CKD診療Navigator 新規薬剤による治療戦略

  • ページ数 : 224頁
  • 書籍発行日 : 2024年4月
  • 電子版発売日 : 2024年3月19日
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商品情報

内容

CKD治療における1番効果的な薬の選び方・使い方につながる1冊

CKD治療は薬剤の選び方・使い方で効果が変わります.SGLT2阻害薬や,HIF-PH阻害薬など,腎保護作用やeGFRの改善がエビデンスとして出始め,CKD診療は大きな変革を迎えました. 各薬剤の特徴と作用機序,効果的な治療戦略が詳しくわかるだけでなく,CKDの治療効果だけでなく,貧血改善や心血管ベネフィットなど患者の合併症ごとに望ましい効果のある薬を選ぶことで,最適な治療戦略をできるようになる必読書.

序文

はじめに


近年,腎臓疾患の治療において多くの画期的な進歩があったのは皆さまもよくご存知だと思います.特にSGLT2阻害薬が慢性腎臓病(CKD)に対して処方できるようになったことに誰もが衝撃を受けたのではないでしょうか.2015年にEMPA—REG OUTCOME試験においてSGLT2阻害薬が2型糖尿病患者の心血管予後改善に寄与することが示されてから,これに続くいくつかの研究で非糖尿病の慢性腎臓病患者においても,いくつかのSGLT2阻害薬の腎保護における有用性が明らかになりました.これまでレニン・アンジオテンシン系阻害薬しかエビデンスのある腎予後改善薬を持たなかった腎臓内科医にとって,SGLT2阻害薬は不可欠のツールとなったのは間違いありません.また非ステロイド型ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)やHIF—PH阻害薬など,腎保護作用を発揮する新規薬剤の登場を目の当たりにし,腎臓専門医はもとより,非専門医や初学者の方々にも理解しやすいCKDの新規薬剤をまとめた本があったらと考えていました.そんなタイミングで,いつもお世話になっている中外医学社の上岡里織様から本書の企画をいただくという大変な幸運に恵まれました.その頃,腎臓内科医の期待を一身に集めていたバルドキソロンメチル(RTA402)の第三相試験であるAYAME試験がそろそろ終盤を迎える時期だったのをよく覚えています.本書が刊行される頃には同薬が上市されるのではと目論んでいたのですが,残念ながら末期腎不全(ESKD)が回避できないという理由で開発中止の憂き目に遭ってしまいました.期待されていた薬剤が,もうちょっとのところで世に出ないことはよくあることですが,バルドキソロンメチルについては明らかにeGFRの改善効果がみられるので,本書でも扱わせていただきました.知識のアップデートのため,それ以外にも市販されていない治験薬レベルの薬剤も扱わせていただいている点にはご注意ください.本書では新規薬剤によるCKD治療戦略に焦点をあて,これまでに蓄積された知見と最新の研究結果を通じて,腎臓内科医がより効果的かつ総合的な治療戦略を展開できるような情報を提供するように努めました.また各項目を担当してくださった著者の先生は,現在その分野の最前線で活躍中の方々ばかりです.理想的な本が出来上がったのではないかと思います.そう言っているこの瞬間にも,この業界の新知見はどんどん積み上がっているので,既存の知識はどんどん陳腐化していきます.この本も必ず内容の書き換えや情報追加が必要になると思いますので,改訂第2版の出版も見すえてまいる所存です.この本が,新しい時代の腎臓治療に長期にわたって貢献し続けられるよう心より願っております.


2024年2月

長田太助

目次

1 SGLT2阻害薬 〈増田貴博〉

この薬剤の注目点

A.薬剤の作用機序

B.この薬剤が開発された背景

C.腎臓における作用と考えられる治療戦略

D.腎保護の機序

(1)糸球体高血圧の是正

(2)尿細管への酸素供給の適正化

(3)ケトン体増加

E.臨床研究の結果 9

F.最近の話題

(1)フレイル改善作用

(2)腎結石抑制効果

(3)抗腫瘍作用

G.今後の展望

(1)積極的に使用すべきCKD患者の明確化

(2)心・腎保護の共通機序の解明:「生体恒常性維持機能」の意義

Take Home Message

2 HIF—PH阻害薬 〈田中哲洋〉

この薬剤の注目点

A.薬剤の作用機序

B.この薬剤が開発された背景

(1)ESAによる腎性貧血治療

(2)低酸素によるEPO遺伝子の発現誘導

(3)HIFの発現調節

(4)PHD/HIF—PHの阻害と赤血球造血

C.腎臓における作用と考えられる治療戦略

(1)HIF—PH阻害薬の特徴と,ESAとの使い分け

(2)鉄動態への潜在的影響

D.臨床研究の結果

(1)赤血球造血の有効性

(2)心血管安全性の検討

E.最近の話題

(1)HIFの活性化に伴う安全性の懸念

(2)虚血を伴う腎障害の進行に及ぼし得る影響

F.今後の展望

Take Home Message

3 MRA finerenone 〈長田太助〉

この薬剤の注目点

A.薬剤の作用機序

(1)脱SUMO化

(2)脱ユビキチン化

(3)リン酸化(PKCβ)

(4)O—GlcNAc化

(5)Rac1によるMRの核移行の促進

B.この薬剤が開発された背景

C.腎臓における作用

D.臨床研究の結果

E.FIDELIO—DKD試験

F.FIGARO—DKD試験

G.FIDELIO—DKD,FIGALO—DKDにおける高K血症

H.FIDELIO—DKD,FIGALO—DKDにおけるフィネレノンの降圧作用

I.最近の話題

J.今後の展望

Take Home Message

4 ARNIサクビトリル/バルサルタン 〈菱田英里華〉

この薬剤の注目点

A.この薬剤が開発された背景

B.ARNIの作用機序

C.サクビトリル/バルサルタンの心不全患者を対象とした臨床試験の成績

(1)PARAMOUNT試験

(2)PARADIGM—HF試験

(3)PARAGON—HF試験

(4)PARADIGM—HF試験とPARAGON—HF試験の統合解析

(5)PIONEER—HF試験

(6)PARALLEL—HF試験

D.ARNIの降圧効果に関する作用機序

E.サクビトリル/バルサルタンの高血圧患者を対象とした臨床試験の成績

(1)Ruilope LM, et al. Lancet, 2010.(A2201試験)

(2)Kario K, et al. Hypertension, 2014.(A2219試験)

(3)Ito S, et al. Hypertens Res, 2015.(A1304試験)

(4)Wang JG, et al. J Clin Hypertens, 2017.(A2319試験)

(5)Williams B, et al. Hypertension, 2017.(A2216,PARAMETER試験)

(6)Supasyndh O, et al. Am J Hypertens, 2017.(A2316試験)

(7)Wang TD, et al. Hypertension, 2017.(A2222試験)

(8)Schmieder RE, et al. Eur Heart J, 2017.(A2224試験)

(9)Cheung DG, et al. J Clin Hypertens, 2018.(A2318試験)

(10)Rakugi H, et al. Hypertens Res, 2022.(A1306試験)

(11)Kario K, et al. JACC, 2023.(A1306試験post hoc解析)

F.ARNIの腎保護に関する臨床研究

(1)PARADIGM—HF試験post hoc解析

(2)PARAGON—HF試験post hoc解析

(3)PARADIGM—HF,PARAGON—HF試験 統合サブ解析

(4)UK—HARPIII試験

(5)ARNIの腎への効果と安全性に関するメタ解析

G.ARNIの腎保護効果をもたらす作用機序

(1)ARNIの糸球体における作用

(2)ARNIの腎髄質における作用

H.高度腎不全(G4,G5期)におけるARNIのエビデンスと腎保護を意識したARNIの使い方

I.透析患者におけるARNIの有効性と安全性に関する報告

J.日本におけるARNIの適応症,用法・用量,投与上の注意点について

Take Home Message

5 トルバプタン,mTOR阻害薬〔ラパマイシン(シロリムス)〕 〈八反田文彦,西尾妙織〉

トルバプタン

A.この薬剤の作用機序

B.この薬剤が開発された背景

C.腎臓における作用と考えられる治療戦略

D.臨床研究の結果

mTOR阻害薬〔ラパマイシン(シロリムス)〕

この薬剤の注目点

A.この薬剤の作用機序

B.この薬剤が開発された背景

C.腎臓における作用と考えられる治療戦略

D.臨床研究の結果

E.最近の話題

(1)バルドキソロンメチル

(2)メトホルミン

(3)スタチン

(4)抗miR—17オリゴヌクレオチド

F.今後の展望

Take Home Message

6 Bardoxolone Methylバルドキソロンメチル 〈長田太助〉

この薬剤の注目点

A.薬剤の作用機序

B.この薬剤が開発された背景

C.腎臓における作用

D.臨床研究の結果

(1)悪性腫瘍に対する治験中に見つかったeGFR上昇効果

(2)BEAM試験

(3)BEACON試験

(4)CARDINAL試験

E.最近の話題

F.今後の展望

Take Home Message

7 メトホルミン 〈岡田健太〉

この薬剤の注目点

A.薬剤の作用機序

B.この薬剤が開発された経緯

C.腎臓における作用と考えられる機序

(1)腎症の現状

(2)メトホルミンと乳酸アシドーシス

D.基礎研究の結果

メトホルミンの腎保護効果

E.最近の話題

メトホルミンと造影剤検査

F.今後の展望

Take Home Message

8 ASK1阻害薬 Selonsertib 〈長田太助〉

この薬剤の注目点

A.薬剤の作用機序

B.この薬剤が開発された背景

C.腎臓における作用

D.臨床研究の結果

E.最近の話題

F.今後の展望

Take Home Message

9 GLP—1受容体作動薬・GIP/GLP—1受容体作動薬 〈岡田健太〉

この薬剤の注目点

A.この薬剤が開発された経緯

B.薬剤の作用機序

C.腎臓における作用と考えられる機序

D.臨床研究の結果

(1)早期CKD(stage 1〜2)

(2)中等度から重度CKD(stage 3〜4)

(3)システマティックレビューおよびメタ解析

E.GLP—1受容体作動薬の腎機能別投与量

F.最近の話題

G.今後の展望

Take Home Message

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書籍情報

  • ISBN:9784498224940
  • ページ数:224頁
  • 書籍発行日:2024年4月
  • 電子版発売日:2024年3月19日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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