年間の講義で基礎医学を,その後3年間の臨床実習を通じて臨床現場を知っていると思っていたにもかかわらず,こうした経験の多くはショッキングで戸惑いの連続でした.

皆さんには本書を読むことで,20年前の英国医学教育の特色を体感していただければ幸いです.かなり昔のことではありますが,私や他の登場人物が経験したことの多くは,今日この瞬間もどこかの病院で同じことが起きているのです.私の紹介する経験とアドバイスが,すべての読者が日本での研修を最初から最後までやり遂げるのに役立ち,将来,専攻医となってからも安全に診療することができる一助となる価値あるものとなることを願っています.

皆さんの研修と医師人生に幸あれ!


2023年9月

八尾徳洲会総合病院
ジョエル・ブランチ

目次

Before the Beginning:The Stein or Stone

石の上にも3年

Chapter 1
After the Beginning

Experiences and Teaching Points from Working in the U.K. as a Scut Worker

The First Hospital

 Case 01 初仕事 ―消化器内科ローテーション

 Case 02 プルーム先生と曰く付きの病棟回診

 Case 03 上級医からの最初のアセスメント ―才知は身の仇

 Case 04 クリーカー先生の教え

 Case 05 肝性脳症のジム

 Case 06 善人は早死にする

 Case 07 クリーカー先生の苦悩

 Case 08 アイルランド人のトニー

 Case 09 ハンバーガーマン

 Case 10 カリウム事件

 Case 11 コーネリアス,発熱と腰背部痛

 Case 12 聞かない患者と診れない教授

 Case 13 壊れた除細動器

 Case 14 ピンポイントピューピル,徐呼吸,ピクつき

 Case 15 嘘はがんよりも酷

 Case 16 フィルとCRP

The Next Hospital

 Case 17 夜中3時の呼び出し 〜診断を指し示すばち指〜

 Case 18 詐病の患者と「精巣反射」

 Case 19 72時間の連続勤務

 Case 20 外科研修

 Case 21 ギデオンくん

 Case 22 胸腔内へのTPN漏出

 Case 23 外勤先の方が重要? ―とある大腸手術の場合

 Case 24 マック先生 ―不思議な出会い

 Case 25 事前の診察記録と胸部レントゲン検査の拒否

 Case 26 話し下手なバタック先生

 Case 27 リック先生と消化管出血

 Case 28 消防士のトニー

Experiences from Other Hospitals during My Training

 Case 29 看護師のロード

 Case 30 叫ぶ患者に怒鳴る医師

 Case 31 眠たげなティーンエイジャー

 Case 32 下痢と失神の原因はあなたが考えているものではないかもしれません

 Case 33 真冬の日焼け

 Case 34 排泄と尊厳

 Case 35 様々な“死”

Chapter 2
How to Survive Residency
Pearls for Daily Clinical Work

 仕事の効率化と時間の節約

 チーム回診までの準備

 To-Doリストを作ろう

 オンコールの心構え

 病歴聴取と症例プレゼンの心構え

  現症と現病歴について

  既往歴,手術歴,外傷歴

  内服歴,アレルギー歴

  家族歴

  社会歴

  渡航歴

  性交渉歴

  Review of Systems

 病歴のカルテ記載とプレゼンは全くの別モノです!

Chapter 3
Emergency Medical Mnemonics

緊急医療のニューモニック(語呂合わせ)

 バイタルサインの覚え方

 緊急時のベッドサイドアセスメント

 狭心症の基本的特徴

 急性冠症候群の非典型な症状

 2型心筋梗塞

 心筋梗塞の治療法

 心不全の要因

 胸部レントゲンで心不全を疑うサイン

 喘息の鑑別診断―“喘鳴イコール喘息”ではない

 Stridor

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪

 COPD増悪時の救急対応

 喀血の原因

 高カリウム血症の原因

 低カリウム血症の原因

 低カリウム血症の心電図異常

 高アンモニア血症

 糖尿病性ケトアシドーシスへの対応

 カリウム補充

 外液補充

 インスリン投与

 有機リン酸中毒

 セロトニン症候群

 機械的腸閉塞と麻痺性イレウス

Chapter 4
Almost at the End of the Book

海外留学を希望している日本人医師へ 〜理由を考えよう〜

 何に影響されたのか?

 本当に海外留学する必要があるのか?

 あなたの英語力は?

 臨床留学にかかる費用―文化の違いや現実と期待の乖離

 食習慣

 配偶者

 帰国後〜再び日本のやり方に順応できるのか〜

 苦労の先に成功が待っています!

 研究留学・短期研修

 まとめ

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書籍情報

  • ISBN:9784498148505
  • ページ数:244頁
  • 書籍発行日:2023年10月
  • 電子版発売日:2023年9月28日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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