みんなの脳神経内科Ver.2

  • ページ数 : 268頁
  • 書籍発行日 : 2024年4月
  • 電子版発売日 : 2024年4月4日
3,960
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商品情報

内容

レジデント,非専門医,プライマリケア医に最短距離で伝えたい!
脳梗塞,認知症,てんかん,パーキンソン病,しびれなど,プライマリケア領域や救急で遭遇する脳神経内科領域の主要疾患について,神経診察や画像診断のポイントなど,実際に現場で使える知識や診断テクニックを中心に,研修医や非専門医に向け著者の豊富な経験をもとに平易な言葉でわかりやすく“最短距離”で書かれた“みんなの”ための一冊.初版から新たに2章を追加し,全面修正を加えた改訂第2版.

序文

第2版の序


本著を手に取って頂きまして,誠にありがとうございます.「みんなの脳神経内科」は2021年に初版が刊行され,この度2024年に改訂させていただくこととなりました.

常々,医療における情報の「賞味期限」のようなものについて考えます.かなりの労力と時間をかけて,かつ著者の想いがこめられて書かれた論文や著作に私たちは日々出会います.それらは私たちに尊い価値を与えてくれる一方で,過ぎていく時間とともに大量の情報の中で世界に埋もれていってしまいます.これは至極当然の道理ではありますが,その事実には「切なさ」や「もったいなさ」を感じます.医学におけるその価値の普遍性を感じながらも,総じてはその存在は消費されながら,薄まっていくものだと理解します.もちろん,本著もその道理にあらがうことはできません.

また,初版で本著は「三軍著者によって書かれていることに価値がある」と図々しく述べました.今でもその気持ちには変わりありません.あえて私は,私自身にも・本著にも,「matureでない」こと自体に特別な意味を見出せるはずだと主張させていただきました.しかしながら,本音ではそれは詭弁です.本音では言い訳もなしに,私も著作自体もできるだけmatureでありたい,と願わないはずはありません.

著作が時間で消費されてなくなる切なさと,それ自体がmatureでないことの不全感.このモヤモヤをどうすればよいか,と考えるわけです.その思考の結果,自分が成長した分だけ本著も成長させて,少しずつでもmatureにし続けることでこの本を生き続けさせることができないだろうか,という考えに至りました.日々患者さんから教えていただきながら,臨床家として繰り返し続け,少しずつ,よりよく変えていく「日々の実践する医療」を,前向きな形で成長させ続けることの体現として,私はこの本を成長させ続けたいのです.ですから,図太くしぶとく,よりよい書籍としてこの本を改訂し続けることが私の願いであります.改訂に際しては,初版から時代に合うように加筆し,また新たに2章を加えました.いつか,どこかに真のmatureがあるなら,それを目指しながら続く,本著でありたいです.そして,初心は忘れず,いつまでも三軍だからこそ表現できる「みんなの」「脳神経内科」を体現していきたいと考えています.改めまして,どうぞお付き合いよろしくお願い致します.


2024年2月

湘南鎌倉総合病院 脳神経内科
山本大介

目次

1 まずはここから! 脳梗塞の臨床病型診断入門

病型分類の診断表

心原性脳塞栓症

ラクナ梗塞

アテローム血栓性脳梗塞

血栓性? or塞栓性?

皮質症状があるのかないのか?

病型診断表の最後の項目:重症度

ここまでの知識で実際にケースの評価をしてみよう

知識のまとめ:演習問題

この章のまとめ

2 内科的脳梗塞の入院診療の基本を押さえる

診断:臨床病型について.臨床病型を決めることからスタートする

入院時の患者説明:診療のテーマについて,双方で確認し共有しよう

初期治療:入院後,まず行う治療について

入院時病棟指示:シンプルな病棟指示

入院中の検査:ルーチンで行う,検査オーダーについて

ESUSを検討する場合の検査

抗血栓薬の使い方の整理をしましょう

再発予防:3通りのアプローチを説明しよう

原因不明の塞栓症:脳梗塞診療で悩む問題

知識のまとめ:〔ケーススタディ〕ラクナ梗塞の症例で学ぼう

この章のまとめ

3 内科的脳梗塞診療(病棟管理と再発予防)の具体的な実践

脳梗塞急性期管理を実践的知識で理解する

脳梗塞の再発予防薬を決めていく

この章のまとめ

4 頭部MRIを,自信を持ってプレゼンする7 Rules

まずはじめに:細かいことですが,撮像(さつぞう)なのです

様々な撮像条件の意味について:色々ある撮像条件をどの

プレゼンするのか

MR Angiography(MRA)について:MRIでは一緒に,頭蓋内

評価も可能です

頭蓋内血管の最小限の名称:シンプルなので,これは覚えましょう

T2*(ティーツースター)は重要:ルーチンで加えられるべき撮像条件

最後のルール:脳の場所を表現する.やはり病変の場所は

必要です

知識のまとめ:ケーススタディ

この章のまとめ

5 認知症をじぶんのことばで説明しよう

どこからが“病的な物忘れ”で,どこまでが“生理的な物忘れ”なのか?

認知症の検査について

認知症の診断について

アルツハイマー病らしさについて

投薬治療について

アルツハイマー病とはそもそもどんな病気か?

患者さんが自分でできることは,シンプル

診断して,薬をだして,生活のアドバイスをして.それ以外は?

知識のまとめ:「じぶんのことば」で説明しよう

この章のまとめ

6 使いながら覚える実践的せん妄治療

せん妄として治療に取り掛かる前に

不穏・せん妄状態になってからの対処では遅い

処方薬の知識

実際の処方例

睡眠薬の活用について

知識のまとめ:ケーススタディ

この章のまとめ

7 運動障害の患者さんに出会ったら

運動障害の見方の入り口:運動障害評価の導入部分で,まずは

確認すること

力は入るけど動けない場合 → 運動調節の問題

力が入らなくて動けない場合

まとめ

評価する神経所見のテンプレート

神経障害局在の推測

知識のまとめ:ケーススタディ

最後に:患者さん,医療者ともに理解しておくべきこと

この章のまとめ

8 ERでの非専門医のためのけ

てんかん診療ストラテジー

けいれん,けいれん性発作,てんかんなどの言葉使いを,まずは整理

けいれん性発作とてんかん

けいれん対応1 :既に診断されている患者の場合

けいれん対応2 :未診断患者の場合

重要な概念:てんかん重積状態とは?

ERでつかうけいれん治療薬と投薬上の留意点

難治性てんかん重積状態での最終治療への移行のタイミング

てんかん重積状態の第1段階治療から第3段階治療について理解する

脳炎についてどのように考え,どう対応すべきか

治療の流れについて,確認していきましょう

検査・診断の流れについて,確認していきましょう

最後にキーワード診断

知識のまとめ:ケーススタディ

この章のまとめ

9 非専門医向け,抗てんかん薬入門

古典的抗てんかん薬(従来薬)から理解する抗てんかん薬の基礎知識

新規抗てんかん薬の特徴

成人てんかん診療の特徴と介入の留意点

抗てんかん薬の特徴と使い方

抗てんかん薬の投与選択で考慮する患者背景は?

知識のまとめ:ケーススタディ

この章のまとめ

10 良性しびれから,しびれ診療をはじめよう

症状分布の基礎知識<1>:3つの障害パターン

症状分布の基礎知識<2>:障害パターンごとの想定疾患

症状分布の基礎知識<3>:パターン3と良性しびれ

良性しびれ:特徴・診断

良性しびれらしくない特徴

良性ニューロパチー評価のための検査

ここまでのまとめ

対症療法:投薬治療の考え方と留意点

知識のまとめ:ケーススタディ

この章のまとめ

11 手堅い,無菌性髄膜炎診療

重大な鑑別疾患1 :髄膜炎と脳炎の鑑別

重大な鑑別疾患2 :無菌性髄膜炎と細菌性髄膜炎の鑑別

髄液検査 :施行の基準・手技・検査上の留意点

鑑別診断:考え方と留意点

重要な合併症

治療アプローチ:投薬

「手堅い」無菌性髄膜炎診療のまとめ:総論的病状説明

知識のまとめ:ケーススタディ

この章のまとめ

12 わかりにくい脳炎を,フローに沿ってシンプルに理解する

まず初めに脳炎診療のアウトラインを理解する

脳炎診療の各論を説明していきます

脳炎/脳症における検査について

診断基準,鑑別診断について

治療について

アクションのまとめを最後に

この章のまとめ

13 片頭痛診療,はじめの一歩

片頭痛の診断:片頭痛を「否定しない」ことから始める

はじめの一歩で覚える薬剤

女性の片頭痛と,その投薬モデル

片頭痛予防薬もひとつ

知識のまとめ:ケーススタディ

この章のまとめ

14 パーキンソン病:臨床に役立つ総論

パーキンソン病患者は多い.未診断例

そしてこれからもっと増える!

パーキンソン病の経過の大まかなイメージ

病態生理/原因:ドパミンが足りなくなる病気ではあるが

症状1 :非運動症状について理解を深めよう!

症状2 :運動症状について知っておくべきこと

診断

検査:MRIと核医学検査

パーキンソン症候群という記載をみたら

治療:L—ドパが中心的薬剤

予後:大まかな疾患経過を知って下さい

本章の最後に

知識のまとめ:ケーススタディ

この章のまとめ

15 パーキンソン病患者さんが急病で入院する時の治療薬対応

PD治療薬の基礎知識1 :L—ドパを理解する

PD治療薬の基礎知識2 :内服できなくなった時の対応

PD治療薬の基礎知識3 :ドパミンアゴニスト

休薬の仕方:パーキンソン病診療ガイドライン2018

L—ドパ以外の薬剤を換算すべきか?

そもそも,置換療法の目的を明確にしておきま

悪性症候群以外の目的もあります

上級編:L—ドパ持続静注による置換方法

上級編:LEDD換算表を用いて,全薬剤を静注に置き換える方法

その他の方法

この章のまとめ

16 パーキンソン病患者さんと家族の

説明し共有すべきこと

パーキンソン病とコミュニケーション:きちんと説明が伝わってい

留意すること

パーキンソン病の診断1 :どのような症状でパーキンソン病

いいのか?

パーキンソン病の診断2 :診断の難しさ,不確かさ

パーキンソン病の診断3 :診断における投薬介入の意味

パーキンソン病の診断4 :脳神経内科専門医へ紹介すべきかどうか?

サプリメントは有効ですか? と聞かれたら

パーキンソン病治療薬について

パーキンソン病の手術療法について

リハビリについて

パーキンソン病の自律神経症状について

パーキンソン病の認知症について

パーキンソン病の心身症状について

パーキンソン病と緩和ケアについて

知識のまとめ:特に大切な内容について最後にまとめて記載します

この章のまとめ

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書籍情報

  • ISBN:9784498328730
  • ページ数:268頁
  • 書籍発行日:2024年4月
  • 電子版発売日:2024年4月4日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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