研修医1年目の教科書 不安や緊張が期待に変わる!

  • ページ数 : 180頁
  • 書籍発行日 : 2024年1月
  • 電子版発売日 : 2023年12月6日
¥3,410(税込)
ポイント : 62 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

研修医生活を前に悩みでいっぱいのあなた! 本書を読んでその不安や緊張を期待に変えてみませんか?
研修医から医師のキャリア生活が始まります。研修医は、学習者、医療従事者、労働者の3つの顔を持っており、それぞれの役割をバランス良く保ち過ごすことで研修医生活を乗り切ることができます。 そうはいっても、何が待ち構えているのかわかりません。臨床研修では何をするのか、研修が終わる前に準備しておくこととは何か、学生時代と違って勉強時間がつくりにくい時はどうすればいいのか、研修の目標の定め方、診療のエビデンスの探し方、診断エラーの振り返り方など、指示待ちだけにならないためには、など著者らの経験をもとに、研修医1年目に知りたかったことを網羅しています。皆さんが直面するであろう研修生活を迎えるにあたって抱えている様々な不安を払拭するにはどうすればいいのか、研修生活をうまく乗り切るコツを紹介した1冊です。

序文

序文

研修医向けの書籍には、優れたものがたくさんあります。毎年新しい書籍が次々と出版され、関連書籍は増え続けています。私も例外なく研修医時代には多くの参考書を購入しました。それは輸液の本であり、抗菌薬の本であり、心電図の本でした。それ以外にも、研修ローテーションに合わせて関連書籍を買い求めました。実際にこれらの書籍は研修の中で大いに役立ち、私の指導医たちであったと言っても過言ではありません。

しかし、私が探しても見つからなかった本があります。それは「研修医とは何か」「研修医には何が求められるのか」「研修医とは何をする仕事なのか」を説明するものです。端的に言えば、研修生活の総論的な書籍です。現実には、それらのトピックは、研修病院のオリエンテーションで語られ、普段の指導の中で指導医たちから語られました。もちろんそれらは大いに参考になりましたが、部分部分で語られたため、全体像が不明確な印象がありました。

探してみると、研修医の総論的なトピックを扱った書籍はいくつか出版されています。改めてそれらの書籍を読んでみましたが、今指導医として働く私の目線からしても、研修に大いに役立つだろうと思うものは多かったです。しかし、それらの本は出版されてから5年、10年と経っています。実のところ研修医のあり方は、ここ数年で大きく変化しています。その変化がこれらの書籍では捉えられていません。ここ数年で臨床研修制度の改訂、専門医制度の改革、そして働き方改革が起こり、私が研修医であったたかだか10年ほど前と比べても、研修医の生活は大きく様変わりしています。

本書は、これらの近年の変化を踏まえ、研修医に向けた研修生活のオリエンテーションを目的としたものです。特にこだわったポイントは、研修医を「学習者」「医療従事者」「労働者」という3つの側面から捉えるというコンセプトです。研修医は経験し、学ぶべき存在でありながら、患者の診療に直接的に貢献し、かつ労働者としての適切なあり方が求められます。言葉にするのは簡単ですが、実践はとても困難です。この複雑な立場にある研修医に、本書がよいガイドを提供することを切に願っています。

第1章では、臨床研修制度そのものについて、そして研修医という存在について総論的に説明します。皆さんは研修制度がどういうものであり、どのようにすれば修了できるかご存知でしょうか。第2章では学習者として研修生活の中でどのように成長していくか、病歴や身体所見はもちろんEBMの活用まで幅広く解説します。皆さんにとって馴染みのあるトピックが並んでいるはずです。第3章では、医療従事者として、研修医が患者の診療にどのように貢献していけば良いかを解説します。個人的には最も重要な章だと思っています。なぜなら、優れた医師になるには、医療従事者としての十分な経験を積むことが不可欠だと考えているからです。第4章では、近年の働き方改革を踏まえながら、労働者としての研修医の良いあり方について解説します。2024年からの働き方改革の開始に向けて多くの研修病院で研修医の働き方についてのオリエンテーションが組まれているでしょう。悩むところがあれば、本書を紐解いてください。第5章では、日常の研修を越えてさらなる成長を望む研修医に向けて、いくつかの話題を提供しました。新たなチャレンジの後押しになれば大変嬉しく思います。

本書の執筆においては、多くの医学生や研修医の教育をともに行ってきた橋本恵太郎先生と全体の構成を考え、それぞれ3分の1ずつ執筆しました。よって、本書の内容には、私たちが在籍する水戸協同病院での研修や指導の日々が反映されています。水戸協同病院で私たちが出会った指導医と研修医の皆様のおかげでこの本が執筆できたものと考えています。特に総合診療科部長である小林裕幸先生には長年にわたって「よき研修」「よき指導」をめぐって意義深いアドバイスをいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。さらに、本書では、日本チーフレジデント協会の仲間たちにそれぞれの得意分野の執筆を依頼しました。みな、研修医の側で働く若手指導医であり、研修医が役立てることができる内容となっていると思います。

本書は研修生活が始まり、緊張と不安の中にいる「1年目の初期研修医」に向けて執筆しました。もちろん、臨床実習の中にいる医学生にも参考になる内容はあるはずです。さらに、研修指導を行う指導医の皆さまにとっても役立つことになれば幸いです。本書が現場で悩む研修医たちの一助になればそれほど嬉しいことはありません。研修医の皆様が素晴らしい2年間を過ごせますよう、心からお祈り申し上げます。


執筆者を代表して 長崎一哉

目次

第1章 研修医とは?

1-1 研修医とは何なのか?

研修医になるということ

研修医の3つの役割

研修医は何を目指すのか

さいごに

1-2 臨床研修制度って何?

臨床研修制度の歴史

新医師臨床研修制度

2020年度の見直しで何が変わったか

さいごに

1-3 臨床研修って何するの?

研修医の仕事

実際の2年間をシミュレーション

臨床研修の修了要件

さいごに

1-4 臨床研修の後はどうなるの?

臨床研修修了後の次の進路

新専門医制度と専門医研修を受けるまでの流れ

専門医研修プログラム選びの注意点

専門医取得後の進路

さいごに

 コラム1 医学書ってどんなのを買えばいいですか?

第2章 研修医は学習者

2-1 研修医の学び方-医学生との違い-

研修医が学ぶべきこと

「なかなか勉強ができない」理由、医学生との違い

研修医はどう学ぶか

さいごに

2-2 研修の目標って何?

目標にはどのようなものがあるのか?

目標はどのように設定するか?

さいごに

2-3 知識はどう増やせばいいの?

学習するとはどういうことか? Bloom’s taxonomy

研修医のための学ぶ準備

症例から学ぶ

教育コンテンツから学ぶ

自分で学ぶ

さいごに

2-4 身体診察の学び方が分からない!

身体診察とは

身体診察の学び方

身体診察セットを作る

さいごに

2-5 手技はどうすればうまくなる?

研修医が身につけるべき手技

手技の身につけ方のステップ

経験のチャンスを逃さないために

さいごに

2-6 プロフェッショナリズムって学ぶもの?

プロフェッショナリズムとは?

医師のプロフェッショナリズム

プロフェッショナリズムは学ぶもの?

プロフェッショナリズムの身につけ方

さいごに

2-7 EBMは研修医の味方!

エビデンスとは何か? EBMとは何か?

臨床疑問の解決

さいごに

2-8 院内勉強会やカンファレンスで発表する

発表の題材を見つける

発表の資料を作成する

発表当日に取り入れたい工夫

さいごに

2-9 医学生や後輩に指導できますか?

研修医が指導することはあるのか?

近い年次の者が指導するといいことがあるのか?

実際に何をしたら良いのか

教育の目標とは

さいごに:ともに成長できる存在として

 コラム2 症例ログを作ろう!

第3章 研修医は医療従事者

3-1 良い医療ってどんな医療?

医師という職業

患者にとってどんな医師が良い医師か?

医療システムが目指すべき「質」と「価値」

さいごに

3-2 診断エラーをどう防げるか?

はじめに

診断エラーはどうして起こる?

診断エラーが起こってしまったら

さいごに

3-3 患者の治療方針に研修医はどう関わる?

研修医は治療方針に関わるか?

研修医は治療方針に関わる

治療方針に関わるために

さいごに

3-4 研修医のための医療安全

はじめに

病院のシステムやルールを理解し遵守する

多職種連携ができる研修医になろう

インシデント・アクシデントを組織で共有する

さいごに

3-5 患者の診療体験を向上させるには?

患者体験とは?

患者体験にはどのような体験が含まれるか?

研修医は患者のベッドサイドでどのように振る舞うべきか?

さいごに

3-6 退院調整を促進させるには?

退院先の在宅以外の選択肢について理解しよう

研修医が患者と家族の退院先の希望を把握する

退院調整の鍵は、地域の医療従事者を含めた多職種によるチーム医療

さいごに

3-7 診療記録の上手な書き方

診療記録を上手に書くのにも練習が必要

診療記録書き方上手へのステップ

文書別のコツ

さいごに

3-8 上級医にはどのように相談したらいいですか?

指導医は忙しい! でも積極的に質問を

自分が分からないことを質問・相談する場合

上級医へのプレゼンテーションのコツ

さいごに

3-9 他職種との上手な関わり方

良い医療は多職種で臨んでこそ実践できる

他職種の信頼を得るための心得

多職種カンファレンスに積極的に参加しよう

さいごに

 コラム3 当直の時って、どうやって学んだらいいですか?

第4章 研修医は労働者

4-1 研修医は労働者なの?

研修医は労働者ではなかった?

研修医の労働時間制限

労働時間制限が臨床研修に与える影響

研修医はどのように過ごせばいいか

さいごに

4-2 社会人としての基本

社会人としてのマナーは遵守して当たり前

代表的マナー

マナーの身につけ方

さいごに

4-3 医療チームの中での研修医の働き方

チームの一員としての研修医

研修医の役割

より良いチームになるために

さいごに

4-4 病棟での仕事術

病棟での仕事にはどういったものがあるのか

何ができると良いのか

さいごに

4-5 燃え尽きないための健康管理

バーンアウトとは?

なぜ研修医はバーンアウトするのか?

バーンアウトをどのように予防できるか?

バーンアウトの対極:ワーク・エンゲージメント

さいごに

 コラム4 プライベートで注意することはありますか?

第5章 研修医のための“背伸び”の仕方

5-1 研修医からのキャリアの考え方

研修医のためのキャリア理論

研修医のためのキャリアアドバイス

さいごに

5-2 ケースレポートを書いてみたい!

工程1 症例の学びを抽出する

工程2 執筆前に事前準備をする

工程3 論文を執筆する

工程4 最終調整を行い、投稿する

工程5 投稿後の対応

さいごに

5-3 留学準備の進め方

はじめに:臨床留学の意義と目的

留学先選び:プログラムと病院のマッチング

費用と資金調達:留学費用の計画と支援制度

留学前の準備:書類手続きとスキルアップ

さいごに

5-4 スーパー臨床医になりたい!

理想を思い描け! 否、理想はアップデートし続けろ!

モチベーションで自分の可能性を掘り起こせ!

習慣が人をつくる! 「1万時間の法則」は正しいのかもしれない!

勉強の方法も休み方も常に最適化せよ!

スーパー研修医を目指してどうする! 目指すのは自分の理想の医師!

さいごに

 コラム5 チーフレジデントって何ですか?


索引

編者プロフィール

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:5.5MB以上(インストール時:14.3MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:22.2MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:5.5MB以上(インストール時:14.3MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:22.2MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784765319751
  • ページ数:180頁
  • 書籍発行日:2024年1月
  • 電子版発売日:2023年12月6日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。