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- 予防接種の手びき〈2024-25年度版〉
商品情報
内容
この4年間、感染症分野における大きな出来事として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行(パンデミック)があった。国内では2023年5月にCOVID-19は感染症法上の取り扱いが五類となり、WHOもPHEIC宣言を解消したが、まだ予断を許さない。ワクチンではmRNAワクチンやベクターワクチンなど新たなモダリテイーが登場し,世界中で実用化と普及に結びついている。本書では、新型コロナワクチンを含めた予防接種、ワクチンに関する最新の情報を掲載する。
【2024-25年度版の主な変更点】
・ワクチン忌避(vaccine hesitancy)について(日本小児科学会の活動を含む)
・新型コロナウイルス感染症に対する治療薬・ワクチンを含む特例承認・緊急承認などの精度について
・風しん第5期定期接種の2024年度末までの延長
・予防接種法の改正(新型コロナウイルス感染症にかかる臨時の予防接種実施における特例的規定の創設,個人番号カードによる接種対象対象者確認,データベースの整備,予防接種事務のデジタル化)
・感染症発生動向調査の定点把握対象感染症に新型コロナウイルス感染症が追加
・インフルエンザワクチンの経鼻生ワクチンの承認見込みについて
・沈降15価肺炎球菌結合型ワクチンの追加
・新規ワクチン開発(不活化サブユニット+アジュバンド,核酸ベースのワクチン)
・新型コロナウイルス感染症流行下における各ワクチン接種動向の変化
・新しい肺炎球菌ワクチンについて
・DPT-IPVが生後2月以上から開始に
・DPT-IPVにおける経口弱毒生ワクチンから不活化ポリオワクチンへの切り替え
・5種混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib)について
・ポリオ根絶(polio eradication)とポリオワクチンについて
・おたふくかぜワクチンについてのコラムを追加
・HPVワクチンの積極的接種勧奨の再開とISRRとの関連,接種回数,男性への接種について
・9価HPVワクチンが定期接種で使用可能に
・mRNAについて
・新型コロナウイルスのオミクロン変異株,緊急事態宣言の終了発表等について
・現状の新型コロナワクチン,治療薬
・遺伝子組換え精製蛋白ワクチンの開発
・エムポックスと痘瘡ワクチンについて
序文
〈2024-2025年度版〉の発刊にあたって
赤い表紙の『予防接種の手びき』は,1975(昭和50)年の初版から故・木村三生夫先生,故・平山宗宏先生,1995(平成7)年からは故・堺春美先生が参加されて版を重ね,2014(平成26)年の第14版までの約40年間,文字通り「予防接種の手びき」として広く利用されてきました。しかし,予防接種・ワクチンを取り巻く環境は,大きく,目まぐるしく変化をしているところから,新たな手びき書が必要であると考え,執筆メンバーを一新しこれまでの「手びき」の良いところはできるだけ残しておきながら,新たな「予防接種の手びき」の発刊に至りました。〈2018-19年度版〉としたのは,現状の変化を速やかに本として反映させていくためには2年毎くらいの追加修正の必要性があろうという,編著者グループおよび出版社のあらかじめの決意を示したもので,これまでに〈2018-19年度版〉,〈2020-21年度版〉,〈2022-23年度版〉を発行してまいりました。
〈2020-21年度版〉〈2022-23年度版〉発行の4年間,感染症分野での大きな出来事は,何といっても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行(パンデミック)でした。2023年5月にCOVID-19は国内では感染症法上の取り扱いは五類となり,WHOも注意を呼び掛けながらもPHEIC(Public Health Emergency of International Concern)宣言を解消し,この感染症への対応はまた新たなフェイズに入ったと思います。ワクチンの領域では,mRNAワクチンやベクターワクチンなどの新たなモダリテイー(この言葉も急速に使用されるようになりました)のワクチンが登場し,世界中であっという間の実用化と普及に結びつきました。新型コロナワクチンは,人々のワクチンに対する考えを大きく変えたのではないかと思いますが,一方では獲得した免疫の早い減衰,ブレイクスルー感染,ウイルスの変異への対応,ブースター接種とそれらに伴う行政対応,また急速に登場したワクチンへの不安・不信など,新たな課題も出現しました。そして2024年4月から新型コロナワクチンは国内では定期接種B類になることが決まりました。
本書への反映はまだされておりませんが,COVID-19と国内のワクチンの動向は,2022年4月に設置されたSCARDA(先進的研究開発戦略センター:感染症有事に国策としてワクチン開発を迅速に推進するために平時からの研究開発を主導する体制)や2023年3月から始まった予防接種基本計画見直しの議論などにつながり,これからのわが国におけるワクチン・予防接種の在り方の大きな,そして良い方向への変化が期待されるところです。
〈2024-25年度版〉における主な改訂,追加は以下の通りです。
・ワクチン忌避(vaccine hesitancy)について(日本小児科学会の活動を含む)
・新型コロナウイルス感染症に対する治療薬・ワクチンを含む特例承認・緊急承認などの精度について
・風しん第5期定期接種の2024年度末までの延長
・予防接種法の改正(新型コロナウイルス感染症にかかる臨時の予防接種実施における特例的規定の創設,個人番号カードによる接種対象対象者確認,データベースの整備,予防接種事務のデジタル化)
・感染症発生動向調査の定点把握対象感染症に新型コロナウイルス感染症が追加
・インフルエンザワクチンの経鼻生ワクチンの承認見込みについて
・沈降15価肺炎球菌結合型ワクチンの追加
・新規ワクチン開発(不活化サブユニット+アジュバンド,核酸ベースのワクチン)
・新型コロナウイルス感染症流行下における各ワクチン接種動向の変化
・新しい肺炎球菌ワクチンについて
・DPT-IPVが生後2月以上から開始に
・DPT-IPVにおける経口弱毒生ワクチンから不活化ポリオワクチンへの切り替え
・5種混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib)について
・ポリオ根絶(polio eradication)とポリオワクチンについて
・おたふくかぜワクチンについてのコラムを追加
・HPVワクチンの積極的接種勧奨の再開とISRRとの関連,接種回数,男性への接種について
・9価HPVワクチンが定期接種で使用可能に
・mRNAについて
・新型コロナウイルスのオミクロン変異株,緊急事態宣言の終了発表等について
・現状の新型コロナワクチン,治療薬
・遺伝子組換え精製蛋白ワクチンの開発
・エムポックスと痘瘡ワクチンについて
本書が,医療機関,保健所あるいは行政担当者,研究機関等において予防接種にかかわる皆様方に,最新で確実な情報としてお役に立つことを,編著者一同,心から願っております。
なお,本書の分担執筆者はいずれもCOVID-19対応に様々な場面でかかわっており,その多忙さから出版時期の遅れもやむを得ず,との思いもありましたが,近代出版の多大なバックアップから,〈2024-25年度版〉についても遅れることなく世に出すことができました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
令和6年1月
編著者代表 岡部 信彦
目次
1 わが国の予防接種
予防接種総論
Ⅰ 予防接種の定義
Ⅱ 予防接種・ワクチンに求められる安全性
Ⅲ 健康被害に対する救済制度
予防接種健康被害救済制度 給付区分別認定者数〈新制度分〉
予防接種の歴史
Ⅰ 予防接種・ワクチンの黎明
Ⅱ わが国における予防接種の歴史と流れ
Ⅲ 痘瘡根絶宣言(1980年)に至るまで
Ⅳ 感染症法の成立と結核予防法の廃止
Ⅴ 近年の予防接種の動向
コラム WHOが目標としている予防接種戦略―IA2030
コラム ワクチン忌避(vaccine hesitancy)に対する日本小児科学会の活動
予防接種の制度と実施
Ⅰ 予防接種の制度
Ⅱ 予防接種の接種間隔と同時接種
Ⅲ 定期接種
Ⅳ 予防接種の実施(概要)
Ⅴ 予防接種不適当者,予防接種要注意者
コラム 予防接種法における接種年齢について
予防接種の評価に関する情報
Ⅰ 感染症発生動向調査・病原微生物検出情報
Ⅱ 感染症流行予測調査事業
Ⅲ 予防接種実施状況調査
2 ワクチン概論
ワクチンの種類と作用
Ⅰ 生ワクチンと不活化ワクチン
Ⅱ ワクチンの作用(自然免疫と獲得免疫)
用語解説
ワクチンの成分と添加物
Ⅰ ワクチンの製造工程
Ⅱ 添加物の種類とその役割
Ⅲ チメロサールの問題点
Ⅳ アジュバント
ワクチンの保存,有効期間,注意点
Ⅰ ワクチン製剤の安定性
Ⅱ ワクチンの保管方法
コラム 期限切れワクチンの接種事故
コラム ワクチン保存のポイント
ワクチンの接種方法と有効性・安全性
Ⅰ ワクチンの接種方法
Ⅱ ワクチンによる主反応(免疫能の誘導)と副反応
Ⅲ 予防接種ストレス関連反応(ISRR)
抗体の測定法
Ⅰ 抗体測定法
Ⅱ 細胞性免疫能の測定法
コラム これからの新規ワクチン開発
現行の予防接種まとめ
3 ワクチン,免疫グロブリン製剤,抗毒素製剤
ワクチンの概要と添加物含有量
ワクチンのゼラチン,人血清アルブミン,チメロサール,その他の防腐剤含有量の推移
免疫グロブリン製剤,抗毒素製剤
Ⅰ 免疫グロブリン製剤
Ⅱ 抗毒素製剤
ワクチン,人免疫グロブリン製剤,抗毒素製剤 製造元・販売元一覧
4 ワクチン別の解説
インフルエンザ菌b型結合型ワクチン(ヒブワクチン)
肺炎球菌ワクチン
コラム 新しい肺炎球菌ワクチン
B型肝炎ワクチン
コラム 遺伝子型AのB型肝炎ウイルス
コラム de novo B型肝炎
ロタウイルスワクチン
DPT-IPV(百日咳,ジフテリア,破傷風,ポリオ)
コラム 5種混合ワクチン:沈降精製百日咳,ジフテリア,破傷風,不活化ポリオ,ヘモフィルスb型混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib)
コラム ポリオ根絶とポリオワクチンの動き
BCGワクチン
麻疹ワクチン
風疹ワクチン
麻疹風疹混合ワクチン
水痘ワクチン(帯状疱疹ワクチン)
コラム TORCH症候群
おたふくかぜワクチン
コラム ムンプス難聴
コラム おたふくかぜワクチン
日本脳炎ワクチン
ヒトパピローマウイルスワクチン
コラム HPVワクチンの接種回数
コラム HPVワクチンの男性への接種
インフルエンザワクチン
コラム 海外における多彩なインフルエンザ
コラム 高齢者用高容量ワクチン
コラム レコンビナントワクチン
コラム 細胞培養ワクチン
コラム 経鼻生ワクチン
コラム 皮内ワクチン
コラム メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン
コラム 貼るワクチン
新型コロナワクチン
コラム コロナウイルスの発見
コラム Katalin Kariko博士の実績がワクチン開発にもたらしたこと
A型肝炎ワクチン
コラム 海外で使用されるA型肝炎ワクチン
髄膜炎菌ワクチン
コラム 髄膜炎菌ワクチンにも及んでいたワクチンギャップ
コラム 髄膜炎菌ワクチンの歴史と世界で使用されているワクチン
黄熱ワクチン
コラム 授乳婦と黄熱ワクチン
コラム 海外渡航と予防接種
狂犬病ワクチン
コラム 狂犬病が疑われる動物に咬まれたら……
コラム 国内のワクチンと海外ワクチンの互換性
痘瘡ワクチン
コラム 痘瘡ワクチン接種後の「善感」とは?
コラム 痘瘡ワクチンによる発病予防機序
コラム 米国で痘瘡ワクチン再開後に問題となった副反応
5 医療関係者に求められる予防接種
医療関係者に求められる予防接種
Ⅰ 医療関係者に対する予防接種の考え方とわが国の指針
Ⅱ ワクチン別の指針
6 海外渡航時の予防接種
海外渡航時の予防接種
Ⅰ 海外渡航と感染症
Ⅱ 渡航先と必要なワクチン
Ⅲ 予防接種に関する英文証明書
Ⅳ 各種のトラベラーズワクチン
コラム マラリアワクチン
【付録】
【付録】
予防接種法
定期接種実施要領
特定感染症予防指針
予防接種実施関連通知
感染症法
予防接種関連統計
予防接種法による救済制度
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書籍情報
- ISBN:9784874022955
- ページ数:616頁
- 書籍発行日:2024年3月
- 電子版発売日:2024年3月5日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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