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- 隈元 庸夫
- PT・OTのための測定評価シリーズ 5 バランス評価―観察と計測 第2版新装版
商品情報
内容
ひとのバランス機能を正確に評価することは、セラピストにとって基本である。
しかし、バランス機能の捉え方は障害のある部位などにより見方や解釈が異なるため、臨床経験の浅いセラピストにとっては困難とされている。
この原因は、動作基準である健常人の姿勢メカニズムの理解不足、および瞬時に変化する姿勢観察ポイントの把握不足にある。
そこで本書は、健常人が示す基本的行動を基に、バランス評価を行うための必見ポイントを写真で示し、容易に理解できる工夫をした。
また動画では、より深く理解を可能とするためにスローモーションで一連の動作を細かく見せている。
さらに今回は、症例動画を提示し、臨床家が注視する点を理論的に解説することで、実践現場の未経験な学生から経験の乏しい若手までが役立つ内容である。
臨床場面では、迅速、的確に非健常人の問題点を発見・抽出することが不可欠である。
臨床家として必要な観察眼を養えるためにも、また臨床実習における学生にとっても、本書は最良なテキストである。
※本書(第2版新装版)は、前版まで付属DVDに収めていた動画をWeb配信に変更し、それに伴いシリーズ名と装丁を改めたものです。内容に変更はありません。
序文
第2版の序文
第1版では,姿勢制御やバランス機能の解釈と説明として,神経生理学における反射階層理論の立場から捉えた姿勢反射反応とダイナミックシステム理論の立場から捉えた運動戦略,生体力学の立場から捉えた支持基底面と身体重心の合目的関係,動作課題の遂行能力の立場から捉えた機能的バランスなどを取り上げ,バランス評価に関連する用語について整理し,さらにそれぞれの立場からバランスを評価するための観察の仕方を健常成人が示す姿勢応答や寝返り,起き上がりなどの自発運動における運動パターンなどを動画で示しながらバランス機能の理念型について解説を試みました.
第2版では,総論においてバランス機能を日常の生活場面における時系列事象と捉え,周囲の環境認知からバランス障壁回避戦略の発起,障壁回避運動の制御,さらに障壁回避運動の失敗に対する対応として,予期的・予測的・応答的な各姿勢制御について解説し,バランス機能の解釈について再検討を行いました.その観点から,各論においては動作中のバランス評価に主眼をおき,寝返りや起居・移動動作におけるバランス機能という視点からの動作分析の仕方や観察のポイントについて健常成人を対象に動画で解説しました.そして,本書では第 1 版から一貫して示してきましたバランス評価の多様な視点,姿勢反射反応,運動戦略,生体力学,動作課題の遂行という視点からの評価の仕方や観察のポイントについて,脳卒中片麻痺者の症例に対するバランス検査の実際を提示し,バランス機能について理念型との比較をしながら解説を試みました.
臨床実習においてバランス評価を行う場合,学生の多くは以下のようなことに悩み,バランス評価がうまくできないと臨床実習指導者に指摘されることが多いように思われます.
① どのくらいの強さで外乱を加えればよいのか.
② どのような反応がよくて,どのような反応が問題なのか.
③ どのような動作課題を選択したらよいのか.
④ どのような運動パターンがよくて,どのような運動パターンが問題なのか.
⑤ 何をあるいはどこを観察したらよいのか,観察のポイントは何か.
⑥ 安全管理はどのようにすればよいのか.
本書では,そこで,以上の疑問を解決すべく,患者の反応や自発運動の何がよくて何が問題かを,立ち直り反応や平衡反応,予測的姿勢調整,運動パターン,支持基底面と身体重心軌跡の推定などをキーワードとし,観察すべきポイントを示しました.
本書が,臨床実習においては学生と臨床実習指導者の,臨床の場においてはセラピスト間の観察のポイントや評価基準の共有化の一助になれば幸いと思います.なお,症例の動画を提示するにあたり,ご協力をいただきました患者様ならびに北樹会病院のスタッフの皆様に心から感謝と御礼を申し上げます.
2016年3月
埼玉県立大学保健医療福祉学部 星 文彦
目次
第1章 総 論
1.バランスとは
2.身体運動におけるバランスとは
3.バランスの3つの視点
4.バランスの3つの時系列事象
5.バランス障害の捉え方
6.バランス評価
7.バランス評価の実際
8.検査測定の注意
第2章 用語の定義
1.姿勢―構えと体位
2.姿勢―定位と安定性
3.身体重心と支持基底面
4.圧力中心と質量中心,身体重心との関係
5.立ち直り反応と平衡反応
6.予測的姿勢調整
第3章 機能評価と検査
バランス機能の3つの視点
Ⅰ.反射階層理論の視点
①立ち直り反応
1.姿勢保持にみられる立ち直り反応
2.動作中にみられる立ち直り反応
3.外乱応答にみられる立ち直り反応
②平衡反応
1.傾斜反応(床面傾斜)
2.パラシュート反応・防御反応(水平外乱刺激)
Ⅱ.運動戦略・生体力学の視点
1.外乱に対する立位姿勢維持
2.外乱に対する端座位姿勢維持
3.自発運動における姿勢維持
Ⅲ.課題遂行の視点―機能的バランス検査
1.バーグ・バランス・テスト
2.機能的リーチ・テスト
3.立って歩け時間計測検査
4.継ぎ足歩行検査
5.3メートル椅子間歩行
6.2ステップ・テスト
7.30秒椅子立ち上がりテスト
8.星形ステップ・バランス・テスト
9.ショート・フィジカル・パフォーマンス・バッテリー
Ⅳ.動作中のバランス評価
1.4つの観察ポイント
第4章 バランス評価の実際
1.臨床における観察と分析(症例動画)
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書籍情報
- ISBN:9784895908115
- ページ数:180頁
- 書籍発行日:2024年2月
- 電子版発売日:2024年3月22日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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