病理と臨床 2024年1月号(42巻1号)がん遺伝子パネル検査と病理診断

  • ページ数 : 112頁
  • 書籍発行日 : 2023年12月
  • 電子版発売日 : 2024年1月2日
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内容

がん遺伝子パネル検査と病理診断

特集記事として,がん遺伝子パネル検査結果の読み方/遺伝子変異の解釈に有用なウェブサイト/腫瘍の分子サブタイピング/標的治療と耐性変異・形質転換/病理医も知っておきたいリキッドバイオプシーの読み方/【症例提示①】MLH1部分欠失を伴う肺扁平上皮癌の一例 などを取り上げる.連載記事として[マクロクイズ],[鑑別の森]他,また,[速報解説!ここが変わった],[今月の話題]を掲載.


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序文

がん遺伝子パネル検査と病理診断

がん遺伝子パネル検査が2019 年6 月より保険診療で利用可能となって以来,全国で50,000件近くの検査がこれまでに行われてきている.がん遺伝子パネル検査では日常の病理診断に用いられるホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いることから,病理医はプレアナリシス段階において検体の評価に関わるほか,DNA,RNAの品質保持の面で,固定を含む標本作製過程における品質管理などでも重要な役割を果たしている.

しかしながら,エキスパートパネルの要件として病理医の参加が求められているものの,がんゲノム医療中核拠点病院あるいは拠点病院以外の病理医はパネル検査結果の検討の場に参加する機会は必ずしも多くないのが現状である.そのため,がん診療を担う多くの病院において,検出された遺伝子変異を解釈する,あるいは病理診断にフィードバックするといった,結果の利用に関して,日常診療で病理医が求められる場面は必ずしも多くはない.一方で,腫瘍の組織分類においても分子生物学的な知見が反映されるようになってきている中,病理医にとって,がん遺伝子パネル検査は自ら組織診断を行った症例に関する遺伝子変異情報を確認することができる貴重な機会でもある.また,これまで診断が困難であった遺伝性腫瘍症候群の診断のきっかけとなることも少なからず経験されるなど,疾患の多角的な理解に資する面も多い.

本特集では主にがん遺伝子パネル検査結果の理解に必要な知識や,実際の症例を用いた解析結果の解釈の例を示していただき,病理医の立場で遺伝子パネル検査の結果からどのようなことを読み解くことができるのか,という観点から解説をお願いした.また,今後利用が増えてくると考えられる,組織検体を用いないリキッドバイオプシーに関しても項目に加えている.本特集を通して,より多くの病理医ががんゲノムの側面から腫瘍の分子生物学的背景に関する理解を深めるとともに,日常診療に活用し,より精度の高い病理診断を提供することによりがんゲノム医療に貢献する一助となることを期待する.


牛久 綾 [東京大学医学部・大学院医学系研究科 統合ゲノム学分野]
関根茂樹 [国立がん研究センター中央病院 病理診断科]

目次

【特 集】

がん遺伝子パネル検査結果の読み方 牛久 綾

遺伝子変異の解釈に有用なウェブサイト─がんゲノム医療に関わる病理医に向けて─ 谷本昭英 他

腫瘍の分子サブタイピング 藤井陽一

標的治療と耐性変異・形質転換 加島淳平 他

がん遺伝子パネル検査で検出されるgermline findingsの遺伝性腫瘍症候群診断への活用 山本英喜 他

病理医も知っておきたいリキッドバイオプシーの読み方 鹿毛秀宣

【症例提示①】MLH1部分欠失を伴う肺扁平上皮癌の一例 西野彰悟 他

【症例提示②】子宮内膜悪性腫瘍ならびに原発不明癌 西原広史

【症例提示③】神経芽腫の治療から18年後に発生した悪性軟部腫瘍の一例 寺田和弘 他

【症例提示④】悪性骨巨細胞腫の遺伝子異常と組織像の関連 山元英崇 他

【速報解説!ここが変わった】

「甲状腺癌取扱い規約 第9版」改訂ポイント 亀山香織

「脳腫瘍取扱い規約 第5版」改訂ポイント 山﨑文子 他

【連 載】

・マクロクイズ[177]

 安岡弘直

・鑑別の森[28]

尿路上皮生検での反応性異型と上皮内癌

Answer 1:都築豊徳

Answer 2:村田晋一

・AIと病理─これまでの5年,これからの5年

[6]

海外での病理AI事情 北村由香 他

【今月の話題】

免疫不全と調節異常を伴うリンパ増殖症とリンパ腫─WHO分類第5版における改訂のポイントと用語の理解─ 佐藤康晴

【Information】

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書籍情報

  • ISBN:9784011204201
  • ページ数:112頁
  • 書籍発行日:2023年12月
  • 電子版発売日:2024年1月2日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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