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臨牀消化器内科 Vol.39 No.1 特集「消化器内視鏡診療における鎮静」
商品情報
内容
序文
巻頭言
筆者は「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第2版)」1)(以下,ガイドライン第2版)の作成委員長を務めた.本特集の企画者である中井陽介先生や執筆担当されている何名かの先生も作成委員メンバーであり,ガイドライン第2版で示された内容が本号ではより詳細に深掘りされている.また,ガイドライン第2版では採用しなかった小児に対する内視鏡処置時の鎮静法に関して取り上げられている.さらに,「鎮静が関係した訴訟事例から学ぶ」も読み応えがある.読者の皆様の明日からの日常臨床にすぐに役立つ即戦力の1冊であると確信している.
消化器内視鏡は苦痛な検査として永く知られていた(日本人はなんと我慢強い国民なのか!).小職が医学部を卒業した1990年代初頭,一部の施設で鎮静薬あるいは鎮痛薬が使用されていたが,基本的には内視鏡検査は患者が我慢して受けるものであった.施行する側としても,「マジで受けたくない検査」の一つとして刷り込まれた.しかし,患者意識の高まりと,内視鏡処置が検査から治療に移行したことで鎮静下での施行が一般化した.鎮静下内視鏡は,欧米では麻酔科医により管理されることも多いが,本邦では内視鏡医をはじめとする非麻酔科医により実施されている.また,消化器内視鏡領域の鎮静薬で保険適用を取得している薬剤はほとんどなく,患者に対する益を優先する形で内視鏡医の経験的な用量,用法のもと管理されているのが現状である.2023年2月27日に社会保険診療報酬支払基金から使用例として“原則として,「ミダゾラム【注射薬】」を「消化器内視鏡検査及び消化器内視鏡を用いた手術時の鎮静」に対して使用した場合,当該使用事例を審査上認める”と第28次審査情報提供事例(医科)として示されたことはむしろ画期的である.
2002年に改訂された米国麻酔科学会の「非麻酔科医のための鎮静・鎮痛薬投与に関する診療ガイドライン」2)では,① 術前患者評価,② 患者モニタリング,③ 鎮静担当者の確保とその訓練,④ 緊急用機材の準備と薬剤投与,⑤ 薬剤投与方法の原則,⑥ 回復期ケアなど現場感覚の重要性が強調された.ガイドライン第2版の作成に当たっても,実地診療における疑問や課題としてより具体的なクリニカルクエスチョンを取り上げた.残念ながらこの領域における本邦からのメタアナリシスなど質の高い報告は少なく,ガイドライン作成においては専門家による(といっても多くは内視鏡の専門家であって麻酔あるいは鎮静を専門家とする委員はわずかであった)コンセンサスを重視せざるをえない部分も多かった.ガイドライン第2版発刊から3年が経過した本号では,本邦からのエビデンスもアップデートされているであろう.
最後に,2025年以降に「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第3版)」の改訂作業が始まるであろう.内視鏡診療における鎮静は一般的な医療行為であり,すべての日本国民が受益者となりうる.受益者である患者・市民,つまりガイドラインの対象集団の価値観や希望を可能なかぎり取り込んだガイドライン作成を待ちたい.“個人として社会として,得られるものとそのための対価”を誰が負担するかを医療政策決定に際して配慮されたい.そのためには,本号を読まれた読者も含めて,消化器内視鏡施行時の鎮静に関する本邦からの多くのエビデンスを創出し,医療制度における鎮静のデフォルトが変わるような大きな変化を願う.
がん研有明病院消化器センター上部消化管内科 後藤田卓志
【文献】
1) 後藤田卓志,赤松拓司,阿部清一郎,他:内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第2版).Gastroenterol Endosc 62;1635‒1681,2020
2) American Society of Anesthesiologists Task Force on Sedation and Analgesia by Non‒Anesthesiologists:Practice guidelines for sedation and analgesia by non‒anesthesiologists.Anesthesiology 96;1004‒1017, 2002
目次
特集「消化器内視鏡診療における鎮静」
巻頭言 /後藤田卓志
1.総 論
(1)消化器内視鏡の鎮静に用いる薬剤/市島諒二
(2)安全な消化器内視鏡のための鎮静前評価/水野 卓
(3)鎮静内視鏡におけるモニタリング・監視/佐藤達也 他
2.各 論
(1)上部消化管内視鏡における鎮静/八田和久 他
(2)大腸内視鏡における鎮静/吉田直久 他
(3)小腸内視鏡における鎮静/船山陽平,矢野智則
(4)胆膵内視鏡における鎮静/八木 伸,肱岡 範 他
(5)緊急内視鏡における鎮静/山階 武,島谷昌明
3.トピックス
(1)高齢患者に対する適切な鎮静法/山口太輔
(2)小児に対する適切な鎮静法/中山佳子
(3)内視鏡クリニックにおける鎮静の実際と工夫/石原慎一 他
(4)プロポフォールの実態と使い方/大木大輔
(5)スタッフに対する鎮静のトレーニング/竹中 完 他
(6)鎮静が関係した訴訟事例から学ぶ/日山 亨
連載
「胃炎の京都分類」の使い方
第16回 “フジツボ”様所見の意味合いは/春間 賢 他
内視鏡の読み方 HIV感染者に併発したサイトメガロウイルス性食道潰瘍の1例
樋口 和寿,後藤 修/他
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書籍情報
- ISBN:9784004003901
- ページ数:112頁
- 書籍発行日:2023年12月
- 電子版発売日:2023年12月13日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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