公衆衛生マニュアル 2024

  • ページ数 : 304頁
  • 書籍発行日 : 2024年4月
  • 電子版発売日 : 2024年4月12日
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商品情報

内容

公衆衛生に関わるすべての人に

公衆衛生の最新情報を網羅した決定版!好評に支えられ,毎年改訂の版を重ね42版となった.最新データへの更新はもとより,内容には制度や法律をはじめとした最近の動きも盛り込んだ.公衆衛生関係者,医・歯・薬・看護学部の学生をはじめ,すべての医療従事者に利用価値のある一冊!

〇今改訂での主な更新
制度・統計データの更新を行った.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の動向と感染症法上の位置づけの変更,エムポックス(サル痘)の流行,働き方改革・時間外労働規制,近年の自殺者数増加について記載を追加した.

序文

2024(改訂42版)の序

編者の1 人である中村は,大学を定年退職し,現在は中核市の保健所に勤務している.保健所に入って少し驚いたのは,職員が数あまたある計画の作成に追われていることである.さらに「このように作成された計画は,いったい誰が実行するのだろうか?」という疑念も湧いてくる.保健所が重要な役割を受けもつ「健康日本21」にしても,あれもこれもと項目を盛り込み,総花的になっている.もともと工業製品の不良品を減らすために考案された,PDCA サイクルという方策がある.P(plan)とは,「この過程をこのように改善すれば,現在5%生じる不良品を3%に減らすことができる(だろう)」という計画である.一方,保健医療の世界のP は前段が抜けており,数値目標の3%だけで,いわば当てずっぽうな競馬の予想屋であるということを露呈しているのではないだろうか.加えて,実際の競馬の予想屋の世界では競争原理が働き,当たらない予想屋は客もつかず退場せざるを得なくなるのだが,保健医療の世界ではそのようなメカニズムも働いていないように思われる.

このような中で今年も本書の改訂作業を行いながら,もういちど,公衆衛生の原点に立ち返って考える必要があるということをひしひしと感じた.個人衛生ではいかんともしがたいところを「組織化された地域社会の努力」(ウィンズローの公衆衛生の定義)によって解決するのが公衆衛生である.この点に立脚すると,例えば“健診の受診率向上”を標的とした場合,個人に受診を呼びかけるだけでは個人衛生の域を脱しておらず,健診受診を阻害する要因の排除,健診を受診することによる利益の普及啓発などが公衆衛生に該当するところとなろう.計画策定に当たっては,このような観点を忘れてはならないと自戒している.

もう1 点,改訂作業では,新たに制定された法律(例えば「認知症基本法」)を追加するのは当然のことだが,長年にわたって取り上げていなかった法律(例えば「高齢社会対策基本法」)に気づき加えたことである.このほか,新たな視点で見直すと,修正が必要な部分が出てくると思うが,これはまた来年の改訂に回したい.

最後に,今年も本書作成にご尽力いただいた南山堂の関係諸氏,特に本書の担当である吉野琴絵氏に心から御礼申し上げたい.


2024年2月

中村好一
佐伯圭吾

目次

1 健康と疾病の概念

1-1.健康の考え方

1-2.公衆衛生と関連領域

1-3.世界における公衆衛生の歩み

1-4.日本における公衆衛生の歩み

1-5.公衆衛生に関連するわが国の行政の流れ

2 保健医療制度と医療資源 

2-1.医療法

2-2.医療確保等

2-3.医療の質と安全の確保

2-4.保険診療

2-5.国民医療費

2-6.医療施設および医療関係者

2-7.医療介護総合確保推進法

2-8.医療確保対策

3 地域保健医療活動

3-1.地域保健法

3-2.保健関連の法体系

3-3.多職種連携教育

3-4.市町村保健センターと施設

3-5.地方衛生研究所

4 医の倫理

4-1.医の倫理の基本

4-2.主な宣言

4-3.医師の権利・義務

4-4.インフォームド・コンセント

4-5.個人情報取り扱いの原則

4-6.UNESCOによる「生命倫理と人権に関する世界宣言」

4-7.個人情報保護法

4-8.倫理に関する主な法律・指針

4-9.倫理的問題をはらむ医療

5 国際保健

5-1.世界の健康問題と保健

5-2.保健統計

5-3.世界人口と人口問題

5-4.保健水準の指標

5-5.国境を越える環境問題

5-6.国際機関による環境対策の歩み

5-7.世界の代表的な感染症

5-8.世界保健機関(WHO)

5-9.国際連合の保健関連機関と活動

5-10.持続可能な開発のための2030アジェンダ

5-11.わが国の国際保健活動

6 人口・保健統計

6-1.主な人口統計

6-2.人口の特性

6-3.年齢構造指標と人口ピラミッド

6-4.国民生活基礎調査

6-5.患者調査

6-6.死亡統計

6-7.悪性新生物死亡

6-8.全国がん登録に基づくがん罹患

6-9.循環器疾患死亡

6-10.ICD-10

6-11.主な母子保健関連指標および婚姻,離婚

6-12.生活のしづらさなどに関する調査

7 疫学の基礎 

7-1.罹患率と有病率

7-2.死亡率と致命率

7-3.率の差と比

7-4.差と比の組み合わせ

7-5.疫学研究方法の分類

7-6.記述研究

7-7.生態学的研究

7-8.横断研究

7-9.症例対照研究

7-10.コホート研究

7-11.症例対照研究とコホート研究の比較

7-12.介入研究

7-13.システマティックレビュー

7-14.因果関係判定のための視点

7-15.原因と結果のパターン

7-16.疫学調査における交絡因子の影響の除外

7-17.感染症疫学の特徴と用語

7-18.疫学トピック

8 臨床疫学

8-1.臨床疫学の定義と関連

8-2.臨床判断学

8-3.信頼性と妥当性

8-4.診断の一致性

8-5.疾病の自然史とスクリーニングの関係

8-6.スクリーニング検査の評価方法

8-7.スクリーニング実施の条件

8-8.スクリーニングプログラムの評価

8-9.治療効果の評価方法

8-10.治療効果の評価指導

8-11.尤度比,検査前確率,検査後確率

9 感染症 

9-1.感染,感染症および流行

9-2.感染症対策

9-3.感染症法

9-4.結核

9-5.HIV感染とAIDS

9-6.予防接種法

9-7.任意の予防接種

9-8.検疫法

9-9.重症感染症の疫学像

9-10.新型インフルエンザ

9-11.新型コロナウイルス感染症

9-12.動物由来感染症,人獣(畜)共通感染症

9-13.風しんの流行

9-14.主な蚊媒介感染症

9-15.アフリカにおけるエボラウイルス感染症の流行

9-16.バイオテロリスムと生物剤の軍事利用

9-17.エムポックス(サル痘)の流行

10 母子保健

10-1.少子化対策の取り組み

10-2.母子保健法

10-3.成育基本法

10-4.妊産婦および幼児健康診査の実施

10-5.母子保健医療対策等総合支援事業

10-6.健やか親子21(第2次)

10-7.母子保健事業に関するガイドライン

10-8.乳児期のスクリーニング検査

10-9.児童虐待

10-10.児童虐待防止法

10-11.児童福祉法

10-12.小児医療費公費負担制度

10-13.母子及び父子並びに寡婦福祉法

10-14.環境要因と胎児障害

10-15.母体保護法

10-16.次世代育成支援対策推進法

10-17.医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律

11 学校保健

11-1.学校保健の基本

11-2.学校保健安全法

11-3.その他の学校保健関連法規

11-4.学校給食衛生管理基準

11-5.児童または生徒1人1回当たりの学校給食摂取基準,学校給食実施基準

11-6.定期健康診断の項目と方法

11-7.児童生徒等の疾病異常

11-8.学校保健の最近の問題点

12 成人・老人保健

12-1.高齢社会対策基本法

12-2.高齢者医療確保法

12-3.がん対策基本法

12-4.がん登録等の推進に関する法律

12-5.がん検診

12-6.脳卒中・循環器病対策基本法

12-7.主な生活習慣病の危険因子

12-8.介護保険法

12-9.要介護認定の流れ

12-10.介護区分別介護の状態

12-11.介護予防

12-12.介護保険制度における在宅の要介護者等へのサービス

12-13.老人福祉法による老人福祉施設

12-14.介護老人福祉施設,介護老人保健施設,介護療養型医療施設,療養型病床群の比較

12-15.地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律

12-16.認知症基本法

12-17.認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)

12-18.介護保険事業状況報告

12-19.日常生活自立度の判定基準

12-20.高血圧,脂質異常症,糖尿病,メタボリックシンドローム診断のためのガイドライン

12-21.難病対策の沿革と小児慢性特定疾病

12-22.難病の患者に対する医療等に関する法律

12-23.高齢者虐待防止法

12-24.DV法

12-25.アルコール健康障害対策基本法

12-26.閉じこもり,廃用症候群,サルコペニア

12-27.フレイル予防

12-28.人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン

13 健康づくり 

13-1.国民健康・栄養調査

13-2.国民健康・栄養調査成績の概要

13-3.国民健康・栄養調査成績(性,年齢別 主な身体所見および生活習慣)

13-4.国民健康・栄養調査成績(性,年齢別 エネルギーおよび主要栄養素の摂取状況)

13-5.栄養に関する基礎知識と食事摂取基準の考え方

13-6.食育基本法

13-7.食品ロスの削減の推進に関する法律

13-8.健康づくりのための身体活動基準

13-9.健康づくりのための睡眠指針

13-10.喫煙と健康

13-11.健康日本21(第1次,第2次,第3次)

13-12.健康日本21(第2次)

13-13.健康日本21(第3次)

13-14.健康増進法

13-15.健康増進法の一部を改正する法律の概要

13-16.健康関連行動のモデル

14 精神保健・福祉

14-1.精神障害の現状

14-2.精神保健福祉法

14-3.心身喪失者等医療観察法

14-4.精神障害者に関する施設・事業

14-5.精神障害者の入院形態

14-6.発達段階別にみた精神保健の問題点

14-7.薬物依存による精神障害

14-8.ギャンブル等依存症対策基本法

14-9.精神障害の予防

14-10.精神保健福祉士法

14-11.自殺対策基本法

14-12.自殺総合対策大綱

14-13.精神障害者と法

14-14.職場のメンタルヘルス

15 食品衛生

15-1.食品安全基本法

15-2.食品衛生法

15-3.HACCP

15-4.細菌による食中毒

15-5.ウイルス・原虫・寄生虫による食中毒

15-6.自然毒による食中毒

15-7.食中毒の現状

15-8.食中毒の原因解明と対策の樹立

15-9.食品の安全

15-10.食品添加物

15-11.保健機能食品

16 社会保障・社会福祉

16-1.社会保障制度の体系

16-2.社会保障の考え方

16-3.公費医療

16-4.国民健康保険制度改革

16-5.医療保険制度の現況

16-6.社会福祉に関する組織など

16-7.社会福祉プラン

16-8.障害者基本法

16-9.障害者総合支援法

16-10.身体障害者福祉法

16-11.知的障害者福祉法

16-12.発達障害者支援法

16-13.国際生活機能分類

16-14.障害者差別解消法

16-15.公的年金制度一覧

16-16.生活保護法

16-17.生活困窮者自立支援法

17 環境保全と公害

17-1.環境基本法

17-2.環境基本計画

17-3.公害健康被害補償法

17-4.環境影響評価法

17-5.公害発生の要因と人に対する影響

17-6.環境汚染による主なエピソード

17-7.ダイオキシン類対策特別措置法

17-8.主な大気汚染物質の環境基準

17-9.人の健康の保護に関する水質の環境基準と排水基準

17-10.生活環境の保全に係る水質の環境基準と排水基準

17-11.湖沼および海域の全窒素および全リン酸の環境基準

17-12.土壌の汚染に関わる環境基準

17-13.特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律

17-14.PRTR法

17-15.地球環境の保全

17-16.リサイクル

18 日常生活の環境

18-1.気候

18-2.空気と健康

18-3.温熱環境

18-4.総合的温熱尺度

18-5.上水道

18-6.遊泳用プールの衛生基準

18-7.下水道

18-8.住居環境

18-9.建築物環境衛生管理基準

18-10.有害物質を含有する家庭用品の規制基準

18-11.衣服衛生

18-12.廃棄物

18-13.低周波音

18-14.振動

18-15.騒音

18-16.非電離放射線

18-17.電離放射線の種類と単位

18-18.電離放射線の影響

18-19.電離放射線の線量限度勧告

18-20.電磁界

18-21.ねずみ,衛生害虫

19 産業保健総論

19-1.産業保健の目的,活動,組織,法令

19-2.産業保健の現状と動向

19-3.労働安全衛生法に定める安全衛生管理体制

19-4.作業環境管理の基本的流れ

19-5.作業環境測定基準による粉じん,特定化学物質,鉛,有機溶剤の測定

19-6.作業環境測定の概要

19-7.有害物質の人体曝露評価に関する指標

19-8.作業管理

19-9.通達等による各種作業における一連続作業時間

19-10.労働衛生保護具

19-11.職場における健康管理

19-12.じん肺法

19-13.厚生労働省令で定める有害業務従事者に対する特殊健康診断

19-14.健康づくりと快適職場の形成

19-15.都道府県産業保健総合支援センター,地域窓口

19-16.労働力の動向,正規雇用,非正規雇用と高齢労働者

19-17.過重労働対策

20 産業保健各論―法規と職業性疾患―

20-1.労働基準法

20-2.作業環境測定法

20-3.労働安全衛生法

20-4.労働者災害補償保険法

20-5.男女雇用機会均等法

20-6.過労死等防止対策推進法

20-7.働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律

20-8.高温熱による障害

20-9.異常気圧による障害

20-10.騒音による障害

20-11.振動による障害

20-12.非電離放射線による障害

20-13.電離放射線による障害

20-14.酸素欠乏

20-15.有毒ガス中毒

20-16.金属中毒

20-17.有機溶剤中毒

20-18.有機化合物中毒

20-19.頸肩腕障害,情報機器作業による健康障害

20-20.職業がん

20-21.作業関連疾患

20-22.職業性皮膚障害,職業性眼障害,職業性アレルギー

20-23.石綿による健康障害

21 医事,薬事関係法規

21-1.医師法

21-2.医師以外の医療,福祉関係者に関する法規

21-3.死体解剖保存法,献体法ならびに臓器移植法

21-4.死産の届出に関する規程

21-5.個人情報の保護に関する法律

21-6.医事に関する法規

21-7.医薬品医療機器等法

21-8.毒物及び劇物取締法,麻薬及び向精神薬取締法

21-9.覚醒剤及び覚醒剤の中毒者の措置

22 解析の基礎

22-1.母集団から抽出された標本の基本的な統計量

22-2.正規分布の特性と応用

22-3.2項分布の特性と応用

22-4.ポアソン分布の特性と応用

22-5.χ2分布の特性

22-6.2つの集団の平均値の差の検定と信頼区間の推定

22-7.比較的大きな標本の場合の正規分布を仮定した簡略計算方法

22-8.仮説検定

22-9.2つの集団における割合の差の検定と信頼区間の推定

22-10.2×2分割表における関連性の検定(χ2検定)

22-11.Fisherの直接確率計算法による2つの属性の関連性に関する検定

22-12.マッチしたデータにおける関連性の検定およびオッズ比

22-13.R×C分割表による2つの属性の関連性に関する検定

22-14.2×R分割表における傾向性の有無に関する検定

22-15.相関係数と回帰係数

22-16.年齢調整死亡率の計算

22-17.生命表

22-18.生存率の計算

22-19.標本抽出の考え方

22-20.無作為抽出方法

資料

1.総合的な統計資料

2.人口,人口動態,生命表に関する統計資料

3.保健福祉行政に関する統計資料

4.生活,健康・栄養に関する統計資料

5.医療・介護に関する統計資料

6.市区町村別・都道府県別の統計資料

7.外国人関連の統計資料

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書籍情報

  • ISBN:9784525187521
  • ページ数:304頁
  • 書籍発行日:2024年4月
  • 電子版発売日:2024年4月12日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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