今さらきけない疑問に答える 学び直し風邪診療

  • ページ数 : 220頁
  • 書籍発行日 : 2024年4月
  • 電子版発売日 : 2024年4月3日
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商品情報

内容

今,改めて学び直したい「風邪」診療.実は奥深いその臨床を,熟練医が実践的に解説.

単なる専門知識や教科書的な鑑別診断にとどまらない,現場の「風邪」診療を熟練の臨床医が解説.明日からの診療をアップデートさせる,学び直しに最適な1冊.

序文

はじめに


風邪診療について書かれた素晴らしい本はすでに多く出版されています.私も多くの本を通じて学んできました.この本を手に取った方の中には,なにを今さら屋上屋を架すのかと感じた方がいるかもしれません.しかし,パンデミックを経た今だからこそ見えてきたこと,できることがあります.風邪診療とその周辺には知的好奇心を満たし患者さんに貢献できる新たな学びがたくさんあります.なにを今さらではなく,今だからこそ,風邪診療なのです.

風邪診療は急性気道感染症を適切に分類して理解し診断することにとどまりません.重大な疾患の見逃しを防ぐことはもちろん,受診の背景を知ってそこに適切にアプローチすることも大切です.隠れたニーズの存在を意識する必要もあります.コミュニケーション・スキルはそのための基礎になります.これらは他の疾患や症候にも当てはまることではありますが,頻度の高い風邪診療の視点から考えることは実感ともつながって理解が深まります.風邪診療の周辺には大切な考え方や知っておきたいスキルが広がっています.

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックとその後のさまざまな感染症の流行や,薬剤耐性(AMR)対策のなかで抗菌薬適正使用が強く求められていることなど,感染症と社会を取り巻く状況は大きく変化しています.風邪診療はこのダイナミックな変化と決して無縁ではありません.COVID-19に伴う変化はそのひとつです.「PCR検査」という用語を誰もが知っている時代がくるとは誰が予想していたでしょうか.日常診療としての風邪診療に求められることはかつてとはずいぶん変わってきたわけですが,風邪診療から見える光景は診療の場によっても大きく変わります.同じ症状でも子どもと高齢者では様相が異なります.妊婦だったらなおさらです.さらに,病院と診療所,都市部と地方でも光景はかなり違うことでしょう.

この本は,これから風邪診療に取り組む医師はもちろん,日常診療で風邪症状の患者さんを多く診ている医師が狭義の風邪診療のみならずその周辺について学び,アップデートできる書籍となることをめざして作りました.周辺とは上記で述べた諸々です.執筆は,臨床に根ざし医療現場をよく知っている医師を中心にお願いしました.その多くは私自身が一緒に働き信頼してきた方々です.その臨床知に学びたいというのは,私自身の願いでもあります.

最後にこの本の構想を練るにあたって貴重なアドバイスをいただいた佐藤泰吾先生(諏訪中央病院),鄭 真徳先生(佐久総合病院),そして停滞しがちな私に何度となく絶妙なタイミングと絶妙な強度でリマインドと励ましをくださった中外医学社の牧田里紗さんに心から感謝いたします.


2024年3月 春の訪れに心踊りつつ

具 芳明

目次

I 風邪へのアプローチ

1 風邪の病態と分類〈具 芳明〉

「風邪」とはなにか

急性気道感染症の分類

急性気道感染症を各論的に考える

2 風邪診断の考え方〈玉井道裕〉

風邪診療の3つのゴール

危険な疾患の見極め方,疑い方

呼吸器感染症の解像度を上げる

典型的な風邪の症状と時間経過を知る

コロナ時代の風邪診療

風邪とコロナとインフルエンザ

風邪診療の総括

3 見逃せない疾患〈水間悟氏〉

開口障害を伴う“風邪”に注意する

皮疹を伴う“風邪”に注意する

誰にX線を撮るか

Column 咽頭痛なのに咽頭に所見なし 58/石灰沈着性頸長筋腱

きれいな痰をとる 77/経過を診させてもらうためには

4 風邪への処方の考え方と対症療法の実際〈宮里悠佑

総論:風邪に対する「処方」の考え方

各論:「風邪」に対する対症療法の実際とエビデンス

5 遷延する咳嗽の考え方〈小澤廣記〉

遷延性咳嗽とは何か

遷延性咳嗽の診断アプローチ

遷延性咳嗽の治療アプローチ

フォローアップの重要性

Q&A:遷延性咳嗽

6 風邪症状の説明〈藤友結実子〉

医師患者関係の変遷:パターナリズムからSDM(Shared Decision Making 共同意思決定)へ

SDMと風邪診療

風邪診療で患者に伝えること

7 「風邪」への家庭医療的

〈藤沼康樹 菊池徹哉 田中夏実 佐野康太 春日みわ〉

家庭医による風邪診療ケース・スタディ

家庭医療のフレームワーク

出会いのきっかけとしての風邪診療とプライマリ・ケアの創発特性

在宅医療と風邪診療

プライマリ・ケア外来の風邪診療で見逃したくない疾患

II 診療の場からみえる

1 小児の風邪〈蓮見純平〉

「風邪」と「風邪の延長」とは?

「風邪」は何日続く? 適切な診療間隔は?

病名の付け方のルールは?

溶連菌感染症の最新の考え方は?

Column 小児科は風邪ばかり

2 妊娠中,授乳中の風邪症状や薬の使い方〈山下 創〉

妊娠中の風邪診療は何が特別か?

妊娠・授乳中の風邪症状で想起したい鑑別疾患は何か?

妊娠・授乳中の薬の使い方は?

3 高齢者の風邪〈佐藤泰吾〉

「風邪診療」をどのように学んできたか

「高齢者の風邪」診療,私の誤診

なぜ私は誤診をしたのか

「高齢者の風邪診療」で気をつけていること

4 病院総合外来でみる風邪〈鄭 真徳〉

病院外来で風邪をみる状況とは?

病院外来を受診する理由とは?

病院総合外来で風邪をみる研修医を指導するには?

5 都市部クリニックでみる風邪症状への

〈柳沢如樹〉

都市部クリニックにおける風邪診療のポイントは?

風邪症状にアプローチする際に注意すべき点とは?

コロナ禍を経験した今後の都市部クリニックの役割とは?

6 へき地診療所でみる風邪〈由井和也〉

へき地診療所とは

へき地診療所の「風邪」診療におけるリソース

へき地診療所を取り巻く問題

Column 後医は名医? 213/Quiz

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書籍情報

  • ISBN:9784498120167
  • ページ数:220頁
  • 書籍発行日:2024年4月
  • 電子版発売日:2024年4月3日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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