最新作業療法学講座 地域作業療法学

  • ページ数 : 272頁
  • 書籍発行日 : 2024年1月
  • 電子版発売日 : 2023年12月18日
¥4,400(税込)
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商品情報

内容

●本書は,令和6年版理学療法士作業療法士国家試験出題基準の「V 地域作業療法学」(1.基礎,2.評価と支援,3.安全管理)に対応している.
●作業療法士をめざす学生にとって必要な,地域作業療法の理念,作業療法実践の場,各領域での作業療法士の役割,評価・支援アプローチ方法等を示し,演習事例を通して地域作業療法に必要な知識・技術の大枠を学べる構成とした.
●予習復習に最適な「Question」,アクティブラーニングを促す「臨床実習やOSCEにつながるヒント」で学生の能動的学習をサポートするとともに,QRコードから補足資料を参照できるようにしている.

*本文中2次元コードは、付録Webコンテンツ一覧ページ(ixページ)のリンクよりアクセス可能です.

序文

序文


2020年施行の指定規則改正ならびに2022年4月公示の理学療法士作業療法士国家試験出題基準において,地域作業療法に関する項目が拡充されました.この背景には,地域包括ケアシステムの構築,さらには障害があってもなくても誰もが豊かに暮らせる地域共生社会の構築等を見据えた作業療法士への期待と勧奨があると思われます.加えて作業療法には,作業に焦点を当てた治療,指導,援助により人々の健康と幸福を促進するという専門職としての役割があります.これらの実現に向けては,根拠に基づいた実践が必要であり,また刻々と変化する多様な地域の課題に対し臆せず,しなやかに対応する実行力が求められます.

作業療法実践の場も大きく広がっています.自治体の介護予防・保健事業,学校の作業療法,放課後等デイサービス,学童保育,就労支援,一般労働者の健康づくりなど,疾病を契機としない実践の場が増え続けています.IoTやe- スポーツ等による仕事・余暇活動支援も目立つようになりました.作業療法士による起業は300社を超えたといわれます.こうした現場では,体系的な知識だけでなく,それを活かしたイノベーションやマネジメントの視点が不可欠です.個人や組織,地域の未来を関係者と共に切り拓く力が求められます.

こうした時代の要請を鑑み,本書は養成教育課程修了時までに学修すべき知識と基本的技術に重点を置きつつ,PBL(Problem Based Learning)や反転学習等,学習者の能動性と課題解決力を伸ばす授業形態にも対応できる内容としました.各章は事前学習の進めやすさをねらって,その章だけで内容が完結するよう工夫しています.カリキュラムの実状に合わせて,必要な章のみをピックアップしたり,特定の章を重点的に学習したりするといった使い方もできます.

各章末には,作業療法のリーズニングを涵養するための事例を用意しました(2・3・15章を除く).最初は指導者(教員等)のサポートで事例の課題の理解や対応の仕方に触れ(見学レベル),徐々にサポートを減らし(模倣レベル),グループで,そして1人で取り組む(実践レベル)等,学習者に合わせた段階付けが可能です.複雑に見える事例から,幾通りもある解決の糸口を見出す経験を何度も繰り返してほしいと思います.その経験が地域の課題に立ち向かう粘り強さと創造力の強化に役立ち,リーズニングを身に付けるのに有効と考えます.

地域には作業療法ニーズが無数に広がっています.未来を担う学生がそのことに気付けるよう,できる限り多くの地域作業療法を掲載しました.

地域作業療法に可能性を感じ,チャレンジする.そうした作業療法士の養成に本書が役立てば幸いです.


2023年11月

編著者代表 小林法一

目次

1 地域作業療法の概要

(小林法一)

地域作業療法の概念

1.地域作業療法とは

2.共有すべき重要概念

地域作業療法の対象

1.地域作業療法の実践の場

2.各領域の地域作業療法

地域作業療法の流れ

1.地域作業療法の展開

2.これからの地域作業療法

評価の視点と実践の留意点

1.対象者との出会い

2.地域の情報収集

3.評価

4.実践にあたっての留意点

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

2 地域作業療法に必要な制度および連携の知識

(猪股英輔・野村健太)

地域作業療法に関係する法律と制度(猪股英輔)

1.介護保険制度

2.地域包括ケアシステム

3.障害者総合支援法

4.精神保健福祉法

5.心神喪失者等医療観察法

地域作業療法における連携(野村健太)

1.地域作業療法における連携の概論

2.住民・当事者の連携

3.専門職間の連携

4.制度間の連携

5.その他の連携

臨床実習やOSCEにつながるヒント

3 リスク管理

(金野達也)

地域作業療法におけるリスク管理の重要性

医療・リハビリテーション全体で必要なリスク管理

1.バイタルサイン

2.フレイルと転倒リスク

3.栄養と健康リスク

感染リスクに対する標準予防策(スタンダード・プリコーション)

1.手指衛生

2.個人防護具の使用

救急のリスクと対応

1.地域領域における救急法の意義

2.心肺蘇生法

3.窒息事故のリスクと対応

4.小児の一次救命処置

作業に関するリスク

1.地域領域における作業の重要性

2.作業をしないリスクと作業に参加できていないことへの理解

3.作業参加を支援するための視点

4.作業をするリスク

5.作業療法士のかかわり方に関するリスク

まとめ

臨床実習やOSCEにつながるヒント

4 身体領域の訪問作業療法

(池田晋平)

身体領域の訪問作業療法の位置付けと特徴

1.諸制度における訪問作業療法の位置付け

2.訪問作業療法の現場ならびに方向性

3.対象者を取り巻くさまざまな環境

訪問作業療法の実践に必要な知識と技術

1.訪問作業療法で起こり得る事故とリスク管理

2.訪問作業療法における家族支援

3.エンド・オブ・ライフケアと訪問作業療法の役割

4.訪問作業療法に関する多職種(サービス)の理解と連携

身体領域の訪問作業療法の実際

1.訪問作業療法の目標・評価

2.支援課題に対するアプローチ

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

5 身体領域の通所系作業療法

(髙島理沙)

通所リハビリテーションの概要と作業療法士の役割

1.通所リハビリテーションの概要・基準

2.通所リハビリテーションと通所介護との比較

3.通所リハビリテーションにおける作業療法士の役割

情報収集と評価のプロセス

1.生活行為向上マネジメントの概要

2.生活行為とは

3.生活行為向上マネジメントに準じた情報収集と評価のプロセス

支援課題と具体的アプローチ方法

1.生活行為の向上のための支援

2.社会参加の促進に向けた支援

3.認知症への支援

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

6 精神領域の地域作業療法

(谷村厚子)

サービスを提供する場の概要と作業療法士の役割

精神科デイケア

1.精神科デイケアの形態と特徴

2.精神科デイケア等の施設基準と診療報酬概要

3.精神科デイケアの2つの性格

4.精神科デイケアプログラム

5.精神科デイケアにおける作業療法士の役割

地域活動支援センター

1.地域活動支援センターの形態と特徴

2.地域活動支援センターにおける作業療法士の役割

地域移行支援・地域定着支援

1.地域移行支援・地域定着支援とは

2.作業療法士の役割

3.地域移行支援・地域定着支援の技法

まとめ

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

7 認知症の人と家族を支える地域作業療法

(内田達二)

認知症とは

1.疾患の概要

2.認知症の中核症状

3.認知症の周辺症状

認知症の人の支援の基本

1.認知症の人を支える社会環境

2.認知症を抱えながら生活することの困難さを理解する

認知症の人への作業療法と家族支援

1.評価

2.活動の支援

3.BPSDへの支援

4.家族への支援

支援サービスを提供する場

1.認知症初期集中支援チーム

2.通所リハビリテーション(デイケア)

3.訪問リハビリテーション

4.認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

8 介護予防の地域づくり

(宮寺寛子)

介護予防と作業療法

介護予防・日常生活支援総合事業

1.介護予防・生活支援サービス事業

2.一般介護予防事業

地域診断

1.地域診断のプロセス

2.地域診断を実践に活かす

地域ケア会議

1.地域ケア会議の機能

2.地域ケア会議における作業療法士の役割

多様な通いの場の支援

1.通いの場の支援

2.多様な通いの場

災害時の支援

1.災害関連の法律

2.災害時の作業療法

3.支援者のケア

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

9 介護予防における短期集中的な支援

(石橋 裕)

地域作業療法における短期集中予防サービス

短期集中予防サービスを理解するために必要な知識

1.誰が実施するのか

2.いつ誰に対して実施するのか

3.どこで実施するのか

4.短期集中予防サービスに必要な評価

短期集中予防サービス実施のためのポイント

1.短期集中であることを意識したプログラムづくり

2.生活行為を評価し,支援の中心とすること

3.多職種と積極的に連携すること

訪問型の短期集中支援の実際

1.生活行為の問題とその関与者を明らかにする

2.生活行為の実施状況を把握し,記録する

3.支援方法

通所型の短期集中支援の実際

まとめ

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

10 学校を基盤とした作業療法

(山西葉子)

ノーマライゼーションの理念と特別支援教育

サービスを提供する場の概要

作業療法士の役割

情報収集と評価のプロセス

1.情報収集のポイント

2.評価のプロセス

支援課題とアプローチ

1.子どもの解釈に役立つアセスメント

2.アプローチに役立つ理論や支援方法

まとめ

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

11 子どもの地域作業療法

(小林隆司)

サービスを提供する場の概要

作業療法士の役割

1.スタッフの困り感と願いの把握

2.児および環境の観察と評価

3.スタッフとの協業

4.支援の見直し

情報収集と評価の実際

1.事前情報の入手

2.観察

3.スタッフからの情報収集

4.仮説の形成

支援課題とアプローチの実際

留意点

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

12 就労支援における作業療法

(馬塲順子)

就労支援とは

1.就労支援の定義と作業療法士の役割

2.就労支援を実施する場の概要

医療機関での復職支援

1.治療と仕事の両立支援(身体的な疾病・障害)

2.リワーク支援(精神的な疾病・障害)

3.医療機関の就労支援における作業療法士の役割

4.医療機関での就労支援に関連する法律・指針等

福祉機関での就労支援

1.就労支援を実施する施設

2.就労を支援する職種

3.障害者総合支援法で定められた就労支援サービス

4.就労系障害福祉サービスの利用の仕方とポイント

5.福祉機関の就労支援における作業療法士の役割

6.福祉機関での就労支援に関連する法律・指針等

就労支援の実践モデルとおもな理論

1.就労支援の実践モデル

2.就労支援で活用できる作業療法理論(人間作業モデル:MOHO)

障害者就労支援のプロセスとアセスメント

1.職業相談

2.職業準備性向上のための支援

3.就職活動とマッチング・職場適応支援

4.職場定着支援とフォローアップ

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

13 住環境整備と福祉用具

(田中克一)

作業療法士の役割とサービスを提供する場の概要

住環境評価と整備

1.玄関

2.玄関ポーチから道路

3.室内

4.廊下(歩行の場合)

5.廊下(車椅子の場合)

6.階段

7.トイレ

福祉機器と福祉用具

1.臥床・起居

2.移乗

3.移動(車椅子)

解説:バリアフリーとユニバーサルデザイン

4.食事

5.排泄

6.入浴

7.更衣

8.IT・ICT,コミュニケーション

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

14 地域における移動支援

(丁子雄希)

地域における移動支援の概要

自動車運転評価と介入

1.運転再開の流れ

2.医療機関での検査

3.実車評価

4.公安委員会での適性検査

5.富山県作業療法士会の運転支援の紹介

タウンモビリティの評価と介入

1.タウンモビリティの導入の実際

2.地域における移動支援の課題

臨床実習やOSCEにつながるヒント

演習課題

15 事業所の起業と管理運営

(谷川真澄)

起業に必要な基礎知識と起業プロセス

1.作業療法士の起業―その歴史

2.起業を決意するまでの過程

3.起業に必要な基礎知識と起業プロセス

管理運営の内容と方法

1.マネジメントとは

2.マネジメントの役割

3.マネジメントにかかわる具体的な業務

コラム(1) マネジメントを学ぶ―起業してもしなくても

4.PDCAサイクル

5.バランスト・スコアカード(Balanced Scorecard:BSC)

コラム(2) 会社は社長の投影:ミッションステートメント

6.生産性向上(3M5S)

人事評価と社員教育

1.人事管理制度

2.職員研修

これからの作業療法士の働き方

1.作業療法士だからできる起業

コラム(3) 将来の起業家へ

2.作業療法士が広く社会に踏み出す時代へ

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  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784263267219
  • ページ数:272頁
  • 書籍発行日:2024年1月
  • 電子版発売日:2023年12月18日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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