• ページ数 : 225頁
  • 書籍発行日 : 2023年12月
  • 電子版発売日 : 2024年1月17日
¥4,400(税込)
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商品情報

内容

本邦初! 待望の「ドクターカー同乗看護師=グラウンドナース」のためのガイドブック

ドクターカーの意義とは「病院での医療を,緊急事態の現場に届けること」であり,医療資機材・医薬品を携行したドクターカーにより現場で迅速な医療提供を行うためには,医師と看護師が同乗し現場に向かうことが必須である。
わが国でのドクターカー活動の歴史は長いが,その多様性などから,「ドクターカー同乗看護師=グラウンドナース」に関する定義付けや整理,調査統計事業に時間を要してきた経緯があった。
しかし2018年からの全国ドクターカー協議会の検討や,2022年からの厚生労働省によるドクターカーに関する調査事業などに代表される機運の高まりを受け,より多くの医療従事者がグラウンドナースを理解し支援すること,そしてグラウンドナースが発展することを祈念し,このたび本ガイドブックが刊行された。

序文

はじめに

わが国におけるドクターカーの歴史は,緊急事態発生時に医師が消防局救急車に同乗して現場活動を行うピックアップ方式などを含めるなら,ドクターヘリより古い。同様に,看護師も同乗しての緊急事態での非公認のドクターカー活動は枚挙に尽きないと考えられる。しかし,これらは救急車同乗として取り扱われ全国各地で散発的に行われていたと考える。当時はドクターカーという用語が用いられておらず,文献を渉猟しても初期の活動は確認することが困難である。

ドクターカーという言葉が明確に使われるようになったのは,1979(昭和54)年,兵庫県立西宮病院と西宮市消防本部との共同運用で開始されたのが日本国内初とされている。それ以降,総務省レベルの試行事業であったり,都道府県レベルの事業であったり,病院レベルの活動であったり,各地で徐々に広まり,1991年に厚生労働事業の一環となって以降,大きな拡がりをみせている。

このドクターカーの意義は,端的にいうなら,病院での医療が,現地に届くことにある。そのために医療資機材・医薬品を携行して,現場から医療を展開する。ここには,医師と看護師の組み合わせが必要であることは自明の理である。逆にいうなら,この組み合わせでないとドクターカーとはいえない。

しかしながら,前述したように,ドクターヘリに搭乗する看護師をフライトナースと定義し,研修や実習が行われる資格認証制度があるのは周知の事実である。同様に,1995年の阪神・淡路大震災の教訓より発した災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team;DMAT)においても,スタッフに看護師が位置付けられ研修・資格認証が行われている。

これらの動きに併せて,2006年に発足した日本病院前救急診療医学会は,主題をドクターカーとし,発足以来,当初の会員資格を医師・看護師に限定し,ドクターカーの活動状況などの調査研究を進めてきた。このなかで,自然発生的に,ドクターカーに同乗する看護師にも一定の研修と資格認証制度が必要であろうという合意が形成された。

ドクターカーに同乗する看護師の名称においては,フライトナースや諸外国の例を参考とし議論を進めた結果,グラウンドナースとし,本ガイドブックの編集に着手した。歴史的経緯をみるなら,最初に看護師の院外活動ともいえるグラウンドナースがありきで,このシステムの上に,フライトナースやDMATの看護師などが定義されるべきであったと考えるが,ドクターカーの多様性などから定義や調査統計事業に時間がかかったことは事実である。

2022年からの厚生労働省によるドクターカーに関する調査事業や2018年から検討を進めた全国ドクターカー協議会の具体化などとあいまって,本書刊行は実現化した。

是非,すべての医療従事者がグラウンドナースを理解し支援することを,そしてグラウンドナースが発展することを祈念する。


令和5年12月吉日

グラウンドナースガイドブック編集委員会・編集委員長
奥寺 敬

目次

第1章 病院外=out of hospital 救急活動概論

1 病院前救急医療(pre-hospital emergency medicine)の歴史

 病院前救急医療(pre-hospital emergency medicine)

 戦時の救急医療システム

 平時の救急医療システム

2 救急医療(emergency medicine)と病院前救護(pre-hospital care)

 救急隊員による病院前救急医療の処置

 救急救命士による病院前救急医療における救急救命処置

 わが国におけるドクターカー

3 わが国のドクターカー運用の現状

 「ドクターカーの運用事例等に関する調査研究事業」報告書より

4 out of hospitalと救急看護活動

5 out of hospitalと在宅救急医療

 在宅救急医療とは

 在宅ドクターカーの定義

 在宅ドクターカーとは

 在宅ドクターカーの運用要件

 在宅ドクターカーの人員要件

6 病院間搬送

 病院間搬送の目的・種類

 病院間搬送の診療報酬・加算

 グラウンドナースのかかわり

7 遠隔医療と情報管理

 遠隔医療(telemedicine)の定義

 遠隔医療の種類

 近年注目のオンライン診療

 遠隔医療を行うグラウンドナースに必要な情報の共有および管理技術

 アナログでの情報の管理と共有

8 災害医療

 災害の定義

 日本における災害医療

 災害に対する法律

 災害時の救急医療活動

 災害医療の基本

 国際受援

9 ドクターカー運用の安全管理

 ドクターヘリの安全運航

 ドクターカーにおける安全運行

第2章 グラウンドナース概論

1 グラウンドナースとは

 グラウンドナースの定義

 グラウンドナースの概念

 臨床判断,継続看護

2 グラウンドナースの位置付け

 1グラウンドナース活動上の法的位置付け

   保健師助産師看護師法

   看護師等の人材確保の促進に関する法律

 2グラウンドナースの看護における位置付け

   グラウンドナースに求められる看護

3 グラウンドナースに必要な管理

 患者管理

 自己管理

 安全管理(自己防衛,危機管理)

 感染管理

 医薬品・医療機器・物品管理

 労務管理

4看護倫理・倫理的配慮

 看護職とは

 救急医療における意思決定支援

 病院外における意思決定支援

 家族対応の実際

5グラウンドナースが知っておくべき位置情報管理

 地図

 地理情報システム(GIS)

第3章 病院外救急看護活動とグラウンドナース

1 グラウンドナース活動の実際

 1 緊急車両による患者搬送の特徴・留意点

   緊急車両としてのドクターカーの特徴

   患者搬送中の留意点

 2 出動基準(目的別・地域別)

   出動要請基準:消防要請型

   出動要請基準:地域運用型

   前橋市のドクターカー運行体制

 3 ドクターカー(準備〜現場活動〜車内活動〜医療施設)

   出動方式

   出動前準備

   出動の流れ

   要請のキャンセル

   救急活動

   病院選定

   安全管理について

 4 ラピッド・ドクターカー

 5 病院間搬送

   搬送前

   搬送中

   搬送後

 6 ECMOカー

   ECMO transport

   ECMOカーとは

   準備

   primary transportの現場活動

   車内活動

   医療施設

 7 在宅ドクターカー

   活動の実際

   在宅ドクターカーの資器材・物品

   活動現場

   在宅ドクターカーがつなぐ居住場所

2 グラウンドナースに必要な知識

 1 グラウンドナースに必要な解剖学的知識

   救急現場で必要な解剖学的知識

   傷病者観察や処置に必要な解剖学的知識

 2 内因性疾患

   ショック

   意識障害

   胸痛

   頭痛

   呼吸困難・呼吸不全

   構音障害・片麻痺

 3 外因性疾患

   頭部外傷

   胸部外傷

   腹部外傷

   脊椎・脊髄損傷

   四肢・骨盤外傷

   銃創・刺創・杙創

 4 小児患者への対応

   小児の特徴

   小児患者の対応のための準備

   小児の内因性疾患

   小児の外傷

   小児患者の安全管理

 5 妊産婦への対応・周産期カー(NICU)

   母体搬送

   新生児搬送

   母体・新生児搬送における安全管理

第4章 在宅救急医療

1 在宅救急医療におけるグラウンドナース

 1 看護師の立場から

   在宅医療・看護の歴史

   救急搬送

   超高齢社会における課題

   利用者(患者)の搬送方法

   在宅医療におけるグラウンドナースの役割

 2 医師の立場から

   在宅救急医療におけるグラウンドナース

   具体的な病態像と看護師の対応

第5章 ほかの搬送システムとの連携

1 ドクターヘリとの連携

 ドクターヘリの歴史,運営・制度

 ドクターヘリの基本的知識

 ドクターヘリとの連携

2 救急車・消防との連携

 消防の位置付けと業務

 グラウンドナースと消防との協働場面

 訓練・教育

3 ワークステーションなど

 ワークステーションとは

 携行物品・薬剤

 現場での活動

 注意点

4 警察との連携

 事態対処医療とは

 事態対処現場における外傷対応の基本

 事態対処現場における傷病者対応の実際

5 海上保安庁との連携(洋上救急)

 海上保安庁の位置付けと業務

 海上保安庁のメディカルコントロール

 グラウンドナースと海上保安庁との協働場面

第6章 グラウンドナースに求められる能力

1 グラウンドナースに求められる能力と教育

 グラウンドナースに求められる能力(文献からの検討)

2 グラウンドナースのメンタルヘルス

 グラウンドナースが経験し得るストレス

3 グラウンドナース教育の取り組み

 1前橋赤十字病院での教育

   グラウンドナース育成の実際

   ドクターカーナース研修プログラムの概要

   当院におけるドクターカーナース研修プログラムの実際

   ドクターカーナース研修プログラムにおける評価と振り返り

   ドクターカーナース研修修了者の認定

 2 東海大学医学部付属病院での教育

COLUMN

ドクターカーに同乗する看護師;グラウンドナース

ドクターヘリとドクターカーレジストリ登録システム

病院前で手術を行う車両

在宅ドクターカーと技術革新

ドクターカー同乗の専門職はなぜ看護師なのか

グラウンドナースの普及のために―看護教育の視点から

大阪府三島救命救急センターにおける特別救急隊同乗看護師の活躍

USARとグラウンドナース

看護師養成課程における解剖学教育の現状と課題

松本サリン事件とドクターカー

被ばく医療の基礎知識

ファーストエイド・レスポンダーとの連携

グラウンドナースの惨事ストレス

過去の文献からみるグラウンドナースの今後の課題

グラウンドナースと総合知

グラウンドナースとフライトナース

ドクターカー活動とJTAS

グラウンドナースに期待する迅速な観察と判断

第17回日本病院前救急診療医学会・学術集会;シンポジウム3(看護セッション)・「グラウンドナースの育成と今後の展望」に参加しての報告


索引

資料 ドクターカー運行マニュアル 第1版

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書籍情報

  • ISBN:9784867190791
  • ページ数:225頁
  • 書籍発行日:2023年12月
  • 電子版発売日:2024年1月17日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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